また今回の話では、令ジェネ√での太陽と美月がレジスタンスで就いていた役割?才能?の片鱗が垣間見えます…
それでは、どうぞ!
入院生活が始まって今日で五ヶ月ちょい。
今日、俺はようやく待ちに待った退院日を迎えた。そして、退院当日…最後の診察に向かう俺の心は晴れやかな気持ちで一杯…………ではなかった。
(さてさて…どうしたもんかね)
俺は本気でどうするべきか悩んでいた……悩みの種はただ一つ、
(中身は……見なくても大体予想がつくな)
ーー退院祝いにと天津さんから俺宛に届いたアタッシュケースだ。
中身はまだ開けてない。更に言うなら誰にも見せてないし隠してる。アタッシュケースが俺の病室に届けられたのを知ってるのは診察の際に「ついでにコレ」と渡してきたドクターだけだ。まぁ中身はドクターも当たり前だが見ていない……つまり、まぁ俺が「仮面ライダー」だということはきっとまだ周囲の身近な人には隠しきれているだろう。
は?何で隠してるかって?
そんなの巻き込みたくないからに決まってるだろ。
じゃあ何で中身を開けてないのかって?
ンなの怖いからに決まってんでしょうが!(正直者)
(これを渡してきたって事は……これからまた俺に戦えってことか? それともホントにただの退院祝い…?)
アタッシュケースは俺が過去に天津さんから渡されたものと全く同じ………中身を開けてないにも関わらず俺はもう確信していた。この中身には「アレら」が入っていると。同時にこれを開けてしまえば最後……
(ーーまたあの時みたいな日々が始まるってわけか?)
誤解してほしくないんだが、俺は別に強い人間じゃない。人並みに戦うのは痛いし怖いし…できることならもう二度と戦いたくないってのが臆病な俺の本音だ。でも、
(滅はまだ生きている……滅亡迅雷.netだって……)
ーーどんなに小心者でも仮にも「仮面ライダー」だからな。
ーー俺にも守りたいものがある。
(天津さん…あんたの目的は、何だ?)
それに、天津さんの事で気になることもある。既にニュースにもなってるが『ZAIAエンタープライズジャパン 飛電インテリジェンスにTOB宣言』に『ヒューマギアの自治都市構想 住民投票』直接あの人に目的を聞かなくちゃならない。
正直な話、この件にはあまり関わりたくないが…天津さんに世話になってる身としては聞かない訳にもいかないわな。
(飛電さん…あんたの夢を聞いた一人としてもな)
ーー天津さんが飛電インテリジェンスを買収する目的はなんだ? 単純な会社の利益の為? それとも何か別の…?
俺は病室に誰もいない事を確認してからーーアタッシュケースを開いた。
「美月──悪い」
その後、お見舞いに来た美月を前にして俺はぽつりと呟いた。
「! ……待ってよ
「はっ、さぁなー。それよりさっさと診察室行くぞ」
「ちょっと待って! 説明してよ
父さんや母さん。美月やドクターに心配かけるのは心苦しいというか、やっぱりすげぇ嫌だけど……──やってやるよ。
俺は俺の守りたいみんなの「未来」を守る為に戦う。
彼は悩み始めて僅か数時間。
「バルデル」として再び戦うことを決意する。
その決意はどこまでも、誰よりも強いものだった。
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「うん…まぁ問題はないね」
「ほっ…っていうか、退院前の昨日も診察は受けましたし今日する必要ってあるんですか?」
「そりゃあ普通の患者なら必要ないさ。でも、君は他の患者と比べても…十二年も意識不明だったなんていう超レアケースだ。もしものことがあるとも限らないからね」
「……ドクターって用心深いですよね」
椅子に座って診察の結果が記載されたカルテに目を向けながら、ドクターはうんうんと頷く。それに俺は安心してほっと息を吐き、続いて純粋な疑問を零す。そして、ドクターの言葉を聞いて俺は率直に思ったことを言った。それを聞いたドクターはふっと微笑し、
「当然、医者なら誰しも用心深くあるべきだ。患者の話なら尚更ね………それよりもどうしたんだい? 美月くんから君すっごい睨まれてるけども……」
ーー医者についての自論の一つを口にし、続けて俺の背中に先程からビシビシと強い視線を向けながら立つ美月の方を見た。
「い、いや別に、何でもなーー」
「ーー何でもなくない!」
「…とのことだけど、私が君達兄妹にとやかく言うことは特にないかな。まぁ喧嘩したなら早く仲直りしなよー」
「……うす」
別に喧嘩…ってわけじゃない。
あーあ、こんなことならうっかり「悪い」何て言わなきゃよかった……!(後悔)
「それじゃあ、これで診察は終わりだ。
頼むから、もう二度とうちの病院に入院するような事態には陥らないでくれたまえよ?」
「ははは………努力しまーす」
「…はぁ、そこで『はい』と答えてくれれば、私も気が楽なんだがねぇ…さぁ帰った帰った!」
いつものようにドクターはしっしっと手を動かす。俺は一度頭を下げて「ありがとうございました」と感謝を告げてから診察室を出た。できることなら俺も病院にお世話になるような事態にはなりたくないなぁ〜………こればっかりは努力するしかねぇな。主に立ち回り方とかをな。
「バカ
「ここ病院だぞ? 子供じゃねぇんだから騒ぐな騒ぐな」
「ッ…じゃあちゃんと説明してよ。
「………危ないことって何の話だ?」
「あんな血だらけで、ボロボロで病院に運ばれて……十二年以上も意識不明だったんだよ? そんなの普通じゃないよ。
あぁそりゃそうだな。
つうか美月、やっぱお前ちゃんと大人になったんだな。十二年はあんなにちんまいだったのにさ。
「危ないこと……記憶にねーなぁ」
「…どれだけ聞かれても答える気はない、そういうこと?」
「………さぁな」
俺は家族や友人の誰にも、この件を明かすつもりは毛頭ない。下手に明かして巻き込んじまったら…俺には責任がとれないからな。
(マジで小心者だなぁ俺は……本当に今更だけど)
気まずい空気が流れる中、俺たちは一旦三階にある病室に戻ろうとしーー俺は足を止めた。
「…俺は……俺は……俺は……」
「……?」
(何だ、あの人…?)
ーー俯きながら何かをぶつぶつと呟いている青年がエントランスに突っ立って居るのを見つけて、俺は心底不思議に思う。如何にも怪しい……不審者か? どうやらそう思ったのは俺だけじゃなかったようで病院を出て行く際にその青年の横を通り過ぎていく人は皆「なにあれ?」って感じの顔してひそひそ話をしている。それに受付にいるスタッフも怪訝そうに青年に目を向けていた。
「俺は……」
黒のスーツを着ているが服自体はかなりくたびれている……しかも、見た目は随分若いもんだから尚更不気味っつうか…奇妙さが際立っている。
「俺はァ……!」
「!」
青年は突然声を苛立たしげに上げると、顔を上げる。その目はぎらぎらとしていて俺には男が何らかの「危険性」を孕んでいるように感じられてならなかった。だから、咄嗟に俺は後ろにいる美月の前に腕を出して後ろに下がらせる。
「ーー俺は強いッ…!」
(あれは…ドライバー?!)
懐からドライバーらしきものを取り出した青年はそれを腰に当て装着し、続けて俺がよく見知った形状の物を取り出す。それは、
『ハード!』
「! プログライズキー…!?」
ーーグレー色のプログライズキーだった。
待て待て待て! この流れは嫌な予感しかしねぇぞッ!?
ひっどい事に俺の「嫌な予感」はよく当たる。
今までの経験でそれは嫌というほど実感してるからな。
周りの人はまだこの後の展開が予想できてないらしい。
特に変わらず、奇妙なものを見る目でドライバーを装着しプログライズキーを取り出した青年に視線を向けている……誰も危機感を抱いた様子はない。そりゃそうだ。側から見れば、あれを玩具か何かだと誰もが思うだろう。
「全員! 今すぐここから逃げろッ!」
気付けば俺は咄嗟にそう叫ぶ。その声はエントランスにいた人達全員の耳に確かに届いたがーーもう遅かった。青年はプログライズキーを腰に装着したドライバーに装填し、
「実装ッ…!」
【レイドライズ!】
「実装」と言い、左手で俺から見てドライバーの右横にあるボタンを力強く押し込んだ。次の瞬間、
『インベイディングホースシュークラブ!』
【Heavily produced battle armor equipped with extra battle specifications.】
ーー青年の体を複数のグレー色のケーブル?の様なものが包み、青年の身に分厚い装甲が纏われる。更にその手には機関銃があった。
「人間が、マギアに……!?」
その姿はどこか機械的で、どこかマギアに似ていた。俺は変身……いや「実装」した青年を見て思わず驚愕する。
「俺の力を……証明してやる!!」
インベイディングホースシュークラブレイダー…通称バトルレイダーになった青年はそう声を荒げると機関銃を乱射し始めた。
ーー直後エントランスには悲鳴が響き、誰も彼もが逃げ惑い、一瞬の内に病院内は恐怖に包まれた。
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「何? レイダーが現れただと!?」
『はい。先程、国立医電病院から緊急通報が入りました』
部下からの連絡内容に唯阿は声を上げる。
ここ最近異様に増加しているレイダーの出現……しかも今回の出現場所は「病院」。多くの人間が集まる場所…そこにレイダーが現れればどうなるか。まず、被害が甚大なものになるのは避けられないだろう……。
(……まさか、昨日研究室から消えた量産予定のプログライズキーとレイドライザー…)
「私も今すぐ現場に急行する! お前達は先に向かって人々の救助を。 それとレイダーとの戦闘は極力避けろ! いいな?」
『了解!』
連絡を切った唯阿はショットライザーとラッシングチータープログライズキーを持ち出しーーすぐに研究室から出る。
(考えられる中でも最悪な場所に現れてくれたな…!)
部下から聞いたレイダーの出現場所である病院。そこは数ヶ月ほど前の事になるが…偶然にも唯阿があの青年?と出会ったあの病院だった。
「これは…まずい事になりましたねぇ」
(病院に現れたレイダーの正体は……恐らくA.I.M.S.にいたあの新人隊員でしょう)
社長室でレイダー出現の報告を唯阿よりも早くに受けていた垓は独り呟く。垓は既にレイダーの正体…犯人の目星がついていた。
(唯阿に『もっと上の役職に就かせろ』なんて大口を叩いていたが…こんな事態を起こす様な人間なら、正当な評価だったのでしょう)
唯阿からの報告にあった話を思い出す垓。あの新人隊員の男は割とどこにでもいる「自信過剰」な人間だった。だが、かなり重度の……それこそ「自信過剰さ」だけならば「天津垓」にもを引けを取らないレベルである。自尊心が強く、自分の役職に納得がいかず、不満を徐々に募らせていった結果、彼は遂に暴挙に出た。
(量産予定のプログライズキーに、レイドライザーを盗んだのには少々驚かされましたが…)
「これは、私が出る幕ではないでしょう」
今日が退院日の「彼」や病院に居る人々からすればこの事態は災難かつ大迷惑だろう。そして、病院を襲った「レイダー」からすれば楽しくて仕方がないだろう。誰も自分には敵わない、抗えない。自分以上の力を持っていない……そう思っているに違いないから。だが、
「ーーそれは大きな間違いだ」
ーー垓は椅子から立ち上がり、ふっといつもの余裕綽々な笑みを浮かべる。
「拝見させてもらいますよ、太陽君………
ーー仮面ライダーバルデルの復活を…!」
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(あぁーもう…どうしたもんかねぇ……)
不幸だ。災難だ。
なんでこんなことが俺が居るときに限って起こるんだ? 起こるならせめて俺が居ない時に起これやふざけんな!という中々にクズな思いを胸に抱きつつ、俺は壁から少し顔を出し……化け物、人間マギアの様子を伺う。(正式名称はわからんので以下「人間マギア」と呼ばせてもらう)
あの青年…いやクソガキだな。
クソガキは今病院内、一階を闊歩しながら度々あの機関銃を乱射している。そのせいで壁はズタボロだし、けたたましい銃声が鳴り響く度に誰かの悲鳴が聞こえる……はっきり言って地獄だ。
(あのクソガキ…俺は強いだとかなんとか言ってやがるけど、病院を襲った動機は何なんだ? ……見た感じ、好き勝手に暴れてるだけにしか見えんが)
人間マギアになったクソガキの目的はさっぱりわからん。なんか闊歩しながら「ハハハハハ!」と高笑いしたり、「俺は最強だっ!」とか言ったり……完全に頭がイカれて……いやとても正気には見えない。つうか今はマジで奇跡的にーーあいつのAIMがダメダメなお陰か?ーー死亡者は出てないが……怪我人は既に出てる。
(正直に言やぁ、こっから逃げ出そうと思えば逃げ出せる。あの人間マギアは目的なく好き勝手歩いてるし、あのまま行けば二階に向かうだろうからな)
目的なくふらふら歩いて暴れ回る人間マギアを見れば、この病院からの脱出はそう難しくはないだろう。その証左に既に何人かはもうここから逃げ出せてるしな。
今ここに残ってんのは逃げようにも自力じゃ逃げ出せないような患者さんや、上の階にいるまだこの状況に気付けていない人、あとは「患者を残して逃げる訳にはいかない!」という医者の鑑みたいな人。それと、
「ーー俺みたいに完全にビビっちまってる小心者、と」
「何言ってんのさバカ
「…………えーっと」
………なんでぇ?(ガチ困惑)
おかしいな。見間違え? 幻聴? 隣から妹の声がしたんだが……いや、マジでなんでいんのこいつ!?(二度見)
「美月お前なんでまだいんだよ? 早く逃げた方がいいぞ」
「逃げてない人がそれ言うー? 私が
「……イケメン過ぎる……」
「なんか言ったぁ?」
「いえ何も…!」
美月が突然かつ平然とした様子で放った言葉に俺は思わず両手で顔を覆う。
うちの妹いい子で可愛い上にイケメンって……なんだこの欲張りセットな完璧超人は!? そのスペックほんのちょっとでいいから俺に分けてくれや…! ……そういや前にぽろっとこの本音吐いた時、美月のヤツ「いやバカ
閑話休題。
「……つうか、お前…その後ろに居るガキンチョ共は?」
美月が逃げてなかったことに衝撃を受けてて、すぐに気付かなかったが美月の後ろには何人かの
様子はというと必死に耐えてるが今にも泣きそうな子や、俯いてしゃがみ込んで震えてる子、泣き声は上げてる子…その他諸々。とりあえず全員テンションは死ぬほど暗い……そりゃ自分が入院してた病院にいきなりあんな目的は不明だが、テロリスト染みた「人間マギア」が出てきたら誰だってそうなる。子供なら尚更だ。
「あっちの病室で怖くて逃げられなかった子たちだよ。ここ通る時に連れてきたの!」
「そ、そうなのか……」
いや行動力ゥ!?!?
この状況でなんでそんなアクションができんのこの子? 肝が据わり過ぎつうか…最早「いい子」超えて「天使」だろこれ。あとガキンチョ共の様子見るに……この短時間で既に懐いてやがる…! 美月さてはお前、保育士とか教師の才能あるな?
(驚きはしたがーーこれは好都合だな)
「ーーンなら、そのガキンチョ共の為にも尚のこと早く逃げろ。それともそいつら見捨ててまでここに残るか?」
「……狡い聞き方するね? バカ
俺の台詞に美月を頼りにしている子供たちは怖くなり、びくりと肩を震わせる。そして「見捨てないで…!」と言うように皆が美月を見上げる。美月はその反応を受けてから、俺をじとーっとした目で見た。
「ちょっとぐらい性格悪い方が生きやすいからなぁー。褒め言葉として受け取っとくわ」
ふふふ、我ながら完璧だ……。
ガキンチョ共に縋られて、いい子どころか天使の美月が「見捨てる」=「逃げない」なんて選択肢を選べる筈がない。
「でも、私いやだよ……ねぇ
悪魔の……というよりは天使の囁きだ。美月のその甘言に「あぁ逃げよう!」なんて即答できればどれだけ楽だったろうな。
「…はっ、随分と懐かしい台詞だな」
俺は思わずくすりと笑った。いや、俺からすれば「十二年以上」経ったなんて実感は薄いから懐かしくもないんだが…美月からするとかなり懐かしい台詞だろう。ていうかよく覚えてたな?
『美月も知ってんだろ? 俺は小心者だ。だから怖かったらすぐ逃げ出す。自分の命が一番大事だからな。誰かを助ける為に命を懸けたりなんてしたくねぇ。基本するつもりもねぇ』
「あー…そうだな。その通りだ。誰かの為に命を懸けるなんてしたくない、基本するつもりもない……その思いは今でも然程変わんねえ」
「! だったら──」
今考えると最悪、あの台詞が美月への最後の言葉になってたかもしれないわけだ。
『ちゃんと帰ってくるよね? そりゃお前、別に死ぬわけじゃないんだから……帰ってくるに決まってんだろ?』
(…………)
あの時の言葉は結果だけ見れば嘘にはならなかった。
実際死にはしなかったし……でも、十二年以上も意識不明でうんともすんとも言わない状態って…美月からすればかなりキツいもんがあっただろう。
それに実際あの時俺は「死ぬだろうな俺」と思ってた。だからあの時、俺は美月に嘘をついたんだ。
「──美月」
きっと、美月がここまで頑なに俺を止めるのは「家族だから」「いい子だから」とかの理由の他にその時の事もあるからだろう。ーー俺は美月の目を真っ直ぐ見て口を開いた。
「大丈夫だ。本気で死ぬ気なんてねぇ」
「…………」
「…信じらんないだろうけど、あの化け物を何とかする方法があんだよ」
「……バカ
美月のツッコミは本当にその通りだった。「誰かの為に命を懸けるなんてしたくない、基本するつもりもない」とか言ってたくせして…俺は今から中々に無茶して「人間マギア」と戦おうとしてる「あの化け物を何とかしよう」としてる。
「まぁここにはドクターも居るし、入院生活中に結構話した人も居る。流石に見捨てるのはなぁ……それに、あのクソガキが暴れてんの見て、俺も結構頭に来てるしな」
この病院に居る人が全員赤の他人って訳じゃない。何よりあのクソガキは一発殴らねぇと気が済まないんだわ。
「………はぁ、ほんとにバカだよね」
「………」
「……もしまた、無事に帰って来なかったら……もう一生
「…あぁ、了解」
(ありがとうな、美月)
美月はため息をつくと、一度後ろにいる子供達に目を向けてから本当に渋々…そう言った。その言葉に俺はすぐに応える。
あの日のこともあるっていうのに…俺の言葉をまた信じてくれた美月に俺は心の中で感謝を述べつつすぐ近くに設置してあったソレを両手で取った
「
ソレを取った俺を見て美月は唖然としたように一瞬目を見開き聞いてくる。そんなの決まってんだろ?
ーー勿論、俺は抵抗するぞ…拳で!じゃなくて……
(あいつを何とか引きつけて、アタッシュケースの置いてある病室まで行く……半ば無理難題な気がするが…不思議と何かいける気もする)
──俺は抵抗するぞ…この消火器でなぁ!
今冷静になって思い出してみると……この時の俺の頭はマジでどうかしてたと思うんだ。
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国立医電病院の一階。
「やぁ…やだぁ……! 来ないでっ…!!」
レイダーに追い詰められた少女は泣きながら悲鳴を漏らす。
「ハハハハ! 俺が怖いか? そりゃそうだよなぁ…俺はーー強いからなァ!」
そんな少女を見たレイダーは楽しそうに高笑いし、銃を持たない方の手を振り上げ少女をすぐに殴り殺そうとした。だが、
「やめろっ! 患者には手を出すな!」
「はあ? 何だお前? 邪魔すんなよォ!」
「ぐはっ……!?」
その攻撃を止めるためにーー白衣を着た男…ドクターが横から少女とレイダーの間に割り込み、レイダーの腕を掴む。が、レイダーはドクターを軽々と蹴り飛ばす。壁に背中を強く打ち、倒れるドクターは口から血を漏らすがそれでも立ち上がり化け物に摑みかかる。
「何なんだお前? 俺に敵う訳ないクセに何頑張ってんだ? そんなにその子を死なせたくないのか?」
「ッ──患者を守るのが医者の務めだ!」
「…あーそう。ならーー」
「ごはッ…!」
レイダーは掴みかかったドクターの胸にパンチを打ち込むと、後ろによろめきながら倒れたドクターに短機関銃を向けた。
「ーーその務めを果たせずにここで死ね」
そして、トリガーを引き、
「最ッ高に頭に来たぜ──クソガキ!」
「!?」
ーートドメを刺そうとした瞬間にまたも邪魔が入る。
「硬ッ…!?
後ろからの声に人間マギアは振り返ると同時に何かで頭を強打された。無論、レイダーになっている青年に然程ダメージは入らないが視界は確かに揺れた。
「な、何だお前はっ!?」
「太、陽……君……?」
「ドクター、ここは俺に任せてください。
ーーハッ! お前の相手は俺だよバカ!」
素早く相手を視認したレイダーは驚愕し声を上げる。そこにいたのは消火器を両手で持つ青年?で…その顔や様子は誰の目から見てもキレていた。当然だ。目の前で自分の
「そんなもので俺の相手…? できるわけないだろッ!」
「! 危なッ……!」
ただの人間に消火器で殴られたという事実に怒りを覚えたレイダーは全力で殴り掛かる。しかし、青年?はそれをギリギリで躱す。
「はっ…?」
普通の人間なら避けられるはずがないのに……レイダーはその事実に更に困惑し激怒する。
「どうした? 遊んでやるからかかってこいよ」
「……ふざ、けるなぁぁあ!!」
驚くほどに安い挑発だったが…どんな挑発だろうと、今のレイダーには効果抜群に違いなかった。レイダーは完全に「青年?」をターゲットする。
「ーー死ねェーー!!」
「うおっと…!?」
ターゲットにされた青年は消火器を抱えたまま走り出し、レイダーは追いかけながら短機関銃を連射。その一発は青年の抱える消火器に直撃した。
「っっ! 逃すかァ!」
そして青年?の手から落ちた消火器から大量の煙が凄まじい勢いで辺りに漏れ出る。結果視界を煙に覆われたレイダーは混乱し、
(そうだ! そのまま俺だけを狙えっ!)
ーー太陽は自分の想定通りの展開に内心歓喜しつつ、非常階段を駆け上がっていった。偶然かそれとも必然か……レイダーの放つ短機関銃弾丸は壁を壊し、太陽の身を何発か擦りはするものの、一発たりとも直撃しなかった。
一人の死人も出さずにレイダーを止めるため、レイダーの攻撃を全て引きつけながら三階の病室を目指す太陽とそれを追うレイダーの命懸けの鬼ごっこが始まり………
「悪いが──お前が好き勝手できんのはここまでだ」
──彼の物語が再び動き出す。
次回仮面ライダーゼロワン!
第4話 荒いアイツは仮面ライダー!
悲報:天本太陽、序章の主役なのに未だ主人公?補正あり。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!
新章でのバルデルの立ち位置について
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鎧武の初期の主任のような感じ
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オーズの初期の伊達さんみたいな感じ
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ビルドの仲間加入前のカシラっぽい感じ
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どれも良さそう(作者にお任せの意)