今回は「最初からクライマックス!」な回です。
※電王は関係ありません笑
それでは、どうぞ!
マンモスマギアとの戦闘から早一週間。
今日も今日とて俺は戦っていた。
『ジャンプ!』
「これで、終わりだ!」
ショットライザーを左手に持ち替え、右手でプログライズキーのボタンを押す。目の前には一体のカエルのようなマギア…こいつは口からちっちゃいカエル型の爆弾を出してきて中々に厄介だったが、まぁ何とか追い詰められた……。最後はいつも通り、必殺技で決まりだ。
銃口に黄色のエネルギーが収束するショットライザーを持ちながら、俺は速い前蹴りでマギアを蹴り飛ばす。
「グガッ……!」
「はああっーーらあああッッ!!」
【ライジング ブラスト!】
ジ
ャ
ン
プ
ラ イ ジ ン グ ブ ラ ス ト
蹴り飛ばしたマギアが立ち上がるよりも早く、俺は必殺技の反動に耐えれる構えをとりショットライザーのトリガーを引く。
「ッ!? 人間は必ず、絶滅ッーーグ、ガアアアア!!」
放たれた一発の黄色の弾丸。
それはバッタのように跳ねる巨大な追尾跳弾となり、地面を跳ねながらマギアの胴体へと到達し容易く風穴を開ける。マギアは体から火花を散らし最後には爆発した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーいつも思いますが、やはり君はとうに一般人をやめていますよ。太陽君」
モニター画面に映る
マギアの出現率は日に日に増し、今では一日にマギアが二体まで現れるのは日常茶飯事……最大四体まで現れる時もある。結果的に太陽の一日の戦闘回数も増した。しかし、彼の実質的な敗北はゼロ…最終的には必ずマギアを撃破している。
(ただの一般人が死と隣り合わせのマギアとの戦闘を何度も続けられる筈がない)
たとえ報酬が貰えるから、滅という打倒すべき存在が居るからといっていつ死ぬかも分からない日々を続けられるような人間は…はたして一般人と言えるだろうか? 垓の結論は否だ。
また垓が天本太陽という人間が「一般人をやめている」と思う理由は他にもあった。一番の理由は彼が持つ「仮面ライダー」としてのポテンシャルの高さ。もう一つは「仮面ライダー」の力を持って尚「怖れ」を忘れずに持ち続けている点である。
太陽がもし彼自身が言うような一般人であれば、仮面ライダーに変身した際に感じる全能感に呑まれ「怖れ」を忘れ、戦いを「楽しい」と感じ出してもおかしくはない。しかし、彼は全能感に呑まれることなく「怖れ」を持ち続けている。
「ふっ。流石にショットライザーとプログライズキーを返却しようとしてきた時は、大変驚かされましたがね……」
太陽がこの社長室に初めて来た日の事を思い出し垓は小さく笑った。今思えばあの日の太陽の行動が既に彼が「怖れ」を確かに持っているいい証拠だったといえる。
「………………」
垓はふと考える。
天本太陽、仮面ライダーバルデル。
序章の主役である彼が辿り着くであろう結末を。
「もしかすると、私はキャスティングを間違えたのかもしれませんね…」
太陽の仮面ライダーとしてのポテンシャルの高さ、戦闘能力、成長速度、人間性……彼の戦闘や会話の中で明らかになってきた全てについて考えた後。暫く目を瞑り、何かを思考した垓は自分の非を認めるような呟きをぽつりと零す。
ーー序章の終わりは近付きつつあるーー。
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「……ふぅ〜、終わったな」
息を吐き出し俺は脱力して変身した状態のままその場にしゃがむ。はぁー、本当にマギアとの戦闘は骨が折れる。肉体的にも精神的にもダブルパンチでな。あと単純に一人でマギアを毎日毎日捌く=毎日毎日命を懸けるっていうのが一般人にはキツ過ぎるんだよなぁ(当たり前)
「俺以外にも仮面ライダーが居ればなぁ……」
だから俺は最近になってこう強く思うようになった。はよ俺以外に戦うヤツ……欲を言えば俺より何十倍も強くて、俺の代わりにマギアを撃破してくれるような「仮面ライダー」はよ出てきてください(切実)
……あーでも、天津さんの話じゃショットライザーはまだまだ完成してないし、試作品を量産する予定もないらしい。
飛電さんの方もマギアに対抗する為の計画を進めてて、何らかのテクノロジーを作ってるみたいだけど…さり気なくワズに「進行度どんな感じ?」って聞いたら「企業秘密です」って天津さんみたいこと言われたわ。でも、常識的に考えて一般人にそんな会社の大切な情報、ましてや極秘計画の進行度なんて教えないよな(納得)
(あと、どれだけ戦えばいいのかね? 俺は)
俺はしゃがんだまま、真っ暗な空を見上げながら思う。別に今初めて思ったっていうわけじゃない。今までも何度も…それも一度や二度じゃない。何十回も思ったことがある。
戦うのは痛いし怖い。
変身した際に全能感は感じるが、それを忘れてしまう程の危機にも何度も直面する。親孝行できるだけの報酬が貰えてなかったらとっくに「仮面ライダー」なんて辞めているだろう…………なんて言って、もしかしたら続けてるかもしんない。それはその時になってみないと俺にはわからん。
(滅……分かってはいたが、あいつを倒すのが一番手っ取り早い…最短の道なんだろうな)
マギアとの戦闘、それを終わらせる一番の近道。
それは間違いなく、ヒューマギアをマギア化させようと行動している人物「滅」を倒す事だろう。…まぁ出来るならとっくにやってるんだが……あいつは神出鬼没というか、ゼツメライズキーを回収する時ぐらいしか現れないというか、すぐ消えるというか、追跡しても意味ないというか……。
まぁつまり、俺の方から探して滅を見つけられる気がしないってわけだ。うーむ……あいつの拠点とかでも見つけられたらいいんだが、今んところはさっぱりだしな。
「……帰るか」
これについては俺一人でいくら考えたってしゃあねーか。
きっぱり滅に関しての思考を中断し、立ち上がった俺は一人呟きショットライザーからプログライズキーを引き抜き変身を解除しようとした。だが、その手を俺は思わず止めて仮面の下で目を見開いた。前を向けば、
「ーーバルデル。そのゼツメライズキーを渡して貰おうか」
「! 滅っ……!?」
そこに何処から現れたのか、滅が立っていたのだ。
こいつまじでどっから…!?
驚愕した俺は思わず後ろにバックステップし滅と距離を取る。ゼツメライズキーは既に俺の手の中にある。
「渡して貰おう? 悪いけどこれをお前に渡してやる気は微塵もねぇよ」
左手に今さっき倒したマギアのゼツメライズキーを持ったまま、俺は右手でショットライザーをバックルから引き抜き滅に向ける。相手はヒューマギアをマギア化してきた滅だ……たとえ生身でも油断はしない。ついでに容赦もしない。滅は腰に刀のようなものを携えているが……
「前と違って俺はまだ戦えるぞ?」
マギアを倒したばかりではあるが、まだ俺の体力は残ってる。滅の奴がどんな手を使おうが変身している今、負ける気はしない。
……ん?だったらおかしくないか?
普通に考えてみれば…俺がまだ戦えるってのは滅だって当然わかってる筈。マンモスマギアのゼツメライズキーを回収しに現れた時、俺がもう戦闘続行が困難な状態だったと滅は理解していた。多分だがそれが分かっていたからこそ堂々とあの場に現れたんだろ? なら、今の状況…………
(ーー何でこいつは今、俺の前に現れた…?)
ただの直感と言えばそれまでだが…俺には確かに嫌な予感がし、
「そんな事は分かっている。
ーーだが、それがどうした?」
「…何っ?」
ーーその予感は的中してしまう。
「それは…!?」
(ベルト?!)
【フォースライザー!】
滅は懐から黄色と黒色のカラーリングの無骨なベルトを取り出すとそれを腰に当てた。瞬間ーーベルトの一部分に取り付けられたランプが赤く光り、それから内側に無数のトゲが付いたベルト帯が伸び装着される。しかし、滅は一切痛みを感じた様子なく変わらず淡々とした様子で告げた。
「バルデル、貴様がどれだけ一人で奮闘しても結果は同じ。我々、滅亡迅雷.netの勝利に変わりはない」
『ポイズン!』
「! お前が、なんでプログライズキーを持ってんだッ!?」
「貴様に答える必要は無い」
続いて滅が取り出した紫色のプログライズキーを見て俺は驚愕する。飛電さんや天津さん、大企業でも今の段階では一つ作るのにかなりの費用・時間・技術を必要とするハイテクノロジー……それがプログライズキーだ。滅…お前みたいな「人類滅亡」を掲げるテロリストがどうやってそれを手に入れた?
当然ながら滅は俺の疑問には答えずに、
「ーー変身」
冷たくそう言い、右手に持ったプログライズキーを腰に装着した無骨なベルトに装填した。その直後にベルトから警告音のようなものが流れ出し、赤いランプが
そして、滅は黄色のレバーに手を置き、レバーを引いた。
【フォースライズ!】
何かとんでもなくマズイことが起ころうとしている。何の根拠も無く俺は確信した。
レバーを引いたことにより装填されたプログライズキーは強制的に展開。ベルトから現れたサソリらしきライダモデルはその尻尾の針で滅の体を突き刺し覆い被さるように動く。その結果、滅は紫色のスーツを纏い最後には黒いケーブルが接続されたアーマーがゴムのように伸縮し、滅の体にかなりの勢いで当たり装着される。
『スティングスコーピオン!』
【Break Down.】
(……マジで変身しやがった……!)
「ーーバルデル、そのゼツメライズキーをこちらに渡せ」
変身した滅は片手をこちらに向け再びそう命令した。
▲▲▲
神様…そりゃねぇーだろ……。
確かに「仮面ライダー」はよ出てきてくださいとは割と本気で思ったよ? だけどさ……これはどう考えても違うだろーが! なんで一番「仮面ライダー」の力持ってたら厄介なヤツがバッチリ持っちゃってんのさ!?
都合よく信じた神様に文句を吐き捨て、俺は変身しちまった滅を仮面の下で見据えて吠える。
「ハッ、笑わせんなよ。渡して欲しいなら力づくで奪ってみろっ!」
滅の命令に従う気なんて俺には当然ながら欠片もなかった。滅の言葉を鼻で笑い俺は思い切り蹴りかかる。だが、
「ーー言われるまでもない」
「ッ! このっ…!」
「……ふっ」
滅は一歩横に動くだけでその蹴りを容易く躱す。続けて俺が拳を振るえば、それも蹴りと同じく空を切る。何度攻撃しても滅は平然と全てを最小限の動き回避し続け、
「どらぁあ!」
「ーー無駄だ」
「ぐッ!? 動きが読まれてンのか…!?」
俺の右足での渾身の回し蹴りを片腕で防ぐと、素早く俺の胴体に蹴りを入れてくる。その蹴りに怯み僅かに後退りする俺に滅は続けて口を開く。
「バルデル。貴様の戦闘能力はマギアと貴様の戦闘データから既にラーニング済みだ」
「…何だと……?」
俺の戦闘能力をラーニング済み?
こいついつの間にそんな……いや待てよ。
よくよく考えれば一月前辺りから不思議な期間があった。ヒューマギアを大量にマギア化するくせに、何故かゼツメライズキーの回収に滅が現れない期間が。
まさか、あの時に俺とマギアの戦闘データを蓄積してたってのか? もしそうなんだとしたら……。
「…用意周到だな、マジで」
「理解したか? だが今更理解したところでもう遅い」
一歩ずつ俺に歩み寄る滅。
俺はその場に立ち止まると項垂れ、
「あー確かに遅いかもなぁ。あーあもっと早くに気付けてたらなぁ…」
「……さぁ、大人しくゼツメライズキーをーー」
弱々しく情けない台詞を吐く。
滅はそんな俺に更に近付くと再び片手をこちらに向け、
「ーーなんて後悔してる暇は、ねぇんだよバァーカッ!!」
「っ……!」
ーーその手を素早く左手で掴み、俺は滅の顔面に拳を振るう。それをギリギリ顔を動かすことで避けようとした滅だが、完璧には避けきれず衝撃を受けて後ろに下がる。
初めて攻撃を当てられた事に僅かに喜びを感じた俺だったが、ライジングホッパーのパンチがそれほど強力じゃないことと滅の装甲の硬さによって大したダメージが入っていないとすぐに悟り、
「やっぱり『蹴る』より『殴る』方が俺の性に合ってるな!」
『ストロング!』
俺は素早くアメイジングヘラクレスプログライズキーを出してボタンを押す。続けてショットライザーに装填されているライジングホッパープログライズキーを取り出し装填した。
【オーソライズ!】
【Kamen Rider. Kamen Rider.】
【ショットライズ!】
プログライズキーを展開し、すぐに俺はショットライザーをバックルから取り外し滅に銃口を向けトリガーを引く。
発射された弾丸を滅はひらりと躱す。
「おらぁあっ!!」
『アメイジングヘラクレス!』
【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】
戻ってきた弾丸にいつもの如くアッパーを打ち込み、俺はアーマーを装着してフォームチェンジする。
「フォームチェンジか。だが、結果は同じだ」
「そうか? そりゃあ…試してみなきゃ、分かんねぇだろッ!」
一番使い慣れたアメイジングヘラクレスで俺は滅に接近し右のパンチを放つ。それを滅は避けるが俺は構わず次に左のパンチを噛ます。
「ふん」
「ぐッッ…! まだまだァ!」
当然それも予測済みらしく腕で軽々防がれ、俺の腹にカウンターの鋭い拳が刺さるように直撃する。それを受け俺は地面を転がるが、地面に手を置きすぐに立ち上がる。そして、ダッシュし滅にアッパーを打ち込もうと右拳を振り上げたが、
「無駄だと言ったはずだ」
「っ! このやろッーー」
ーー滅は振り上げた俺の右拳を軽々と右手で掴んで防ぐ。防がれたことに僅かに驚きながら俺がすぐに左拳で殴りかかれば、それを滅はもう左手で弾き、
「貴様のやり方に付き合う気は無い」
「がッ…!?」
(な、何だよコレっ…?!)
左腕に付いた黒い針のような物を俺の胴体に突き刺した。その瞬間、刺された部分から火花が散り俺は後ろに倒れかけたが、何とか耐え……ーー体の違和感に気付き地に片膝をつく。
「体がっ…! 動か、ねぇ……!?」
「この針から貴様の体に神経毒を注入した。
自由を失った今、貴様に出来ることは無い」
「て、めえッッ…!!」
違和感の正体、身体の自由が失われた理由は滅自身の口から簡潔に述べられる。マズい。マズいマズいマズい!! 今の状況じゃ防御も回避もできない。ましてや反撃は勿論、必殺技も使えない。打つ手なし……滅にとっちゃ隙だらけの絶好の機会…やりたい放題ってことだ!
動揺する俺に一歩また一歩とゆっくり接近しながら滅は右手をレバーに移動させーーレバーを押して戻す。それによりプログライズキーは閉じ、途端にベルトのランプが
(くそッ! 動け動け動け動けっっ!!)
そのベルトの待機音が俺の不安を、焦りをより一層駆り立てる。更に滅の右足に異様な形をした管が複数伸びて集まる。あまりにも
いくら願っても体の自由は神経毒に侵され戻らない。
「ーー滅亡せよ」
【スティング ディストピア!】
紫色のエネルギーが滅の右足に収束する。
そして、滅は短く呟くと右足を上げ蹴りの構えを取り、
「ーーッッッ!!」
俺の首を的確に。
容赦無く突き刺すように。
横蹴りで蹴り抜いた。
蹴られた首から赤黒い火花が散る。
息が漏れ、直後に俺の今までの人生の中で間違いなく最も「激烈」な痛みが走った。
「ぐわあああああああッッ!!!」
次の瞬間、悲鳴を上げた俺の体は爆発をした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ッ……く、そ………)
ーー爆煙と炎の上がる一帯。
変身が変身者である俺の体力の急激な低下を察知し、強制的に解除され俺は地面に頭からどさりと倒れる。再変身する力は……それどころか戦う力はもう俺の体には残っていない。
文句なしの完敗だった。
「…………」
滅は倒れた俺の体から落ちたゼツメライズキーを手に取ると、暫くその場に立ち尽くす。
何だ…? 何を考えてる?
変身が解除された俺など滅からすればいつでも始末出来る存在だろうが、それでも無駄に生かしておく必要はない筈だろう。効率的なタイプであろう滅なら尚更……だからこそ理解できない。
(……は……!?)
死を覚悟する俺が次に聞いたのは信じられない滅の一言。
更に俺の目に映った滅の行動は俺には理解不能なものだった。
「ーーそれがアークの意思ならば、従うまで」
滅はそれだけ口にすると、レバーを戻しベルトからプログライズキーを引き抜き変身を解除したのだ。
そして、そのまま俺に背を向けマンモスマギアの時のように歩き去ろうとする滅。
「ぐッ…なンの、つもりだァ……!」
「貴様の完全な排除よりもゼツメライズキーの回収、戦闘データの収集を俺は優先する。また…アークは貴様に利用価値を見出した、それだけの話だ」
立ち上がる力は無い。
だが、思わず俺は血を吐きながら声を上げていた。
それに滅は一度だけ足を止めると、振り返る事なく淡々と喋りまた再び歩き出す。
(何だよ、何だよソレッ……!!)
プライドを傷つけられた……何て言い方は一般人の俺には大したプライドなんてないんだから違うんだろう。多分言うなら…コケにされた、が正しいんだと思う。
お前などいつでも始末できる。相手にもならない。
そんな思いが遠回しに伝わってくる滅の「利用価値」という言葉に「立ち去る」という行動。
怒りが次から次に心の中に沸く。
歯を食いしばりながら、滅の背を睨む。
(アークの意思、アークの意思ってーー)
ーー気付けば俺はもう一つの怒りの「要因」を滅の背に向かって叫んでいた。
「ーーじゃあッ…! お前の意思はどこにあんだ!? 滅ッ……!」
俺の叫びに滅は応えることなく遂にその姿は闇の中に消える。
「ちく、しょ……う…ッ………」
そして、俺は限界を迎えーー意識は途切れた。
「ぁ………」
あ、生きてた。
目が覚めれば一日が経ってて、そこはデイブレイクの被害に遭った時もお世話になったあの病院の病室だった。誰が俺に救急車を呼んでくれたのか……天津さんか?ワズか? それとも爆発で上がった煙を見た他人かヒューマギア…? 誰でもいいがちゃんとお礼言わなきゃな……。
あと美月だけじゃなく母さんも病室に来ていた。
息子の退院日にドライブを満喫するブッとんだ性格してるあの母さんまで俺を心配してたから「相当だなぁ…」と他人事みたいに思ってしまった。まぁ流石に裂傷と打撲、骨まで何本か折れてたし心配するのは当然か? それで心配しなかったらホントに俺の母親か疑うわ……まぁ正直家族には心配かけなくないからさ、心配してくれなくても俺的には全然OKなんだけどな。
「…………」
入院一週間頃。
ドクターから「退院まで後一ヶ月です」と告げられ、我ながら自分の体について「頑丈過ぎ…しぶと過ぎない!?」と内心驚愕していた時。ーー俺のスマホが鳴った。
「はい、もしもし」
『太陽君。傷の具合はどうです?』
「いきなりなんですか……。まぁ、順調に回復してますよ。我ながら異常な速度でね。もしかしてこれ『仮面ライダー』になった影響とかだったり…?」
『残念ながらライダーシステムにそんな機能は搭載されていませんから、その回復速度は君本来の……もはや「天性の」と付けても過言ではない頑丈さによるものでしょう』
「天性、ねぇ…」
頑丈さには確かに少し自信あったが、まさかここまで頑丈だったなんてなぁ。……ここまで頑丈だとあれだな。「俺は不死身だ」とか「俺は死なない」何て名言言っても許され…あ、すんません許されませんよね! すんません冗談です!(平謝り)
「…それで、天津さんは何で俺に連絡してきたんですか?」
滅との戦闘により病院送りになった事。それについては入院二日目ぐらいの頃に既に天津さんに報告していた。初めての敗北報告を伝えるのは……気分的には最悪だったけども。
『私が今日君に電話したのは他でもない。「滅」の最近の動向について…幾つか明らかになりましたから、それを伝えようと思ったのです』
「! ……天津さん、教えてください」
………………。
伝えられた滅の動向。
それは俺にとっては予想外の内容でもあったが、有り得なくはないなとも思えた。アークの意思は俺に利用価値を見出した…そう滅は言っていたが、意思なんてもんは状況が変わればコロコロ変わっても何らおかしくないのだから。
「……ありがとうございました。天津さん」
『太陽君……君は……』
「ーーんじゃ、切ります」
俺は一方的に電話を切る。
ーー病室の扉がちょうど開いた。
「バカ
心配そうに声を掛けてくる美月。
おまっ…どんだけ心配してんだ。そんなひどい顔してんのか俺っ? 一度ため息を零して俺は口を開く。
「ーーお前の方が心配し過ぎである意味怖い顔してるっつーの。…大丈夫だっての。あ、いや、まだ怪我は完治してねぇけどな?」
美月の目に映る俺がいつも通りの「俺」に見えるよう……俺は精一杯普段の調子で言ってやった。
残念ながら、
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!
・滅
本作では独自設定でデイブレイク後すぐ既に「人類絶滅」の為にアークに従い計画を進行していた。内容はヒューマギアのマギア化、ゼツメライズキーの回収とゼロワン本編の序盤と同じ感じ。
ちなみに本作でも滅茶苦茶強い設定で今回は不破さんと滅の初戦をかなりリスペクトさせてもらってます。(時間軸的にアタッシュアローは無い)
あれ不破さんが意識不明の重体になるような一撃受けてなんでこのオリ主生きてるんでしょうか? ……これは主人公補正ですね間違いない。
今後のストーリーについて
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次章はよ!
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ここで綺麗にお終い!
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作者のご自由に!