四輪駆動のエンプレス   作:-ODN-

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第8話:練習試合、強敵出現

とりあえず部室に案内される。

みかどは学校のスケールの大きさにしきりに驚いている。

 

「すごく大きな学校だけど……部室も広い……」

「マンモス校だからな」

「ふふん♪そしてこれがうちのコースよ!」

 

教室の床をほとんど埋め尽くすようにコースが敷き詰められている。

 

「おまえらここで美術部できるのかよ……」

「いまは実務競技会終わったばかりで美術部はいつも通りの活動はまだしてないのよ。その隙にコース敷いちゃった★」

 

あまりの規模にぽかーんとしている、みかど。

 

「すごい……坂とか斜めのとことかいっぱいある……」

「超テクニカル系コースですよね」

 

複数のジャンプスポットに複雑に絡み合うようなコーナーやテーブルトップ。

特にジャンプ、ドラゴンバック後に着地スペースがストレートパネル1枚分しかない場所が2箇所。

ちょっとでも速度オーバーでジャンプしたらコース外に飛び出してしまうだろう。

 

「皇さん、初心者さんですものね……ちょっと難しいかしら……?」

「大丈夫です!いろいろ教えてください!」

「殊勝な子ね♪いいわ、教えてあげる」

 

腕を組みながら椅子に座り、高々と足を組み上げる。

お嬢様ポーズとでも言うのだろうか。

 

「このコースで1番重要なのはブレーキ設定ね」

「ブレーキ……ミニ四駆にもブレーキがあるんですか?走り出したら操作できないのにどうやって使うんですか?」

 

ミニ四駆にもブレーキはある。

操縦者がいないので、任意にかけることができないが、ジャンプ前などの減速が可能だ。

その仕組みは、フロントタイヤ前、リアタイヤ後にウレタン製のシートを貼り付ける。

平面走行時は接地することはないが、斜面などに入ったとき、マシンが傾き、そのとき初めて接地するようになる。

接地による摩擦でブレーキがかかるというわけだ。

接地時間は一瞬だが、かなり減速することが可能なので、ジャンプの飛距離を抑えることなどができる。

 

「いい質問ね。あら、でもそのマシンもブレーキ設定はされてるわよ……うーん、でもちょっとうちのコースじゃ厳しいかな?こういち、見てあげて」

「はい」

 

知的なイケメン、渡辺こういち氏が超帝のセッティングを確認している。

 

「なるほど、ハイパーダッシュに前後黒ブレーキ、高さはともに3mmですね」

「それくらいのようね。だとするとフロントが弱いかしら……2.5mmまで下げてあげて」

「わかりました」

「0.5mmで性能が変わるんですか?」

「そうなのよ…このままのセッティングじゃドラゴンバック、まぁジャンプスポットね。その後の短いストレートを飛び越えちゃうの」

「すごい……緻密なんですね」

「ふふふ♪なかなか深いのよね、ミニ四駆」

 

ブレーキ一を下げるということは、それだけ早く長く接地するようになる、つまりブレーキの効きがよくなり減速しやすくなるのだ。

古いブレーキを剥がし、新しい、厚みを少し出したブレーキを同じ様に貼り付ける。

こういちのテキパキとした作業であっという間にブレーキの張り替えが完了した。

 

「……できました」

「ありがとう♪これで走れるようにはなったかしら」

「ありがとうございます!部長、また勝負しましょ!!ここのコースとっても楽しそうです♪」

「おぉ、そうだな、いっちょもんでやっか!」

 

その時、金髪ツインテールの上のアホ毛がピクッと反応した。

 

「……ちょっと待ちなさいよ、ものには順序ってものがあるのよ!?みかど、まずはわたしと勝負しましょう♪どう?受けてくれるかしら?」

「もちろん!よろしくです♪」

「よろしい。こういち、わたしのマシン持ってきて」

「わかりました」

 

奥の棚からマシンを一台、持ってくる。

 

「これがわたしのマシンよ!」




用語解説:
・実務競技会
簿記や会計などの技術を競う、商業高校の甲子園のような大会のこと。

・ブレーキ
話の通り、ミニ四駆にもブレーキがあります。
ジャンプスポットで飛び過ぎないような調整をし、それでいてバンクでは減速させない、ギリギリのセッティングを狙っていきたい。
また素材、種類もいくつかあり、その選択でも走りが変わります。

・ドラゴンバック
龍の背中のようなコース上のコブのことをドラゴンバック(略してDB)言います。
ジャンプ台だと思っていいです。
ブレーキ設定しないと速いマシンだと2m以上飛んでいきます。
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