「――…始まる」
両軍が見守る中、その時は訪れた。
大門の天命が尽きた瞬間、門を中心として轟くような地響きが……まるで巨大な魔獣が、今際の際の断末魔の雄たけびにも似たそれが世界中に、人界全土は元よりダークテリトリーの首都でもあるオブシディアまで轟いた。この時ばかりは人界の民もダークテリトリーの民も関係なく、アンダーワールドに住まう全ての民が空を仰ぐ。
始まりは、大門に走った一条の亀裂。そこから迸るように現れた白光が両軍の眼を灼いた。亀裂はたちまち大門の隅々にまで広がり、光もそれに続くように網目状に広がっていった。次に現れたのは炎だ。門の両面を焼く炎が出現し、それが巨大な神聖文字を浮かび上がらせる。
「あの文字は……」
「《
「どういう事? 実験って……」
「集中乱さないでよ? 右目の封印の事と言い、今更な話なんだから」
冷淡な物言いに、動揺しかけたアリスの心が平静に戻される。右目の封印の話が出てきた事でこの崩壊も、それを仕掛けた存在がストレアの言う《名もなき神》の仕業であると理解したから。ならば確かに、今は捨て置いて良い問題だと意識を切り替えて、術式の構築へと意識を向ける。そんな彼女の様子を確認した後、ストレアは並列で動かす思考の殆どを術式へと割きながらも、残った思考で先を見据えた。
(始まるよ、兄貴。兄貴が開いた未来と言い訳して、アタシが始める戦争が)
この世界に来た切欠はキリトだった。そのせいでキリトは自分を責めていたがストレアは彼に責はなく、本当に責められるべきは自分だと考えている。兄を止める機会が一番多かったのはストレアだ。この二十年近く、一番傍に居たのは彼女であり兄の考えも一番理解していたのだから。
ならば何故こうなったか……
アンダーワールドで長く、人間である兄と、人間と変わらない人工フラクトライト達と過ごした結果として、ストレアにも友人や仲間と呼べる存在が出来た。そんな彼らの為にこの世界の未来を繋ぐ事に異存などある筈もない。そして、その結果として彼女の兄はその全てを投げ打った。
何故と問う権利は彼女に無い。事が終わった後で全て、理解できてしまったからだ。
彼女を罰せる相手はいない。シノンは彼女を許し、兄は未だに眠っているからだ。
そして今、人界を守るという名目の下に集った人界軍と、侵略の為にやって来たダークテリトリー軍がぶつかり合うこの極限状況を利用した。自分があの時止めずに、眠ったままとなってしまった兄を目覚めさせる為にと言い訳をして。
文字が燃え尽きると同時、大門が上部より崩壊を始める。凄まじい轟音と震動を生み出しながら、無数の瓦礫が落ちていく。そのまま落ちれば人一人……いや、この戦場で最も巨体であろうジャイアントすら押し潰す事が出来るほど巨大な岩塊は、地面に激突することなく途中で光となって消えていく。そのまま落ちればバリケードになったのに、とストレアは内心で舌打ちをした。
そしてそのまま、門の向こうへと視線を向ける。アリスも……整合騎士達やキリト達も感じているであろう、敵本陣を覆う薄ら寒い……吸い込まれそうになるような底の見えない深淵の孔のような《心意》。それを生み出しているであろう存在へと。
「名付けるとしたら《虚無の心意》か……」
そんな心意を持つ人間が早々居てたまるかと、ストレアは内心で吐き捨てる。心意とは心の、魂の本質であり、その存在の在り方だとストレアは考えている。魂を持つ者の心を映し出す物が心意と言って良い。彼女が見てきた心意の共通点としては、それぞれが命を知っている事が挙げられる。自分の命を重く見ているのか軽く見ているのか、他者を重く見ているのか軽く見ているのか、そんな違いはあっても全てが生命由来の感情を持っていた。
この心意を持つ存在にはそれが無い。命を持つ者なのに
恐ろしいと思う。人間であるはずなのに人間ではないという事が、AIと人間の間の存在であるストレアでも理解できない。未知であるという事ではなく、わかってはいけない類のモノだと理解できる。わかってしまった時、今までの自分には決して戻れないと確信できるほどに、それは狂っているのだから。
鬨の声が峡谷に響き渡る。
門の崩壊音を上回る音の発生源はダークテリトリー軍であるが、人界軍からも鬨の声は聞こえてくる。大規模術式の為のリソース収集は上手くいっており、峡谷内に残存しているリソース自体は半分以上収集できただろう。
――…正念場はここからだ。
動き始めた敵の第一陣を見て、ストレアは術の制御に全ての思考を回した。
◇
当然の事ながら、人界軍に戦争の経験など無い。そしてそれは、整合騎士であっても変わりない。騎士達が知っているのはあくまでも一対一の戦いか、一対多と言っても個人戦闘の範囲だけだ。
ダークテリトリー軍の居る場所から響いてくる鬨の声と、様々な種族が人界へと向かってくる足音の地鳴りが混ざり合い、まるで地の底に潜んでいた巨獣の咆哮のような不吉な音が轟いている。
人界軍第一陣に配置された衛士及び術師二千は、感じた事が無いほど恐ろしいと感じるその咆哮を前にしても誰一人退かず、その場に留まっていた。彼らを踏みとどまらせたのは、自分達の前に立つ整合騎士達の姿だ。
右翼には《熾焔弓》デュソルバート・シンセシス・セブン。
中央には第一陣を指揮する《天穿剣》ファナティオ・シンセシス・ツー。
左翼には《雙翼刃》レンリ・シンセシス・トゥエニセブン。
その後ろ、中央には《四旋剣》が、左翼と右翼には他の下級整合騎士が控える。整合騎士達は戦いを知る分、この戦争という巨獣の咆哮の恐ろしさを衛士達よりも理解していた。しかし彼らは全員が大地を踏みしめ、微動だにせず敵軍を待ち構えている。
彼らに、自身の裡にある恐怖や怯えに抗う力を与えているのは、教会の正義ではない。一度は最高司祭に破壊され、それに抗った男に取り戻してもらった一つの感情。愛する者、大切な者へと向ける感情である《愛》と呼ばれる感情。決められたものでなく、自身が定めたものによって彼らはこの場に立っている。
自身が退けば、その定めたものが蹂躙される事を知っている。その恐怖が目の前の戦争の恐怖を上回っている。故に不退転である整合騎士達は、ダークテリトリーの大軍を前にしてそれぞれが武器を抜き放った。
「第一陣第一部隊、抜剣! 戦闘用意!」
ファナティオの声が戦場を貫き、最前線に控えていた衛士達の耳に届き、その指示に違う事無く、衛士達はそれぞれの数カ月の猛訓練で使い込まれた、自身の剣を抜き放つ。それから、第一陣の衛士達が迫る大軍に負けじと声を上げた。
デュソルバートはその声を聞きながら、籠手の中にある自分の左手薬指に填まっている指輪へと視線を向けた。同じ意匠の指輪を身に付けていた愛する人は、もうこの世にはいない。最高司祭に生きたまま剣へと変えられ、二度と元に戻せないと言われた。その事実に悲しみを、怒りを覚えたのは確かだが、それを胸の裡に秘める事が出来たのは記憶を取り戻す時に愛する人と百年ぶりに話す事が出来たからだった。
あなたは真面目過ぎて心配と言われて、思わず苦笑した。今生最期の夫婦の時間はあまりに短く、話したかったはずの事はロクに話せていない。しかしそれでも心は、魂は十分以上に伝えあったのだと思えた。
「そして――…我が背には同じように愛する者を持つ者達が居る。我と違ってまだ互いに生き、言葉を交わし、抱きしめ合える者達が」
その尊き営みを守る。いつか自分が妻と同じ場所に逝った時に、彼女に胸を張って会える自分である為に。
デュソルバートは自身の傍らの地面に据えられた巨大な矢筒から、鋼の矢を四本同時に掴み出して水平に構えた熾焔弓にまとめてつがえる。武装完全支配術の詠唱は、最後の結句を残すのみ。
レンリは息を深く吸い、吐き出した。そうして心の怯えや恐れを吐き出し、自身の心に平静を取り戻させるために。それから、自身の神器である《雙翼刃》見てその翼を広げた鳥のような刀身を撫でた。
整合騎士であった頃の彼は、神器にも選ばれた上位整合騎士でありながら武装完全支配術を使う事が出来なかった。それ故に失敗作の烙印を押され、最後の任務として赴いた魔獣討伐で同じく討伐に来ていたオーリと出会う。当時のレンリよりも幼かった彼が、大きさが自身の数倍はあろう魔獣に立ち向かう様を見て、レンリも焦ったものだ。
その後に共同で魔獣を討伐した際にレンリは彼に問うた。『何故幼い身で魔獣討伐に赴いたのだ』と。
『どんな身でも、やらねばならない時は必ずあります。心が、魂が
その言葉を聞いたレンリは、目を見開いた事を覚えている。己が心から逃げるな、そう言われた気がしたからであり、目の前にいる少年貴族がまさにそれを体現して見せたのを知っているから。
それから夜を徹して二人は話した。まるで友と語らうように肝胆相照らし、その心の裡に抱えていたものを吐き出していった。その中でレンリは自分の中にあった虚ろへと向かい合い、神器《雙翼刃》は彼に応えたのだ。
二人は夜明けを待って別れ、それ以降直接会う事なく時は経った。レンリが再びオーリの名を聞いたのは、アドミニストレータが討たれた後。カセドラルへと帰還して事の顛末を知った時だった。
「
一対の投刃である雙翼刃の刀身に自身の顔を映して、小さく呟いた。あの時の少年貴族が大きくなり、しかしその心が叫ぶままに人界の未来を開いた。自身よりも強大な何かに立ち向かい、全ての力を投げ打った。そして、彼の仲間達……妹や友がその心を引き継いでこの地へと身を投じている。
レンリにはかつて、共に騎士を目指した親友が居た。物心がつくかつかないかの頃から共にあり、互いに切磋琢磨し、整合騎士を目指してあらゆる試練に挑み、ついには最高峰の舞台で達した親友。その最高峰の舞台である四帝国統一大会の決勝での極限の戦いの果てに、彼は親友の命を事故で奪ってしまった。
それが彼の心の裡にあった空虚の理由。そして、神器雙翼刃……かつて、左と右の翼を失った番の神鳥であり、互いの身体を繋ぎ合わせる事で、他の鳥たちには飛べないような高みまで舞い上がり、無限に等しい距離を往く事が出来たという伝説を持つソレに選ばれた理由。
亡くしてしまった親友はもう戻る事はない。しかし心の中に、レンリが生き続ける限り存在し続ける。ならば、伝説の番の神鳥のように何処までも往けると信じた。この戦争を超えて、何処までも遠くへ。
右翼と左翼の騎士は、それぞれがそれぞれの胸に宿す愛の為に、高らかにその式句を叫ぶ。
「エンハンス・アーマメント!」
「エンハンス・アーマメント!」
右翼に紅蓮の炎。左翼には刃の神鳥が舞う。それが戦争と言う巨獣に抗う、人界軍の最初の叫びとなった。
◇
人界軍第一陣中央の最後方。しっかりと両足で地に立ち、ユナは戦争の始まりを見ていた。
SAOの時のように、強大なボスに複数で立ち向かうものではない。多数対多数の、命を数で見る凄絶な消耗戦。そんな場所に彼女が一人、キリト達から離れてここに立つ理由。
それは単純に歌う為である。ただ歌うというわけでは無く、SAOの《
「《システム・コール》」
最前線の衝突が確認出来た時、彼女の口から始まりの式句が紡がれる。詠唱すら歌うように、手に持つギターの弦を弾き、その旋律を戦いの空へと響かせる。今この時に紡ぐ歌は、ただ一人に捧げる為ではない。この地に大切な何かを守る為に立ち、武器を手に取った人々へと捧げる《
「エンハンス・アーマメント」
二十秒ほどの詠唱の後、結句が結ばれてユナの足元に巨大な陣が現れる。それは淡い光を放ちつつも数秒で消え去り――…そして、ユナはその歌声を戦場へと盛大に響かせた。
女神の歌声に後押しされるように、最前線の衛士達が敵最前列のゴブリンとオーク、ジャイアントの混成部隊へと斬りかかる。対するゴブリン達も、粗製ではあるが食らえば衛士達の命を容易く奪う武器を振り上げ、向かってくる衛士達へと振り下ろす。
武器同士がぶつかり合う音がそこら中から響き、雄叫びが、悲鳴が上がった。衛士達が斬られ、ダークテリトリー軍も斬られる光景。その状況に最初に違和感を感じたのは、ダークテリトリー軍第一陣をガブリエルから任せられているレオだった。
(敵兵士の損耗がほとんど無い……どういう事だ?)
人界軍の兵士とダークテリトリーのゴブリンが斬り結ぶ光景。その中でゴブリンの粗製の斧が、兵士の鎧の上からであれどその身を叩く。鎧は砕け、鮮血も舞ったが、兵士は止まることなく握った剣を振るって、ゴブリンの首を刎ね飛ばした。
それは良い。問題はその後だ。体にダメージを負った筈の兵士が、何事もなかったかのように別のゴブリンへと斬りかかるのを見て、レオは違和感の正体に気が付いた。
(傷が、治っているだと!?)
ゴブリンが兵士に負わせたはずの傷が、影も形も無かったのだ。流石に首を飛ばされるなど即死の傷であるならその限りではないようだが、即死でなければ致命傷であっても次の瞬間には傷が無くなっている。大規模な回復の術であるのかそれとは別の物なのか、レオには判別がつかないが原因は取り除かねばならないと、ダークテリトリーのハイアカウント《暗黒騎士》の一体は背負っていた大槌を右手に持ち、戦場へと躍り出た。
ユナが歌い始めて十数分。彼女が立つ場所は血で真っ赤に染まっていた。纏っている衣装も真っ赤に染まり、しかし彼女は歌い続ける。
何故こんな状態になっているのか……それは彼女が使った《武装完全支配術》の効果であるのは、想像に難くない。ユナが作り上げた術の効果とは、ゲーム的に言えば歌を聞いている味方に対しての《ダメージの肩代わり》を行うという代物である。即死さえしなければ、ありとあらゆるダメージをユナへと移し替える事が出来る。
それは少しでも死なせたくないというユナの心から発露した術であり、スーパーアカウント《地神テラリア》の膨大な天命と《無制限自動回復》能力があるからこその荒業。最前線で今、ダークテリトリー軍と戦っているのは数百名ほどだが、彼女は一人でその傷を引き受け、膨大な天命で耐えて能力で回復しながら歌っている状態だ。
突然傷を負う恐怖に、傷を負った事で感じる痛みに、歌う事を止めそうになる自分を動かすのは、ただ一人に向けた愛。彼が守ろうとした世界だから守るのだという、人によっては薄いとも、弱いとも言われそうな戦う理由。
彼女にとっては十分すぎる理由。見返りを求めるわけでも、愛する人の志に殉じるわけでもない。ただ愛する人が望んだ先を見たいという欲求。彼と同じ物が見たいという欲望。
それを叶える為に、
だからこそ、ユナは今感じている痛みも恐怖も、それに比べれば何てことは無いと見栄を張れる。その命を燃やして、戦争の場で歌い続ける事が出来る。
(だから、大丈夫……!)
絶え間なく激痛に襲われ、傷ついていく端から傷が癒えていく。これは確かに、呪いと言ってもいい力だ。心に強い支えが無ければ、容易く死を望んでしまうほどにロクなものじゃない。それでも喉から声を振り絞り、指は弦を弾き、ユナは戦場に歌を響かせる。
その姿は凄絶なモノでありながら人界軍の衛士達、整合騎士達にはまさしく女神のように映った。身を削ってまで自分達を、仲間を守る加護を唄う彼女の姿は血に濡れても尚神々しく、天上の美しさを纏っている。
第一陣の衛士達は人界を守るという決意と共に、女神を守るという使命を自覚してダークテリトリー軍へと立ち向かう。ゴブリンへ、オークへ、そして自分達の数倍の巨体であるジャイアントにすら、彼らは恐れる事無く。
そんな時に、衛士達が圧倒的な力を伴った一撃に吹き飛ばされた。場所は中央――…ファナティオが受け持つ場所。
「現れたか暗黒騎士……!」
ファナティオがその姿を認め、天穿剣を構えた。
視線の先に居るのは、禍々しい漆黒の鎧を纏い、深い闇が結晶化したような大盾を持ち、並の成人男性の身長を遥かに超える巨大な鉄槌を持つ暗黒騎士の姿。
「我が名はファナティオ・シンセシス・ツー。ここから先は通さん!」
「……名乗る気はない」
暗黒騎士……ダークテリトリーハイアカウント04-1《暗黒騎士アイン》としてダイブしているレオが踏み込み、超重量の鉄槌をまるで小枝でも振るように軽々とファナティオへと振り下ろす。その一撃を紙一重で躱すファナティオだったが、背に冷たい汗が流れるのをはっきりと感じていた。
今まで戦った暗黒騎士と全く違うと、その一撃が千の言葉よりも雄弁に彼女に知らしめたのだ。それでも彼女に退くという選択肢はない。退けばこの暗黒騎士が、その圧倒的な力を持って衛士達を蹂躙すると理解しているのだ。
それにここを通せば第二陣の戦力すら消耗させてしまう可能性が高く、途中には自分の身を削って第一陣を支えるユナが居る。彼女を失えば損耗率は元より、衛士達の士気すら危うくなる。
「エンハンス・アーマメント!」
故に待機させていた支配術を完成させ、天穿剣の切っ先を暗黒騎士へと向けた。一条の閃光が放たれるのと、暗黒騎士がその大盾をファナティオへと向けて構えたのは同時であり。
「なん……だと……!?」
その盾に光が
四旋剣の力量は、下位整合騎士の中でも高いとは言えない。元々、ファナティオが四人を直属の部下としたのは厳しく鍛え上げてその命を守る事にしたからである。それでも四人はファナティオの期待に応えるべくその厳しい訓練に耐え、この半年はアスナからも剣の手ほどきを受けた。カセドラル防衛戦の時よりも強くなっているという自負と共に、彼らはこの戦場に立っているのだ。
「温い」
そんな四人のささやかな自負を、目の前の暗黒騎士は鉄槌にて一蹴する。四人の踏み込みよりも速く、四人が振るおうとした一撃よりも遥かに重い鉄槌がまず、先頭を走った四旋剣・ダキラの胴を鎧ごと砕いた。
「ぇ、ぁ……」
ファナティオにとって、それは信じられない光景だった。以前よりも強くなったはずの部下が、まるで無力な存在であるかのように、一撃で砕かれていく光景。暗黒騎士が振るう鉄槌が神器級の代物である事は理解できる。しかし、四旋剣……いや、整合騎士達に与えられる鎧は程度の差は多少あれど、簡単に砕かれるものではない。例え神器の一撃であっても、武装完全支配術でもない限りは、一撃ならば耐えられる筈だ。
「やめ、ろ」
なのに断末魔の声すら上げる事無く、ダキラが絶命した。その暗黒騎士は踏み込み、返す勢いで鉄槌を振い、今度も一撃でダキラに続いていたジェイスの上半身が消し飛んだ。
「やめて」
ホーブレンが、鉄槌と大地に挟まれて圧死した。
「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」
ファナティオが叫ぶ。その視線の先で暴虐の鉄槌が振るわれようとして――
全てを掻き消すような閃光が、ダークテリトリー軍の第一陣へと降り注いだ。
味方がクソゲーを敵に強要したら理不尽が現れた(ざっくりとした説明
テラリアは血に染まるもの(待ちなさい