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それでは早速、どうぞ!
飛電インテリジェンス取締役社長 飛電是之助の死去
そのニュース自体に然程驚きはしなかった。別のニュースで孫である「飛電或人」が前社長の遺言状に基づき飛電インテリジェンスの社長になった……というニュースも前に見たからな。
(飛電さん、本当にすげぇ人だったんだな……)
飛電是之助の死は世界の損失……?
という一文から始まり、生前の飛電さんの活躍や経歴が書かれているネットの記事を見て俺はイスに座ったまま部屋の天井を見上げた。
十二年……やはりそれだけの時間が経てば色々なものが良くも悪くも変化してゆくらしい。新たな仮面ライダー達の登場に「マギア」とは似て非なる「レイダー」の登場、滅亡迅雷.netの新たな動き、ZAIAエンタープライズジャパンによる飛電インテリジェンスの買収……子会社化。
「……お前は今頃どーしてんだかな?」
飛電さんが亡くなり、更には「全ヒューマギアの廃棄処分」を約束した天津さんが飛電インテリジェンスを買収した今……ワズ・ナゾートクがどうなったのか。
道具が壊れたからって大して話題にならないのと同じように、ヒューマギア一体がどうなったかなんて……超凄い情報網も持ってるわけでも、ましてやヒューマギアにさほど詳しい訳でもない俺には分かりっこない話だ。……だが、
「──飛電製作所、か」
──今の俺には知る術が一つもない……という訳でもない。手掛かりはあるにはあった。
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『飛電インテリジェンス』が『ZAIAエンタープライズジャパン』により買収されてからちょうど一月。今日も『飛電或人』は仲間と共に『飛電製作所』での業務をこなしていた。
「あぁ〜〜! やっと終わったぁー……!」
「これで本日の業務は以上となります。お疲れ様です或人社長」
「うん、イズもお疲れ!」
何とか仕事を終えた或人は、そこそこの量の書類が積まれた机に突っ伏して溜息を吐く。飛電インテリジェンスの時と比べれば随分と仕事の量は減ったし、楽になったのは事実だが……それでも元は社長とは一切関係のないお笑い芸人だった或人にとって会社の経営というのは如何せん難しいものだった。
(飛電インテリジェンスの時の経験があるから、最初の時に比べればまだ上手くやれてる自信はあるけど………うぅ)
「俺ももっと勉強しないとなー……」
今度経営学の本でも買って読んでみようかな、と考えながら或人はデスクに置いた時計を見て、
『16:30』
(いつもより結構早くに終わったな)
「……んっ?」
ちょうどそのタイミングで、飛電製作所の電話が鳴った。或人は「仕事の依頼か!」と張り切って電話をとる。
「はいっ! 飛電製作所です!」
『! ぁ、スゥーー……』
電話に出て元気よく声を上げる或人。
それを受けた電話をしてきた人物はそのテンションに驚いたのか、息を吐く音が或人の耳に電話越しでバッチリ届く。
なんか変わった人だなぁ……まだ会話もしていないのだが、或人はそう失礼なことを思っていた。
「あ、大声上げてすいません!」
謝罪した或人は電話の相手へ用件を伺う。
或人の謝罪に「あ、いや、謝んないでいいです。俺が勝手に驚いただけなんで」と早口で言ってから用件を口にし始める。
『ヒューマギアに関することで電話したんじゃなくて……そちらに今、飛電或人さんっていらっしゃいますか?』
「えーっと…俺が飛電或人ですけど」
『あっ、あんたが…? あ、すいません「あんた」とか言って』
「いやいや、それぐらい気にしないでいいですって!」
かなり小さなことだが、しっかり謝ってくるのがおかしくって思わず小さく笑い声を零しつつ或人は続く言葉を待つ。
『──飛電是之助さんのお墓参りに行きたいんですが、お墓の場所を知らなくて……その、宜しければで構わないんですけど…お墓の場所を教えていただきたくて………それで電話させてもらいました』
「じいちゃんの…?」
思わぬ用件に或人は少々驚きつつも快く了承した。それと共に、
「あの、よかったら道案内ってことで俺も一緒に行っていいですかね?」
ーー声からして若く「俺と同じぐらいの年齢なんじゃ?」「じゃあ若くてじいちゃんの墓参りに来る人ってどんな人なんだ?」と思った或人は電話の相手へ僅かに興味を持つ。
『……マジですか?』
「あ、いや! 嫌だったら場所だけ教えてーー」
『ーーいやホントに助かります! 俺、方向音痴で多分地番だとか聞いても一人じゃよくわかんなかったろうし……ぜひお願いします』
或人は自分の発言に相手が嫌がったと思い、慌てて口を開くが相手は嫌がっていた訳ではなかったようで……というかむしろ真逆で本当に嬉しそうに電話をし始めてから初めて大きな声を出した。
「そういえば、まだお名前聞いてなかったですよね? あの、お名前を伺っても……?」
『あ、そういや名乗ってなかったわ……俺は天本──天本太陽です』
それから日時を決めて早速後日。
或人はイズと共に『天本太陽』と名乗る彼の墓参りに道案内ということで同行することになった。
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「バカ
「『いつも』は余計だぞバカ妹よ……」
ソファにちょこんと座ってテレビを見ていた美月が、食卓近くに四つ置いてあるイス…その内の一つに腰を落としていた俺の方を振り返り言う。え、俺間抜けな顔してたか今?(自覚なし)
「若いって……凄いな……」
「若いって、
「いやそれは外見だろ? 中身は32のおっさんじゃん?」
「まぁそりゃそうだけど、
飛電製作所への連絡を終えた俺がスマホをテーブルに置き、今さっきまで通話していた相手『飛電或人』のテンションを思い出してそう口にすれば、美月がすかさずツッコミを入れてきた。
「実際
「……………」
……確かに……!
美月の意見は一理ある……よくよく考えたら俺、人生経験そこまで積んでなかったわ。
「だから、私のこと『美月先輩』って呼んでくれてもいいよ? バ・カ・
「絶対やだ」
美月より人生経験積んでない…という話はスルーしよう。このバカ妹を先輩だとは意地でも呼びたくないし。
(人生経験、か………ということはある意味、不破さんとか刃さんも俺の先輩ってことか……)
暫し「人生経験」について考えた後、俺はイスから立ち上がりリビングのドアに手を掛け二階の自室に向かった。明日は飛電さんのお墓参り…或人さんとの集合時間は『13:10』だ。
(飛電さんって呼ぶと是之助さんと被るから、或人さんって呼んだ方がいいのか…? いやでもいきなり下の名前で呼んでくる人とか普通にびっくりしない…? 俺だったらびっくりするし最悪気持ち悪ってーー)
中々にくっだらないことを考えながら俺は階段を上がっていった。万が一寝坊するなんてあり得ないが……頼んだ側の俺が相手を待たせるとか絶対ダメだよな。スマホのアラームかけとこ。一、二分ならまだ許される感あるがそれ以上遅刻したら社会人失格だしな。…ん? 今思ったけど……俺ってちゃんと一般的な社会人やれてんのだろうか?(今更感)
「……………(記憶振り返り中)」
『社会人』とは……学校や家庭などの保護から自立し、実社会で生活している人。俺が意識不明になる前やってた仕事?は以下の通りだ。
マギア出現場所をメールで貰う→急行してマギアを倒す→電話で天津さんに報告(偶にこの時に追加でマギアが出現したりもする)→指定の口座に報酬が振り込まれる。
「………」
命懸けの仕事?をこなしていたあの日々……あれは果たして一般的な社会人のそれだったのだろうか?
(これ以上考えるのはやめとこ…)
俺は自室に入って早々、ベッドにダイブし、枕に顔を沈めてそう賢明な判断を下しーーそうして俺は考えるのをやめた(カーズ)
『13:00』
「………うん、早く来すぎたか?」
飛電インテリジェンスからそこそこ離れた場所にある公園……覚えてるだろうか? 十二年近く前に俺が初めてショットライザーとプログライズキーを持って変身しようと夜中に行ったあの公園だ。
十分前に着いた俺はスマホをポケットにしまい、或人の到着を待つ。我ながら十分前行動とか一般的社会人の鑑だな俺(自画自賛)あ、オイそこ「一般的社会人?」とかいうツッコミはなしな。
『13:05』
(まぁ、まだ集合時間ではないしなぁ)
五分前に来てなくてもおかしくはない。
ーーそう思い俺は待った。
『13:10』
「……まぁ、社長さんだしな」
(今急いでこっちに来てんだろうな…うん)
集合時間になっても公園に姿を現さない或人。まぁまぁ……この程度のキレる俺じゃあない。若くして社長さんやってるから色々疲れてんだよきっと…!
「もうちょい待つか」
俺以外は誰もいない公園で独り呟き、それからーー。
『13:20』
「………まぁまぁ」
まだ許せる(寛大)
『13:30』
「………まぁまぁまぁ」
まだ…まだ、許せる(辛抱)
『13:40』
「………まぁまぁまぁまぁ」
まぁまぁまぁまぁ(語彙消失)
『13:50』
(もしかして俺、集合時間間違えたか?)
流石にここまで来ると俺が何か間違ってるんじゃないかと不安になり始める。……もしかしてあの人事故にでもあったのか!?
『14:00』
「ーーいや遅過ぎだろォ!?」
おかしい……!
これは何でもおかしい!
集合時間から一時間経ったにも関わらず、姿を現さない或人…これもしかして今日のお墓参りのこと忘れてる? 一旦帰るか……そう思った俺はベンチから立ち上がり公園を出ようとし、
「ああああああーー!?」
「ーーファッ!?」
ーー後ろから聞こえた奇声に俺は驚いて声を出す。思わずバッと後ろを振り返れば…そこには苦しそうに肩で息をする或人さんの姿があった。
……これはもしかして……
「はぁはぁ……! あ、あなたが天本太陽さんですか?」
「そ、そうっすけど…そういうあなたは或人さん?」
「は、はい! 飛電或人です! あのーーほんっっとうにすいませんっ!! 俺寝坊しちゃって…!」
………( ˙-˙ )………
来るのおせェよバァカ!(憤怒)という気持ちと
あ、無事でよかった(安堵)という気持ちと
寝坊て……(呆然)という気持ち。
この三つが合わさった結果、自分でもよくわからん無に近い表情を浮かべる俺。その走ってきました感全開の姿見て予想しちゃいたがホントに寝坊したのかコイツ……俺が言うのも何だが、こんな抜けた奴が社長務まってるのか……?
「或人さん、気にしないでください。俺も実はついさっき……いや集合時間の十分前には来てましたよーーざけんな」
「! ほ、本当にすみませんっ!」
(あ、ヤベッ…! つい本音がっ!?)
優しい嘘をついて一旦或人さんの謝罪を止めようとした俺だったが、口からついポロっと
「あ、あー…冗談! 今の『ざけんな』は冗談なんで! き、気にしないでいいっすよー」
それを再び止めようと怒りを一つ足りとも漏らさないよう、出来るだけ柔和な笑顔を浮かべて喋る。き、気にすんなって! だ、誰にでも寝坊の一つや二つするって! そ、それに寝る子は育つってよくいうしさ!(必死のフォロー)
「ざ、ざけんな"は"?」
「あっやべっ」
俺は或人の反応を見て咄嗟に自分の口を手で押さえる。しかし、既に遅い。発してしまった言葉の意味を正しく理解した或人は更に深く深く頭を下げる。
「一時間近くも待たせて、本当にすいませんでしたぁあ!!」
(まぁたプレミったぁぁあ!?)
自分自身の失言という名のプレミに俺は内心で悲鳴を上げながら、或人の数度目の謝罪を受けた。
この時の俺は当然考えもしなかった。
今後コイツと長い付き合いになるなんて。
仮面ライダーゼロワン!
「じいちゃんとは一体どういった……?」
「俺はまだ、ヒューマギアに期待してんだよ」
「お兄様は『未来』の為に自らの命を捧げました」
「見つけちまったんだなーー自分の『使命』ってやつを」
第6話 オレが知りたいアイツの話
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新章でのバルデルの立ち位置について
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鎧武の初期の主任のような感じ
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オーズの初期の伊達さんみたいな感じ
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ビルドの仲間加入前のカシラっぽい感じ
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どれも良さそう(作者にお任せの意)