正月の三が日も終わり、学生の本分として冬休みの宿題をこなしながら迎えた一月の六日。
「今度、皆でお泊りしよう」
そんな事を、アスナが言い出した。
彼女が今居るのは、彼女が恋人と共に先日買い戻した《森の家》であり、仲間の女性陣と揃って冬休みの宿題をこなしている。そんな時に言いだしたものだから、全員が手を止めてアスナを凝視した。
ちなみに男性陣は、特殊能力が無い以外は《聖剣エクスキャリバー》と遜色ない性能を持つ《偽剣カリバーン》の試し斬りに行っている。カリバーンは結局の所、ユウキがメインで使う事になったが、彼女としては普段使うには過ぎた武器だという事で、使用感だけ確かめた後は試し斬りをしたいというキリトらにさっさと貸し出していた。
「何処で?」
「わたしの家かなー、って思ってる」
「何時です?」
「明日だと、家族が居ないんだよね」
「急すぎるわね!?」
リズベットが叫んで、隣のシリカとリーファが頷いて同意した。
「寂しいならキリトの家に行ったら?」
「うっ……いや、そういうわけじゃないんだけど……」
シノンのツッコミにアスナが顔を赤くして否定するが、リーファの方が両腕で大きくバツを作っている。どうやら泊まるには何やら問題があるらしい。もしくは家であの空気を出されたらリーファが耐えられないのかもしれないが。
「まぁ、わたしとユウキは泊まるのは問題ありませんけど……」
「ふ、二人だけで行ったらアスナさんに妹にされてしまいますよ……!?」
「妹にされるとは一体。というかシリカ、ボケを深刻に言わないで。わかんないから」
「リズさん、すっかりツッコミニストになっちゃって……」
「ランとユウキの兄貴のせいね。間違いない」
「まぁ旦那は元々関西に居たし、リズと居るとボケてばかりだけど」
シノンがやれやれ、といった体で話せばみんなが笑う。それだけ、リズとオーリの掛け合いは仲間内ではもう馴染んだものになっていた。元々SAOから続いてきたそれは、ALOでも現実でも何一つ変わらない稀有な物であると言って良いだろう。
「にしてもオーリ君、関西だったんだ。詩乃のんは違うんだっけ?」
「えぇ、私は東北の方。だから旦那から聞いた時は、本当に驚いたわ」
「あり得ない話じゃないけど、凄いよね。転校生が未来の旦那さんって」
口に出して言ってみれば恋愛小説みたいだ、とリーファが言って、確かにそうだとシノンも思う。事件があって出会い、転校してきて再会して、過ごしていく内に惹かれて、彼が事件に巻き込まれて、そして帰ってきた彼と結ばれた。箇条書きにすればこんな所だろうが、小説にありそうな内容ではあると笑ってしまう。
「それにしても、お泊りは良いですよね。楽しそうですし」
「確かにそれはあるよねー。
「冬休み中は難しくても、今度の三連休はダメなの?」
「うーん、家族が居るとこの人数を一度には流石に良い顔されないと思うから……」
あーでもないこーでもないと皆で相談していれば、課題に一区切りつけたランが顔を上げておずおずと手を上げる。
「じゃあ、うちはどうですか? お義父さんもお義母さんも、皆さんには一度会いたいと仰っていたので」
ちょうどいい機会かと、とランがつづけた言葉に唸るのはユウキだ。
「あー、確かにうちなら泊まれるかもしれないけど……シノンお義姉ちゃん?」
「そこで私に振るの? まぁお義父様とお義母様なら嬉々として歓迎するでしょうけど」
それも盛大に、という言葉をシノンは飲み込んだ。他の要素としても、二世帯住宅なので部屋はあるし、何なら共有スペースとして設けられているシノンとオーリが住む予定の家と、両親達が住む家を繋ぐフロアで雑魚寝でも問題は無いだろう。
「何でまた会いたいのかしら?」
「兄さんの仲間ですし、義姉さんの友達という事でだいぶ興味があるみたいですよ」
「明日?」
「アスナさんどんだけお泊りしたいのさ……流石に今日言って明日は難しいと思うよ?」
「ユウキはまだあの二人を理解しきってないようね……『ラン、ユウキ、私を入れて七人が明日泊まるの大丈夫ですか?』ってダメ元で今メールしたら『OK! 用意しとくわ!』って返って来たわよ」
うそぉっ!? とユウキが仰天して、ランも座っていた椅子からずり落ちている。他の四人は目を見開いて驚いていた。
「わたしもちょっと、無茶言ってる自覚はあったんだけど」
「お義母様にとって、このお願いは無茶でも何でもないみたいね。むしろランとユウキが提案したって言ったらお義父様も本気出しそう」
「「なにそれこわい」」
姉妹のハモった声にシノンは思わず吹き出した。自分が思っていた事を言われてしまった気恥ずかしさもあったが、それ以上に自分も姉妹も似てきた事が嬉しかったからである。わいのわいのと盛り上がる三姉妹を見ながら、他の四人もくすくすと笑った。
「まぁ急な話だけど、楽しそうだから参加するしかないわね」
「お二人のお家は初めてですから、当然あたしも参加ですっ」
「わたしの家には何度か集まってるし、そう考えるとそっちのお家の方が色々新鮮だよね」
リズやシリカ、アスナが参加に意欲的なのに対して、リーファが唯一少しだけ難しい顔をする。アスナが理由を聞けば、兄のキリトを一人残すとご飯を食べるかどうか不安であるらしい。
「あぁ……キリト君、放っておくと一日中ダイブするもんね」
「あいつ本当に極端よね。痩せの大食いかって言うくらい食べるかと思えば、長時間ゲームして食べないって事もあるんでしょ?」
「そうなんですよね。学校ある日はそうでもないんですけど、休みの日は本当に寝てるかゲームしてるかで」
「ならそっちは、旦那に引っ張り出してもらう?」
「それしかないかなぁ……うちの兄がお世話になってます」
「うちの旦那も迷惑かけてるから御相子という事で」
「ねー、話はまとまったー? 明日の為に今日の課題終らせよー?」
焦れたようなユウキの言葉に、再び《森の家》は笑いに包まれた。
◇
翌日の昼前。藍子と木綿季が住む家の前に、和人が運転するバイクが止まった。彼の後ろには直葉が乗っており、泊まる為の着替えなどが入ったリュックを背負っていた。
「うぃーっす」
「うぃーっす」
「こんにちは。二人の挨拶っていつもこう、抜けてる感じだよね……」
家の前で待っていた涼と兄の挨拶に、直葉はいつも通りだなぁと逆に感心してしまう。初めてこの二人が揃ったのを見た時は、非常時だったからか事務的なやり取りが目立っていたが、それが終わって日常的な物になればこうして緩い挨拶から入って、会話をしながらギアを上げているというのが直葉の感想だった。
「ようこそって俺が言うのも変だけど、中で詩乃達が待ってるから入ってくれ」
「あ、うん。明日奈さん達は?」
「後十分くらいで駅に着くって連絡があったから、今から迎えに行く。和人も入れよ。昼飯食ってけってさ」
「いいのか?」
「むしろ母さんが張り切って作ったせいで量が多いから減らしてください」
切実な物言いに桐ケ谷兄妹は苦笑するも、玄関先で涼と別れて家の中に入っていく。いらっしゃい、と出迎えてくれたのは詩乃ともう一人、二人が見た事の無い女性。
「お邪魔します。えっと」
「初めまして、うちの息子と娘達がお世話になってます」
「……涼達のお母さん、ですか?」
和人の問いにその通り、と女性は答え、兄妹は驚愕のままに口を開いた。驚愕の理由は、彼女の美貌だ。黒い艶やかな髪は緩くウェーブがかって腰まで伸び、女性の平均を大きく超えて和人にも並びそうな身長で、優しげな眼元に穏やかな雰囲気をまとった女性は、どう見ても二十代……下手すれば詩乃の姉と言っても通用するほどに若々しい。
「え、若すぎない……?」
「驚くだけ無駄よ、直葉。私が会った時からお義母様って変わってないから」
「詩乃ちゃんも息子に染まって、遠慮が無くなって来たわね」
直葉の言葉を詩乃はさらっと流し、涼の母は詩乃の言葉に微笑みを返した。驚愕から帰ってきた二人を家の中に案内し、リビングでソファに座ってボードゲームに興じている藍子と木綿季と男性の姿がある。
「藍子ー、木綿季ー、
「「はーい」」
「む、君達は……桐ケ谷君とその妹さんで良いのかな?」
「あ、はい。俺が兄の桐ケ谷和人で、こっちが妹の」
「桐ケ谷直葉です。えーっと……」
「涼の父親で、藍子と木綿季の義父でもある、桜川巌だ。よろしく頼むよ」
ソファより立ち上がった男性はす、と和人達に右手を差し出した。着ているワイシャツ越しからでもわかるほどにがっしりとした体躯に、涼と同程度の身長。その顔は涼と確かに血の繋がりを感じさせ、彼よりも強面と言った印象。そして差し出された右手を握れば、その手はまさに名前の通りに巌のように硬く、力強いものだった。
「これは確かに、あいつより強いって言うのも納得だな……」
「ん? 涼が何か言ってたのかな?」
「あ、いえ。『父親はゲームの中の自分より強い』という事を彼が言ってたのを思い出して」
「ははは、これでも色々と嗜んでいるからね。にしても、ふむ……」
和やかに笑っていた巌の目がすぅ、と細められ、視線が一瞬だけ和人と直葉の全身を確認し、二人にソファに座るように勧めた。
「和人君は仮想世界では剣士だそうだが、剣道をやっているのかい?」
「え、はい。まぁ……今は、妹に付き合ってやっている程度ですが」
「なるほど。直葉君については、木綿季が世話になっていると聞いているよ。有難う」
「い、いえ。あたしも木綿季ちゃんには色々と勉強させてもらってます」
木綿季は去年の十月頃から、定期的に桐ケ谷家に行っている。それはVR教材で培った剣術を現実でも使ってみようという事から、涼が剣道少女である直葉にダメ元で依頼したのが始まりだった。直葉は教材を紹介してもらっていた恩もあり、それを快諾して木綿季との剣道特訓を始めたわけだが、予想以上に木綿季は強かった。仮想世界では十本勝負で七回負ける程度の勝率だが、現実では逆転している。
言い方を変えれば、剣道歴無しの木綿季は剣道歴が十年近い直葉から、十本中三本取れる程度に才能の塊であるという事だ。その事実は確かに衝撃的だったが、それが直葉の負けず嫌いの気持ちに火をつけて、現実での腕はメキメキと上がっているらしい。
「なるほど。良い影響を与えられているようで何よりだ」
「あはは、次の大会で良い結果が出せそうです」
「直葉さんの次の大会っていつなの?」
「都の新人戦が十七日かな。会場は武道館だよ」
目を輝かせている木綿季を見て、直葉も楽しそうに笑う。現実でも木綿季は剣に興味を持っているようで、帰還者学校で中等教育を終えれば剣道部のある高校に進学する気なのだと、巌が付け足した。
「木綿季ちゃん、うちの高校に来てくれない?」
「スグ、本気の顔だな……」
「だってお兄ちゃん、有望な後輩には今から声かけないと!」
「予定には入れとくー」
「あ、入れるんだ」
藍子の呆れたような声に笑いが起こった。話はそこから進学の話や、部活動の話に移っていく。といっても、現在帰還者学校では委員会や部活動は行われておらず、来年度より徐々に発足しだす予定だ。既に有志による集まり自体はあるが、設備などの関係で正式な部活動ではないが、それを正式な物にするのが来年度になる。
「にしても、いい匂いですね」
「あぁ。今日は妻の
「昨日の夜から仕込んだチキンのトマト煮やら、パスタも作るって言ってましたね」
「空きっ腹にはツライ匂いだ……」
「お義姉ちゃんボク味見するー!」
「そう言いながらつまみ食いするから駄目よ」
そんなー、と木綿季が分かりやすく嘆いていれば、詩乃が手早くエプロンを脱いで玄関へと姿を消す。直後に玄関が開く音が聞こえ、仲間達の声が響いてきた。
詩乃と涼に案内されてリビングに入ってくるのはやはり、明日奈と里香と珪子だ。
「「「お邪魔しますー」」」
「はいいらっしゃい。じゃあ涼、手を洗ってから料理持っていくの手伝いなさい」
「あ、その寸胴をテーブルに持ってくのね」
「詩乃ちゃん、玄関から音が聞こえる前に移動しなかった……?」
「え? 単に旦那の気配がしたから迎えに行っただけよ」
「義姉さんは兄さん関係では勘を外しませんからね」
「なにそれこわい」
◇
揃っての昼食も終わり、涼と和人は揃って近所をバイクで走りに行くと出かけ、巌は急な仕事で、美沙は東京に来てから再開した、在宅の仕事をこなすために私室に籠ってしまった。と言っても今回の目的は女性陣でのお泊りであるから、大勢に影響はない。家の事は詩乃と藍子、木綿季が把握しているし、夕食についても昼の余りをどうとでもアレンジして料理できるため、買い物に出る必要もなかった。
「強いね、藍子ちゃん……」
「明日奈さんこそ……」
『ママ、頑張ってください!』
『藍子ー! 負けるなー!』
必然、家の中で過ごす事になるわけだが、明日奈は藍子と将棋で対決しており、中々に決着がつかない。その横では例の『ストコマ』と、もう一つ同じ機体で黒でカラーリングされた『ユイコマ』と涼が名付けた物が応援していた。ユイとストレアを今回のお泊りに参加させるため、涼が作りかけていた『ユイコマ』を突貫工事で仕上げ、和人が巌と美沙に許可を貰ってネットに接続してここに呼び出したのだ。
「どっちが勝ってるの?」
「多分明日奈だと思うけど、私は読みに関して二人の足元にも及ばないから正直分からない」
「へー……『友人が結婚。五千ドル払う』って何でよッ!?」
残った五人が人生ゲームをしながら、二人の対決を観戦している。今五千ドルを支払ったのは里香で、銀行役も兼任している詩乃に悔しそうに紙幣を渡す。現在の状況として、詩乃が結婚済みで子供が三人。珪子と直葉は結婚済みで子供なし、木綿季は結婚マスに届いておらず、里香は結婚して離婚マスに止まったという散々な話になっている。
「一番順当に人生回してるのが、詩乃お義姉ちゃんと言う事態」
「これ、詩乃ちゃんと桜川君の未来の暗示……?」
「それを言うとあたし、結婚して速攻で離婚してるんだけど」
「里香さん、自虐的過ぎて、なんて言って良いかわかりません」
「もう名前考えてるのよね。この三人」
上機嫌な表情の詩乃の人生設計がどうなっているのか、ちょっと知りたいような知りたくないような気がする四人。聞けば盛大な惚気を食らう事は必至だが、別に今日は泊まりであるし冒険しても差し迫った予定はない。
「どんな人生設計してるのよ詩乃……」
でも聞く事は流石に控えた。今はまだその時ではない。
「あ、あたしも離婚マス……」
「珪子ちゃんドンマイ。あたしはやっと子供出来たよ」
「ボクはやっと結婚マスだー」
「ご祝儀ご祝儀……で、給料上がったわ」
「そしてごめんなさい。四人目は男の子よ」
「「「「産みすぎィッ!?」」」」
人生ゲームの結果、詩乃が大勝して一位。里香が二位で直葉が三位。珪子が四位で木綿季がゴールできずだった。
「刻んで進んでるのに悪いマスは踏まないって、ある意味勝ち組じゃない?」
「でも他の人がゴールするのに、ボクまだ三分の一以上残ってるとかさぁ」
「離婚して給料も上がらず平のまま……」
「珪子ちゃんがすっごいダメージ受けてる!? しっかりして!?」
「このゲーム仕込まれてないわよね? 詩乃の結果にすごい物申したいんだけど」
「不正は無いわよ。出来る訳ないじゃない」
里香の追及を避けて、将棋をやっている明日奈と藍子に目を向ければ、今度は何故か二人がそれぞれ『ストコマ』と『ユイコマ』を持って、その二つが将棋を指している。
「え、何がどうなってそうなったの?」
「成り行き、かな……」
「一進一退だったんですけど、先にユイちゃんが『ママを助けます!』って来て、それからストレアさんが『ならアタシが相手になるよ!』って来たので、そのまま二人の対決に」
『藍子、藍子、その歩の所に持って行って!』
「えーと、これですね」
藍子がストコマを持って動かせば、そのマニュピレーターが器用に将棋の駒を押して動かす。流石に大駒は藍子や明日奈が動かしているが、これは完全に途中からAI同士が将棋を指している。
「というか二人共、将棋のルール知ってたの?」
『先ほど検索しました!』『さっき検索した!』
「何と言う学習能力の使い方……」
『ストレアには負けられませんから!』『ユイには負けられないの!』
二人の言葉に、詩乃は一瞬だけ涼と和人の姿を幻視して苦笑した。明日奈も藍子も苦笑しているのは、同じようなものを見たからだろう。ユイは和人の、ストレアは涼の影響を色濃く受けている気がしてならない。負けず嫌いな所は特に、だ。
「凄い対決になってますね……」
「わたし達でも、もうどっちが優勢かわからないね」
互いに思考時間は一分と決めて、ユイとストレアは互いの駒を動かし、時に持ち駒を打ち、普段使わないリソースも注いで将棋をしている。滅多に見ない二人の全力の姿(ただしガワは多脚思考戦車)に、明日奈と藍子は息を呑んで見守っている。
『……ま、まいりました』
『ありがとうございました』
途中で代わってから実に百数十手ほど、悔しそうに投了したのはストレア。彼女が宿っているストコマの体は小刻みに震えていて、その悔しさが伝わってくるようだった。
『うわーん! これすっごく悔しいよー!』
「頑張りましたね、ストレアさん」
『ママ、勝ちましたー!』
「凄かったよユイちゃん」
藍子に泣きつくストレアと明日奈に嬉しそうに擦り寄るユイは、将棋であれだけの激戦を繰り広げていたとは思えないほどの幼さを見せている。そして、そんな彼女達を受け止める二人の顔には、親が子に向けるような慈しみが確かにあった。
「明日奈さんはわかりますけど、藍子ちゃんまで母性に目覚めてる」
「へっ?」
「むっ、お姉ちゃんに甘えるのはボクだー! とうっ!」
「ちょ、木綿季ー!?」
対抗心を燃やした木綿季が藍子に飛びついて、二人と一台は盛大に床に転がった。ちなみに畳の上でやっているので別に怪我はない。
『ちょ、木綿季ー!? ひっくり返ったから戻してよー!』
「あ、ごめんごめん」
床に転がってひっくり返り、脚部をバタバタ動かすストコマを元に戻せば、腕に当たる前部のマニュピレーターを上に挙げた。
『うがー! ALOでちょっと乱獲してくる!』
「今からですか?」
『この悔しさをぶつけてくるの!』
「スッキリしたら戻ってきましょうね?」
『わかった! ママ!』
突然の呼び方に藍子が吹き出すが、ストレアは構わずにストコマを無線充電器がある位置まで動かして鎮座させ、ALOへと旅立っていった。怒涛の勢いで置いていかれた藍子が顔を真っ赤にし、自分に抱き着いている妹と、周りにいる仲間達を見る。
「藍子ちゃんママだって」
「完全に母親の顔してたから仕方ないわよね」
「明日奈さんに匹敵するほどの母性でしたね」
「じゃあ藍子ちゃんにはママとしての心得をみっちり……」
「そんなお姉ちゃんが母性を感じるのは、詩乃お義姉ちゃんです」
「ああああれは忘れてって言ったよね木綿季!?」
うがー! と木綿季に襲い掛かる藍子の表情に、先ほどまでの母性はない。羞恥一色に染まっているその光景は何とも年相応のもので。
「暴れないの」
「ご、ごめんなさい……」
だからこそ、もう一人の『母』がそんな彼女の頭に手刀を落とした。
こうはんへつづく
姉キャラにバブみを感じる……疲れてんのかな……