デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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多分これからのタイトルは毎回「ある男の〜」って感じになると思います。

というか今回のゼロワン情報量が多かったですね…見てて「ショットライザーって許可さえあれば誰でも変身できるわけじゃないんだ!?え、チップ? 改造人間じゃん」とか思ってました。
それでは、どうぞ!



ある男の退院

 

「バカ(にい)早く早く!」

 

 足早に俺の先を行き、めっちゃ急かしてくる少女。

 お前俺が今日退院初日の人間だと知っての言動がそれか?全く、どうかしてるぜ……!

 

「はぁー、少しは退院初日の兄の体を気遣ってくれんか? バカ妹よ」

 

 一応説明しとくか。

 この少女は俺のバカ妹…名前は天本(あまもと) 美月(みつき)。元気なのが取り柄で、ときどき辛辣な事を言い放つ恐ろしい女だ。美月という名前に名前負けしてないぐらいにルックスは良いのだが、如何せん落ち着きというか…お淑やかさが足りてないのが一番の欠点だと俺は勝手に思ってたりする。

 

 まぁ口に出したら「まじきもい」とこちらの心を容赦なく折ってくるので絶対本人には言わんけど。

 

「やだよー! だって気遣ったら気遣ったで(にい)『気持ち悪っ……!』とか言うでしょ?」

「そりゃ勿論」

「ほらぁ〜!」

「あー騒ぐな騒ぐな。まだ病院の中だからー。他の人に迷惑だからー」

 

 駄目だからー!

 病院で騒いじゃ駄目だからー!

 やだよ俺?退院した日にドクターに叱られるとか。

 

「はいはいごめんなさーい。ほら早く出るよバカ(にい)!」

「おまっごめんなさいとか絶対思ってなーーわーった、わーったから腕を引っ張るの止めろや」

 

 俺の腕を引っ張って病院出入り口を進んでいく美月に俺はうんざりな反応を示す。内心、今まで入院していたので久々の妹とのやり取りに若干嬉しかったり……やっぱ何でもないわ(羞恥)

 

「さ、じゃあ家に帰ろっかバカ(にい)

「だな。……つうかメールで聞き忘れたんだけど、何で退院の迎えが美月なんだよ? 母さんは?」

「母さんは私を病院近くに下ろしてすぐドライブ行ったよー」

「まじとんでもねぇなうちの母親」

 

 息子の退院日にドライブ!?

 どんなサプライズだよ全然嬉しくねーわ!

 いやサプライズって別に俺なんもしてもらってないから嬉しいとか思う以前の話だったわ。

 

「そんなの今更でしょー」

「確かに……!」

 

 美月の言葉に納得しつつ俺たちは帰路を歩く。

 

 その間、何気ない会話をしていたのだが…当然我が妹はまずそれについてツッコミを入れた。

 

「というか何そのケース?」

「……永遠の24歳を自称する謎の社長から貰った」

「何それめっちゃ怪しいじゃん!? 早く捨てた方が良くない?」

 

 ほう…(謎の上から目線)

 我が妹ながら実に常識的な意見だぁ…(感嘆)

 

「それな」

 

 ーーとりあえず俺は相槌を打った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ただいまあ〜!」

「ただいまー」

 

 と言っても今家に誰も居ないんですけどね。

 父さんは会社勤め、母さんはドライブ(何故?)

 でも「ただいま」ってあれだから。俺的には「いただきます」と同じでもう癖と化してるからね。家帰ってきたらとりま言っちゃうよね「ただいま」。

 

「どうよバカ(にい)〜久々のうちは。やっぱりほっとしたりするもん?」

「まぁそうだな……久々っつっても大体一ヶ月ちょいだけどな」

「それもそっかぁー……あ、バカ(にい)! 言うの一瞬忘れたけど…おかえり!」

「…あぁ。ただいま美月」

「うんっ! ……あ、就活頑張ってね!」

「突然ガチな発言すなぁ!」

 

 正直言って不安しかねぇよ就活!

 これも全部デイブレイクが……くそぉ!

 まだどんな仕事したいかとかさえ決めれてないんだが…大丈夫かなこれぇ?

 

 靴を脱ぎ家に入る俺。

 美月はポケットからスマホを取り出し、ちらりと時間を確認すると今さっき通ったばかりの玄関ドアに手をかけた。

 

「まあ焦らず頑張ってね? じゃあ私、これから友達とご飯食べに行く約束してるから」

「あー……なんか悪いな。わざわざ家まで付き添って貰って」

「今更気にしないでよー。んじゃ行ってきまーす!」

「行ってらー」

 

 軽く手を振ってそう言う。

 友達と約束してたんなら無理に俺の出迎えしないでもよかっただろうに、わざわざ家に着くまで付き添って……。

 んーいい子(確信)

 妹が家族思いの子になって兄ちゃん超嬉しいわ。

 ありがとう…それしか言う言葉がみつからない…。

 

「……この中身がちょー気になるけど、とりあえずなんか食べるか」

 

 カップ麺あったっけー?

 入院してたから現在のうちのカップ麺所持量がわからん。

 持っていたアタッシュケースを一旦リビングにあるソファに置いといて、俺はカップ麺探索を開始した。

 

 

 ▲△▲

 

 

「さて…いよいよですね」

 

 

 

 

「ライダーの神話……その序章の始まりだ」

 

 不敵な笑みを浮かべながら男はそう呟いた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『さあ飛び立とう…夢に向かって!』

 

【ヒューマギア運用実験都市で起こった大事件、デイブレイク。その被害に遭った方々はその多くが今も入院生活を余儀なくされており、死者も少なからず出ています。このデイブレイクに関して、ヒューマギア運用実験都市に参入していた企業内で指揮を執っていた飛電インテリジェンス 飛電是之助 社長はヒューマギア工場での整備ミスによる爆発事故が原因だとーー】

 

「もうあれから一月以上経つけど……やっぱりヒューマギアって凄えな」

 

 テレビに流れるニュースを見て俺は素直にそう思った。

 事件そのものの被害が半端じゃないからという理由もあるだろうけど、世間がヒューマギアに少なからず注目していたというのが「デイブレイク」という事件をここまで長く取り上げてる一番の理由なんだろう。

 

 はぁー……これから大丈夫かね? 飛電は。

 一般人の俺には心配しかできないんだけどさ。

 

「ずるずるっ……そういや、飛電の社長さんのお孫さんもデイブレイクに巻き込まれたんだったか」

 

 カップ麺を豪快にすすりながらテレビを見る。

 確か飛電是之助さんのお孫さんはニュース曰くまだ10歳だったらしく、デイブレイクタウンに居たらしい。幸い命に別状はないらしいけどな。

 

「ごちそうさん、と」

 

 手を合わせそう口にした俺はカップ麺と箸をキッチンの洗い場に置き、さっさとアタッシュケース片手にリビングを出て階段を上がった。

 

(今更だけどこのケース重っ……中身何入ってんだよ。まじ怖いわ)

 

 人から一応お詫びで貰ったもんだけど…よく捨てなかったな俺。

 ま、まぁ入院中の一月ちょいに爆発とか無かったし?多分爆弾ではないでしょう…これで中開いた瞬間爆弾でタイマー動き出したりしたら叫ぶ自信があるわ。

 

 そんなことを考えつつ俺は二階にある自室に入った。





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時系列解説
・デイブレイク時、オリ主は就活中。
・デイブレイク時、或人や不破さんは本編通りまだ子供。

序章のストーリーについて

  • エンディングまでダイジェストで突っ走る
  • 出来る限り丁寧にエンディングまで歩く
  • 作者の好きなようにどうぞー

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