英雄に憧れる少年が幻想入り   作:クラッカーV

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話してみろよby弥生

「人間がこの太陽の畑に何の用?」

 

後ろから声が聞こえたから首だけを向ける

 

「いや、ただこの向日葵畑を見に来ただけだよ」

 

俺はそう答える。彼女の声からは敵意が感じられた

 

……………この人、多分人じゃなく妖怪だ。じゃなきゃ人間が、なんて言葉は使わないだろう

 

それにしても、こいつが本当に妖怪だとすると………もしやさっき霊夢と魔理沙の言ってた………

 

「ふぅん………嘘を言ってるわけじゃなさそうね」

 

「ああ、そうなんだよ。飛んでたら黄色いものの集団が見えてさ、気になって友達に聞いたら向日葵畑って。丁度良いから向日葵でも見ながら日向ぼっこといこうかなと」

 

少し話し合ってみよう。見た感じ所構わず暴力を振ってくる相手じゃなさそうだ

 

俺は立ち上がり体の向きを変えて彼女を見る

 

「へぇ、物好きな人間もいたものね。そのお友達はここには何がいるか教えてくれなかったの?」

 

彼女は俺をジロジロと舐めるように見ながら言った

 

「教えてくれたけど、向日葵畑が見たかったからさ。それに話し合い、ってもんをしてみなきゃわからないだろ?」

 

俺がそう言うと、彼女は動かしていた目線を俺の目へと合わせる

 

「へぇ、それまた物………好、き…」

 

「…………?」

 

彼女の動きが急に止まった。彼女の瞳からは驚き、それが感じ取れた

 

「あ、あなた……」

 

彼女は日傘を落とし、だらんと手を下げる

 

「お、おい。どうしたんだよ」

 

何かがおかしい。俺の目を見た瞬間彼女の動きが止まったんだ。いや、正確には俺の顔……か?

 

彼女は俺を見つめたまま動かない。取り敢えず俺は日傘を拾って彼女の手に握らせる

 

「ほら、日傘」

 

「………っ!あ……」

 

また落としそうになったがなんとか持ち直す

 

「ど、どうかしたか?俺の顔に何かついてたとか」

 

そんなことじゃ無いだろうが少し様子を見てみよう

 

「……………」

 

彼女は俯いたまま喋らない。聞こえてないのか?

 

「えっと………あ、そうだ俺、要 弥生っていうんだ。英雄に憧れるごく普通の学生だぜ!」

 

そう言えば名前を知らなかったから自己紹介をする。一応大きい声で言ったから今度は聞こえるはずだ

 

「……………ふ、ふふ。駄目ね、忘れたはずだったのに」

 

「え?」

 

何を言ってるんだ?駄目?忘れたはず?何のことだ

 

「………忘れないと」

 

「なあ、何のことを言っt(ドガッ!)ぐはっ!」

 

腹に衝撃が走り、俺の景色が目の前の女性から空へと切り替わる

 

そして今度は背中へと衝撃が走る

 

「ぐぅ!…………どういう、ことだ」

 

膝を着いて四つん這いの状態になる。背中を強打したせいか息が苦しい

 

何が起こったんだ!?いったい…………

 

「カハッ」

 

口から血が溢れでる

 

「はっ!」

 

俺が思考を巡らせていた時に、視界に黒い影が映る

 

日傘を高く掲げた彼女だった

 

「…………」

 

ズドンッ!

 

無言で振り下ろされる日傘は土煙を上げる

 

「人間にしては速いのね」

 

「ぜぇー………ぜぇー………いきなり、どう言うつもりだ」

 

俺は咄嗟に音速【ソニックミュージック】を使って躱していた

 

「貴方に教える必要は無い」

 

「っ!?」

 

彼女が日傘の先端を俺に向ける。するとその先端にエネルギーが集まりだした

 

あれはマズイ……!

 

そして放たれる極太のレーザー

 

「おわああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

俺は必死に避けた。極太レーザーは周りの草や木を巻き込んで俺の横を通過していく。地面が少し抉れていた

 

…………なんつう威力だ。魔理沙のマスタースパークより上だ……!

 

「ふぅん、避けるのね」

 

「あんた………、なんなんだ!いきなり攻撃してきやがって!!」

 

しかも最初の腹への一撃以外は全部殺す気で来ていた!

 

「何を言っているの?妖怪は人間を襲うものなのよ」

 

「それは知能の低い妖怪だけだろ!?」

 

「知能の低い妖怪"だけ"が人間を襲う、なんてことあるわけないでしょう?」

 

こいつ………!話し合うなんてことは出来ないってことかよ!くそが、緑髪って呼んでやる!!

 

…………いや、待てよ

 

「そう言えば、なんであんた俺の目を見て驚いてたんだ。それが俺を襲う理由か!?」

 

「貴方が知る必要の無いことよ。貴方はここで死ぬのだから」

 

「くそっ、死んでたまるかってんだ!!」

 

俺は走り出す

 

グイッ!

 

だが足が動かない

 

「っ!?なんだ!?これ!」

 

俺の足には沢山の植物の蔦が絡まっていた

 

「くっ、抜けねえ!」

 

「貴方がお喋りしてる暇にやらせてもらったわ」

 

緑髪は俺の前まで悠然と歩いてくる

 

「力で抜けねえなら………燃やす!炎音【バーンミュージック】!!」

 

「なに!?」

 

俺の体が炎を纏い蔦を焼く

 

「オラァ!」

 

俺は炎を放った

 

だが日傘の一振りで払われる

 

「随分とお粗末な炎ね。これなら蝋燭の火の方がマシなくらい」

 

「そうかい、じゃあこれはどうだぁ!風音【ストームミュージック】!!」

 

俺は風のレーザーを打ち出す

 

「これはそよ風、蝋燭の火も消せやしない」

 

日傘からさっきより細いレーザーが打ち出される

 

俺のレーザーはいとも容易く相殺された

 

「な………」

 

全力で放った一撃だぞ!?なのにあんなに涼しい顔で相殺出来るもんなのかよ!?

 

「あらあら、こんなもの?」

 

緑髪は笑いながら言う

 

…………何がおかしいのかわからねえ

 

「次はこっちからいくわよ」

 

緑髪が複数の弾幕を放ってきた

 

「くっそ、なんで俺の周りには強え女ばっかなんだ」

 

俺は避けながら益体もないことを呟く

 

本当に、霊夢しかり、魔理沙しかり、俺の周りは強え女しかいねえ

 

「ほぅら、少し激しくなるわよ?」

 

「っ!?」

 

急に弾幕の密度が多くなった

 

あの緑髪、確実に遊んでやがる……!

 

「避けてばかりじゃ駄目だ!雷音【サンダーミュージック】!」

 

俺も負けじと弾幕を5発放った。その弾幕は緑髪の前方で止まり、扇形に分かれる

 

「轟け!!」

 

俺が言った瞬間、弾幕から雷撃が迸った

 

「っ…………」

 

緑髪は顔を顰め、後ろに飛び退く

 

「今だ!」

 

音速【ソニックミュージック】で緑髪との距離を詰める

 

「さっきのお返しだぜ………!」

 

「……………」

 

俺は腕を引き絞り、緑髪の腹を打とうとした

 

…………ふと、緑髪と目が合う

 

その目は、どこか悲しみを帯びていた

 

「なっ………!」

 

俺は驚きを隠せなかった

 

いったい、何を悲しんでいるんだ………

 

「…………何を止まっているの?」

 

「はっ!……ぐぁっ!」

 

緑髪の声で我に返る。緑髪は日傘で俺の横腹を薙ぎ払った

 

俺は吹き飛ばされ、木にぶつかり止まる

 

「がはっ!」

 

「もう終わり?…………やっぱり人間は脆いわね」

 

「く………そ…」

 

今の攻撃で肋骨が折れたかもしれない

 

………痛え

 

幻想郷に来て一番の痛みだろう。それが俺を襲う

 

立とうとすれば足は震え、今にも膝から崩れ落ちてしまいたい

 

「あら、まだ立つのね」

 

「…………」

 

もう喋る気力が無い。でも、立たなきゃならない

 

「じゃあまだ痛めつけてあげる」

 

その理由は………

 

緑髪が俺の目の前まで来る。 日傘が振り上げられる

 

「何が………そんなに……」

 

「なに?」

 

俺はどうにかして話す

 

「何が、そんなに………悲しいんだ……?」

 

「っ!?」

 

そうだ、俺は、こいつの悲しみの理由を知る為に

 

何故悲しんでいるのか、知る為に立ち上がるんだ

 

もしかしたら俺が助けになるかもしれない

 

…………だから、俺は立ち上がる

 

「……………」

 

俺はこいつを救いたい。こいつは俺の顔を、目を見て動揺していた

 

何があったのかは知らねえ、だけど………

 

「もし……俺が、関係してるなら………」

 

それはもう、ほっとけねえ………

 

俺は彼女に手を伸ばす

 

「っ………」

 

彼女は後ろに後ずさった

 

「……………」

 

伸ばしてない手で口から出る血を拭う

 

そして真っ直ぐ彼女を見つめる。その目に、意思を灯して

 

「………………やめろ、その目をやめろ!」

 

日傘を高く振り上げる

 

「……音、壁…【バリアミュージック】」

 

ガキィン!

 

俺は必死の思いでバリアを発動させ防ぐ

 

弾いた勢いで彼女は後退し、日傘が手から離れた

 

「……………」

 

ゆっくりと彼女に歩み寄る

 

「やめろ、叩き潰すわよ!?」

 

「………………」

 

何を言われようが、何をされようが立ち止まる気は無い

 

そして目の前までやって来た

 

「っ!」

 

「…………」

 

俺は無言で手を彼女の頭に置く

 

「話して、みろよ………俺が、助けて……やるから……」

 

俺に、出来ることならしてやるから………

 

「だから………話……せ…」

 

そこで、俺の意識は途切れた

 




幻想郷早口言葉ー

諏訪子ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ

弥生「…………諏訪子って誰だ」
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