今回はプロローグ的な話になります。
それではどうぞ。
ある男の災難《デイブレイク》
×月×日×曜日
(唐突に)話をしよう。
あれは今から三十六万…いや一週間前だったか。まあいい(諦め)
ーーデイブレイク。
それはいつもと変わらぬ一日。日常の中で突然起こった。
ヒューマギアという高度な人工知能が暴走し、ヒューマギア工場並びにヒューマギア運用実験都市は甚大な被害を受け廃墟と化した。
ヒューマギアの開発を担っていた飛電インテリジェンス曰く、ヒューマギア工場の整備ミスが原因で爆発事故が起こった……ということらしい。
なんでそんな話をしたかって?
HAHAHA、聞いてくれよジョン。
実は俺、このデイブレイクの被害者なんだ。
笑い事じゃない?だからどうした?って思うかもしれないが俺の自分語りにもう暫し付き合ってくれると嬉しい。
デイブレイクが起こった日。
俺は朝起きて街を歩いてたら急に爆風に襲われ、コンクリに頭からぶっ倒れ、挙げ句の果てには立ち上がったら何故かヒューマギアらしきもの複数に追われるというリアル逃走中をして、結局追いつかれて硬いパンチを喰らい意識を失い奇跡的に死なず病院送り……なんということでしょう(絶望)
不幸の連続コンボに俺の心と体は多大なダメージを受けた。特に体の方は物理的なダメージがやばかった。具体的に言うと骨がボキバキと……なんか思い出して体痛くなってきたからこの話やめようか。
「不幸……いや、災難だ……」
就活中だった俺は病室のベッドの上、まともに動く頭で部屋の天井を見上げながら呟いた。一体俺が何をしたというのだろうか? こんな災難に見舞われるほどに悪い事をした覚えなど断じて無い。日頃の行いも良くも悪くも平凡だと自負している(謎のドヤ顔)
やばい俺の人生早速\(^o^)/かもしれない。これも全部ヒューマギアってやつの仕業なんだ!(錯乱)
神様(又は世界)は俺の事をさぞ嫌っているらしい。まあ俺は災難だったが幸い家族は俺以外皆旅行中でデイブレイクが起こった街、通称デイブレイクタウンには居なかったので誰一人被害に遭わなかった。それだけはまじで喜ばしい。正直旅行俺も行けばよかったと今更ながらに超後悔してる。
×月×日×曜日
『12:30』
(これからどうするか……)
デイブレイクの被害に遭ってから一週間後。
初日に比べれば体もそこそこ回復し、割と自由に動かせるようになってきたある日。俺は滅茶苦茶になった自分の「これから」について考えながら病室の窓から見える景色をいつも通りぼーっと眺めていた。
ドクターから聞いた話では俺の入院生活はあとちょうど一月だという。あと後遺症も残らないとか。我ながら中々に丈夫な身体してんなと思ったね。改めて親には感謝した。健康な身体で産んでくれてありがとう、頼むから旅行俺も連れて行ってください(懇願)
そんな事を思っていると俺の病室(個室)のドアがコンコンコンとノックされる音がした。あれ? 今日は
「どうぞー……」
「失礼」
「すいません。部屋間違ってませんか?」
病室に入ってきた人物を俺は思わず二度見した。
誰だこのイケメン!? 俺の知り合いにこんなイケメンは断じていない。つうか何その真っ白コーデ? もしかして最近の流行り?
というか何そのケース……あーアタッシュケースってやつか。大金入ってそう(安直)
「間違ってませんよ。ここは
「確かに俺は天本 太陽ですけど……もしかしてどこかでお会いしたことありましたっけ?」
如何にも金持ちで自信家っぽい男は俺の問いを聞いてふっと笑う。
「いいえ初対面ですよ。はじめまして太陽君。私は…こういうものです」
「おぉう…これはご丁寧にどうも……」
謎のイケメンが差し出してきた紙の名刺を俺は受け取り、いきなりファーストネーム呼びって凄いなこの人! 今時紙の名刺って珍しいなぁ〜とか思いつつ名刺に目を落とす。【ZAIA ENTERPRISE JAPAN 代表取締役社長 天津 垓】……えっ?
「えッ! しゃ、社長!? こんなに若そうなのに!? え、天津さん歳お幾つですか?」
「ふふ、予想通りのリアクションをありがとう。私は永遠の24歳です」
アイドルかよお前っ!?
ドヤ顔でアイドルみたいな発言をする天津さんに俺は内心ツッコミしてしまった。というかこいつ変じーーじゃなくて、なんか個性的な人ですね(苦笑)
「それであのー、天津さんみたいな俺にとっては雲の上的なお人が俺なんかに何用ですかね? 見ての通り俺今こんな状態なんですけど……」
まだギプスの取れてない右足をプラプラ動かして「まだ入院中なんですけど」とアピールしてみる俺に、天津さんは知ってますよと頷く。
「私がここに来たのはデイブレイクの被害者であり、貴重な生存者の一人である君に聞きたいことがあったからですよ」
「あ、あーそういう……」
またそういう類の人か(ため息)
実はそういう人、俺が意識取り戻した日とかにも来たんだよ。「デイブレイクについて聞かせてください」って記者さん達が沢山な。プライバシーどうなってんでしょうね?
別に俺デイブレイク被害者といってもあれだから。
実際運悪く逃げ遅れて運悪くヒューマギアに頭ぶっ叩かれて、目が覚めたら病室だからさ。一週間前に飛電インテリジェンスの社長さんが「誠に申し訳ない!」って深々と頭下げて来たんだけどそういうのいいから! 俺なんかに謝罪しなくていいから! 他の人に深々と謝罪してあげてくれ。別に俺デイブレイクで家族失ったりしてないし……まぁ人生設計は粉々にされたけどもね?
あ、あとこれからも頑張ってください応援してます! ド◯えもんが出来るの楽しみにしてます!
「単刀直入に答えてください。君はヒューマギアをどう思う?」
「どう思う、とは?」
曖昧な質問に俺は首を傾げる。
「そのままですよ。好きか嫌いか。ヒューマギアについて、今の君が抱くイメージを聞かせてもらいたい」
「んー……そうですねー」
天津さんの言葉に俺は暫し考える。
記者さんにも聞かれた質問に似たものがあったけど、その時は「あー頭が急に痛くなってきた(棒)」とか適当言って躱してきたからな……ここでそれしてもいいけど、凄くシリアスな雰囲気だしここは空気読んで正直に答えるとしますか。
「好きか嫌いかで言われたら4:6ですかね」
「4:6?」
「好きって気持ちが4で、嫌い……というよりは苦手って気持ちが6ってことです」
「……君はデイブレイクの被害者であり、暴走したヒューマギアにも追われた…そう私は聞いている。そんな君なら0:10でも何らおかしくはないと思うが」
「そうですね……俺のヒューマギアに対する最初の好き嫌いの評価は8:2ぐらいだったんです」
「それはまた……何故?」
「どうしてってそりゃ浪漫あるじゃないですか。人工知能、AIって。アニメやドラマの中だけの話だったことが現実になるんですよ? めっちゃワクワクしませんか? だから
「それが今は4:6、と」
「…まぁしょうがなくないですか? 実際命とられそうになりましたし……若干トラウマになっちゃったんですよねヒューマギア。今の俺の中じゃヒューマギアに対する評価は期待より不安が上回っちゃったわけです」
あんな被害に遭って命まで落としかけた。
それで尚ヒューマギアに好印象を抱けるか?と聞かれたら当然NOだ。そこまで俺は馬鹿じゃないし聖人じゃない。
「なるほど。……最後に一つ聞かせてほしい。
ーー君はヒューマギアを憎んでいるかい?」
「そんなの聞いてどうす……わかりました。答えますよ」
そんなの聞いてどうするんだ?
と口にしようとしたが天津さんの真剣で鋭い眼光を受けて、俺は仕方なく言った。
「以前よりも嫌いにはなりましたけど、憎んではいませんよ」
「それは……些か理解に苦しみますね」
「だったら無理に理解しようとしないでいいですよ? 家族にも言われましたから。『頭のネジ飛んでない?』って」
「嫌いにはなったが憎んでいない。期待より不安が上回っている……太陽君。君はまだヒューマギアに期待しているのですか?」
「質問責めですか……期待はしてますよ。前に謝りに来た飛電の社長さんが言ってましたから。『ヒューマギアは人間の最高のパートナー』になるって。正直謝罪しに来たのか宣伝しに来たのかわかんなくなりましたけど」
「飛電是之助……」
「聞きたいことはもうないですか? だったら俺、診察時間なんで失礼しますよ」
体を起こし、ベッドの横に立てかけてあった松葉杖に手を伸ばしながらそう口にすると、
「……はい、十分ですよ。ありがとう太陽君。貴重な生存者の声を生で聞けてよかった。……これは私からのお詫びの品だ。お大事に、では失礼」
天津さんは満足したのかさっきから手に持っていたアタッシュケースをベッドの近くに置くとすぐに病室を出て行った。本当にびっくりするぐらいすぐに。
「え、ちょっ!? 天津さぁーん!? これ何ぃっ!? おーい!」
置かれたアタッシュケースに松葉杖を向けて困惑する俺に天津さんは何も答えてくれなかった。
ていうかお詫びって……あぁそうか。
「ZAIAも確か参入してたんだっけ……お詫びって、あの人一言も謝らなかったよな……? 別に謝ってほしい訳じゃないからいいけどさ」
ヒューマギア運用実験都市計画。
通信衛星打ち上げプロジェクト。
飛電インテリジェンスの社長さんは整備ミスが原因の爆破事故、そう説明していたけど……はてさて。
(本当は何があったのかね?)
目を赤く発光させ「コロス」「ニンゲン」「ゼツメツ」と言っていた暴走したヒューマギア達の姿を思い出す。あれは完全に殺戮マシンだったな。……なんで俺が生き残れたのか不思議でしょうがない。俺はまた外に目を向けた。
「ーー俺は生きてるからいーけどさ」
デイブレイクで亡くなった人。
その人の友達や家族はきっとヒューマギアを憎む。実際にヒューマギアに命を奪われそうになった人ならば尚更だ。でも、
『誠にっ……誠に申し訳ございません! 全ては我々の責任ですッ! ですが、ですがどうか! ヒューマギアを信じてはくださいませんか? 私がこんなことを言える立場ではないことは分かっています、ですがきっと! ヒューマギアは人間の最高のパートナーに必ずや成り得ます!』
言っていることは滅茶苦茶だが。
大企業の社長が頭を深々と下げて、涙ながらに訴えてきた言葉は俺の胸に結構響いたんだわ。
「信じてるよ。飛電の社長さん」
あんたの作るヒューマギアが、いつか人間を支える最高のパートナーに……明るい未来を作る一因になることを信じて祈っておきます。
「それにしても暇で暇でしょうがねーなー」
松葉杖をついて診察室に向かう途中で俺は思わず愚痴った。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
序章のストーリーについて
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エンディングまでダイジェストで突っ走る
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出来る限り丁寧にエンディングまで歩く
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作者の好きなようにどうぞー