デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

24 / 49
今回は「お墓参りとワズ、オリ主再度覚悟完了」の回。
次話投稿遅れて申し訳ありません!
戦闘シーンは次回をお待ち頂けると幸いです…。
それでは、どうぞ!


オレが知りたいアイツの話

 

 或人に案内されて着いた広い墓地。

 そこにあった『飛電家之墓』と書かれた墓の前まで行き、足を止めた或人は「ここです」と言った。

 

「ーー飛電さん、お久しぶりです……なんでか生きてました、俺」

 

 俺は墓の前でそう語りかける。持ってきた白い菊の花束を供え、目を閉じ合掌。こうして誰かの墓参りをするのは父方の祖父と母方の祖母………親族の墓参りを除けば初めてだ。俺、ちゃんと墓参りできてるか?

 

(俺正直今すげぇ悩んでます……)

 

 完全復活を果たしたという滅亡迅雷.net。

 ZAIAエンタープライズジャパン(天津さん)の動き。自分がこれからどうするべきなのか……再び戦う決意をしたものの、今の状況は以前に比べ遥かに複雑なものになっていた。

 

 飛電さんが今も生きていれば、一体俺になんて言うんだろうな?

 

「……ゆっくり休んでください……」

 

 飛電さんが眠る墓の前で俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「或人さん、案内ありがとうございました。ほんとに助かりました」

「いや、その…本当にすいません! 一時間も待たせてーー」

「ーーあーあー…もう十分あんたの謝罪は聞きましたって」

 

 墓参りを終え、墓地を出た俺は真っ先に或人に感謝した。それに或人はまた「あの件」についての謝罪を始めようとする。やめろやめろ…! 頭ん中で忘れようとしてんだから思い出させンな!(必死)

 

「で、でも……!」

「その態度見りゃ、遅刻が態とって訳じゃないのは分かりますし……まぁ仮に更に一時間遅れたりとかしたら一発ぶん殴ってたかもですけど」

 

 うん……流石に二時間遅刻したら寛大(笑)な俺もキレてたかもしんない。初対面の人をぶん殴る程度には。

 

「或人さんが色々忙しい人(社長)なのも考慮して、普通に許しますって。だからこれ以上謝んないでください。次謝ったら問答無用でビンタしますよ?」

「………天本さんって、優しい人なんですね」

「……えっ?」

 

 今の俺の言葉に優しさ感じる要素あった?(困惑)

 なかった気がするんだが……一体何を感じたのこの人? 俺を「優しい人」にカテゴリーするとか節穴だなぁ…そういや、ワズも俺のこと「優しい人間」って言ってたっけ。どいつもこいつも俺を勘違いしてやがる……

 

「優しくなんかないですよ、俺は」

 

 今にも殺されそうな他人を見捨てて逃げようとしたり、助けを求める赤の他人に対して「助けるわけねぇだろアホ!自分の命が第一なんだよ!」とか普通に思うぐらいには人間の屑なんだけどな俺。

 ……えっ?でも助けたじゃんって?

 ありゃ気まぐれか何かの事故だから!

 

「……あーそうだ。そんなに俺に対して申し訳ないって思うなら……もう一つ、俺のお願い聞いてくれませんか?」

「! はいっ! 俺が役に立てる事なら遠慮なく言ってください!」

(いや、そんな張り切ってもらうほどのお願いじゃないんだが……)

 

 やっぱり最近の若者のテンションにはおじさんついてけねぇわ(年長者感)……あ、俺の人生経験二十年ちょいだったなそういや。

 

「とりあえず立ち話も何ですし……店の中とかで話します?」

「あっ! それだったらすぐ近くに飛電製作所(うちの会社)がありますし、そことかはどうですか?」

「……えっと、お邪魔して大丈夫なんすか?」

 

 飛電製作所って聞いた話じゃ…機能停止したり、廃棄されたヒューマギアの再起動や修復をしてるとかでZAIAエンタープライズジャパン(多分ほぼ天津さんの独断)と色々揉めてるって聞いたんだが?

 

「全然大丈夫ですっ!」

 

 ………ホントに大丈夫かこれ?

 製作所行ったら何やかんや、奇跡的な確率引いてそのゴタゴタに巻き込まれたりしない…? 正直な気持ち「いやそこはちょっと……」と言って遠慮したいんだが、

 

(目キラキラしとる! なんかめっちゃ期待の眼差し向けられとる!)

 

 これ俺が「飛電製作所じゃ話したくない」とか言ったら、絶対テンション下がるやつやん……うわっやだぁ……「或人のテンションが上がろうが下がろうが気にしなければいい」って思えたらよかったんだが。

 

(その時のことをイメージしたら、罪悪感が…!)

 

 やべぇ、変なところで俺の中にあるかどうかよくわからん「お人好し」が疼く! ……あーちくしょう! わぁーったよ!

 

「なら、お邪魔させてもらいます……」

「! じゃあ早速行きましょう!」

 

 俺の返事に笑顔で声を上げた或人は先程までの道案内と同じく、俺の前を歩いていく。行ってやろうじゃねーかアンタの会社に!(緊張)

 

 

 こうして俺は飛電製作所にお邪魔することになり──或人へ単純明快なお願いをした。

 

 ───────────────────────

 

 飛電製作所の事務室兼応接室になりつつあるスペースに置かれた椅子に対面する形で座るのは二人。俺、飛電或人と天本太陽という青年?で先に口を開いたのは青年の方だった。

 

「ワズ・ナゾートクってヒューマギアのこと、ご存知ありませんか? 飛電さんの右腕的な存在だった、探偵型ヒューマギアなんですが……」

「! ワズのことを知ってるんですか!?」

「……その反応的に、ワズのこと知ってるんですね。なら話は早い。あいつのこと、教えられる範囲でいいので俺に教えてほしいんです。お願いします!」

 

 その「お願い」を聞いた俺は心底驚いた。電話を受けた際にも声からして若いとは思っていたけど……実際に会ってみれば外見年齢も自分と同じぐらいだった。俺と大して年が変わらないように見える人がどうしてワズのことを?そもそもじいちゃんと彼は一体どんな関係なのか……気になって仕方なかった。

 

「その前に一つ教えて欲しいんですけど、天本さんはじいちゃんとは一体どういった……?」

 

 だから俺は直球で彼、天本さんへと聞いた。

 

「どういった……そうっすね。簡単に言うと、一度飛電さんには助けてもらったことがあるんです。まぁ正しくは飛電さんの命令を受けたヒューマギアに、ですけど」

「そのヒューマギアってもしかして……」

 

 俺の言葉に天本さんは頷き語ってくれた。じいちゃんとは何度か会う機会があったこと。過去にあることでピンチになっていたところをワズに助けられたこと。

 

「……ワズはーー」

 

 なぜ一般人を名乗る彼がワズに助けられるような状況に陥ったのか……そこに至るまでの経緯がかなり気になりつつ、そこは一旦ぐっと堪えて俺は先に天本さんの願いに応えようとワズがどうなったのか、その最期について教えようとして、

 

「ーー或人社長、その話は私からしても構わないでしょうか?」

「! イズ……」

 

 ーー秘書の声に俺は横を見た。

 後ろを振り返ればそこにはイズが立っていて、イズは座る俺たちの近くに歩み寄る。

 

「……うん、わかった。イズが話したいって言うならイズに任せるよ」

「ありがとうございます、或人社長」

 

 綺麗なお辞儀を俺にしてから、頭を上げたイズは天本さんの方を向くと数瞬だけ彼を観察するように見つめた。その様子に「ワズにも最初、同じように観察されたなぁ…」と懐かしそうに天本さんは呟いた。

 

「スキャン完了。天本太陽。32歳独身」

「……えっ、さささ、32歳ぃぃいっ!?!?」

 

 スキャンを完了したイズは検索したデータを読み上げ、その内容が耳に入って数秒後に俺は驚愕して絶叫した。それに咄嗟に両手で自分の耳を塞いだ天本さんは少し考えてから「あーそっか」といった顔をする。俺としてはパッと見同い年ぐらいにしか見えない目の前の青年が32歳だなんてこれっぽっちも信じられなくて混乱するしかなかった。

 

「自己紹介したけど、年齢言ってなかったでしたね。なんかすいません……っていうかワズもそうだったけど、初対面の相手をいきなりスキャンした挙句に個人情報読み上げるのやめた方がいいぞ。マジで」

 

 まぁここには今あんた達二人しかいないからいいけどさ、と最後に小声で付け足す天本さんにイズは「申し訳ございません。知りたいことがあったのでつい」と言い、続いて俺は「うちの秘書がごめんなさい」と頭を下げる。天本さんは笑って許してくれた。

 

「……あんたがイズ?」

「私の事を知っているのですか?」

「あぁワズが言ってたんだ。自分を基にした新世代型の、イズっていう社長秘書のヒューマギアができたって」

 

 あれがもう十二年以上前のことだなんて信じらんねぇなオイ、昔のことを思い出してか天本さんはしみじみ言った。

 

 

 

 

 

「……頼む。ワズのことを教えてくれ」

 

 飛電さん亡き後、普通に考えれば飛電或人のもとに居そうな気がするが今ここには居ないワズ。ワズの話をしていた時の或人の反応。

 

 それらを鑑みてワズがどうなったの。察しつつも、アイツ(ワズ)の話を聞くために俺は頭を下げて頼んだ。

 

「畏まりました。天本太陽さん」

 

 俺の頼みをイズは心良く了承してくれて、

 

「お兄様は『未来』の為に自らの命を捧げました」

 

 ーーそう切り出した。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 ザイアスペックの暴走が収束し、天津垓が滅亡迅雷.netの壊滅を大々的に国民に宣言してから三日。

 

「ZAIAとの戦いは避けられないでしょう…どうしますか? 滅」

「我々の最終目的は人類滅亡だ。

 ならばーーどうするかなど決まりきっている」

 

 近付きつつあるZAIAとの戦いについて問いかける亡。

 それに俺は考える迄もなく即答する。

 

「サウザーの戦闘データは既にラーニング済み。そして、我々には亡……ZAIAのシステムを熟知しているお前がいる」

 

 ならば負ける道理はない、そう言いながらも俺の中には懸念があった。

 

「……だが、警戒すべき点が一つだけある」

「? それは……?」

「バルデル、あの男の存在だ」

 

 亡は俺が以前共有した『仮面ライダーバルデル』の戦闘映像を思い出して話す。

 

「私はバルデルの存在を、滅のデータを見るまで知りませんでした」

「……サウザーからは一度もあの男の話は出なかったのか?」

 

 バルデルを知らなかったという亡に俺は僅かに疑問を持った。かつては天津垓の道具として、滅亡迅雷.netのスパイとしてZAIA内で動いていた亡が何故バルデルの存在を知らない?と。

 

 俺の得た情報では天本太陽(バルデル)はZAIAエンタープライズジャパン社長、天津垓の協力者の筈だ。

 

 亡がバルデルの存在を知らなかった。

 その答えは続く亡の言葉によって理解できた。

 

「はい、天津垓は一度も『バルデル』の話はしませんでした。それに私が閲覧できたデータの中には彼に関する情報はどこにも」

「……バルデルの存在を隠していたということか」

 

 周知の事実だが、天津垓はヒューマギアの存在を強く嫌悪している。

 天本太陽(バルデル)の存在を亡に隠していたのは亡が「ヒューマギア」だったから。そして、亡が滅亡迅雷のスパイだと勘付いてからは天本太陽(バルデル)が生きていることが滅亡迅雷に知られれば、必ず意識不明の彼を始末しようと動く……そこまで考えた結果だろう。

 

「バルデルを『切り札』と理解しての行動か……」

 

 天津垓(サウザー)天本太陽(バルデル)を守る為であろう行動について俺は考える。確かにバルデルの生存を知っていれば、俺は確実に始末しに向かっていただろう。

 

「亡、バルデルへの警戒は決して怠るな。最悪の場合、サウザーとバルデルを同時に相手取ることになる」

 

 そうなった場合、勝算は………限りなく低いと言わざる負えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっか……そんなことが、あったんだな」

 

 話を聞き終わった天本さんはぽつりと呟いた。

 イズの口から語られたのは『滅亡迅雷.net』の存在や『マギア』の話から、最後にワズが自らのセントラルメモリーを抽出して犠牲になったこと、ワズの最期までの話。一般人に公表されている情報だけでは理解することは容易じゃない筈なのに……

 

「ーーったく、ヒューマギアのくせして……なに人間より人間らしいことしてんだよ……」

 

 椅子に座ったまま天本さんは話の内容を理解した様子で右手を固く握り締め、悔しそうな表情をしていた。

 

「或人さん、イズ。ワズのこと、教えてくれてありがとうございました」

 

 立ち上がった天本さんは俺とイズに頭を下げ感謝すると「それじゃ、失礼します」とすぐに俺達に背を向けて事務室の出入口のドアに向かって行きそのまま外に出て行った。

 

「……っ!」

「或人社長?」

 

 そんな天本さんのその背を見て……俺は居ても立っても居られなくて、天本さんを追って出入口のドアに手を掛け外に出ていた。

 

「天本さんっ!」

「? 或人さん?」

「一つだけ、聞きたいことがあるんです!」

 

 不思議そうに振り返った天本さんに、俺は一つだけ聞きたいことがあった。ワズの最期を聞いて、あんな表情をした人にとって、

 

「天本さんにとって、ヒューマギアって何ですか?」

「……………」

 

 ヒューマギアは一体どんな存在なのか。

 それを聞いた天本さんは暫し考えた後にこう答えてくれた。

 

「飛電さんの言葉を借りるなら『人間の最高のパートナー』になり得る……かもしれない存在、ですかね」

「……かもしれない……」

「大した話じゃないし、言う必要もないって思ってたから言わなかったんですけど……俺デイブレイク被害者なんですよ」

 

 デイブレイク、被害者……!

 天本さんの口から明かされたその事実に俺は驚いたと同時に納得がいった。何で一般人のように見える天本さんとじいちゃんに接点があったのか。天本さんがデイブレイク被害者だっていうなら色々と合点がいく。でもデイブレイクに遭ったなら何故、ヒューマギアを『人間の最高のパートナーになり得るかもしれない』なんてことが言えるんだ?

 

 デイブレイク被害者の人はその多くがヒューマギアと飛電インテリジェンス及びその他の協賛企業に対して皆少なからず悪感情を持っている。それが普通なんだと思う。……なのに、

 

「デイブレイクに遭う前に比べたら、そりゃヒューマギアに対して……怖いとか、嫌いとか、マイナスの感情は抱きましたけど。期待したいんですよ俺」

 

「だから或人さん、これからも頑張ってください。俺はまだ、ヒューマギアを好きでいたいですから」

 

 その天本さんの言葉が俺の胸には何だか強く胸に響いた。

 

「!はい! 俺頑張ります!」

 

 歩いていく天本さんの背に向けてそう言えば、天本さんは振り返ることなく上げた右手をひらひらと振って製作所を去っていった。天本さんに会えてよかったな、俺は心からそう思った。

 

 まだヒューマギアを好きでいてくれる、ヒューマギアに期待してくれている……そんな人が居るなら俺が諦める訳にはいかないよな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………命を懸けてまで果たす『使命』。私には理解不能です』

 

『別に理解できなくてもいいんだよ。他人の『使命』何て誰にも理解できねぇだろうし、俺も理解できねぇ。……自分の『使命』なんてもんは多分、見つかったその時に何ないとわかんないもんだろ』

 

『……私に使命は、見つかるでしょうか?』

 

『さぁな。それはわからん。もしかしたら、もう既に気付かぬ内に見つけてるのかもしんないし…これから先見つかるのかもしれない』

 

 あの時のワズとの会話が脳裏を過る。

 

(──ワズ………)

「お前は見つけちまったんだなーー自分の『使命』ってやつを」

 

 飛電製作所を後にし、家への帰路を歩きながら俺は考えていた。

 

 俺があの日、滅を倒してさえいればーー。

 俺がもっと早くに目覚めていればーー。

 

──ワズを救うことができたのだろうか?

 

「……こんなこと考えるなんて、俺らしくもないか」

 

 たらればの話なんざしても仕方がない。時間は過去には戻らない……ンなことはとっくに知ってる。だけど、それでも、

 

(考えちまうのは……人の性ってやつか?)

 

 何かが違えば、変わっていたのかもしれない。これが無駄な思考だと分かっていてもつい考えてしまう。

 

「悪いなワズ、肝心な時に力になってやれなくて……そういや俺、お前になんか恩返しできてたか?」

 

 ……あー最っ悪だ。

 恩返しする前に逝っちまいやがったよあいつ。

 小さな恩なら返さなくても俺自身気にしないが、命を助けられたってどう考えても小さくないよな? 大恩だよな? ……ゆっくり休めよ、ワズ。

 

「後のことは任せろ」

 

 ヒューマギアのお前が人間の『未来』の為に戦ったんだ。なら人間の俺が…人間の『未来』の為に戦わずに逃げるなんてできる訳ないよなぁ?

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!

仮面ライダーゼロワン!

第7話 コレがZAIAのホントの夜明け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。