「つ、疲れたぁ〜」
俺はこいしと弾幕ごっこをした。結果は負け、速攻で負けた
マジ疲れた、なんであんなに強いんだよ
「…………もしかして、俺が弱いだけなのか?」
「何を今更。今のあんたじゃそこらへんの中級妖怪に勝てるかどうかも危ういわよ」
げぇ、マジか。でも魔理沙からは一本取ったことあるのになぁ。手加減してたのか?
…………もっと強くならないと駄目だな
「でも弥生。何かを気にして集中出来てなかったようだったぞ?」
「あれは………なんでもねえよ」
「…………」
「ん?どうしたさとり」
さっきからずっとさとりに見られてる。気付いたのは弾幕ごっこの途中からだ。普段なら気にはしないんだが………、どうしても気になることがある
さとりの瞳に含まれる感情が、だ
何かを疑うような、いや、何かを諦めてる?違うな
…………言い表しにくいんだよな
俺は昔からそういう視線には敏感なんだ。周りの視線を気にしなきゃいけない時もあったからな
「…………ん?」
「?どうかしましたか?」
「い、いやなんでもない」
「なんだ弥生〜、さとりをそんなに見つめて」
「なんでもねえっての」
「ふ〜ん、あっそう」
さとりが少し驚いたような表情をしたように見えたんだが、気のせい……か?
………気のせいか
「…………」
彼、要 弥生さんは結構鋭いみたいね。私の視線に気付いていた。弾幕ごっこの途中も私の視線が気になっているみたいだったし
その上、私の視線の意図に気付きつつある
「わっと!こいし、乗っかるなよ」
「いいじゃん!おんぶしてよ」
「あぁ、霊夢!その大福は私が狙っていたやつなんだぜ!」
「そんなもん早い者勝ちに決まってるじゃない」
「燐〜!私のお煎餅が無くなったぁ〜!」
「さっき食べたでしょう!?もう、この子は……」
…………まったく、騒がしいことこの上ない。本当はもっと静かな時間が好きなのだけれど………こいしや燐、お空が楽しそうだし良しとしましょうか
(何かを疑うような、いや、何かを諦めてる?違うな)
…………疑う、か。それで正しいかもしれない
「見てろよ?これ戻って来るんだぜ。それっ!」
「わー!すごい!」
私は要 弥生という人間を疑っている
別に弥生さん自体を疑っているわけじゃない。私は弥生さんの
私は覚妖怪。人の心を読む妖怪
人間が、他の妖怪でさえも忌み嫌う妖怪
そんな妖怪だと言うことを弥生さんは知って、私を気味悪がらずにいられるだろうか?
私は無理だと思う。博麗 霊夢や霧雨 魔理沙は私と普通に接してくれているが、弥生さんはどうかわからない。まず二人のような人間は少ないと私は思う
「…………さとり、どうした?(腹でも痛いのかな)」
「い、いえ……楽しそうですね」
「ああ、楽しいぞ!(とても楽しい。地霊殿に来れて良かった)」
「そうですか、良かったです」
彼は素直だ。弾幕ごっこの時も慌ててはいたが、彼の心には純粋に楽しんでいる部分があった。楽しいと言うよりも、嬉しい、という感情だったけど
自分に力があることを誇りに思っているようだった
…………私も、この能力を誇りに思えたら良いのに
「ん〜…………」
「な、なんですか?」
気付いたら弥生さんに見つめられていた
「よし、さとりも遊ぼう(何して遊ぶか……)」
そう言って弥生さんは私の手を取った
「おぅしお前ら!皆でかくれんぼしよう!(こんな広い屋敷なんだ。隠れる所は沢山あるんだろうぜ!)」
「え?え?」
「かくれんぼぉ?もう私達も子供じゃないんだぜ?(まあ、してやってもいいけど。率先してやるのは少し恥ずかしいな。てかいいなさとり、弥生と手繋いでるぜ)」
ま、魔理沙………そういう問題じゃないでしょう。え?何この状況
「良いんじゃない?偶には(かくれんぼか……、あまり人としたことないからちょっと嬉しいわ)」
「かくれんぼ!やるやる!」
霊夢もこいしも乗り気のようね
「さとり様はどうするんですか?」
まあ、少しくらいならいいかしら
「ええ、やりましょうか」
「じゃあ最初の鬼は魔理沙な!」
「望むところだぜ!全員すぐに見つけてやるからな!」
そして屋敷全てを使ったかくれんぼが始まった
「ここなら見つからないでしょう」
私が選んだのは屋敷の隅にある部屋の押入れ。そこに足を組んで座っている。元は物置に使っていた所だから置物等でカモフラージュが出来るから丁度良い
「………なんだかんだ言って私も乗り気ね」
口元が緩んでいるのがわかる。かくれんぼなどいつ以来だろうか
「もーいーかーい!?」
魔理沙が数を数え終わったようだ。大声が聞こえる
「わわっ!もう来るよ。しゃあない、ここにするか!」
それと一緒に弥生さんの声も聞こえた
ガラッ
押入れのドアが開けられる。そして弥生さんが入ってきた
「………あれ、さとり?」
「え、えと………早く隠れないと見つかってしまいますよ?」
奥まで来た弥生さんが私に気付いたので取り敢えず隠れることを勧める
「そうだった!…………失礼してもいいか?」
「…………どうぞ」
私が言うと弥生さんは素早く中に入る。私は弥生さんが十分座れるスペースを確保するため少し横にズレた
「しかし、この屋敷はホントに広いな。迷っちまいそうだったぜ(でも、ここなら魔理沙にも見つかりそうにないな♪)」
弥生さんが小声で呟く。これは私に話しかけてきるのだろうか?
それにしても子供みたいな人だ。かくれんぼを本気で楽しんでいる。彼の心はドキドキとワクワクという感情で埋め尽くされていた
「……………そうだ」
呟いた瞬間に彼の心にある疑問が浮かぶ
「さとりやこいしってさ、兄弟なんだよな」
「……………はい」
やめてほしい、その疑問を口に出さないでほしい
「じゃあさ………」
胸の内が不安で埋め尽くされる。それ以上は心にしまっておいて………!
「二人は、なんていう妖怪なんだ?」
「っ…………」
聞かれてしまった。尋ねられてしまった
下唇を噛み締める。どうしたら良いのだろうか
彼を信用して話してみようか?………いいや、私には彼が信じられない。信じるにはまだ彼という存在を知らない
ならいっそ嫌われてしまおうか?………いや、彼はこいしの事も嫌うだろう。そうなるとこいしが悲しむ
「……………さとり?」
不思議そうな顔で私の顔を覗き込む弥生さん。暗くてよく見えないせいか少しだけズレている
「…………」
彼の、こいしに向ける笑顔が、こいしに向ける優しい目が一変してしまうことが私は恐い
「………………なあ、さとり。これはあくまでも俺の予想だ。予想なんだが……」
彼が私にそう語りかける
「?………っ!」
勘の鋭い彼は、もう気付いてしまっていた
「さとりとこいしは……心を読む妖怪、覚妖怪なんじゃないか?」
「…………何故、わかったんですか」
「違和感があったのは地霊殿に来た時、さとり言ったよな?『皆で居る方が楽しいのでしょう?』ってよ」
………確かに言った。私が偶にやってしまうミスだ。しかしその後の反応からして気付いていないだろうと思っていたのに………
「んで次、弾幕ごっこの途中からずっと俺を見てたろ。その目にはさ、なんか変な感じの感情が混ざっててさ………なんて言えばいいんだろうな、わかんねぇ。……それで、俺がそのこと考えてたらよ、さとり、驚いたような顔したよな。なんでバレたんだ、って感じに」
「バレてましたか……」
すぐに直したはずなんだけど………、弥生さんには見られてたみたいだ
「それで、よ〜く考えてみた。んで、覚妖怪かな………って」
「……………そうですか。弥生さん、貴方は本気に鋭いですね……」
私は弥生さんの方へ体を向ける
「私はこの、第三の目で見た人の心が読めるんです」
………もうバレてしまっているんだ。ならば聞こう
「心が読めるなんて………私、気味悪いでしょう?」
「心が読めるなんて………私、気味悪いでしょう?」
さとりが俺の方へ体を向け、そう言った
暗くてよく見えなかった目はもう慣れてきていて、今ではさとりの表情が見える。さとりは自重気味に笑いながら言っていた
第三の目を両手で持ち、胸の前で抱えるさとり
「……………」
俺は何も言えなかった
「やっぱり、気持ち悪いですよね」
俺の無言が肯定だととったのか、さとりは俯く。第三の目は俺の方を向いていないので今は心を読んでいないのだろう
「気持ち悪いとは………思わない」
俺は、そうしっかりとさとりに伝えた
「…………嘘です。心の中では、気持ち悪いと思っているんでしょう?」
さとりは俺に抱えていた第三の目を向ける。その顔は辛そうで、悲しそうな顔だ
どんなに辛くても、見ておきたいのだろう。どんなに悲しくても、知っておきたいのだろう
……………俺の、心は
「…………わから、ないんだ」
「……え?」
「わからないんだ」
俺は心に思っていることを話す
「俺は、ヒーローじゃねえ。ヒーローのように、お前のために何かが出来る様な人間じゃない」
ヒーローってのは、誰かのために何かを成し遂げることが出来る人間だ
「霊夢や魔理沙と今仲良くやれてるってことは………あいつらは、あいつらなりの答えがあったからだ。それをお前は納得して、二人を信じたからだ」
俺は何かをしてやるどころか、俺のせいで親友を見殺しにしてしまった
「俺には答えが出せない。俺は、そんなに強く生きてきたわけじゃないからな」
俺の人生なんて、あの二人に比べたらちっぽけなもんだろう
「……………」
「だから、わからないんだ。さとり、俺はお前にどうしてやれば良いのかわからない」
「……………」
わからない、そう言った彼に私は言葉を失った
「すまんな、納得出来ねえだろうが無理矢理納得してくれ」
無茶苦茶だ。この人は本当に、本心から言っている
「そう、ですか」
「そうなんです」
「………ふふっ」
「あ?」
「ふふっ、あははははは!」
なんだろう、笑いが込み上げてくる
「ちょっば、さとり!何笑って……」
「い、いやだって……あれ?なんでだろ?……ふふふふ」
面白い。彼は面白い
わからない?こんな答え初めて聞いた。普通ならば嘘でも気持ち悪く無い、もしくはその逆だろう
でも、わからないだなんて。完全に意表を突かれた
「お、おい。そんな大声出したら魔理沙に場所がバレるぞ!」
「ムグッ!」
口を塞がれる。それでも笑いを抑えれない
「ふ、ふふふふふ」
私はしばらく小さい声で笑い続けていた
「ふ、ふふ………」
さ、さとりのキャラが崩壊し過ぎている!?
「ふぁ、ふぁふぉいふぁん(や、弥生さん)」
俺が口を抑えているからさとりの声がくぐもる。これは俺の名前を読んでんのか?
「な、何かなさとりさんや」
さとりの口から手を離す
「ありがとう、ございます」
満面の笑みでお礼を言われた
………え、何この子可愛い
「ふぇっ!?」
「………あ〜、そういや心読めるんだったな」
忘れてたわけじゃないが、まあ読まれても大丈夫だな
「取り敢えずなんだ、頭撫でさせろ」
「え、えぇっ!?」
可愛い子は愛でろ、これはきっとうちの家訓になるだろう。取り敢えずさとりを足の上に乗せて撫でる。変態みたいだが許してほしい、可愛いは正義なんだ、ジャスティスなんだよ
………最近俺のキャラがブレてきてるような気がするが気のせいだ
「ちょ……や、弥生さん」
「静かにしてないと魔理沙に見つかるぞ」
「い、いやでも……」
そんなに恥ずかしがるなよ〜、余計撫でまくるぞ
ああ………、なんだか世界が明るく見えるよ……
「ん?明るく見える?」
比喩表現じゃなくて本当に明るく見える。あれ?なんでだろ
ああわかった、ドアが少し開いてるのか?ここ奥の方だから気付かなかったぜ
「なあ、さとり」
「………はい」
「何故、ドアが開いているんだろうな?」
何故だろうなぁ〜、なんでだろ、ポルターガイスト?
「成る程、ポルターガイストか」
「おいおい、私をあんな騒霊共と一緒にするんじゃないぜ(ニコォ」
「…………oh」
ドアが開き放たれ魔理沙が現れる
「弥生、何をしているの?(ニコォ」
霊夢もいた。何故か、何故か二人の笑顔が恐い!てか黒い!
「…………あぁ〜、二人とも?俺の気のせいでなけりゃ良いんだが、何か怒ってないか?」
「別に怒ってなんかないぜ?たださとりを足の上に乗せて何をしてるんだって聞いてるんだ」
「説明、してもらおうかしら?」
「ああ、さとりが可愛いかったから愛でてt「フンッ!」ぶげらっ!?」
い、いってぇ!ぶん殴りやがった!
「お前って奴は………!(私なんか可愛いって言われたことないぞ……!)」
「取り敢えず出てきて正座しなさい(全く、弥生は少し遠慮が無さすぎね。見てるとなんだかモヤモヤするし……)」
「は、はい………(何故こんなことに……)」
「あ、はは………ふぅ(まさか、この二人……)」
そして俺は霊夢と魔理沙にとことん説教された
結局、そのままかくれんぼは中止となった。こいしやお空はとても楽しんでいたが、俺は精神的にヤバイ程疲れる結果となってしまった
…………解せん
春休みが終わって初めての投稿だ〜。さあ、こっからどうするかな
ここ最近投稿ペースが亀になってるのが悩みだなぁ