今回はタイトル通り、あの二人が出会います。更には……
それでは、どうぞ!
「ここら辺なら、誰かに聞かれる心配もないか」
喫茶店を出た俺たちは少し離れた場所にある川沿いの道。そこに設置された柵に手をかけた天本さんは、俺の方を振り返ってこう言った。
「そんで、俺に何か話したいことがあるんじゃないのか? 飛電さ……いや、或人」
あんなことがあった後なのに……天本さんは俺へ以前と変わらぬ態度で声を掛けてくる。あの時、天津垓に味方していた仮面ライダー…その正体が天本さんだということは疑いようもないことだが、一見一般人な天本さんがあの荒々しい仮面ライダーだなんて……。
「……俺、あの後…考えてみたんです。天本さんに言われた事について」
「………」
「自分が人間の味方なのか……ヒューマギアの味方なのか……どっちで居たいのかって」
「……うん」
俺の言葉を天本さんは静かに聞き小さく相槌を打つ。その天本さんの聞き方が俺にはすごくありがたかった。
「でも……何か、うまくわかんなくてッ……」
考えれば考えるほどぐちゃぐちゃになって、訳わかんなくなっちゃって……正直に俺はそれを天本さんに伝え頭を下げる。
「すいません! 天本さんっ…!」
「? ……え、何に対して謝ってんの?」
「っーーそれは! 自分でも、どっちの味方でいたいのか分かってないのに……あの時、天本さんの邪魔をして……」
天本さんは怒ることなく俺の謝罪に首を傾げる。そして、
「ンなこと気にしないでいい。つうか俺、怒ってないし」
「…えっ? そ、そうなんですか……?」
「そうだよ……え、怒ってるように見えてたのか?」
はいと頷く俺を見た天本さんはため息をついてから「そう見えてたのかぁ…」とぼそりと呟く。
「勘違いさせたなら悪い。あの件に関して俺は別に怒ってない。まぁあの時に言ったように多少うざいとは思ったが…そんくらいだ……あーそれと──或人」
「?」
「──どっちの味方なのか。聞いた俺が言うのもなんだが……その答えに、俺はさほど興味ない」
「……ぇ……?」
一瞬、天本さんが何を言っているのか俺にはわからなかった。
「あれは、お前の行動を見た俺の素朴な疑問だ。だから正直、忘れてくれたっていい」
「! で、でもッ──」
「──慌てて、無理して考えたって…答えが出ないなら仕方ないだろ? ンなの疲れるだけだし………まぁ遅かれ早かれお前が『答え』を出さなきゃいけない日は来るだろうけどな」
そう俺に言い終えた天本さんは、
「? はい、もしもし?」
『こちら
「ーーはあ!?!? ちょっおま、マジでえっ!?」
ーー電話が掛かったスマホを取り出し、電話に出て驚愕の声を上げた。
『現在交戦中ですが……このままだと撤退は必至かと!』
「了解。今すぐ行くから位置情報送ってくれっ! ………その前にちょっと聞きたいんだけど、俺に電話してきたのは……」
『はい。天津社長から緊急事態の際は、天本さんに助力を請えと指示されておりまして……』
「……スゥー……あとであの人一発ぶん殴ろ」
そして、電話を切った天本さんは小声で何かを口にした後に「悪い、急用が入った」と言って走り去っていった。
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「はぁはぁ……!」
(早く、この場を離れないと……!)
このままここに居れば間違いなくアークは裏切り者である迅を追ってくるだろう。そう確信していた迅はバトルレイダー達を打倒すると、素早く翼を展開し飛び立とうとした。だが、
「! くっ…!?」
ーーその直前に一発の弾丸が迅の肩に直撃し、火花が散った。怯み僅かに後退りした迅はすぐに弾丸が飛んできた方向に目を向ける。
「──見つけた」
「お前はッーーバルデル……!」
迅が目を向けた先にはショットライザーを片手に歩み寄ってくる男、
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「! あんた大丈夫か?」
「ッ…天本、さん……!」
「…よしっ、ちゃんと生きてるな?」
俺は慌てて近くに倒れていたAIMSの隊員の一人に駆け寄った。
スマホに送られた位置情報に従って来てみれば、そこには深紅のアーマーを身に纏った仮面ライダー迅の姿とあちこちに倒れているAIMSの隊員達がいた。幸い皆意識はあるようだ。この人達も中々にタフだよなぁ……流石は本職って感じだな。
「不安だろうが…後の事は俺に任せて、あんたらは寝ててくれ」
「! はいッ……!」
次に目が覚めたら、この人達は皆病室のベッドの上だろう………なんでそんな安堵の表情してるのこの人…!? つうかあんたやけに素直だな!? 普通俺みたいな一般人に「任せろ」とか言われたら不安で仕方ないと思うんだが……?
……あーさては天津さん、あんた俺のことに関して隊員さん達になんか吹き込みやがったな?
「それにしても、容赦なくやってくれたなぁ? 焼鳥野郎」
「……お前も、僕の邪魔をするのか? バルデル」
倒れる隊員さんの一人をそっと寝かせてから、俺は迅を見据えながら言った。迅はそんな俺に問いかけてくる。僕の邪魔をするのかって? ハッ、ンなの当たり前だろ?
「愚問だな……お前が滅亡迅雷の一員って時点で、俺の中じゃお前は倒すべき敵だ」
天津さんから聞いた話じゃ、迅の目的はヒューマギアの解放らしいが……滅亡迅雷に入ってんなら話は別だ。
もう二度とシュゴやワズのような犠牲者は出させない。俺が守りたい『未来』の為に俺はお前達を一人残らず破壊する。
「バルデル──お前じゃ僕は止められない」
「そりゃあ──やってみなくちゃわかんねぇだろ?」
確かにスペックだとかを見りゃあ俺じゃお前には及ばないかもしれない。俺じゃお前は倒せないかもしれない。だけど、
『ストロング!』
【オーソライズ!】
ーースペックの差だとかそんなのは今更だろ?
取り出したアメイジングヘラクレスプログライズキーのボタンを押し、俺は腰に装着したショットライザーに勢いよく装填する。
【Kamen Rider. Kamen Rider.】
「──変身ッ…!」
【ショットライズ!】
そして、プログライズキーを展開してトリガーを引き、
「──おらあッ!」
『アメイジングヘラクレス!』
【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】
ーー変身した俺は迅と対峙する。
「悪いが出し惜しみはしねぇ。俺は全力でお前を破壊する」
「やれるものならやってみなよ?」
俺はバックルからショットライザーを引き抜き、迅はバックルからスラッシュライザーを引き抜きーー俺と迅は互いに駆け出した。
「おらおらおらァ!」
「はぁっ! やぁっ!」
ショットライザーでの連射を迅はスラッシュライザーで巧く弾き切り、俺に切り掛かってくる。
「っーーそんなもんかあッ!」
「くっ…! ふーーはあああ!!」
「!」
それを片腕で防いだ俺の反撃のパンチをギリギリ後ろへ飛ぶことで回避した迅は、赤い翼を展開しその一部を俺へと飛ばしてくる。
(後ろには隊員さん達が……くそっ、しゃあねぇか!)
「おりゃああ!! ーーぐッ……!」
後ろに目を見やれば……その攻撃を回避するという選択肢が俺の中から消えた。俺は飛んでくる真っ赤に燃えた翼に殴り掛かり、直後にその翼は爆発した。熱ッ!? 痛ッ!? あーやだ! ホントやだっ!
「! 防ぎ切った…!?」
「ッ…次はーーこっちの番だオラァ!」
完全に俺のこと怒らせちまったなぁ! お前なぁ!?
「うぐッ…! くっーーがはっ!?」
アメイジングヘラクレスの装甲と気合で迅の攻撃を耐え抜いた俺は全力で迅にダッシュし、膝蹴りをぶち噛ます。それにより大きく退く迅に更に接近し、その胸に右でのパンチを打ち込む。ラストに前蹴りで蹴り飛ばす。
『ストロング!』
【アメイジング ブラスト!】
「はあああーーおらああッ!!」
左手に持ったショットライザーに装填されたプログライズキーのボタンを右手で押し、素早くショットライザーを右手に持ち替え俺はトリガーを引く。瞬間、ショットライザーに収束した黄緑色のエネルギーが放たれる。
「! くーーはあぁぁぁあーー!!」
「! 飛びやがった…!」
(飛べるって狡いなぁマジで……!)
迅はその一撃を空に飛ぶことで回避した。
くそっ飛べるとかいいなぁ! …つうか何で俺は飛べないんだ? これヘラクレスオオカブトのプログライズキーだろ? カブトムシなら翅あんだろ翅ェ! ………まぁ確かにヘラクレスオオカブトが飛んでるイメージってあんまないけども。
「悪いけど、僕も手は抜かない。
どんな手段を使ってでもお前を倒すッ!」
「!? はっ? 消えた……!?」
中空に浮かぶ迅を見上げていた俺だったがーー迅の姿は突然消えた。
「どこ行きやがった…! ……?」
(これは……飛行音……?)
焦って辺りを見渡す俺は気付く。迅の姿は一切見えないが何かの飛行音らしきものが俺の耳には確かに届き、
「ーーはあぁぁあ!」
「!? ぐわッ…!」
ーー
突如として背後から攻撃を受けた俺は地面に転がる。今の声は迅の……つうかあの焼鳥野郎っ!
(速過ぎるだろうがッ!?)
「隙だらけだっ!」
「!? がはっ!」
俺は次は真っ正面から高速で蹴り飛ばされる。あまりの速さに迅の姿が俺には視認できなかった。どうする……? 速過ぎて見えないヤツ相手にどうすりゃあ……
「せやあああ!!」
「! ちぃッ! ぐはっ…!」
そんなことを考えてる間も迅は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。………こうなったら、一か八か……いやあの速さじゃ闇雲に打っても一発も攻撃は当てられない……
(……待てよ? 音……そうだ! 音だっ!)
「はあぁぁあ!!」
「ぐッ…! やってみるっきゃねぇか!」
【アタッシュショットガン!】
【ショットガンライズ!】
俺は手に持ったショットライザーをバックルに戻し、アタッシュショットガンを取り出した。
「今更そんなもの出したって、当てられなきゃ無駄だっ!」
「ぐはっ! はぁ……あーそうだな。当てられなきゃ、無駄だなァ!」
【チャージライズ!】
俺は天津さんから借りたプログライズキーの内の一つ、群青色のプログライズキーを取り出す。空を縦横無尽に高速で飛ぶ迅の猛攻を受けながら俺は、
『ウェーブ!』
【Progrise key comfirmed. Ready to utilize.】
『ホエールズアビリティ!』
そのままプログライズキーをアタッシュモードのアタッシュショットガンに装填する。そして、
「はぁーー………」
「? 遂に諦めたか? はぁぁぁあ!」
ーー俺は仮面の下で目を閉じた。
諦めた? ハッ! 的外れにも程があるぜ迅?
(集中しろ、音を聞け、意識を研ぎ澄ませろ…!)
「がはッ……!」
(痛みに耐えろ、集中力を乱すな…!)
全力で意識を研ぎ澄ませる。
相手が目では追い切れない「速さ」を持つなら、音を聞き取り、相手の場所を予測しろ……攻撃を受けても慌てるな。自分に言い聞かせるように内心でそう口にし、俺は攻撃を受け続ける。
だけどーーアタッシュショットガンは決して手から落とさない。
「ーーはあぁぁぁあ!!」
そして──その
【フルチャージ!】
「ーーッ! そこだァア!!」
「ーー何っ!?」
【スプラッシング カバン バスター!】
俺は己の意識と感覚を信じ、アタッシュショットガンを展開し咄嗟に後ろを振り返りトリガーを引いた。瞬間、アタッシュショットガンからは青いエネルギーが放たれ、その激しい流水のような一撃は、
「!? ぐわぁぁぁあーー!!」
ーー高速で攻撃を仕掛けようとした迅にドンピシャで命中し、迅は地面を転がり強制的に変身が解除される。
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「はぁッ…手こずらせやがって。だけど、これで終わりだ迅」
「うぐっ……まだだッ……!」
変身が強制解除された時点で、迅の体力は限界だろう。ボロボロな体で必死に立ち上がろうとする迅……だけど、悪いが俺には油断も慢心も、容赦もする気はなかった。
「悪く思うなよ」
この距離なら間違いなくアタッシュショットガンでコイツを破壊できる。俺がアタッシュショットガンを迅へと向けトリガーに手を掛けた、その時、
「ーー見つけたぞ、迅」
ーー不思議と聞く者全てに「恐怖」を感じさせる声が響いた。
「!? その声は……!」
「! ……お前は……?」
声がした方に目を向ければそこには何者かの姿があった。
ソレは黒いアーマーに身を包み、複眼は片方が剥がれたような黒色、もう片方は禍々しい赤色。胸には複数のパイプが貫通しており、よく見れば内部のパーツの幾つかが剥き出しだった。
迅を見れば、酷く怯えた様子で謎の存在に目を向けている。──コイツも仮面ライダー……なのか…? 天津さんからはこんなヤツがいるなんて聞いた覚えはないんだが……。
「これは思わぬ遭遇だな、バルデル」
ソレは迅から俺へと視線を移動させるとそう言い、
「……お前は誰だ……?」
「そうか。こうして
一歩だけ俺に歩み寄ると。
「ーー私の名はアーク。人類を滅亡へと導く存在だ」
ーー俺の問いにそう答えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!
なんかこのオリ主、偶然にも(ラッキー?)手傷負ってる相手とばっかり戦ってますねぇ……
(↓補足?情報、次回予告あります)
・迅
4話目「荒いアイツは仮面ライダー!」から登場。本作中では最初の純粋な「迅くん」の頃から既に滅からバルデルについての情報を聞かされており、一方的に天本太陽(オリ主)のことを知っていた。今回の話の流れとしてはアークに挑み返り討ちに遭い、逃げていた所でAIMSと遭遇し、AIMSを倒したと思ったら駆けつけたバルデルと出会い……自分で書いていてなんですが災難にも程がありますね笑
・スプラッシングホエールプログライズキー
天本太陽が天津垓から貸してもらっているプログライズキーの一つ。多分他にもバッファローやペンギン、パンダやライオンなどレイダーから回収されたプログライズキーの幾つかを「貸して」と頼めば貸してもらえる。それどころか太陽が仮に「くれ」と言えば天津さんなら喜んで差し出してくる可能性すらある。これ、もしかしなくても天津社長の職権濫用では……?
仮面ライダーゼロワン!
第10話 滅亡の方舟とのエンカウント!