英雄に憧れる少年が幻想入り   作:クラッカーV

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『ええ、またね』by幽香

「まあ座れよ。少し話そう」

 

そう言って自称幽霊こと立花 栄春は手頃の石を見つけて座り、その隣の石をポンと叩く

 

「あ〜………栄春とやらよ、俺は行かなきゃならん所があるk」

 

「幽香の所だろ?」

 

「…………知り合いか?」

 

「まあな。ほら、ここだ座れよ」

 

再度石を叩く栄春

 

……しゃあない、少しばかり付き合うか。何か情報が得れるかもしれないし

 

「んで、栄春。話ってなんだ」

 

「よ、呼び捨て………まあいいか。兄ちゃん、名前は?」

 

おっと、俺としたことが名乗り忘れていたか

 

「俺は要 弥生。英雄に憧れる普通の学生だ」

 

「へぇ、兄ちゃんは英雄になりたいのか」

 

「おう」

 

俺は胸を張って返す。それを見て栄春は苦笑いしたが、まあいいだろう

 

「…………それで、話ってなんだ」

 

「おお!そうそう、兄ちゃんに一つ頼み事があるんだよ」

 

「頼み事?」

 

頼み事ってなんだ?幽香の知り合いって言ってたから………何か届けて欲しいとか?

 

「幽香に、俺のことを忘れさせて欲しいんだ」

 

「は?」

 

「いやぁ、あいつ俺のことまだ引きずってるらしくてさ。50年経った今では大分マシになってたんだけど…………兄ちゃんが現れたもんだから」

 

「…………」

 

何言ってんだ?俺が現れたから、ってどういうことだ

 

「あ、わからないって顔してるな」

 

「わからないも何も、何で俺が現れたからなんだよ」

 

「そりゃあ、兄ちゃんが俺に似てるらしいからだ」

 

俺が栄春に似てる?

 

「どこが」

 

「さぁ?どこかが似てたんだろ」

 

自分でもわからねえのかよ………

 

「だから、兄ちゃんに頼まれて欲しいんだ。な?お願い。どうやら俺は兄ちゃん以外には見えないみたいだしさ」

 

栄春は手を合わせて頼んでくる

 

……………はぁ、やれやれ

 

「幽香の悲しみの理由が、お前だということはわかった」

 

二人がどういう関係かはどうでもいいが…………

 

「おい、栄春」

 

「なんだ?引き受けてくれるか?」

 

「いや、断る」

 

「えぇ!?」

 

いや、えぇ!?じゃねえよ、えぇ!?じゃ

 

「そもそも、なんで忘れさせようとしてるわけ?」

 

それが俺にはわからねぇ

 

「いや、お互い苦しいじゃないか。多分あいつが忘れてくれたら、俺も成仏できると思うわけ」

 

「ふーん」

 

…………成る程ね、わかった

 

「お前、馬鹿だろ」

 

「えぇ!?」

 

だからえぇ!?じゃねえよ

 

俺は栄春の頭をガッ!と掴もうと………あ、幽霊だから掴めねえや

 

「どわっ!?いきなり何しようとするんだ!」

 

「うるせぇ!イラつくんだよ、お前よぉ!」

 

「な、何でだよ!?」

 

何で!?何でだ、と聞いたかこいつ!?

 

「あのなぁ!今お前が俺に頼んだことはなぁ、やっちゃいけねえことなんだよ!」

 

「は、はぁ?」

 

「死んだ自分を忘れてほしいだと!?それで苦しくなくなるだと!?ざけんなよてめぇ!!」

 

ああ、イラつく!なんでこんな奴と一緒にされたんだ俺はよぉ!

 

「誰かの中に自分がいなくなるということは!その誰かとの思い出が失くなるということだ!」

 

俺は栄春に向かい、大声を張り上げる

 

「確かに忘れてしまえば楽になるだろうな!!その人との思い出を全部どっかに捨てちまうんだから!でも、それじゃ駄目だろうが!!」

 

俺だって、親友が死んだ時は忘れたいと思った

 

「楽しかった日々は!笑い合った日々は!そいつと一緒にいた日々は!そいつとの間にある、何より掛け替えのない"財産"じゃねえのかよ!?」

 

でも、忘れることなんて出来なかった。だって、あんなに楽しかったんだから

 

「それを………忘れろ?お前はそれでいいのかよ!?」

 

「そ、それは………」

 

栄春は俺から目を逸らそうとする

 

「目を逸らすな!!真っ直ぐ俺を見ろ!!」

 

「っ!」

 

「お前にとって、幽香といた日々は楽しくなかったのか!?つまらないものだったか!?どうでもいいものだったのか!?あぁ!?答えやがれ!!」

 

「………………」

 

俺を真っ直ぐ見つめる栄春に、俺は言った

 

栄春はそれを聞き、俯く

 

「…………な、わけ無いだろ」

 

「あぁ!?声が小せぇ!」

 

「忘れてほしいわけ、無いだろうが!!」

 

栄春は俺にも負けない程の大声で言う

 

………だよなぁ、そうだよなぁ!!

 

「だったらよぉ!!自分を偽るようなこと言ってんじゃねえ!!」

 

「っ!……………」

 

「はぁ…………はぁ…………」

 

久しぶりに怒鳴ったから息切れがする

 

「はぁ………はぁ……………俺は行くぞ。俺はあいつの悲しみを消してやる。お前のことを忘れさせなんかしない」

 

「兄ちゃん………」

 

「幽香だけじゃない、お前も……助けてやる…………」

 

「…………」

 

「じゃあな、お前はそこで朗報でも待ってな」

 

俺は栄春を背に歩き出す。幽香の家は探してたらそこら辺にあるだろう

 

「……………待てよ、兄ちゃん」

 

「あん?」

 

なんだ、まだ何かあんのかよ

 

「幽香を、よろしく頼む………」

 

「……………任せろ」

 

必ず、救ってやるからな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はぁ、やれやれ」

 

『自分を偽るようなこと言ってんじゃねぇ!!』

 

「偽る、ね…………大概俺も人に言えねぇんだけどな」

 

俺は自重気味に笑う

 

「……………ここか、幽香の家ってのは」

 

さぁて、一丁頑張りますか

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ふぅ」

 

私は本を閉じて一息吐く

 

太陽が西に傾いている。丁度良い時間帯ね

 

「そろそろ紅茶でも淹れようかしら」

 

「いいね、俺にも淹れてくれない?」

 

突然外から声が聞こえる

 

…………この声は

 

「貴方、わざわざ殺されに来たのかしら?」

 

庭に立つ男を見て私はそう言った

 

一瞬だけ、ほんの一瞬だけ栄春と見間違えてしまい少し自己嫌悪に陥る

 

「まあそう言うなよ。俺はあんたと話し合いに来ただけだって」

 

「……………」

 

なんなのだろうか、この男は

 

二日前にも来たこの男は殺されかけたにも関わらず私の前にもう一度現れたのだ

 

「話し合いなんて無意味だと気付かなかったの?それともわからない程馬鹿なのかしら?」

 

「無意味じゃないさ、現にこうやって話してるんだし。…………それに、言ったろ?俺が助けになるから、話してみろよ、って」

 

「助けなんて私は必要としてないわ」

 

「でも一人で解決出来ないんならさ、誰かと一緒に解決するべきじゃないか?」

 

「余計なお世話よ」

 

「ごめんね、余計で」

 

「「………………」」

 

私は眉を寄せる。ホントになんなのよこいつ

 

「栄春に、会ったぜ」

 

「っ!?」

 

…………今、こいつはなんて言った?栄春に会った?

 

「嘘よ!栄春はもう死んでるわ!」

 

「幽霊に会ったんだよ」

 

幽霊…………?この男は栄春の幽霊に出会ったということ?

 

「信じてくれ。本当に会ってなきゃ栄春なんて名前知らないだろ?」

 

「……………嘘を、言ってるわけじゃなさそうね」

 

「取り敢えず中に入っていいか?お茶でも飲みながら話そうぜ」

 

「………入りなさい」

 

私は話を詳しく聞くため、男を家の中へと招き入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は幽香の後に続き家の中へと入る

 

「そこに座りなさい」

 

お、ちゃんと椅子とか座らせてくれるんだ

 

俺は言われた通り椅子を引き座る。幽香は俺と向かい合うように座った

 

「……………それで?」

 

「え?」

 

「え?じゃないわよ。それで、栄春は何て?」

 

ああ、成る程成る程

 

「『幽香に俺ことを忘れさせてくれ』ってさ。俺に頼んできた」

 

俺は単刀直入に言われたことを告げる。まあ断ったけど

 

「………………そう、栄春がそう言ったのね」

 

「おう」

 

「それじゃあ、貴方は私が………栄春のことを忘れるのを手助けする、ってことかしら」

 

「いんや、全然」

 

「は?」

 

ん?なんだ、聞こえなかったのか?

 

「いんや、全然」

 

「……………じゃあ、貴方は何しに来たのよ」

 

「だから、あんたと話し合いに来たって言ってんじゃん」

 

「からかっているのかしら?」

 

「真剣だぜ」

 

そう、俺は真剣だ。真剣に幽香の悲しみを取り除こうと思っている

 

「……………話にならないわ」

 

幽香は椅子から立ち上がる

 

「帰ってちょうd「俺は…………」

 

「俺は、お前に心から笑って欲しい」

 

俺の言葉を聞いて、幽香は固まった

 

「何を言っているの?」

 

まあ無理もないか。ほぼ初対面みたいな奴にこんなこと言われたらそうなるよな

 

「俺は、自分の周りは笑顔で包まれていたいと思っている。それは誰かの為でもあるし、他でもない俺の為でもあるんだ」

 

周りが心から笑えているのなら、それは悲しみなんて何も無いから

 

そしたら俺も嬉しくなる。幸せな気分になる

 

「でもその周り、ってのさ、ただの赤の他人とかそんなのじゃなくて…………霊夢とか、魔理沙とか、ゆかりんとか、それとかそれとか………あ、そうそう今日会った永琳や輝夜に妹紅。それに………」

 

俺は指を折って数えながら言っていく。両手の指じゃ足りないな

 

「幽香とか」

 

今思えば沢山居るなぁ、こりゃ大変そうだ

 

「…………なんで私が出てくるのよ」

 

「俺はあんたの瞳の奥にある悲しみを感じた。それをなんとかしたい、あんたに笑って欲しい。理由なんてそれだけで十分だろ?」

 

「……………」

 

俺は真っ直ぐ幽香を見つめる

幽香は俺から目を逸らすが、すぐに目線を戻した

 

「……どうやってよ。どうやるって言うの?」

 

「それは俺のこと信用して、任せてくれるってわけ?」

 

「ええ、信じてあげるわ」

 

「そっか」

 

俺は椅子から立ち上がる。そして幽香の前まで歩いて行き、右手を出した

 

「どうするかはこれから考えていけばいい。取り敢えず、これからよろしく」

 

「よろしく」

 

幽香は握手に応じてくれた

 

「ていうか、何も考えていなかったの?」

 

「いやぁ、実はそうなんだよ」

 

まあでも、取り敢えずは幽香との仲をちゃんとした物にしておかないとと思ったし、結果オーライだよな

 

「「弥生ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」」

 

「…………ん?」

 

「?何かしら」

 

何やら俺を呼ぶ声がする。この声は霊夢と魔理沙か?

 

「お迎え?」

 

「みたいだな」

 

「それじゃあ、もう帰りなさい」

 

これから方針を考えようとしてたんだけど………

 

「えぇ〜………、そういえばお茶は?」

 

「…………また今度、来た時に出してあげるわよ」

 

「!」

 

幽香は笑ってそう言った

 

「……………おう!じゃあ……『またな、幽香』!」

 

「『ええ、またね』…………弥生」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、弥生!!大丈夫か!?何もされてないか!?」

 

「おー、ダイジョブダイジョブ。この通り元気だぜ」

 

「いや、おかしいわよ。骨が折れてたのに元気なんて………無理してるんじゃないでしょうね」

 

「ぜーんぜん!だって永琳から痛み止めもらったし!」

 

「明らかに無理してるじゃないの!!」

 

「痛い痛い!アイアンクローやめて!?」

 

「早く永遠亭に帰るんだぜ!弥生は入院が必要なんだから!」

 

「わかった、わかったから!引っ張るなよ!」

 

 

 

 

「…………決めたわ、栄春。貴方のことは忘れない」

 

私は花畑に立ち、そう呟く

 

『そうかい…………ありがとよ』

 

「っ!」

 

私は思わず周りを見渡す。けれど栄春の姿は無い

 

「……………ええ、どういたしまして」

 

そして私は栄春が息を引き取る時に背にしていた木を見て、そういった

 

 




お久しぶりっす

なんとか終わらせれた………
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