デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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休憩の間にちょこちょこ書いていた令ジェネ番外編2になります。
「はよ次章かいてどうぞ」と思ったそこのあなた。
まだ次章は未定ですので「次章出たらいいなぁ」ぐらいの気楽な気持ちで気長にお待ちいただけると幸いです。

※オリ主を先輩っぽく「頼りになるヤツ」風に書いていたら何故かわけわからんぐらい強くなりました……。
※今回は三人称視点です。

それでは、どうぞ!


先輩と後輩は仮面ライダー!

 

「チッ、弾切れか…」

 

 ーー舌打ちした「不破諌」は弾切れになった拳銃をホルスターに納め、壁から顔を僅かに出して敵であるトリロバイトマギア達に目を向ける。

 

 その数は数十以上。

 比べて現在、この場に居る人類側の戦闘員はたったの数人。しかもその何人かは負傷者を抱えているため戦闘には加われない状況だった。

 

 レジスタンスの拠点の一つ。

 そこは今ヒューマギア達からの襲撃により大打撃を受け、撤退するほどまでに追い詰められていた。

 

 

「不破ッ!また新手が来るぞ!」

「くそッ…こうなったら……!」

 

 ーー「刃唯阿」の言葉を聞いた諌は懐から青い銃、ショットライザーが付いたバックル・ベルトを取り出す。この場を切り抜けるにはもう変身するしかない、そう判断した諌に唯阿は叫ぶ。

 

「不破! 天本さんからの命令を忘れたのか!? 変身はするな!」

 

 レジスタンスで最も活発に行動し、人類の存続に大きく貢献している男ーー「天本太陽」。本人はずっと認めず否定しているが、実質的なリーダーである彼の命令は彼等にとって重要である。

 

『不破、今のお前の体は軽々と変身できるような状態じゃない。だから変身は極力控えろ。……でも、もしどうしようもない時は派手に暴れちまえ…まぁ本気で緊急事態の時だけだからな? 変身するにも資源とかめちゃくちゃ掛かっちまうから」

「ハッ! お前こそ忘れたのか刃? 緊急事態の場合は例外…そういう命令だったろうが!」

ショットライザー!

「刃、全員の避難はお前に任せたぞ!」

「! 待て不破っ!」

 

 ベルトを腰に装着した瞬間にショットライザーが起動する。諌は刃の制止を聞かずに壁からヒューマギア達が跋扈する表に躍り出ると獰猛に吠える。

 

バレット!

「ヒューマギアは残らずぶっ潰す!

 ーーうおおお!!

オーソライズ!

 

 取り出した青いプログライズキーを諌はメキメキと音を立てるほど強引に展開すると、勢いよくショットライザーに装填した。

 

【Kamen Rider. Kamen Rider.】

「ーー変身!」

ショットライズ!

 

 バックルからショットライザーを引き抜き、高くショットライザーを上げ素早く銃口を的に向けてトリガーを引く諌。発射された弾丸はトリロバイトマギアを数体巻き込み弾き飛ばす。

 

 最後に諌は自身の元に戻ってきた弾丸を真っ直ぐ殴りーー青と白のアーマーが展開装着された。

 

シューティングウルフ!

【The elevation increases as the bullet is fired.】

「ーーおおおおおおお!!」

 

 変身を完了させた「仮面ライダーバルカン」は単独でヒューマギアの群れの中に飛び込む。その「獰猛さ」と「果敢さ」はまさに狼の如くーー。

 

 

 ───────────────────────

 

 

「すいません、俺のせいで…!」

「謝るな。謝る暇があるなら前を向け! 生きることを諦めるな、そう天本さんも言っていただろう? ……必ず全員で生きて帰るぞ!」

「はい……!」

 

 謝る一人の負傷者を叱責した唯阿は生き残った仲間達を撤退させるために戦闘可能な者たちと共に道を切り開いていた。

 

(このままじゃ遅かれ早かれ弾薬が尽きる……)

「やるしかないか…」

 

 弾が尽きかけている拳銃を足につけたホルスターに仕舞い、唯阿は諌が持っていたものと同じ青い銃ーーショットライザーを取り出す。

 

「ニンゲンハ、ゼツメツシロッ!」

「がっ! ぐうぅ…!」

「! やめろっ! 道具の分際で、私の仲間に手を出すな!」

ショットライザー!

 

 そして、トリロバイトマギアにより首を力強く掴まれた仲間を見て迷わずショットライザーを起動し、トリガーを引いてトリロバイトマギアの頭部を撃ち抜いた。無事助けられた仲間に肩を貸し唯阿は壁に向かい仲間の体をそっとそこに隠し、

 

「お前達の相手は私だ…!」

ダッシュ!

オーソライズ!

 

 ーー撤退するための道を塞ぐトリロバイトマギア達の注意を引きつけるようにそう声を上げると、腰に装着していたバックル・ベルトにショットライザーを取り付けオレンジ色のプログライズキーのボタンを押してから中に装填する。

 

Kamen Rider. Kamen Rider.

「ーー変身…!」

ショットライズ!

ラッシングチーター!

【Try to outrun this demon to get left in the dust.】

 

 続けて左手で装填したプログライズキーを展開しトリガー引く。次の瞬間に弾丸が発射され、弾丸は地面に着弾せず不思議な軌道を描き唯阿の肩に着弾し直後にアーマーが展開装着された。

 

「ーー行くぞっ……はあ!」

「! グガッ…!」

 

 変身が完了した「仮面ライダーバルキリー」はその俊足で一瞬で敵との距離を詰め早速トリロバイトマギアの一体を膝蹴りを入れ吹っ飛ばす。

 

 

 

 バルカンとバルキリー。

 二人の仮面ライダーの活躍により、なんとかレジスタンスのメンバーはか細い生存への糸を掴み。

 

 

バレット!

「これで終わりにしてやるよ! はあああーー」

シューティング ブラスト!

 

 

「私達は必ず生き残る! その為にーー」

ダッシュ!

「ーーお前達を破壊する!」

【ラッシング ブラスト!】

 

 ショットライザーに装填したプログライズキーのボタンを押し、エネルギーが収束する銃口を徐にトリロバイトマギア達に向けーー諌はトリガーを引く。

 

 同じくショットライザーに装填したプログライズキーのボタンを押して、唯阿は素早くトリガーを引くと敵の周囲を高速で走りながら連射する。

 

 

シューティングブラスト

 

 

ラッシングブラスト

 

 それぞれの場所で二人は互いに必殺技を発動する。

 

「ふぅわああああーー!!」

 

 

「せやああああーー!!」

 

 

「「ッッ!!!」」

 

 発射された巨大な青い弾丸は同時に数十体のトリロバイトマギア達を容赦なく粉砕して倒しーー。

 連射された複数の弾丸は的確にトリロバイトマギア達の急所を貫通しその機能を完全に停止させーー。

 

 

 

 

 

「さっさと刃達に合流しねぇとな…」

 

 二人の仮面ライダーは無事にその場を切り抜けた。

 諌は仲間達に合流しようと動き出し、

 

「全員今の内だ! 急げ!」

 

 唯阿は仲間達を無事撤退させようと動き出す。しかし、

 

対象を発見ーー人類は滅亡せよ……

「っ! お前は……!」

 

あははは! みぃんなーー逃がさないよ?

「何だと……!?」

 

 ーー切り抜けたといってもそれは一時の話。

 新たな脅威が二人の前に立ちはだかった。

 

 バルカンの前には「滅」が。

 バルキリーの前には「迅」が。

 

ポイズン!

 

 滅は刀を腰に携えた鞘に納めると、取り出した紫色のプログライズキーをボタンを押す。

 

 

ウイング!

 

 迅は持っていた拳銃を仕舞うと、取り出したマゼンタ色のプログライズキーをふわっと宙に投げ片手でキャッチするとボタンを押す。

 

「ーー変身」

「ーー変身!」

フォースライズ!

 

 滅は冷ややかに、迅は楽しそうに言ってプログライズキーをベルトに装填。瞬間に二人のベルトに取り付けられたランプが赤く不気味に点滅し始め、更にまるで警告音のような待機音が流れーーレバーが引かれる。

 

スティングスコーピオン!

Break Down.

「滅ッ……!」

「人類、今日こそ貴様らを滅亡させる」

 

 変身を果たした滅を諌はショットライザーを構えて油断なく見据える。

 

フライングファルコン!

Break Down.

「迅…!」

「うん、そうだよ! 僕は迅!」

 

 変身を果たした迅から唯阿は仲間達を庇うように前に出る。

 

「うおおおおーー!!」

「全員逃げろっ! はあッ!」

 

 諌は滅に突進していき、唯阿は仲間達に逃げるよう叫ぶと迅に立ち向かう。ーーその勝敗は火を見るより明らかだった。

 

 

───────────────────────

 

 

「刃! 随分とまぁボロボロだな?」

「! 不破、無事だったか!」

 

 ヒューマギアの仮面ライダーに襲われた諌と唯阿は、敵の注意を引きながら拠点内を走り偶然合流を果たす。二人は短いながらも互いの現在の状況を共有する。

 

「そっちにも仮面ライダーが……まずいな」

「バルデルが言ってたな……ヒューマギアの仮面ライダーとの戦闘は可能な限り避けろって。…確かにあの強さはとんでもねぇが、諦めるわけにはいかねぇ」

「あぁ、そうだな」

 

 再び決意を新たにした二人は生きる為に抗うことを迷わず選択した。そんな二人の前に、

 

「逃げられると思っているのか?」

「見〜つけた! あっ、滅もいるー!」

「っ! くそ、追いつかれたか……!」

「ここが正念場だな…!」

 

 ーー諌を追いかけていた滅、唯阿を追いかけていた迅が現れる。最悪な事にヒューマギアの仮面ライダーも合流を果たしてしまう。

 

「刃、まだやれるか!?」

「当然だ!」

 

 二人は気力を振り絞り戦闘を再開する。

 

「滅、一緒にやっちゃおうよ!」

「あぁ……行くぞ、迅」

 

 走り出すバルカンとバルキリー。

 それを容赦なく迎え撃とうと滅は紫色の弓ーーアタッシュアローを溜めて構え、迅は青い散弾銃ーーアタッシュショットガンを構え、

 

「どおおーんっ!」

「はぁー……はあ…!」

 

 ーー撃ち放たれたその遠距離攻撃を諌と唯阿は何とか回避し、諌は接近戦を唯阿はショットライザーをバックルから引き抜き射撃戦を挑む。

 

「ッ! うおらああぁあ!」

「当たれッ!」

「遅い」

「あはは、当たらないよ〜?」

 

 だが滅は諌の怒涛の接近攻撃を容易く防ぎ、迅は室内の中で飛行し唯阿の射撃攻撃を全て避ける。更に滅は鋭いカウンターを諌に打ち込み吹き飛ばし、

 

チャージライズ!

「いっくよー!」

フルチャージ!

「! しまっーー」

 

 ーー迅は高速飛行で唯阿の背後をとるとアタッシュショットガンを空中でアタッシュモードに戻し、再びショットガンモードにする。唯阿は背後の迅に気付き振り返るがもう遅い。

 

カバンショット!

「はあああ!」

「!? ぐわあぁ……!」

「ーー刃ァ! この鳥野郎!」

 

 強烈な一撃をまともに受けた唯阿は倒れ変身は強制解除される。それを見た諌は怒りを露わにしてショットライザーを空中を飛ぶ迅に向ける。

 

ポイズン!

「どこを見ている貴様の相手は俺だ」

【Progrise key comfirmed. Ready to utilize.】

スコーピオンズアビリティ!

 

 しかし、それは滅から目を離すということであり…この状況下でのその行動は最大の悪手だった。滅はフォースライザーのレバーを押し戻し装填したプログライズキーを引き抜くとアタッシュアローに装填する。

 

「何ッ!?」

「ーー滅びよ」

スティング カバンシュート!

 

カバンシュート

 

「があああッーー!!」

 

 瞬間、アタッシュアローから放たれた紫色の鎖のような管が伸び諌の体を拘束し高速かつ強力な一撃が諌の体を貫いた。そして唯阿に続き諌までもが変身が強制解除され倒れてしまう。

 

「があッ……まだ、だあッ…!」

「無駄だ。その体では再変身も不可能だろう」

「くッ……!」

 

 立ち上がろうとする諌。足につけたホルスターから拳銃を抜き、迅の攻撃を受け震える手で拳銃を構える唯阿。二人は諦めず最後まで抵抗しようとするが。

 

 

「楽しかったけど、もう終わりにしちゃおっか?」

 

 まず最初に動いたのは迅だった。

 地に片膝をつく唯阿へ迅は歩み寄るとアタッシュショットガンを向ける。

 

「! 刃あぁぁあーー!!」

「くッ!」

(ここまでか……すいません、天本さん…!)

 

 アタッシュショットガンのダメージにより自力では動けず、回避ができない唯阿は防御の構えをとり固く目を閉じる。諌はそんな唯阿を助けるべく叫び動こうとするが、彼もまたアタッシュアローのダメージによってまともに動けない状態だった。

 

 唯阿は心の中で自分を信じて、仮面ライダーに選んでくれた男に謝罪を述べる。

 

「ーーじゃあねバルキリー」

 

 迅はそう言ってトリガーに手を掛けてアタッシュショットガンを発射する、

 

 

 

 

おい勝手に人の後輩を殺そうとしてんじゃねぇよ

 

 ーーその直前、何かを力強く掴む音と聞き覚えのある声が唯阿の耳には届いた。

 

 

 ───────────────────────

 

 

 唯阿が目を開けばそこには、

 

「! あ、天本さん…!?」

「バルデルかっ!?」

「よぉ二人とも。いつの間にか大ピンチに陥ってんな? まぁ生きてて何よりだわ」

 

 迅が唯阿に向けたアタッシュショットガンを横から掴み強引に照準をずらす……黄緑色と白色のアーマーを装着した戦士、天本太陽(バルデル)の姿がそこにはあった。太陽は危機的状況の真っ只中に居るとは思えないほど気楽さを感じさせる態度で、諌と唯阿に声を掛けながらーー迅からアタッシュショットガンを奪い取り後ろ蹴りで迅を蹴り飛ばす。

 

「うわっ…! おっとと!」

 

 迅はギリギリで翼を駆使し何とか着地する。そして、滅と迅もまた諌と唯阿と同じくバルデルの登場に多少なりとも驚きを露わにする。

 

 滅にとっては彼がここに現れるのは計算外だった。

 

「バルデル……」

「バルデルっ!? わぁーい! また僕と遊んでくれるの?」

「ハッ、誰がお前みたいなサイコパスと遊ぶかっての……」

 

 現れた太陽を目の当たりにした滅は油断なくアタッシュアローを構え、迅は心底嬉しそうに声を上げる。太陽は呆れたように息を吐くと、

 

「お前達は、不破と刃を連れてすぐにこの場から離脱してくれ。それまでの間…ーーこいつらの相手は俺に任せろ」

「「「了解!」」」

 

 引き連れてきたレジスタンスの仲間達に太陽は簡潔に指示を出す。太陽の後方から現れた仲間達は、その指示に迷いなく頷くと、連携のとれた動きで怪我を負った諌と唯阿に肩を貸す。

 

 太陽はアタッシュショットガンを構え、滅と迅と対峙する。

 

「! た、単独で二人を……!?」

「無茶な真似はよせ! バルデル!」

 

 だが太陽の指示に迷いなく頷き従った仲間達とは違い、実際に滅と迅と今の今まで戦っていた二人は声を上げる。太陽の行動があまりにも危険で無謀なものだと思ったから。

 

「天本さん貴方はまさか…!」

(自らの命を懸けて私達が逃げるまでの時間をーー)

 

 振り返ることなく前を向く太陽。

 その姿にある予感を覚えた唯阿だったが、

 

「勘違いすんなよ? お前ら二人が死んだら俺の負担が今以上に増えて困るんだよ……だからこれは俺の為の行動だ」

 

 過労死なんて死んでもごめんなんだよ、そう言う太陽。諌と唯阿は彼と共に戦う中で、天本太陽が仲間を守るためなら迷うことなく死地に飛び込むような人物だと知っていた。

 

「たった一人で我々に勝てると思っているのか?」

「滅と一緒なら、バルデルにも負ける気しないよ!」

「バーカ。お前らの撃破よりあっちを優先させるに決まってんだろ」

 

 滅と迅の発言に太陽はシンプルな罵倒を飛ばすとアタッシュショットガンを両手で持ち発射する。本来なら反動で発射した側にも衝撃が来るはずだが、アメイジングヘラクレスのパワーはアタッシュショットガンの反動にも力負けしなかった。

 

「バルデル! 僕の銃返せぇ!」

「返して欲しけりゃ力付くで奪ってーーみやがれッ!」

「うわああ…!?」

 

 アタッシュショットガンの一発を飛んで避けた迅は高速で太陽に接近しその翼で襲いかかろうとするが、太陽は最小限の動きでそれを躱すと素早く振り返り隙だらけな迅の翼にアタッシュショットガンを打ち込んだ。それにより翼が損傷し迅は着地に失敗する。

 

「はあっ!」

 

 滅はその太陽へとアタッシュアローを向け一矢を放つ。だが、

 

【チャージライズ!】

「おっと…!」

 

 太陽は咄嗟にアタッシュショットガンをショットガンモードからアタッシュモードへと変え、滅の攻撃を防ぐ。そして太陽はアタッシュショットガンをアタッシュモードにしたまま滅へと接近する。

 

「らあッ!」

「くっ……!」

 

 その間に滅は何度もアタッシュアローを連射するが、太陽は巧みに全てを防ぎ切り滅との距離を詰めてアタッシュモードのアタッシュショットガンで殴りかかった。

 

「甘い…!」

「ぐッ…なら!」

【フルチャージ!】

 

 アタッシュモードからショットガンモードに変えたアタッシュショットガンを超近距離で放とうとする。滅は迷わず後ろに飛び退こうとしたが、

 

「これでもくらいやがれ!」

【カバンショット!】

「がはっ…バルデル、貴様……!」

 

 タイミング的に滅がバックステップでアタッシュショットガンの射程距離外に到るより早く、太陽はアタッシュショットガンのトリガーを引く。滅はアタッシュショットガンの一撃を受けて後ろに僅かによろめいた。

 

「どうしたさっきまであいつら二人ボコってた時の勢いはどうした?」

「バルデルぅー! そらああ!」

「うおっ危ねッ!?」

 

 後方からの迅の蹴りを躱し続けてのパンチを片腕で弾く。そして迅は再び翼で宙に飛び上がると、勢いよく降下して飛び蹴りを噛ます。太陽はその飛行の動きを落ち着いて捉え予測しローリングで避けた。

 

「はっ!」

「くっ! おりゃああッ!」

 

 そんな太陽へと素早く距離を詰めた滅はアタッシュアローで斬りかかる。アタッシュアローによる攻撃を受け太陽のアーマーからは火花が散るが太陽はすぐに反撃のボディブロー……滅の予測により完璧に防御されると分かっている一撃を放ち、

 

「らあああ!」

「ぐッ……!」

 

 防御されるタイミングで左手に持った、ショットガンモードのままのアタッシュショットガンで滅の頭部をぶっ叩く。予測できていなかった攻撃に滅は一瞬防御が遅れ、僅かに後退する。

 

 迅はアタッシュショットガンを巧みに使う太陽に、子供のようなことを叫ぶ。

 

「いい加減僕の銃返してよぉー!」

「ンなこと言われて誰が素直に返…………返して欲しいか? ならいいぜ?」

「え! ほ、ホントに!?」

 

 アタッシュショットガンを返せと声を上げる迅だったが、太陽の予想外の台詞に驚き喜び戦闘だということを忘れたような態度になる。

 

「あぁホントだ。ほーらよッ!」

 

 ーー太陽はアタッシュショットガンを雑に迅の方へと高く投げた。それをキャッチしようと動き出す迅。滅は太陽へとアタッシュアローを構えた。

 

 

「ーー悪いな、迅」

ストロング!

「よし! とれた!」

「! 迅、避けろ…!」

「えっ?」

「ーー爆ぜろッ!」

 

 迅にアタッシュショットガンを投げた瞬間、バックルに付けたままのショットライザーに装填されたプログライズキーのボタンを押した太陽はーーバックルからショットライザーを引き抜き、アタッシュショットガンをキャッチするのに夢中になっている迅へとその銃口を向ける。

 

 それを見た滅は必殺技を止めるべくアタッシュアローを放つ。

 

「やらせるか…!」

「遅え!」

「くっ…ならばーー」

アメイジング ブラスト!

 

 しかし、アタッシュアローは避けられ、太陽は必殺技を発動させた。滅はアタッシュアローによる妨害が失敗した直後、迅を庇うように迅の前に移動する。更にサソリのライダモデルを出現させ完全な防御の構えをとった。だが、

 

「引っかかったなーーおらあッ!

「何っ……!?」

 

ストロング

ブラスト

 

 

 それは太陽の狙い通りの行動だった。太陽はエネルギーが収束するショットライザーの銃口を向ける先を迅からーー「天井」へと移した。

 

「さっき言ったろ? お前らの撃破よりあっちを優先させるって!」

 

 太陽が必殺技の一撃により天井を破壊し途端に大量の瓦礫が次々に落ちていき太陽も滅も迅も、全員が回避行動をとる。結果、瓦礫により道を完全に塞がれた。

 

「ああー!? バルデル逃げるなぁー!」

「やられたな……待て迅、今から瓦礫を撤去しても無駄だ。バルデルには追いつけない」

「もぉー! また倒し損ねたぁ…!」

 

 瓦礫をどかしてバルデルをすぐに追おうとする迅を滅は冷静に制止する。変身した状態なら瓦礫を撤去することは容易いが、この数の瓦礫を撤去し道を開くには少なくとも五分は掛かると滅は理解した。

 

 

 バルデルへの警戒を改めて引き上げる滅

 悔しがり地団駄を踏む迅。

 

「……はぁー、何とかなったなぁ」

(不破と刃は無事救出できた……あの諸悪の根源(ラスボス)、あんな化け物生み出しやがって…改めてぶん殴りたくなってきたわ)

 

 滅と迅との戦闘を無事終え、諌と唯阿を連れて撤退した仲間達の後を追った太陽は無事にレジスタンス拠点に帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい諸悪の根源(ラスボス)、あんな化け物作りやがって…一発殴らせろ」

 

 帰還し天津の元へやってきた太陽の第一声。

 それを聞いてから太陽の姿を見た天津は……滅と迅と戦闘した後とは思えないほど大した怪我を負ってない、ほぼ無傷の彼に率直な感想を述べた。

 

「君の方が化け物では…?」

「……は? どこがだよ?」

 

 心底わからないといった様子で首を傾げる自称一般人…実質的なレジスタンスの最高戦力を見て天津は思わず目を覆った。

 

 またその後、不破と唯阿に感謝され戦闘について色々と質問責めされるのだが……太陽は専門的なアドバイスなどさっぱりできないのでこう言ったという。

 

 

「いやお前らも十年ぐらい戦えばこんぐらいできるようになるわ。つうかセンスは俺より上なんだからーーその内俺なんて抜くだろ?」

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!

(めちゃ長い適当キャラ紹介↓)

・不破諌(26)
「ヒューマギアをぶっ潰す」の思想の持ち戦う男。
令ジェネの世界だと、多分初期の不破さんより大分仲間思いかついい人。戦闘センス自体は太陽以上。だが今回の番外編ではまだまだ「仮面ライダー」の戦闘において経験不足な部分がある。

多分、この世界でバルカンの戦い方が若干荒く激しいのは多少はバルデルが影響していると思われる。太陽曰く「すぐ暴走する、基本は常識人」太陽と刃曰く「野良犬(冗談)」とのこと。

・刃唯阿(24)
武器の開発も戦闘をこなすハイスペックな人。
諸悪の根源こと「天津垓」は非常に嫌っている(当たり前)
太陽のことは普通に先輩として尊敬している。

・滅
この世界でも変わらず最強格のヒューマギア。多分太陽との因縁も元の世界と変わらず……いや、もしかしなくてもレジスタンスの仲間が何人か滅によって確実にやられているので元の世界より因縁は深い。ラーニング能力は健在だが、十年以上の戦闘の中で太陽は既に滅と互角以上の戦闘技能を得ているためにあまり目立たない。

・迅
初期の純粋な迅。純粋に人間を殺すこと・戦うことを楽しんでいるため、人類側からするとかなり恐いヒューマギア。本作では何度もバルデルと戦闘しているが毎度決着はつけられていない。また太陽には友達感覚で襲いかかってくる。太陽曰く「サイコパス(天然)」

次章スタートしちゃっていいですか?

  • イッテイーヨ!(やったれの意)
  • マッテローヨ!(もうちょい待ての意)
  • 作者にお任せ!

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