「♪〜〜♪♪〜♪〜〜♪♪」
「お兄ちゃん、何聴いてるの?」
「『ハッピーシンセサイザ』って言う曲だよ。聴くか?」
「うん!」
「…………あんた達、仲良いわね」
よっす、弥生だ。俺は今、地霊殿の縁側でこいしと音楽を聴いてる。横では霊夢がお茶すすっている
「♪〜〜♪♪」
こいしを膝に乗せて鼻歌を歌う。『ハッピーシンセサイザ』は結構好きな曲だから自然とテンションも高くなるんだ
ていうかそもそも何故縁側でこうしているかと言うと、実は今日地霊殿に泊まることが決定した。こいしに「お兄ちゃん、今日泊まっていかない?」と聞かれたところを(霊夢が)即答したってわけだ
現在さとりは夕飯の支度中、手伝うと言ったら「お客様にそんなことはさせれません」と言われ断られた。お空は爆睡状態、燐は残りの仕事を片付けるって仕事場にいった。それ以外はすることも無い為こうして縁側に座っている
ん?魔理沙はどうしたって?魔理沙はバレずに料理をつまみ食いすることに挑戦するそうだ。はっきり言って無駄だと思う
「私にも聴かせなさいよ」
「え?ちょ」
どうやら霊夢も聴きたいらしい、俺の耳から強引にイヤホンを奪っていった。別に言ってくれれば渡すのに
「魔理沙、何をしているの?」
「ち、違うんだぜ、ちょっとお手洗いにだなぁ」
「お手洗いと台所は別の方角だけど?それに私は心が読めること、知ってるわよね」
「だ、だから………アッーーーーー!!(ピチューン!」
やれやれ、魔理沙も魔理沙で何してんだか
「…………ふぁ」
眠くなってきたな。夕飯まで時間は無いだろうけど、少し寝るかな
「こいし、ちょっと下りてもらっていいか?」
「えぇ〜、なんで?」
「寝たいんだ、頼むよ」
俺がそう言うと渋りながらも下りた
さて、寝ようかな…………
俺は縁側に横になる
「じゃあ私も寝る!」
「ごふっ!」
こいしが腹の上に落ちる様に乗ってきた。マジ痛え
「こ、こいし………腹が……」
「え?なに?」
「な、なんでもな………い」
こいしのことだから無意識なんだろうが、これはキツイ。俺はぐでぇ、となりそのまま顔を霊夢に向ける
「それ、まだ聴きたかったら聴いてていいぞ」
「そう、わかったわ」
霊夢はそれだけ返してお茶を啜る。それを見て俺はこいしに目をやった。こいしは既に心地良さそうに寝息を立てている
呑気な奴め、てか寝るの速え
「………弥生」
「なんだ?」
目を閉じようとした俺に霊夢が声をかける
「膝、使いなさい。床だと堅いでしょ」
そう言って膝をポンポンと叩いた
…………これはあれか?膝枕をしてくれるということか?
「………あぁ〜、別に大丈夫だぞ。気にすることない」
それに少し恥ずかしい。アリスにしてもらった時なんか役得とか思ったけどあの後結構恥ずかしかったからね?あれだよ、ポーカーフェイス
こっちに来る前なんか女子との交流なんざ殆ど無かったんだぞ、毎日人生楽しそうなリア充共に爆発しろとか思い続けてたんだぞ、別段リア充が嫌いなわけでもないのに
あ、でも電車の中や静かにしなきゃいけない場所で騒ぐ奴等は大っ嫌いだったな。あと女侍らして調子に乗った奴に喧嘩売られたこともあった。まあ追い返したけど
「いいから使えって言ってんのよ……」
「え、えぇ〜………」
なんでそんな睨むんだよ。恐えよ
「…………嫌なの?」
今度は悲しそうな顔で聞いてきた。普段の霊夢からは考えられない顔に俺の思考は一度停止する
「………はっ!い、いや違えよ!?全然嫌じゃねえよ?もしろ嬉しいし」
取り敢えず弁解しておかなくては!いったい霊夢に何が起こったのかはわからんが取り敢えずだ!
「そう」
霊夢は少し嬉しそうに言った
…………ほっ、良かった
「それじゃ、はい」
再度霊夢が膝を叩く。これはもう、してもらうという道しかないようだ
「えと、お邪魔します」
「はい、どうぞ」
俺は霊夢の膝に頭を乗せる
すると霊夢は俺の頭を撫でてきた
「…………あの、霊夢さん?何を」
「何って、頭撫でてるのよ」
いや、知ってるよ。あれか?もしやあなたは俺をペットか何かと勘違いしているのですか?
それに心地良いのが地味に悔しい
「……………」
ヤバイ、これはガチ寝しそうだ
「おやす………みzzz」
そして俺は眠りについた
「…………ふふ」
私は膝の上で寝ている弥生を見て微笑む
「いってて、非道い目にあったぜ…………て、あー!」
魔理沙がやってきた。私達を見るなに大声を上げる
…………ったく
「もうちょっと静かにしなさい。弥生とこいしが起きるでしょ、今寝たばかりなんだから」
「こいし?…………ああ……。それはすまんが、なんで膝枕してんだよ」
「…………ん〜、そうね」
なんで膝枕をしてるのかと聞かれると返答に困るわね……
「したかったからかな」
こう答えるしかないわ。だって本当にしたかったんだもの
「む………、まあいいぜ今回は大目に見てやる」
「それどういうことよ………。弥生はあんたのじゃないんだから、あんまりそう言う発言は控えなさい」
「私は気にしないからいいんだぜ」
「あっそう」
全く、なんでこいつはこんな恥ずかしいことを軽々しく言えるのかわからないわ
「なあ霊夢、それ弥生のiPodだよな。何聴いてるんだ?」
「え?これは………えっと、なんだっけ」
確かさっき弥生はハッピー………シ、なんたらとか言ってたわね。でもさっきとはもう違う曲に変わったみたいだから………
「わからないわ」
「なんだそれ………」
「何よ」
始めてなんだから知ってる方がおかしいでしょ
「ただいま帰りましたー」
燐の声が聞こえた。どうやら帰ってきたらしい
「お帰りなさい。丁度お夕飯もできたし、運ぶの手伝ってもらえる?」
「はい、わかりました。お空ー!起きな、お空も手伝って」
燐が部屋に入ってきてお空を揺する。こちらをチラ見した時に少し驚いた表情を作った
…………解せないわね
「んにゃ………あ、燐お帰りー」
「ただいま、ほら手伝って」
「ふぁ〜い」
そして二人で台所に消えていった
「もう飯みたいだし、弥生を起こそうぜ」
「もうちょっt「弥生起きろー!」「おわわわ!?なんだなんだ!?」………」
私の言葉を遮って魔理沙が大声を出す。弥生はそれに驚いてバッ!と起き上がった
「ふぎゅ!………いたたた」
弥生が起き上がる勢いでこいしが弥生の上から落ちた
「あ、大丈夫か?こいし」
「うん、大丈夫だよ」
「そうか、すまんな」
「いいよー」
のほほんと二人で笑い合っている。
つい最近気付いたことだが弥生は小さい子には過保護だと思う。この前人里で転んだ子供を必死にあやしてたし、怪我がないか、痛いところはないかしつこく聞いてたし
そうこうしてるうちに机の上には豪勢な御菜等が並べられていった
…………おいしそうね、泊まってよかったわ
「それじゃあ、頂きましょうか」
「「「「「「いただきまーす!」」」」」」
全員声と手を合わせ、食べ始める
「…………うめえ!」
山菜の天ぷらや焼き魚を口に入れ俺はそう叫ぶ
この幻想郷に来てから一番うまいと感じる。それが大勢で楽しく食べてるせいか、本当に一番うまいのかはわからないけど、多分どっちもだと思う
そして何よりも高野豆腐がマジでうまい、高野豆腐は好きだからよく作るがここまでの味は俺には出せない
「ふふ、それは良かったです」
俺の隣でさとりも笑っている。今思えば最初はさとりはあまり笑わないクールな子かと思ったが、どうやらそうでもないらしい、逆に結構感情を出す方なのかもしれない
「それは本当に信頼出来る人だけですよ」
成る程、ということは俺は信頼されてんのかな?嬉しいこと言ってくれるぜ
俺もさとりに笑って返す。そしたらさとりは顔が少し赤くなり俯いた
…………?よくわからんがまあまだ出会って一日だ。信頼は出来ても慣れはしないんだろうな
「弥生の天ぷらもらったぜ!」
「あっ、こら魔理沙!返せ俺の天ぷら!」
魔理沙が俺の天ぷらを奪い去っていった!こ、この野郎、やるとは思ってたがまさかそれを盗っていくとは………!
「へっへーん、余所見してる方が悪いんだぜ!」
「くぉの!んじゃあ魔理沙の高野豆腐はもらった!」
「させるか!」
俺が魔理沙の高野豆腐へと高速で突き出した箸は魔理沙の箸により止められる
ギギギギギ……
魔理沙の箸と俺の箸が競り合う
「くっ………、なかなかやるじゃないか魔理沙」
「ふっ、食卓の上も戦場、弾幕ごっこで私に勝てないのに食卓の上で私に勝てると思うなよ!」
それはどういう理論かしらんが、ここで引くわけにはいかない!!
「ちょ、ちょっと、行儀悪いですよ弥生さん。魔理沙も」
止めないでくれさとり、男にはやらねばならん時があるんだ!
「…………あんた達、よく人の箸と自分の箸を重ねることが出来るわね」
霊夢が少し顔を赤くして言ったその言葉に俺と魔理沙の競り合いは一時中断する
「どういうことだぜ?霊夢」
「よく考えてみなさいよ、その箸にはもうお互いの唾がついてんのよ」
「「…………」」
俺と魔理沙は顔を見合わせる
「「…………」」
そして自分の箸を見る
…………ああ、つまりあれか。俺が使ってる箸にはさっきの競り合いで魔理沙の唾がついてしまっていると
「は、はわわ、わ、私は別にそんなつもりじゃ無かったんだ!」
魔理沙が顔を赤くしながらはわわわ、と何かを弁解している
「……………だが俺は気にしない!」
俺は魔理沙に隙が出来たのを逃さなかった。魔理沙の高野豆腐を掻っ攫う
「あ、ああー!てか気にしないのかよ!?」
「ングング、ゴク………別に気にしねえよ。だからなんだっつう話だろ」
うん、うまい。勝利の高野豆腐はやっぱうまいぜ
「だ、だって、お前………」
「友達の箸で弁当食うってのは学校に箸忘れた時によくやってたからな」
そして俺は自分が座っていた場所に座り直した
「い、いやそういうことじゃ「はいはい、わかったわかった」〜〜〜………」
全く、何故そんなに過剰反応するのかわからん。ホントによくあることなのに。女子にも借りたことあるし
………あれ、でもなんであの人借してくれたんだろ。困ってる人をほっとけなかったのかな、あの人良い人だったんだ、今気付いた
「あんた………、色々とすごいね」
燐がそう言ってきた。その目には驚き一色しかない
「いやぁ、それほどでも?」
「褒めてないよ……」
なんだ、褒めてなかったのか
「うし、んじゃあ残りの天ぷらを食べ………よ、う?」
俺は自分の皿へと目を向ける。そこには天ぷらどころか天カスさえ残っていなかった
「………!?え!?え!?」
周りをキョロキョロと見回す
「ングング………ご馳走様☆」
いつの間にかさとりと場所が入れ替わっていたこいしが俺に向かって満面の笑みでそう言った
「…………はっ!こ、こいしいつの間に!?」
「こいし、無意識を操ったのね……」
さっきから静かだと思ったら……!
「こ、こいし!そりゃあねえぜ!!」
俺の天ぷらがぁ!!
俺はorzの形になる。魔理沙と争ってる間に俺の天ぷらはこいしの胃の中へと次々投入されていったらしい
「お兄ちゃん………」
「………なんだよ」
「おいしかったよ☆」
「くっそぉぉぉぉぉぉ!!(ダンダン!」
こうして、賑やかな食事の時間は過ぎて行った
食べ物の恨みとは、恐いものである(キリッ