次章を投稿した際にはもしかしたらこれが「第0話」的な感じになるかも……そんな回です。
※今までの話で一番滅茶苦茶(意味不明)な回です。「何でこうなったの?」「時間軸は?」とかツッコミどころ満載なので深く考えずに頭を空っぽにして読んでいただければ幸いです。
※この回を見なくても次章にはあまり影響ありません。
それでは、どうぞ!
これはある男が目覚めるまでに見ていた夢…のようなもの。
夢のようなものを見た彼自身、目覚めてしまえばそれがどんな内容だったか……微塵も思い出せないだろう。
これはそんな「
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そこにはただただ終わりのない真っ白な世界が広がっていた。
わからない。わからない。わからない。
真っ白な世界を独り歩く僕には何もわからなかった。
「ーー僕は、一体……」
片手で頭を抑えながら「何か」を思い出そうとするが、まるで元より思い出すことが何もないかの如く僕の頭には何も浮かばない。
自分が何故ここに在るのか。
それこそ自分が何者なのかーー自身の名前さえ。
(……進んでみるしかないーー)
何もわからない中、真っ直ぐに先に見える眩い「光」に向かって僕はひたすらに歩いていたんだ。
「あと、少しだ…」
歩き続けてどれだけの時間が経ったのかはわからないが、僕と「光」の距離は順調に縮まっていき……その光に僕がとうとう到達しようとしたーーその時だった。
「ーーそれ以上は行かない方がいいよ。
行ったら、もう戻ってこられなくなるから」
「……え……?」
どこからともなく声が聞こえたと思ったら突如として世界に亀裂が走りーー真っ白だった世界が暗転する。
「! あ、あなたは……?」
そして、何が起こったのか全く分からないまま僕が振り返ればそこには不思議な雰囲気を纏う青年が立っていた。暗闇の中、青年が立つ場所だけはライトアップされたようにくっきりと見える。
「そっか……そりゃ覚えてるわけないよね」
「?」
「いや、俺が誰か…だっけ?
ーー俺は常磐ソウゴ、仮面ライダージオウ」
一瞬「あ、そっか」といった顔をしてからどこか寂しげに笑った青年はすぐにこりと微笑むとそう名乗った。
常磐ソウゴ、さん……?
当たり前だけども僕の知らない名前だ。
……というか「かめんらいだー」って一体…?
「何もわからないって感じかな? ここがどこなのか、自分が何者なのかも」
謎が増えた……そう思う僕の表情を見て、すぐに考えを読み取った常盤さんは言う。僕は驚きつつもすぐに頷きこう聞いた。
「あの、常磐さんはここがどこか知ってるんですか?」
「うん、知ってるよ」
「! 本当ですか? じゃ、じゃあーー」
「ーーでも、これを今のあんたに教えても余計に混乱させるだけな気がする……まぁ簡単に言っちゃえば、ここはあんたの【夢の中】…みたいなものだよ」
「ゆ、夢の中……?」
常磐さんの予感は的中し、僕は余計に混乱した。
ここが夢の中? それも夢の中「みたいなもの」?
……ダメだ……。
聞いたら余計わかんなくなってきた。
「そんな難しく考えないでいいよ。あんたはただ、あんた自身をここでちゃんと思い出せばいいだけだから」
「僕自身を……?」
「そう。あんた自身を。……でもまぁ、流石に自力じゃ思い出しようもないよね? ーーだから俺が来たんだ」
「えっ…?」
僕自身の事を思い出す……その為に常盤さんが来た? それは…一体どういうことだ? 混乱・困惑しっぱなしの僕に常盤さんは歩み寄ると、
「はい。これ」
ーー僕の手に黒いストップウォッチ?のようなものを持たせた。
「? ーー
そのストップウォッチ?は僕が手にした途端、突如緑色に発光して熱を持つ。反射的に手からストップウォッチ?を離すが、僕は足元に落ちるギリギリでしゃがんでストップウォッチ?を何とかキャッチ。
ほっと息を吐き改めて手にあるそれを見てあっと驚く。
「うん、やっぱりあんたは【仮面ライダー】だよ」
手に持っていた元の色が黒ベースだったストップウォッチのようなものはその色・外観が変化し上部は黒、下部は鮮やかな黄緑のものになっていた。またストップウォッチのようなものの表面には何かの顔らしきものが描かれている。
「ボタンを押してみて」
「ボタン? あ、こうですか?」
戸惑いながらも常盤さんの指示通りに僕が天面にあるボタンをポチッと押すと、
『バルデル!』
「ッッ…!?」
ーーストップウォッチ?からは何かの名前だろうか…? 短く音声が鳴ると、柔らかな光に包まれて僕の手から消えた。
「……これは……!」
その瞬間、気付けば僕の腰には銃が取り付けられたベルトと右手には黄緑色のカセットテープのようなものがあり、頭の中に何かが流れ込んでくるような不思議な感覚に襲われーー。
『ーーバルデル。それが俺の名だ!』
『滅、俺はお前を絶対に認めない。俺がいる限りお前の人類絶滅だとかいうSFチックな使命は一生叶わせねぇよバーカ!』
『ーーワズ! お前の信じるその思いに、応えてやるよッ!』
『ーーお前を止められるのは、ただ一人…俺だ!!』
『みんなの未来は俺が守ってやるッ…!』
ーー【俺】は今までの記憶を思い出す。
「…ーーそうだ。俺は【仮面ライダー】だ」
俺は「天本太陽」。
ーー仮面ライダーバルデル。
仮面ライダーに初変身したあの日から、命を懸けて滅に挑んだあの日まで……俺は全てを思い出しーー更にはそれだけじゃない。俺は「ヒューマギアに支配されたあの世界」で体験した出来事も全て記憶していた。
───────────────────────
「ちゃんと思い出せたみたいだね? 自分自身のこと」
「あぁ…あんたのおかげでな。悪い、助かった」
状況が未だ完璧に把握できない中、俺は目の前の青年「
「俺はただ俺のやりたいことをやっただけだよ」
(やりたいこと……ね)
「そうか……それにしても、ここは本当に何なんだ? 夢の中みたいなもんだって言ってたが…俺は……あの後、一体どうなったんだ?」
今の俺が待つ「最後」の記憶は奇妙なことに二つある。
一つはフォースライザーで変身し滅を倒し力尽きた最後。もう一つは
(どっちの最後も死ぬほど痛いし怖かった……だけど、後悔はない)
【元の世界】では滅と戦い俺は最後まで自分の意志で、守りたいものの為に戦った。
【ヒューマギアに支配された世界】ではヒューマギアと俺達は最後まで戦い抜き、そして確かにみんなを守り抜いた。
あの後の俺の生死は俺自身にもわからないが、こんなへんてこな世界にいるんだから……きっと「死んだ」か「死にかけ」かのどっちかなんじゃないだろうか?
「ーー大丈夫、あんたはまだ生きてるよ」
「……何でそんなことわかんだよ?」
「何でって……王様だから?」
「うん……いや、さっぱりわからん! 答えになってねぇよ!?」
少し考えた後に放ったソウゴの意味不明な一言に俺は思わずツッコミを入れる。ヒューマギアに支配されたあの世界で、ソウゴとは一度だけ出会いほんの僅かな会話を交わしているんだが……やっぱり、俺にはよくわかんない不思議なヤツだ。
見た目とは裏腹にどこか酷く冷静な……何もかもを悟ってるような、底の知れない青年……それが俺の常盤ソウゴという人間に対する認識だった。
「はぁー……ちょっといくつか聞きたいことがあるんだがいいか? さっき俺が向かってたあの光。あん中にあのまま進んでたら俺はどうなってたんだ?」
「うーん……死ぬか、よくて記憶喪失?」
「あっぶねッ!?」
やべぇ!!
俺あのままソウゴに声掛けられなかったら……あっさり「死ぬ」か「記憶喪失」になってたってこと? こ、怖過ぎる…つうか光に向かってったらダメなのか。なんて卑劣なトラップ……って別に誰かが仕掛けた訳じゃないけども。
「…もう一つ、これが一番重要なんだが…
ーーこっから出る方法は?」
その俺の問いにソウゴはーーニヤリと笑う。
まるで「待ってました!」と言わんばかりに。
あれれ〜めちゃくちゃ嫌な予感がするぞ〜?
「ーー俺と戦った後に教えてあげるよ!」
【ジクウドライバー!】
ちょ、ちょ待てよ!
一度共闘したから知ってんだぞ!?
てめぇデタラメに強いじゃねーかッ!
待てよ。これ俺もしかしなくてもボコられるのでは?
「おい! ちょっと!? ソウゴさぁん!?」
嫌な予感は見事に的中し、ソウゴは右手にベルトを持ち腰に当て装着する。ベルトからは装着された直後に「ジクウドライバー」という音声が流れ、更にバックル部の液晶には「ZIKU DRIVER」という文字が流れる。
『ジオウ!』
ソウゴはライドウォッチを回してボタンを押し、ジクウドライバーのスロットに装填。無駄のない流れるような動きで、続けて右手でロックを解除すると時計の針のようなポーズを切って構え、
「ーー変身!」
【ライダータイム!】
『仮面ライダージオウ!』
ーーベルトを一回転させた。
瞬間、暗転した世界はまたも反転して真っ白な世界に変わる。ソウゴの体は腕時計のバンドのような輪に包まれ「ライダー」という文字がソウゴの背後から飛んでいき最後にはその顔にセットされた。
「…さっきまでの冷静なお前はどこいった?」
「あはは! まぁたまには息抜きも大事でしょ?」
息抜き……息抜き!?
え、何この人息抜きで戦う気なん?
ちょっと理解できないわ……うん、俺ソウゴとはきっと分かり合えないなぁ!
「ーーくっそ……あーもぉッ!
やりゃいいんだろやりゃあッ!」
『ストロング!』
【オーソライズ!】
あぁくそっ! もうこうなったらどうにでもなれ!
半ばやけくそに俺は右手に持ったプログライズキーのボタンを押し、勢いよくショットライザーに装填してプログライズキーを展開。バックルからショットライザーを引き抜く。
【Kamen Rider. Kamen Rider.】
「ーー変身ッ…!」
【ショットライズ!】
そして、銃口を高く上げてから下ろして真っ直ぐと前方に向けーートリガーを引いた。発射された弾丸をソウゴはひらりと躱し、
「おらあッ!」
『アメイジングヘラクレス!』
【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】
素早く右手に持ったショットライザーをバックルに戻し、返ってきた弾丸に俺は右のアッパーを打ち込んだ。瞬間アーマーが展開され俺の体に装着される。最後にアーマー内の蒸気が外に排出され、複眼が赤く光った。
ーー仮面ライダーバルデルの変身が完了した。
───────────────────────
「スゥー…はぁー……ーー行くぞっ!」
深呼吸した後に俺はジオウに向かって駆け出す。
「
「おらぁ!」
「よっと!」
「どりゃあッ!」
早速俺はダッシュからの殴りを嚙ます。
それをジオウは軽いステップで回避し、俺はすぐに続けて回し蹴りを繰り出し攻撃する。
「ほっーーはあっ!」
「がはっ…!」
ジオウは俺の回し蹴りは上体を僅かに反らせることで避けると、一瞬の隙を捉え俺の胸に真っ直ぐ拳を打ち込んだ。その威力に俺は大きく後退するがなんとか耐え、
「こんぐらいなんてこたねえなあッ!」
ーー俺はすぐさま反撃に移る。ジオウへと再び接近し右足で前蹴りし、避けられることを予測して素早く左ジャブを放ち、防がれた瞬間にパンチのお返しに右でのアッパーを打ち込む。
「っ!」
ジオウは前蹴りを軽々避け、ジャブも完璧に防いだが最後のアッパーだけは完全に防げず僅かに後ろに下がった。
「おらおらおらァ!」
「そっ、はぁ!」
そんなジオウに俺はすぐさま距離を詰め得意のパンチを全力で連打する。しかし、ジオウは冷静に全てを弾くとくるりと回って後ろ蹴り。その一連の動作の速さに俺は回避・防御する暇もなくそれを受けたが、
「ーーまだまだァ!」
「っ…!」
ーーなんとか気合で…タフネスで堪えた俺は怯みを見せずにカウンターを仕掛けた。ジオウは完全な防御が間に合わず片手でそれを受け、威力を殺しきれず僅かに怯むがすぐにバックステップして一時距離を取る。
「これは、ちょっと想像以上だなぁ」
「だったら、やめにしてくれていいぜ!」
「ふっ!」
「
「ーー!?」
俺はその呟きを聞き、思わず口を開きながら追撃の左フックを仕掛けた。それを片腕で防いだジオウだが俺は素早く右手でショットライザーを引き抜きゼロ距離でジオウの胸に弾丸を発射する。
「くっ…! はあっ!」
「ぐはっ……!」
胸から僅かに火花を散らしたジオウは反撃にボディーブロー。続けて鋭い蹴りを放ち俺を蹴り飛ばし、俺とジオウの距離が数十メートルほど離れる。
「悪いけど、まだやめるつもりはないんだ」
『ジカンギレード!』
「行くよ? バルデル」
「出来れば……お手柔らかに頼みたいなぁ」
だが当然まだまだジオウはやる気満々…体力が有り余ってるみたいだ。
緊張感凄いし、痛いし怖いし強いし頼むからはよ終われ…!(切実)
それとジオウとこのまま戦って俺が無事に済む気がこれっぽっちもしない(直感)
「はぁー……」
「ケン」という文字がジオウの前に現れ剣に変化し、宙空に浮かんだその剣をジオウは掴む。ジオウの戦意が残る姿と声に、思わずため息を吐きつつ俺は静かに息を整える。
たった一分程度の戦闘で…ここまで消耗するもんか?
(分かっちゃいたが、やっぱりジオウは強い。つうかすげぇ戦い慣れてるよなぁ……)
ジオウの強さが桁違いな事はヒューマギアに支配されたあの世界で「ロボ」に乗ってるところを見ていたり、一度だけ共闘した中で既に理解していたつもりだったが……まだまだ切り札を持ってるんだろう。
「ほんと息抜きで戦う相手じゃねーだろ……」
「じゃあ次はーーこっちから行くよ!」
『タイムチャージ!』
剣を片手にジオウはそう言うと、剣に付いたスロット部分のボタンを押してから軽快な動きで接近し剣を振るう。
『5・4』
「はああっ!」
「ぐはぁ……! くッ!」
『3・2・1…』
その横振りによりアーマーから火花が散り、俺は僅かに後退するが次の振り下ろし攻撃は何とか両手で掴み止める。だが、ジオウは冷静に膝蹴りを放ち俺を怯ませーー剣を掴む手が緩んだ瞬間に素早く剣を振り下ろし、
『ゼロタイム!』
「せやああああ!」
『ギリギリ斬り!』
「ぐわあぁあ!!」
マゼンタ色のエネルギーを纏った剣を、勢いよく横一文字に振りーー瞬間に剣撃と衝撃波を同時に受けた俺を思い切り吹き飛ばされた。
「ッ……はぁはぁ……!」
地面を数度転がってから勢いは止まり、俺は呼吸を整えながら何とか身を起こす。純粋な実力の差…そんなものを嫌というほど実感させられる……そんな感じだ。
「ッ…次は、こっちの番だ……!」
だけどーー戦うからには負けたくねぇよなぁ?
立ち上がってすぐにバックルからショットライザーを引き抜いた俺は、トリガーを引き連射する。それをジオウは剣で防ぎ、
「遠距離攻撃ならーー」
『ジュウ!』
「ーーこっちにもあるよ?」
「! 変形した!?」
ーー剣を銃に変形させる。
先程まで「ケン」と書いてあった剣は「ジュウ」と書いてある銃に……今更だけどなんだそのデザイン!? いやすげぇわかりやすいけども!
「行くよ!」
「食らえッ!」
そして、俺とジオウはほぼほぼ同時に銃のトリガーを引く。連続して発射された弾丸は互いに相殺し合い、
『ストロング!』
「ンならーーこれでどうだ!」
「! そっちがそう来るなら!」
『フィニッシュタイム!』
すぐに通常の射撃がジオウには通用しないと判断した俺は、ショットライザーに装填したプログライズキーのボタンを押し必殺技の体勢に入る。それを見たジオウは、ジクウドライバーからライドウォッチを外すと銃についたスロット部分にそれを装填する。次の瞬間、
「はあぁぁぁ…ーーどらあああ!!」
「ーーでりゃあああ!」
【アメイジング ブラスト!】
【ジオウ スレスレシューティング!】
ーーヘラクレスの角のように鋭い黄緑色の巨大な弾丸と「ジュウ」という文字の形をした複数の弾丸が激突する。
その結果、ショットライザーから発射された弾丸は「ジュウ」の形をした複数の弾丸を全て弾き飛ばし、ジオウへと真っ直ぐに向かっていく。ジオウは間一髪でその一撃を回避し、
「! ほっと……!」
「危ねッ!?」
ジオウが発射した「ジュウ」の弾丸は弾き飛ばされたにも関わらず、謎の引力で俺の元に回転しながら飛んでくる。
(唸れ! 俺のAIM力…!)
俺は咄嗟に一発目の弾丸をジャンプで躱し、二発目の弾丸もローリングで避け、三発目の弾丸は避けた後にショットライザーで撃ち軌道を無理矢理変えーー今さっき俺の後ろを通過した……それなのにまた俺に向かって返ってきている「ジュウ」の文字に衝突させた。そして………どうやら上手くいったらしく「ジュウ」の弾丸は三発とも爆発した後に消えた。
どうだ見たか!
これが俺が人類が
「今のを初見で捌くなんてね…! 正直びっくりした」
「あんたもなぁ? なんであの速度の必殺技を普通に避けれちゃうんだよ……」
俺のそんな一連の動作をジオウはそう口を開く。こっちからすりゃ何故必殺技を当然のように避けれてんのこの人?って感じなんだが……こりゃジオウに対しては下手な遠距離攻撃は無駄って考えるのが無難だな。
(さて、こっからどうするか…………え?)
「! なんで、これが……?」
若干押され気味のこの状況…打開するための一手を思考していた俺は、腰に装着したベルトに付けられているーー基本プログライズキーは一本しか持ってなかったから使う機会はほぼなかったーープログライズキーホルダーに目を向けて驚いた。
右のプログライズキーホルダーには「ライジングホッパープログライズキー」がセットされていたのだ。
(バッタのプログライズキー………なるほどな。これも「夢の中」みたいなもんだから…ってわけか?)
元の世界で飛電さんの命令を受けたワズが俺に渡してくれたプログライズキー……ヒューマギアに支配されたあの世界じゃ見た事も使用した事もなかったが、元の世界で使用しているからなのか? この夢の中みたいな場所じゃ、最後には持っていなかったプログライズキーもこんな風に俺は所持しているようだ。
(……なら、遠慮なく使わせてもらうとするか)
「いくぜーーワズっ!」
『ジャンプ!』
「! それって或人が使ってた……いや、それとはまた別物?」
「さぁな、俺もよく知らねーよ!」
俺がホルダーから取り出した黄色のプログライズキーを目にし、ジオウは僅かに首を傾げ疑問を口にする。まぁ残念ながらその問いに対する答えを俺は持っちゃいない。
【オーソライズ!】
【Kamen Rider. Kamen Rider.】
「ーー変身!」
【ショットライズ!】
「そらッ!」
トリガーを引きーーショットライザーから発射された弾丸に俺は勢いよく右の回し蹴りを噛ました直後、弾丸が当たった右足から黄色の装甲が装着されていく。以前から思っていたけれど、フォームチェンジする時…元々装着してたアーマーは一体どうなってるんだろうな? 重ね着? それとも気付かぬ内にパージしてるのか?
『ライジングホッパー!』
【A jump to the sky turns to a rider kick.】
「どッーーらああああ!!」
バッタの力を得たフォームに変身した俺は、すぐにそんな今はどうでもいいことを考えるのを止めてーージオウへ向かって跳び出す。そして、ジャンプの勢いを乗せた拳を思い切り振るう。
「っ! せやぁ!」
「!」
ジオウはそれを素早く「ジュウ」から「ケン」に変形させたジカンギレードで防ぐが、威力は殺しきれず数歩後ろに下がるジオウ……俺はすぐにまた距離を詰めて再びジャンプした。
それもジオウの肩を踏み台にジオウのほぼ真上に。
「!?」
『ジャンプ!』
「食らいやがれッ!」
【ライジング ブラスト フィーバー!】
一瞬困惑するジオウを見下ろせる位置、空中で俺は素早くショットライザーに装填したプログライズキーのボタンを押し、間髪入れずトリガーを引く。
蹴りの構えを取り、そのままほぼ垂直に落下の勢いもプラスした
「ならこっちも!」
『フィニッシュタイム!』
【ジオウ ギリギリスラッシュ!】
ジオウはそれに対して、素早くジカンギレードのスロット部分に装填されたジオウライドウォッチを取り外し、再度装填して必殺技を発動。マゼンタ色のエネルギーを纏った剣を真上にいる俺に向かって斬り上げた。
「ーーでやあああっ!!」
「ーーどりゃああっ!!」
黄色のエネルギーが収束する俺の右足が「上」から。
ジオウの振るうマゼンタ色のエネルギーを帯びるジカンギレードが「下」から。
ジ
ャ
ン
プ
ライジング ブラストフィーバー
「くッーーはああああ!!」
「がッーーらああああ!!」
二つのエネルギーが激突し二人の間に凄まじい衝撃が発生し互いに力を一切緩まず、一歩も譲らず必殺技を叩き込んだ。その結果、
「ぐッ……!」
「うわッ! っっ……!」
上から蹴りを叩き込んだ俺の体は吹き飛び、ジオウからそれなりに離れた位置に落ちて転がる。ジオウは片膝をつき微かに声を上げた。
「はぁはぁ……まだ、やんのか…? ジオウ」
「やっぱり、あんた強いね」
「…ま、伊達に十年以上も戦ってるわけじゃねぇからな」
片手を地について立ち上がるジオウは俺を見てそう言う。俺は体力を回復させる為に一度深呼吸をした後、なんとか立ち上がる。正直体力は結構キツかった……つうか「あんた強いね」ってなんだ嫌味か!? そっちは息一つ乱してないくせに…まぁ褒められんのは素直に嬉しいけども。
そんなこれ以上の戦闘は遠慮したい俺だったが、
「なら、俺ももう少しーー」
「おいおいおい…!」
「ーー本気を出すよ」
ーー
『ジオウII』
ジオウはそのライドウォッチのボタンを押すと、慣れた手つきでリューズを回しカバーをスライド。
『ジオウ!』
ライドウォッチを二つに分裂させジクウドライバーの左右のスロットに装填して構えをとり、
「変身!」
【ライダータイム!】
『仮面ライダー! ライダー!
ジオウ・ジオウ・ジオウII!』
最初と同じようにベルトを勢いよく一回転させた。瞬間に世界が一回転し、ジオウの背後に出現していた二つの大きな時計が重なる。
ジオウの体をバンドの輪のようなものに覆われ。
ーーソウゴはジオウIIにフォームチェンジした。
「……やばそうだな、こりゃ……」
気が付けばジオウのその姿を目の当たりにして、俺はそう呟いていた。分かりやすいほどに正統進化した感じ……「II」って言うんだから、さっきまでのジオウより強いのは確定だろ? え、さっきも普通に押されてたのに更に強い形態って………なんでえ!? こ、これがオーバーキルとかいうヤツ…? ……それはまたなんか違うか。
「あーくそッ…」
今の俺が挑むのが無謀な相手だってのはわかる。今、嫌ってほどにひしひしと感じてる。でも、ソウゴはまだまだやる気だし…ソウゴが満足するまで戦わないと「この世界から脱出する方法」も聞けないだろうし。勝ち目がなかろうがやるっきゃない。
「やってやるしかねぇか!」
俺は自分に言い聞かせるように、自分を鼓舞するようにそう吠えてジオウに向かって跳んだ。作戦は変わらず「ガンガン行こうぜ!」で。
「どらあああッ!」
空中で殴りの構えをとり、ジオウの真ん前に着地し素早く右拳を振るう俺。まぁその攻撃はフェイントで……俺は左足をジオウの頭部目掛けて振り上げた。しかし、
「!ーー見えた。あんたの未来が!」
「っ!? がはっーーぐわあっ!」
ジオウはまるで俺の動きが全て分かっていたかの如く、フェイントに一切引っかからず俺が振り上げた左足を片腕で掴むと空いた片手でパンチを繰り出し、追撃にジカンギレードで俺の胸を突いた。
待て待て待て…!!
今食らってみて分かったが…さっきまでのジオウと違って、ジカンギレードよりも普通のパンチの方が威力高くなってないか!?
「そらあっ!」
そんなことを考えている間にいつの間にかジオウの手にはジカンギレードとはまた別の剣が握られており、それはジオウは何の躊躇いもなく俺に投擲してきた。け、剣投げるとか蛮族かよこいつぅ!? いや、まぁ俺ももし剣持ってたら投げて攻撃とかもするかもしんないけどさぁ……!
投げられた剣は俺の胸を直撃し大きな火花が散る。
そして俺は地面に倒れ、
『ライダーフィニッシュタイム!』
「くッ……!」
「これで決める!」
『トゥワイズ タイムブレーク!』
「! やばい…!」
ジオウはその隙にベルトに装填した片方のライドウォッチのボタンを押すと、ロックを解除してベルトを一回転させて跳んだ。必殺技…! 絶対これ食らったらやばいだろ!? というかこの人今「決める」とか言った? え、
「っ…く、ぐぁ……!」
急いで立ち上がろうとする俺だが、ジオウIIによって受けた攻撃…特に今食らった剣の投擲がやばかったのだろう……体はすぐには立ち上がってはくれない。その間にもジオウは空中で蹴りの構えをとった。
「はああああ!!」
(あーー死ねるわコレ)
ジオウの右足にはマゼンタ色のエネルギーが収束。凄まじい威力と速度を持った
「ーー魔王、お前そいつを殺す気か?」
ーージオウの必殺技が直撃する直前。
誰かの声が響き、俺が前を向けばそこには銀色の幕?のようなものが俺とジオウのちょうど間に出現しており、
「! ーーっと」
「! え、あ、おぉ……!?」
ジオウの姿がその銀色の幕?の中に消えたかと思うと、後ろを振り向けばそこにも銀色の幕?が現れジオウはそこからまるでワープされたのかように出てきた。な、なんなんだこの幕みたいなの……? というかさっきの声は…
「ーー門矢士、あんたも来たんだ?」
「少しそいつに用があってな……来て正解だった。運が良かったな? あのままだったらお前死んでたぞ? ま、ここは現実じゃないがな」
「え? あっ、ありがとうございます?」
ジオウは左右に装填したライドウォッチをスロットから抜き、変身を解除すると横に目を向けて口を開く。その視線につられて俺もそちらを見れば、いつから居たのか……そこには首からマゼンタカラーのカメラをぶら下げた男が立っていた。男の言葉に俺は「助けてくれたってこと?」と疑問を抱きつつ、ジオウに続きショットライザーからプログライズキーを取り出して変身を解除して軽く頭を下げ感謝する。
というかこの人誰…?
……初対面だよな?
「えっ、あ、あのー……どちら様?」
「……この世界で名乗っても、どうせ目覚めればお前はここでの出来事を綺麗さっぱり忘れる。お前のその質問に答えるのは無意味だが……門矢士ーー通りすがりの仮面ライダーだ」
「あ、どうも」
(と、通りすがりの仮面ライダーって…どゆこと……?)
いや、聞いたのは俺だけどさ…?
返答が訳分からず混乱するが、どうやらこの人も「仮面ライダー」らしい。ジオウと同じく人の「夢の中みたいのものらしい」この世界に入って来てる辺り、きっと彼もまたかなり特異な存在なのだろう。
「それにしても…やり過ぎだ魔王。現実じゃないからといって『後輩』を容赦無くいじめすぎだ」
「あはは、ごめんごめん………ちょっと待って? ねぇそれあんたが言う?」
二人の会話を聞きながら、俺はライジングホッパープログライズキーをホルダーにセットする。つうかソウゴぉ? ほんとにやり過ぎだかんな? 多分あれ食らった門矢さんの言ってた通り俺死んでたよな……魔王こっわ…俺息抜きで殺されるとこだった(畏怖)
「ジオウ、戦いも終わったし…教えてくれ。
どうすればこの世界から出られるんだ?」
「簡単だよ。あんたが本気で『生きたい』と強く思えばいい」
「……そんなんでいいのか?」
常磐が言った、予想以上に簡単な方法に俺は思わず首を傾げた。正直半信半疑だが……信じてみるしかないだろう。
ジオウと俺の戦闘はこうして幕を閉じーー。
「待て。天本太陽」
「はい?」
「言ったろ? 俺はお前に用があって来た」
「………ま、まさか息抜きで戦えとかーー」
「ーー違う。そこの魔王と一緒にするな。
俺の用はお前に会いたいというヤツがいてな。お前をそいつと会わせることだ。……あー安心しろ。そこまで時間はとらないだろうからな」
「俺に会いたいヤツ…?」
こんなわけわからん世界で俺に会いたいヤツ……誰だ? 全く予想がつかないんだが……
「それじゃ、これで一先ずお別れかな?」
「……息抜きでボコられた挙句、殺されそうになった件は許せんが……」
「ほんとごめんね? 思ったより手強くてついさ」
『つい』で殺されそうになった人の気持ちも考えてみてください! まぁ夢の中みたいな世界だから正しくは「死ぬ」訳ではないんだろうけど。
「まぁどうせ忘れちまうから許すけども……まぁ、ありがとなジオウ。マジで色々と助かった」
「どういたしまして。俺もまたあんたに会えてよかった。それじゃ……じゃあねバルデルーー天本太陽」
常盤が差し出してきた手を掴み、俺たちは最後に握手をする。きっともう二度と俺と常盤ソウゴが出会うことはない……その方がむしろいいのだろう。俺は何故かそう直感的に思った。
「それじゃあ、とりあえず会ってこい」
門矢士はそう口にし、手をくいっと動かす。
すると俺の後ろに出現していた銀色の幕?が回りながら俺の方へと移動して、
「うおっ!?」
ーー俺はその中を通過した。
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「! ここは……」
銀色の幕の中を通過した俺の目に最初に映ったのは、さっきまでの真っ白な…見るからにして不可思議な世界とは違った。足元には草が生えており、辺りには何らかの建物や木がある。随分と普通な光景だが……俺には見覚えがあった。
「通信衛星の発射場……?」
デイブレイクが起こる前。
実験都市に住んでた時に実際に一度だけ見たことがある。それにテレビでも報道されてたっけ……『飛電インテリジェンスが開発した通信衛星、いよいよ発射!』って感じで。
俺が今立つこの場所はその通信衛星の発射場によく似ていた。だが、そこに設置されていた発射予定の衛星はどこにも見当たらない……。
「来たか」
「!」
後方から聞こえた声に俺はすぐに振り返る。振り返った先には、
「……あんたは……」
(ヒューマギアか?)
ーー耳にヒューマギア特有の機械を付けた男が立っていた。……その姿を見るにワズと同じく、多分この人も初期型ヒューマギアってやつなのだろう。
「あんたが、俺に会いたいっていう…?」
「あぁーー俺は飛電其雄、ヒューマギアだ」
俺が問えば男ーー飛電其雄は簡潔に名乗る。
………俺の記憶が正しければ、俺がこの人と出会ったことは「元の世界」でも「ヒューマギアに支配された世界」でもないはずだ。なら、彼は何故に俺に会いたかったんだ…?
「……そうか、君が『仮面ライダー』の力を……これも運命というやつか…」
「え?」
「いや、よく来てくれた。俺から君への要件はただ一つだ」
何か小声で呟いていたが…何を言っているのか俺にはわからなかった。飛電其雄……其雄は不思議に思う俺に気付き要件を口にし、
「何様だと思うだろうが…君が仮面ライダーの力を持つに相応しいか。俺に見せてくれ」
【サイクロンライザー!】
どこからか取り出したフォースライザーによく似た形状の……だがカラーリングがかなり異なるベルトを腰に装着する。そして、同じく取り出したプログライズキー…いやゼツメライズキーのボタンを押す。
『KAMEN RIDER!』
「ーー変身!」
【サイクロンライズ!】
其雄は「変身」と言いゼツメライズキーをベルトに装填。その直後、現れたバッタのライダモデルが其雄の周囲を跳ね回り、更に強い嵐が吹き荒れる。その中心に立つ其雄は赤いレバーに手を掛けーーレバーを引く。ーー装填されたゼツメライズキーが強制的に展開された。
『ロッキングホッパー!』
【Type One.】
バッタが其雄に向かって跳び、其雄はスーツを纏い、出現したティールブルーのアーマーが伸縮し勢いよくスーツの上に重ねて装着されーー変身した其雄は俺の変身を待つように動きを止めた。
「……はぁー…ったく、どいつもこいつも…」
ついさっきのジオウとの戦闘を思い出し、俺は自らの腰に手を置いてため息をつく。……あんたが一体何者なのか俺は知らない。仮面ライダーの力を持つに相応しいかどうかって…相応しいわけあるか。俺より「適任」がいるって俺自身今でも思ってるんだしな。でも、
(ーー俺にも守りたいものがある)
俺にも…誰にも譲れない、守りたいものがある。
それを守る為に俺はこの「仮面ライダー」の力を使ってきた。
……戦うのは怖いけど、俺はきっとこれからも戦うのだと思う。
【ショットライザー!】
だから、俺の全力…見せてやる。
「……わかった。やってやるよ」
『ストロング!』
【オーソライズ!】
腰に装着したバックルに取り付けたショットライザーにプログライズキーを装填し、俺は右手でプログライズキーを展開。素早くバックルからショットライザーを取り外し上に掲げ、銃口をゆっくりと下ろし前に向け、
【Kamen Rider. Kamen Rider.】
「ーー変身ッ…!」
【ショットライズ!】
ーートリガーを引く。瞬間に発射された弾丸を其雄は躱し、ストレートな軌道で返ってきた弾丸に俺は右のアッパーを打ち込む。
『アメイジングヘラクレス!』
【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】
そして、展開された黄緑と白のアーマーが装着されていきもう随分と聞き慣れた変身音が響く。
「──俺は仮面ライダー1型。人間とヒューマギアを守る為『夢』の為に
変身を果たした俺を前に其雄…仮面ライダー1型はそう言う。
何の為に戦うか。
あぁ、俺が戦う理由はきっと──
「──俺は仮面ライダーバルデル。俺が守りたいみんなの『未来』の為に
──俺が守りたい人達の『未来』の為だ。
「仮面ライダー1型」と「仮面ライダーバルデル」は同時に駆け出し
──ある男の意識は覚醒する──
──彼が見る未来は果たして──
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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・天本太陽(?)
意識不明の状態で、十年以上経った今も目覚めぬ男。ヒューマギアに支配された世界で、仲間の為に戦い……最後に歴史が元に戻った後、彼もまた意識不明の状態に戻った。目覚めぬ間、自らの記憶を全て失った状態で夢の中のような真っ白な世界を放浪し続けていた。「常盤ソウゴ」の助力により、夢の中のような世界では正史√で使用したライジングホッパープログライズキーを使用可能+令ジェネ√での十年以上の戦闘経験+記憶も持っている。
そのため「元の世界」「ヒューマギアに支配された世界」そのどちらの天本太陽よりも強いと思われる。年齢という概念が夢の中のような世界に存在するかは不明。
・常磐ソウゴ(?)
最高最善の時の王者、仮面ライダージオウ。
令ジェネ√の先輩ソウゴっぽく書こうと思ってたけど、書いてたらいつの間にか序盤・中盤辺りのお茶目なソウゴっぽくなっちゃいました(夢の中のような世界だからってことでよろしくお願いします)
独自設定で一度だけ令ジェネの世界でオリ主と共闘している。相変わらず強く、息抜きでバルデルと戦い、容赦なくジオウIIまで使用した。これを「ン我が魔王容赦ない…!」と思うか「ジオウII使わせるとかオリ主頑張ったな…!」と思うかは人それぞれ。ちなみに通常のジオウでも普通にバルデルを圧倒してるし、ジオウIIにならなくても何らかのライドウォッチでアーマータイムすれば多分普通に勝てる。流石はン我が魔王……!
・門矢士(?)
通りすがりの仮面ライダーこと、仮面ライダーディケイド。
オーロラカーテン便利過ぎ……と思いつつ書いてた。ソウゴに対し「後輩をいじめすぎだ」と言うが彼のジオウ本編でのゲイツやジオウに対しての行動を見るに、完全なおまいう。でも士なら尊大な態度で自分のことを棚に上げてこういうこと言いそうな気がしないでもない。
次章スタートしちゃっていいですか?
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イッテイーヨ!(やったれの意)
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マッテローヨ!(もうちょい待ての意)
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作者にお任せ!