デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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是之助社長とオリ主、二度目の対談?回。
是之助社長の口調がよくわかんない……!

それでは、どうぞ!


ある男の心に夢に《ピンチ》

 

「! 天本君、よく来てくれた! さぁ遠慮なく座ってくれ!」

「う、うっす……」

 

 飛電さんの言葉に緩慢な頷きで応えた俺は如何にも高価そうなソファーに恐る恐る腰掛ける。別にビビってわない…飛電さんの人柄は病室での一件で「いい人」だって分かってるからな。だけど、やっぱ社長室ってなんかこう雰囲気が違うだろ? 天津さんの提案に乗った日からZAIA社の社長室の雰囲気には結構慣れたけどさ……『飛電インテリジェンス』の方の社長室に来たのは初めてだからな。まぁ始めて天津さんに電話で呼ばれて、社長室に入った時ほど緊張はしてないけども。

 

「それで、あの…用件は何でしょうか?」

「? ワズから何か聞かされてはいないかい?」

「あー、それなら一回聞いたんですけど『その情報の開示は許可されていません』って言われまして……」

「あはは、それはすまなかった! それでは……早速。私の君への用件は非常に簡単なものさ。ーー君に一つ聞きたいことがあるんだ」

 

 聞きたいこと…?

 あれ? 何これデジャブ?

 デイブレイクの被害に遭って数日後。

 病室に来た天津さんにも「聞きたいことがあった」とか言われたよなぁ…あの時はヒューマギアについてどう思ってるかとか色々聞かれたんだよな。

 

「天本 太陽君。君が『仮面ライダー』なのか?」

「…………」

 

 …あ、あー……そういう話か。

 天津さんとの約束で「仮面ライダー」や「マギア」の事は世間や個人には勿論秘密にするよう言われている。

 

 飛電さんの様子を見るにこれ俺が「仮面ライダー」だって確信してるよな? 何でバレたんだ? 人目は最大限避けてマギアを撃破して来たんだが……いや、どこでバレたかとかはこの際どうでもいい。

 天津さんへの報告もとりあえず今は後回しだ。

 

 下手に隠しても意味ねぇんなら堂々と名乗ってやるさ。

 

「まぁ一応……俺が仮面ライダーですけど」

 

 ……ごめん、緊張で堂々とはいかんかったわ。

 

 やっぱ有名人って常人にはないオーラ?みたいなのを纏っててさ……俺一般人だから近くに居るだけでつい気圧されちゃって…え? お前は一般人じゃない? ははは、またまたご冗談を(目背け)

 

 着実に一般人を辞めていっていると自覚しつつも、俺はその事実から全力で目を背けてながら飛電さんの話に耳を傾けた。

 

 

 

 ▲△▲

 

 

 ーー仮面ライダー。

 都市伝説で有名なその名は是之助も何度か耳にしたことがあった。だが、実際に「仮面ライダー」の真偽は定かではなく是之助自身あまり信じてはいなかった。

 

 ーーあの映像を見るまでは。

 

『人間は皆殺し…!』

『全て、抹殺!』

 

 ーークエネオマギア。

 ーーエカルマギア。

 

 ワズが入手した映像。

 その冒頭から映る物騒な台詞を吐く異形の化け物達が、ヒューマギアがマギア化した姿だという事を是之助はいち早く理解すると同時に深く俯く。

 

(ーーデイブレイク事件のあの日から「ヒューマギアの暴走」「マギア化」…これらの事実から卑怯にも必死に目を背けようとしてきた……しかし、やはり向き合わなければならないようだ。全ては「飛電インテリジェンス」社長の私の責任なのだから…!)

 

 自責の念に駆られながらも是之助は顔を上げ、そう強く決意した。

 

 

 そんな中、映像からはーー突如「誰か」の声が聞こえた。

 

『同じ場所にマギアが二体……滅がとうとう計画に本腰入れてきたってことか?』

『人間発見! 殺すッ!』

『抹殺開始…!』

『おっと…!』

 

「! あれは……!?」

 

 その声がした方向にいる人物に駆けていく二体のマギア。青年はその攻撃を回避してからポケットから何かを取り出す。

 

 取り出されたものを見て是之助は驚愕した。

 青年が手に持っていたそれは飛電インテリジェンスの極秘計画「ゼロワン計画」の中でも極めて重要な役割を担う代物ーープログライズキーだったのだ。また青年の腰には青い銃が取り付けられたバックルにベルトが巻かれていた。

 

ストロング!

『お前らも元は………悪いな。お前らには誰も殺させねぇ』

【オーソライズ!】

【Kamen Rider. Kamen Rider.】

 

 プログライズキーを銃に装填した瞬間、何かの待機音らしきものが流れ出す。青年は素早くバックルから銃を引き抜くと銃口を真っ直ぐとマギアに向けて力強くこう言った。

 

『ーー変身…!

ショットライズ!

『グウッ!?』

 

「こ、これは……!」

 

 ーー撃たれた一発の弾丸。

 それが着弾したマギアの一体は声を上げ、体からは火花が散る。そして、

 

アメイジングヘラクレス!

【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】

『ーーさて、と……』

 

 弾丸は方向転換して青年の体に直撃。

 瞬間、青年の体は黄緑色と白色のアーマーを纏い正しく変身した。

 

『ーー俺の名はバルデル。……お前らを止められるのはただ一人…俺だッ!』

 

 ーーバルデル。

 そう名乗った彼の戦いは果敢で荒々しく、実に豪快で一方的で。言ってしまえば二体のマギアが撃破されるまで、戦闘が開始してから十分程度しか経過しておらず、その間マギアはまともに攻撃する暇さえ与えられなかったのだ。

 

 

「なんというパワーだ……」

 

 

 是之助はそのパワーに思わず立ち上がり感嘆した。

 二対一という不利な筈の状況を全く気にした様子なく、一つの犠牲も出さず見事に勝利する。その姿はまさしく仮面ライダー(ヒーロー)だった。

 

 

 こうして「バルデル」の活躍を見て飛電是之助が大いに刺激を受けたことにより「ゼロワン計画」の進行が予定よりも幾分か前倒しされることになる……。

 

『終わったなぁ。はぁー……』

 

 戦闘が終わり、シーンと静まり返った辺りにあの青年の声がまた響く。その声は先ほどまでの荒々しい戦い振りをしていた人物のものとは思えぬ程に気怠そうで、どことなく哀愁が感じられた。

 

 その後、映像は青年が去る足音を最後に停止した。

 映像では時間帯が夜中だということもあって辺りは暗く、青年の顔がよく見えなかったために何者か不明だったが……ワズの調べによりすぐに青年の正体は判明した。

 

 

 彼の名は天本太陽……デイブレイクの被害者であり、是之助も一度病室に謝罪に行った際に面識のある人物であった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(まじか、撮られてたのか……あぁ、そうだ! 確かあの日疲労で眠気がピークだったわ…!)

 

 何故俺が仮面ライダーだということを知っているのか、そう言って飛電さんの話を聞いた俺はあの日の事を思い出し納得した。

 確かにあの日、俺の眠気はピークを迎えていた……理由を話すと長くなるが…まぁあの状態の俺ならこっそり物陰から撮影されているのに気付かなくても何ら不思議じゃあない。

 

(天津さんに怒られるかコレ…? い、いやいや、バレなきゃ大丈夫大丈夫……な、なんか既にバレてそうですげぇ怖いんだけど)

「あ、あの飛電さん? えっと、俺が仮面ライダーだとか、マギアと戦ってだとかいう話は……そ、そのぉ〜ーー」

「無論、口外する気なんて私には更々無いよ。君が密かにマギアと戦っている…その理由は私には分からないが、君に不利益になるような事は絶対にしないと約束しよう。『飛電インテリジェンス社長』の名に懸けて!」

「お、おぉ……あ、ありがとうございますっ!」

 

 あぁやっぱあんたいい人だよ飛電さん!!(感激)

 益々応援したくなったわ飛電インテリジェンス!

 

 飛電さんの社長としての一端を間近で見た俺は、動揺しつつも感謝の言葉を口にする。こんないい人ならそりゃ社長にもなりますわ…!

 

「ーー唐突で申し訳ないのだが……天本君、君に一つ『頼みたい事』があるんだ……」

「は、はい……何でしょう?」

 

 真剣な表情でそう切り出した飛電さん。

 その雰囲気に俺は思わず顔を強張らせた。

 大企業の社長ともあろう人が俺なんかに頼みたい事…? 全然どんなことか想像できないぞ?

 

「ーーヒューマギアをマギアに変貌させ、我々人類の滅亡を企てている者……その正体を君は知っているのか? もし知っているのなら、どうか教えて欲しい! 勿論タダでとは言わない!」

「…………」

「…君の人生を滅茶苦茶にしたデイブレイク事件、間違いなくその一因を作ってしまった飛電インテリジェンス社長の私が、君に何かを頼む資格が無いことは重々承知している。だが、どうか……!」

「……スゥーー……」

 

 別にデイブレイクの件で俺は飛電インテリジェンスや、飛電さん個人を恨んでなんかいないから一々気にしないでいいんだけど……。

 つうか俺みたいな一般人に社長がそんな風に頭下げて頼むか普通………それだけ本気ってこと、か。

 

 飛電さんの頼み

 ヒューマギアをマギアに変貌させている者の正体……つまりは…滅亡迅雷.netに関する情報提供だった。天津さんからマギアの事だけじゃなく、滅亡迅雷.netの話もある程度教えられていた俺は飛電さんの頼みに一応は応えられる。

 

 

 だが、俺には天津さんとの約束があった。

 

 

 

 

 

〈回想開始〉

 

 

 ZAIAエンタープライズジャパン本社の社長室。そこに置いてあるのは社長用デスクにイス、チェス盤に来客用のソファーと至ってシンプル。如何にも「無駄がない」という感じだ…チェス盤は除く。

 

 そんな空間に座する『天津垓』という人物。

 俺は「仮面ライダー」としてマギアと戦い、そのついでにショットライザーとプログライズキー内の戦闘データをZAIAに提供することで報酬を貰っているのだが……この人がこの部屋に居るのを見るのはもう随分慣れたんだけど……。

 

 ーー率直に感想を述べよう。

 俺はリアルで天津さんほど偉そうに背もたれイスに座り、謎に意味深に笑う姿とゲンドウポーズが似合う人を見たことがない。

 あ、いや別に悪口じゃないですはい(真顔)

 

「仮面ライダー、マギア、滅亡迅雷.net……これらに関する情報は出来る限り世間には出さないようお願いします。今すぐに明かすのはあまりよろしくないでしょう」

 

 片手を顎下に置きながら相変わらずの態度で言う天津さん。それを聞いた俺はソファーに座ったまま見ていた雑誌から顔を上げ質問した。

 

「よろしくない……ですか。それは、天津さん個人にとって都合が悪いとか、そういう意味だったり?」

「……太陽君ーー企業秘密ですよ」

 

 答え難い、又は答えたくない話になると天津さんは口癖のように「企業秘密」という言葉を使う。「これ以上聞くな」と言わんばかりの微笑みを浮かべながら……いや怖い怖い…!

 

「…天津さん企業秘密多過ぎません?」

「ふふふ、社長ですから」

 

 なんで若干ドヤってんだこの人?(大困惑)

「1000%」が好きとか、自称24歳とか……たまに思うけどこの人って若干天然(アホ)なところあるよな?

 あーそれと天津さん。

 俺、前にここの受付で聞いて…知ってんだからな?

 

「いや、わけわかんねぇですからね? 社長関係ないでしょ? というか騙されませんからね? 天津さん、あんた次期社長でしょう?」

 

 そうこの男!

 まだ社長じゃなかったんだ!

 ん? じゃああの名刺はなんだって?

 知らん。自作とかじゃない?(適当)

 え? じゃあなんで我が物顔で社長室いんのかって?

 知らね。不法占拠じゃね?(超適当)

 

「! 一体どこでその情報を…!?」

「え、今の発言でそこまで動揺すんのっ!?」

 

 ショットライザーとプログライズキーを返却しようとした時と同じレベルで動揺し出した天津さん。

 それを見て驚愕する俺。

 

「ーーでは太陽君。そういうことでくれぐれも『仮面ライダー』『マギア』『滅亡迅雷.net』の話は…」

「あーはい、了解です。最大限話さないように心掛けますよ」

 

 この日、約束しちゃったんだよなぁ…。

 

 

〈回想終了〉

 

 

 

「…すいません飛電さん。その頼みには応えられそうにないです……」

「! ……そうか……それは残念だ…」

 

 俺の返答を聞いた飛電さんは意気消沈といった様子で項垂れる。

 うっ……ざ、罪悪感を若干感じる…。

 し、仕方がないんや! 俺にも親孝行(夢?)とか掛かってるから!仮面ライダーという…一応は職?に当たるのかどうかはわかんないけど。

 天津さんの信頼失う=職?喪失に直結だろうし……色々今の生活がおじゃんになっちまうからな。

 

あ、あとかなり高収入だから辞めたくない(本音)……まぁ万が一死ぬ危険があるから当たり前だけど。

 

「……その、本当にすいません! 俺も飛電さんに教えたいのは山々なんですけど…上司……というよりかは『協力者(仲間)』に言わないようにって約束してまして……」

「いやいや、天本君が謝ることではないさ! きっと君にも事情があるのだろう? ならば仕方がない…私の方こそ立場を弁えず無理な頼みをしてしまい、本当にすまなかった!」

 

 謝罪する俺に顔を上げた飛電さんは穏やかな表情を作り、大人の対応で逆に謝罪する。普通は「人類滅亡させようとしてるやつのこと教えて?」って聞いて「言わないって約束してるから無理」とか言われたら「は?」「意味わからん」とか思うだろうに……やっぱいい人だよ飛電さんは…。

 

「人類滅亡を企てる者…その正体は、我々が総力を挙げ自力で必ず突き止めてみせよう!」

 

 その後、自力で人類滅亡を企てる者(滅亡迅雷)の正体を突き止めると意気込む飛電さんに俺は心からの本音を口にする。

 

「ーーこれからも応援してますよ、飛電さん」

 

 ーーこうして飛電インテリジェンスでの飛電是之助社長との対談は幕を閉じ、俺は飛電インテリジェンスを後にした。

 

 

 

「…………」

 

『ヒューマギアは人間の最高のパートナー』に成り得る……飛電さんはそう俺に熱意を持って断言した。

 

 デイブレイクが起こった当時の俺にはその言葉を聞いてもただ一般人らしく応援することしかできなかった…。

 

(だけど……)

 

 今の俺には間接的にとはいえ、飛電さんの夢を手助けできる「仮面ライダー」の力がある。

 

 ……まぁ別に他人の夢を自主的に手助けしようなんて思っちゃいない。俺はそこまでいいやつじゃない。ただ、たまたま俺の目標達成が飛電さんの夢の進歩に繋がるってだけの話だ。

 

(飛電さん……マギアも、滅も…俺が必ず止めてみせます)

 

 高い高い高層ビルーー飛電インテリジェンス本社を見上げ、俺は前を歩き出す。

 ーーちょうどその時スマホが鳴った。

 

「はい、もしもし」

『太陽君、マギアが現れました。場所は○○市、廃工場…マギアの位置情報は今そちらに送りました。くれぐれも変身は見られないよう……』

「勿論分かってますよ。……ちなみに今のところ被害は?」

『運良く無いようです。それに場所が場所なだけあって人気も皆無…倒すならマギアが移動していない今がチャンスでしょう。ーー任せましたよ太陽君』

「ーー了解」

 

 電話を切り、俺はスマホに送られたマギアの位置情報を確認して駆け出す。ーー今のところマギアは一体。場所は廃工場。天津さんの言う通り倒すなら今がチャンスだ。

 

(あぁくそっ! そろそろ走るかチャリか…それ以外のもっと楽な移動手段が欲しい! ……バイクの免許とか取ってみるか?)

 

 そんなことを考えながら全力ダッシュする俺は気付かなかった。

 

「天本太陽様。是之助からの命令に従い、貴方にお渡ししたいものがありーー??」

(あんなに急いで一体どこへ行くのでしょうか?)

 

 後ろから声を掛けてきたワズの存在に。

 

『ワズ、これを天本君に渡してくれ』

『これは……よろしいのですか?』

『いつかは返してくれるよう頼む事になるかもしれないが、これは……今は彼が持っていた方が何倍も有効活用してくれる筈だ』

『…………』

『…ワズ? どうかしたか?』

『いえ、了解しました是之助社長』

 

「ーー是之助社長の命令の遂行を最優先に行動します」

 

 目を閉ざし暫し解析・思考をしたワズは一瞬で行動を選択。

 

 奇しくも最悪のタイミングでーー太陽の追跡を開始した。

 

 

 

 ▲△▲

 

 

「ーー滅亡迅雷.netの意思のままに……人間を絶滅させるッ!」

 

 廃工場に現れた屈強な姿をしたマギア、マンモスマギアはそう叫ぶと人間を探すために動き出す。

 

「らあっ!」

「?」

 

 マンモスマギアが廃工場を出ようとしたその瞬間、胸に一発の弾丸を受けたマギアは一切怯む様子無く弾丸が発射された方を向く。

 

「一切怯まないとか頑丈過ぎんだろ!?」

ショットライザー!

ストロング!

【オーソライズ!】

「人間は殺すッ…!!」

 

 ーー俺はマギアの頑丈さに驚愕しつつ左手に持ったバックル、ベルトに右手に持ったショットライザーをセットし勢いを入れ腰に巻く。続けてポケットから取り出したプログライズキーのボタンを押し、ショットライザーに装填して展開する。

 

 そして、バックルからショットライザーを引き抜くこと無く素早くトリガーを引く。いつもなら引き抜くが、今はすぐ目前にマギアが居るからな……安全な方法で変身させてもらおう。

 

【Kamen Rider. Kamen Rider.】

「変身…!」

ショットライズ!

アメイジングヘラクレス!

【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】

 

 発射された弾丸は原理は不明だが、普通なら地面に着弾するところをギリギリで軌道が変わり俺の右肩に着弾。次々にアーマーが体に装着され変身が完了する。

 

「おらああああ!!」

 

 その直後に拳を叩きつける俺。しかし、

 

「! ふんッ…!」

「はっ!?」

(マジで頑丈だなコイツっ!?)

「人間! 絶滅ッ!」

 

 マギアはショットライザーの時とは違い、アメイジングヘラクレス(バルデル)のパワーに僅かに怯むがすぐさま反撃のタックルを噛ます。

 

「おわッ!? っっ…こいつ!」

(硬くてパワータイプ、か……)

 

 躱せず吹き飛ばされた俺は地面を転がる。

 まぁこの堅いアーマーのおかげで大したダメージはないが…。ここまで硬いマギアと戦うのは初めてだ……だけど、弱音を吐く暇はない。今は俺がやるっきゃない。

 

「さて……どう攻略するか。とりまーー」

ストロング!

「ーー必殺技ぶっ放す!」

 

 困ったらとりあえず必殺技だ。

 …何っ? それはどうなんだって?

 いや、困ったら必ず殺す技撃つのは基本でしょ?

 むしろ出し惜しみする理由がわからん。

 

 ……必殺技で倒せなかったらそれはそれで軽く絶望しちゃうんだけどもさ。

 

「これで倒されてくれたらなぁ……ーーはあああッ!!」

アメイジング ブラスト!

「ッ……!!」

 

 銃口に収束する巨大なエネルギーを俺は放つ。

 普通のマギアならこれを食らえば一溜まりもない、それだけの威力を誇る必殺技はマギアに確実に直撃し派手な音と共に爆発が起きる。場所が人気のない廃工場で本当に良かった……。

 

ア メ イ ジ ン グ ブラスト

 

 爆発が起こり、爆煙が辺りを覆う。

 俺は念の為に油断せず前を見つめる。そして、

 

「人間は皆殺しだ……!」

「あー……」

(普通にピンピンしてるわコイツ)

 

 残念な事に俺の「念の為」の行動は正解だったらしい。爆煙から姿を現したマギアは相変わらず物騒な発言をしてそこに立っていた。

 

 胴体部分に僅かに傷が出来ているのを見る限りダメージが一切ないという訳ではないらしいが……

 

(まさか今の食らって普通に動けるなんてなぁ、こりゃ手強い相手に違いない……はぁー)

 

 内心溜息を吐きつつ俺は再び戦闘態勢をとる。

 必殺技で倒せなかったため軽く絶望しているが諦める程絶望してるわけじゃないからな。

 

「オオオオオオオオ!!」

「あぶねっ!」

 

 マギアは爆煙から姿を現した途端に突進してくる。それをギリギリローリングで回避した俺はマギアの背中にショットライザーの弾丸を数発撃ち込む。だが、やはりショットライザーでの攻撃の効果は今ひとつらしくマギアは怯みもせずこちらを振り返る。

 

 正面が硬い……背後が弱点とかか?なんて安易な俺の予想はハズレ。もしかしなくてもこのマギア弱点が特に無いとか…?

 ……最悪持久戦になる可能性もあるな。

 

(幸いこのアーマーは硬いし、パワーもある。持久戦もいけるだろ。問題は…………俺だな)

 

 アメイジングヘラクレス(バルデル)の硬さやパワーは申し分無い。問題は変身者である俺の体力と集中力がどれだけ保つかだ。

 

「絶滅しろッ!」

「がッ!?」

 

 そんな事を考えている間にもマギアは攻撃を仕掛けてくる。俺はマギアの前蹴りを胴体に受け僅かに後退りした。

 状況を打破する方法はまださっぱりだ。なら、

 

「…やりたくないけど、倒すまで何度でも殴ればいい話だなぁ……?」

(変身解いたら絶対に全身筋肉痛になってるじゃねーか……! マジで最悪っ!)

 

 ーーゴリ押しでやるっきゃねぇ!

 確実にそうなるであろうと「筋肉痛になる未来」を想像した俺は若干憂鬱になるがなんとか思考を切り替えて攻撃を再開する。

 

「おらおらおらおらァ!!!」

「ッッ! オオオオオ!」

 

 右、左、右、左、右、左。

 一撃一撃が強烈な筈のパンチの連打。

 だが、マギアはそれを全て耐え切り更にはカウンターとばかりに拳を俺の腹部に叩き込んできた。

 

「ぐはっ……!」

 

 その威力に俺は思わず短く息を出し後退りする。

 こりゃ出来るだけ回避した方が良さげだな…。

 腹部のアーマー部分に片手を置きながらそう実感した俺は、次に来るマギア攻撃を避けるべく集中ーー

 

「ーー天本様!」

「!? え、お前なんでここに居んのッ!?」

 

 ーーしようとした時。

 後方からつい最近聞いた記憶のある声が聞こえて素早く振り返れば、そこには探偵服を着たあのヒューマギア。ワズ・ナゾートクの姿があった。いやマジでなんで居んだコイツ!?

 

「ウオオォォオッ!!」

ゼツメツ ノヴァ

「!?!?」

やべえぇっ!!

 

 ワズの存在に困惑している間に俺にとって事態は悪い方向に進む。マギアがベルト横のボタンを押し必殺技を発動したのだ。今の俺はワズの方を振り返っている状況。回避はどう考えても間に合わず、

 

 

ゼ ツ メ ツ ノ ヴ ァ

 

「ッ! ぐッ、があああーー!!」

 

 ーー俺は防御を選択する。

 両腕をクロスし、頭と胴体を守るように態勢をとった俺にすぐさま見るからにやばそうな赤色の火花を散らしているマギアの高速タックルが飛んできた。

 

 その必殺技により俺の体は大きく後ろに吹き飛ぶ。

 

「ッ……く、そ…!」

(下手打っちまった……!)

 

 走る激痛に仮面の下で歯を食いしばり、ふらつく足でなんとか立ち上がりながら俺は内心強く後悔する。ワズの存在は関係ない。悪いのは戦闘中に関わらず一瞬でも目の前の敵から意識を外しちまった俺……あーやべえ、久しぶりにピンチかもしんない…! 変身解除しなかったのはラッキーだがとりあえず、

 

「おいッ! 逃げるぞ!」

「! 逃げるとは一体どこーー」

「ーー知るかンなこと! とりあえず死にたくなきゃ走れ!」

「逃がさないッ……!」

「ほら来るぞッ!」

 

 ーー逃走一択だ。

 未だに現状のやばさを理解しきれていないワズに俺は怒鳴るように声を上げる。マギアは当然ながらやる気満々……。

 うん、まずいなこれ。

 下手な行動したら普通に死ねる。

 

 黄緑色のアーマーよりも防御力が低いのが原因だろうか?

 マギアの必殺技を受けて激しく損傷している左腕の白色のアーマーを右手で抑え、俺は左手でワズの手を掴み全力で走り出す。

 

「…周囲地形データ入手完了。次を右です」

「ナビかお前はっ!?」

「私が安全ルートを案内します」

「…わぁーたよ、んじゃ頼む!」

「人間は必ず殺すッ!」

(あのマギアが足速くなくて助かったぁ……硬くてパワーもあって、更に速いマギアとか想像したくもねぇわ!)

 

 ちらりと後ろから追いかけて来るマギアを見ながら、俺はワズの指示に従いながら廃工場内を進む。なんでこいつがここに居るのかとかその辺の話はとりあえず後だ。今は逃げることに集中しよう。

 

 もし仮面ライダーじゃなかったらワズをこの場に放置して「お前囮な!」とか外道な方法平気でとってた俺だが、運が良いのか悪いのか俺はまだ変身解除してないし? ワズが飛電さんにとって大切な右腕的な存在だって知っちゃってるし……あーあ、知らなきゃ普通に見捨てられたんだけどなぁ……。

 

「ーー今日は厄日だぁ…!」

 

 今日あった出来事を振り返り俺はそう確信した。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
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今後のストーリーについて

  • 次章はよ!
  • ここで綺麗にお終い!
  • 作者のご自由に!
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