四輪駆動のエンプレス   作:-ODN-

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第2章:ライバルの名は「京商」
第7話:金髪碧眼、ツンデレぺたんこ


「来週の土曜の午後、暇か?」

 

放課後の部室でミニ四駆調整中のことである。

火野が部員達に声をかけた。

 

「はい。なにかあるんですか?」

「ちょっと遠征試合でも行こうかな、と思ってさ」

 

火野の話では近くの高校にもミニ四駆部があり、たまに技術交流会などを行なっているそうだ。

 

「しかも相手校の部長は女だぞ」

「へー、あたし以外にも女子レーサーがいるんですね!会ってみたいなー」

「うーん……女子だけど……なぁ?」

「あぁ、京商の部長さんですな、火野部長と幼馴染の」

「うーん……それなぁ……」

 

詳しく聞いてみると、相手校は商業高校の京華商業高校。

略して「京商(きょうしょう)」。

商業高校らしい簿記や会計などの部活もあるが、その1つに商業美術部というのがあるらしい。

なんでも活動内容は、商業向け作品の制作、たとえばポスターデザインやレイアウト、はたまた固形物を使ったオブジェクトまで、と、その活動範囲は広い。

 

「美術部なんでしょ?なんでミニ四駆を?」

「ナツ……じゃない、向こうの部長もミニ四駆が好きでな、美術部の活動の一環として学校からも許可されているらしい」

 

(ナツ……名前なのかな。幼馴染、か。)

 

「あそこのコースはデカいからな、練習にもなるし、女子同士、いろいろ話しやすいんじゃないか?」

「ミニ四駆のこと、いろいろ話せる知り合いが増えるのは嬉しいかも!!じゃ土曜日は学校から直接行けるようにキャリーも持っていくね。ところでその部長さん……ナツさんってどんな方なんですか?」

「うむ、清廉潔白、曲がったことが大嫌い。そしてツンデレだ」

「ツン……?」

「そう、あのツンデレだ。リアルにそうそう拝めるもんじゃないからな」

「ありがたやー」

「ありがたやー」

 

水戸と木暮が揃って拝んでいる。

 

「水戸くんと木暮くんも知ってるの?」

「京商美術部のコースをたまに走らせていただいてますからなぁ」

「あたし、ミニ四駆が好きな女子って周りにいないものだと思ってたよ」

「はっはっは、暗に我々が異性慣れしていないことを指摘されているようでござる!!辛いのう切ないのう」

「うむ……しかしナツどのは異性というよりは……あの完成度からしてフィギュアみたいなものであるからな……」

「しかもツンデレ。アニメか。アニメであるか」

「アニメ……」

 

そして土曜の午後。

半ドンを利用して京商高校に向かう一行。

みかどは「他校にお邪魔するんだから……」と念入りに身だしなみを整えたが、火野は普段通りのバンカラスタイルである。

校門の前には1組の男女の姿。

男子はスラッとした知的なイケメンで、真ん中分けの髪をなびかせている。

女子は……金髪碧眼……そしてお団子ツインテールだ。

 

「あれがもしかしてツンデレさんですか?外人さんかハーフさん?」

「いや、れっきとした日本人だ。自分の姿からデザインしたいらしくあんな風貌なんだよ」

「バンカラの部長と違って洗練された風貌でござる」

「あ?」

「くすくす♪」

 

火野が木暮を睨みつけているとこちらに気づいたらしく、悠然と歩み寄ってきた。

 

「わたしを待たせるなんて、いい度胸してるわね、まもちゃん」

 

まもちゃん、というのは火野の愛称らしい。

呼ばれた本人は顔を真っ赤にしている。

部長としての沽券に関わるのだろう。

一方、みかどはナツの浮世離れしたスタイルに唖然としていた。

彼女は近くでよく見るとすごく小さい子だ。

身長は140cmくらい。

猫のような青い瞳、金髪もウイッグなどではなく地毛。

スレンダーな体つきで、風が吹けば折れてしまいそうだ。

とても短いスカートは太ももの上で可憐に揺れている。

 

(アニメとか以外でもこんな子がいるんだ。そういえば水戸くんも木暮くんもアニメって言ってたし……すごいなぁ……)

 

火野はバンカラらしからぬ愛称で呼ばれたのが恥ずかしかったのだろうか、キレ気味に食ってかかる。

 

「まもちゃんって呼ぶなちびっこ!」

「ちびっこって言うな!年下のクセに生意気ね!」

 

幼馴染らしい、息の合った漫才が繰り広げられている。

 

「まったく……あ、こいつが新入部員の」

「皇です。今日はよろしくお願いします!」

「あら礼儀正しい。よろしくね♪わたしは、なつこよ。」

「なつこさん!今日は胸を借りに来ました!ほんとよろしくです!」

「胸なんて見えないなぁ……(きょろきょろ)」

 

辺りを見渡す火野。

全員の目がナツの胸元に注がれる。

 

「ぐっ!?しっつれいしちゃうわね!少しは大き……」

「まぁまぁ、ぺたんこ談義はこれくらいにして、では部室まで案内させていただきますね」

 

ナツの傍にいた男子生徒が口を挟んだ。

 

「だーかーらー、だーれーがー、ぺーたーんーこーだーーー!!」




用語解説:
・ツンデレ
ツンツンした性格だけど、たまにデレてくれる、そんな幼馴染って、いいよね?
ね?

・ツインテール
ツンデレの代名詞です。
ね!

・ぺたんこ
ツンデレの代名詞です。
ですよねーーーーー!!
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