デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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ゼロワン……遂に明日最終回。結末がどうなるにせよ最後まで楽しんで見届けたいと思います。また、今回から少しずつ原作改変が顕著になっていく……かもしれないです!

今回は「サウザーVSバルデル」。
それでは、どうぞ!


カレの選択が分岐点

『失礼』

『すいません。部屋間違ってませんか?』

 

 デイブレイクに巻き込まれ、搬送先の病院で入院していた俺と天津さんとのあの最も最初の出会い。間違いなくあれが──デイブレイク被害者()が仮面ライダーになる話の始まりだったのだろう。

 

 気付けば随分と長い間、俺は仮面ライダーとして戦っている。何度も死にかけたが何とか生きている……いや、本当ならあの日の滅との一騎打ちで俺は死んでいた筈だ。

 

 だけど、他の誰でもない天津さんがそんな俺を助けてくれた。

 

 俺は天津垓という人間に多大な借りがある。

 マギアの撃破、戦闘データの提供などによって得られる報酬。そして、何よりも俺の回復を信じ、俺の命を十二年以上繋いでくれたこと。

 

 ──恩返しがしたい。

 俺が回復してから今まで、天津さんに引き続き協力していた一番の理由はそれだった。

 

 なあ、天津さん。

 俺は一体、あんたに何をしてやれるんだ?

 

 

 ───────────────────────

 

「ーーおりゃああっ!」

「くっ…!」

 

 俺は最初から全力で、拳での猛攻撃を天津さんーーサウザーに仕掛ける。サウザーは防御の態勢をとるが「それがどうした?」とお構いなくパンチを連続で叩きつけ純粋なパワーで押していく。

 

「ふっ、流石ですね太陽君……スペック差があるにも関わらずそれを全く感じさせない戦い振りだ。ですがーー」

 

 後ろに飛び退き距離をとったサウザーは俺に称賛を送り、金色の武器を手に取った。

 

サウザンドジャッカー!

「この力は、君の力を更に強化・進化させたもの……ならば、私が君に負ける事は1000%ありえない…!」

 

 サウザンドジャッカーを構え、再び接近戦に挑むサウザーはサウザンドジャッカーを上段から振り下ろす。

 

「ッ……!」

「甘いっ!」

「かはっ!?」

 

 それを俺は両手で受け止め防ぐが鋭い蹴りを受けて怯む。サウザーはそんな俺に油断なくサウザンドジャッカーによる突き、追撃を噛まし俺は地面を転がった。

 

「っ……ンなら、こっちも武器だ!」

アタッシュショットガン!

「そらそらァーー!!」

「っ!」

 

 立ち上がるのと同時にアタッシュショットガンを取り出し、サウザーへ銃口を向けトリガーに手を掛け散弾を連射しながら俺は駆け出す。

 

「うぐッ…!?」

チャージライズ!

「ーーぶっ飛びやがれ!」

 

 サウザーは冷静にサウザンドジャッカーを盾に弾丸を防ぎ、散弾を連射しながら距離を詰めた俺はギリギリでアタッシュショットガンを素早く閉じアタッシュモードに変えーーそれを展開せずそのまま武器にして殴り掛かった。

 

「がッーーぐがっ!?」

 

 それをサウザンドジャッカーで受け止めようとするサウザーだが、受け止めきれずに押し負け後ろに吹き飛ぶ。だが、サウザーは辛うじて受け身をとり地面に倒れる事なく着地する。そして、

 

ジャックライズ!

「はあぁーー……」

ジャッキングブレイク!

「ーーハァアアアッ!!」

ザイアエンタープライズ

 

 反撃とばかりにサウザンドジャッカーのグリップエンドを引き、更にトリガーを引いて必殺技を発動する。瞬間、巨大な狼の頭部のようなライダモデルが出現し追尾弾のように俺目掛けて放たれた。

 

「素直に食らってたまるかよっ!」

シザーズ!

Progrise key comfirmed. Ready to utilize.

スタッグビートルズアビリティ!

「ーーおらああああッ!!」

エキサイティング カバン バスター!

 

 それに対し、俺はオレンジ色のクワガタのプログライズキーを取り出してアタッシュショットガンに装填し、アタッシュショットガンを展開。トリガーを引いて迎え撃つ。

 

ーーJACKING BREAK

©️ZAIA エンタープライズ

 

グ カバン バスター

 

「がはっ……!」

「ぐはっ……!」

 

 アタッシュショットガンの銃口にチャージされたオレンジ色のエネルギーは放たれた瞬間、クワガタ特有の大顎のような形のライダモデルになりサウザーの放つ狼の頭部のライダモデルを挟み爆発する。

 

 その余波により俺とサウザーは互いに後ろに吹き飛び、サウザーは地面を転がり、俺は背中を壁にぶつけ地面に片膝をつく。

 

(予想以上に手強いっ……!)

 

 俺の力を強化・進化させた力……か。いや、前に滅と戦った後に社長室で天津さんから聞いて知ってはいたが…人に無断で何作ってんだこの人?

 

(つうか俺の力なんかより強化・進化させるに最適なヤツいたろ……)

 

 なんて疑問を一瞬抱くが、すぐにそんな無駄な思考を止めて俺は何とか立ち上がり右手をバックルに装填したショットライザーに置き、

 

ストロング!

「天津さん──あんたを、倒すっ!」

アメイジングブラストフィーバー!

 

 ショットライザーに装填されたプログライズキーのボタンを押す。

 

「いいや、勝つのは1000%私だっ!」

サウザンド デストラクション!

 

 また、サウザーは俺の必殺技に対抗するべくドライバーに装填されたプログライズキーを力強く押し込んだ。

 

「──はあッ!!」

「──ふッ!!」

 

 そして、互いに駆け出し高く跳び蹴りの構えをとり──放たれる二つの必殺技(ライダーキック)。俺の右足に収束していた黄緑色のエネルギーとサウザーの右足に収束していた金色のエネルギーが激突し、

 

ブラスト フィーバー

 

──どらあああッ!!

 

──THOUSAND──

──DESTRUCTION──

 

──はああああッ!!

 

 ーー二つのエネルギーが勢いよく爆ぜた。

 

「何っ!? ぐはッ……!!」

「はあ、くっ、うぐッ……!」

 

 それによりサウザーは空中でバランスを崩し地面に倒れる。対して俺はふらつきながらも何とか着地に成功する。予想以上の威力により互いのアーマーから激しく火花が散り、互いに苦悶の声を漏らすがまだ変身は解除されていない。

 

──まだ勝負はついていない。

 理解した瞬間、双方の次の動きは早かった。

 

「これで、決めてやるッ…!」

ストロング!

 

 痛みの走る手でショットライザーに装填したプログライズキーのボタンを押す。

 

「まさかサウザーが押し負けるとは……。君はまだ万全な状態ではない筈ですが……やはり君は『例外』ですね」

アメイジングホーン!

Progrise key confirmed. Ready to break.

「ならば……サウザーが持つ最大威力の必殺技を見るがいいっ!」

サウザンドライズ!

 

 サウザーはドライバーから引き抜いたプログライズキーのボタンを押し、プログライズキーを閉じてサウザンドジャッカーに装填。闘争心を更に燃え上がらせ、素早くグリップエンドを引き構える。

 

アメイジングブラスト!

サウザンドブレイク!

 

 次々とサウザーの元に出現し襲い掛かるライダモデル。

 放たれる巨大かつヘラクレスの角のように鋭利な弾丸。

 

「「──ハアアアアアッ!!」」

 

 そして、勝負が決する。

 

 

───────────────────────

 

 

「うっ、うぅ……ぐッ……!」

「はぁ、はぁ……どうやら、勝負あったようですね…」

 

 片膝をつき息を整えた垓は変身が強制解除され、地に倒れた友──太陽を見て口を開く。

 

 勝負の結果、勝ったのは天津垓(サウザー)だった。

 

「アークとの戦闘によるダメージが完治し、君の状態が万全だったのであれば結果はまた違ったかもしれませんが……」

 

 天津垓(サウザー)天本太陽(バルデル)

 始まる前から分かりきっていた事実ではあるが、この勝負には太陽側に大きなハンデがあった。

 

 一つは純粋なスペックの差。

 原型とも言えるバルデルと、そのバルデルのデータを利用し強化・進化したサウザーの間には明確な開きがあった。そして、一番のハンデは太陽がサウザーとの戦闘前に負ったアークとの戦闘によるダメージだ。

 

(戦闘経験なら間違いなく私は負けていた……仮面ライダーとしてのポテンシャルも)

 

 ドライバーの左右からプログライズキーとゼツメライズキーを引き抜き、変身を解除した垓は冷静に考える。天本太陽の強さはスペックの差などものともしない『例外』に違いない。

 

「太陽君、立てますか?」

 

 倒れる太陽へと歩み寄り手を差し伸べる垓。

 

「……天津さん、一つ教えてくれ」

「……何でしょう?」

 

 しかし、顔を上げた太陽はその手を掴まず真っ直ぐ垓を見据え聞く。

 

「どこまでだ?」

「ーーー」

「どこまでがあんたの思惑通りだ?」

 

 それは垓からデイブレイクの真相を聞いた太陽が、思わずにはいられなかった最大の疑問だった。

 

「……まず、最初に言っておきましょう。病室で初めて君と会った日。それ以前、私は君の存在を知りませんでした」

「…………」

「あの日、私はデイブレイクの被害に遭った人間の中から『仮面ライダー』に変身しマギアと戦い、戦闘データの提供をしてくれるような者を探していました」

 

 垓は太陽の疑問に答えるべく、あの日のことを思い出しながら語り始めた。

 

「デイブレイクにより暴走したヒューマギアに襲われ、ヒューマギアに対して強い憎しみを抱いている……そんな人間が私の考える理想でした」

 

 だからあの時の君は私の理想とは真逆の人間でした、と垓は続ける。

 

「落胆しましたが、同時に興味が湧きました。ヒューマギアに襲われたにも関わらず、ヒューマギアを憎むことなく飛電是之助の夢に期待し続ける人間……そんな者が仮面ライダーとして戦ったらどうなるのか」

 

 初めて太陽と出会った垓は、太陽本人の言葉を聞く前から「ヒューマギアを憎んでいるだろう」と勝手に思い込んでいた。しかし、実際は全く違った。ヒューマギアに襲われたにも関わらず、多少嫌いにはなったが憎んではいない……ヒューマギアを作った張本人である飛電是之助の夢を信じる。当時、太陽本人に言った通り垓には太陽の考えが理解できなかった。

 

「君にドライバーを与え、私は君を仮面ライダーに選んだ」

「ーーー」

「最初は君のことをマギアにプログライズキー、ショットライザーのデータ収集……ZAIA延いては私の利益の為の『道具』だと思っていました。ですがーー」

 

 ーー長い時間を共にし協力する中で垓のその思いは変化した。

 

「ーー戦うことへの恐怖を感じながらも、仮面ライダーとして一人で戦う君の姿に、思いに、強さに……私はいつしか、憧れを抱いていた」

「……天津さん……」

「だからでしょうね。本来なら、君を最後まで『道具』として使い潰す予定だったにも関わらず……私は君にフォースライザーを与えた」

「……ひっでぇなぁ、使い潰すって」

「えぇ、当然の感想ですね」

 

 元々の計画では垓は、天本太陽(バルデル)を滅の人類滅亡計画を先送りさせる為の英雄(どうぐ)にするつもりだった。変身者の生死は問わない。ただ滅に甚大なダメージを与え、計画を先送りにしてくれればそれでいい。太陽の戦闘能力ならそれが可能だと垓は確信していた。

 

 だが同時にその場合、太陽の生存確率が極めて低いことも分かっていた。デイブレイクを生き延びた彼であっても、ショットライザー……それも変身に負荷のかかる試作品では……

 

「君にフォースライザーを与えた理由……あの時、私は自分の行動を納得させるように『借りがあるから』などとそれらしい理由を考え出しました」

「…………」

「ですが本当の理由は至極単純です。

 ーー私は君に生きて欲しかった」

 

 あの時、垓は太陽にフォースライザーを渡すつもりなど毛頭なかった。それは天本太陽(バルデル)ならば、たとえ試作品のショットライザーだろうとも、その強靭な精神力(思い)を持ってあの滅に有効打を与えると確信していたから……気付かぬ内に垓が彼を信頼していたからに他ならない。

 

「くっ……っ……俺は、どうすりゃ……!」

「ーーーー」

「ーーどうすりゃいいんだよっ!?」

「……私は、今も変わらず君の協力を求めています。……自分で口にして、馬鹿なことを言っていると自覚はしていますがね」

 

 垓はそう言うと自分でも「らしくない」と思いながら自嘲の笑みをふっと浮かべ、倒れる太陽に背を向けた。

 

「……強制はしません。どのような選択は取るかは、君の自由です」

 

 それでは、と最後に言い垓は歩き去る。

 

「何だよそれっ……待て……待てよ…! 天津さんッ!!」

 

 そんな垓の背に太陽の叫び声が掛かるが、垓は振り返ることなく歩を進める。彼はもう自分自身では止まれない場所まで至ってしまっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 少しの時間が経った後。

 立ち上がり、廃工場を出ればちょうど雨が降り始めていた。

 

(………なぁ、飛電さん、ワズ──)

 

 あてもなく雨に打たれながら歩き出す。もう居ない、あの二人を思い浮かべ空を見上げた。

 

「──俺は、一体どうすれば……っ……」

 

 頼むから、教えてくれよ。

 天津さんに今まで通り協力するか、否か。

 わかってる、わかってるんだ。

 天津さんは間違ってる。

 天津さんのやっていることは正しくない。

 なら俺が取るべき選択(最善)は………

 

(……壊したく……ねぇなあ……)

 

 デイブレイクに遭った俺が「天津垓」を許すなんて馬鹿げてる。許すべきじゃない。恨んで、憎んで、怒りを覚えるべきなんだ。でも、俺は……この関係を壊したくない。

 

「もう、わかんねぇよ」

 

 できることなら、天津さんとこれまで通り、今まで通りの関係で居たいと思ってしまっている。仲間として。友達として。これからも……

 

 天津さんの間違いを正す。

 それが正しいことなのはわかってる。

 だけど、それをしてしまえば……きっと……

 

 

 

 

 

 

(………あ………?)

 

 さっきまで感じていた体に打ち付ける雨の冷たさが唐突に消え、内心首を傾げる。雨が止んだ? いや雨の音は変わらず聞こえている。じゃあ何で……と空を見上げれば、そこには透明な布……ビニール傘が差されていた。

 

「──何がわかんねぇんだ? 青年ルックスのアラサー息子っ!」

「?! ()った……!」

 

 それに気付いた途端、背中を勢いよく傘を差してくれていた「誰か」に叩かれる。意識を現実に戻すようなその一撃に思わず声を上げてしまう。

 

「いきなり何すんだよッ…!? っ!」

 

 すぐに振り返り相手を非難しようとした俺は驚いて目を僅かに見開き、相手の名を呼んだ。

 

「こんなとこで何してんだよ──父さん……」

「それは完全にこっちの台詞だぞ。太陽」

 

 雨の中、傘ささないと風邪ひいちまうぞ? と言って和かに笑う「誰か」はまさかの俺の父だった。

 




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仮面ライダーゼロワン!


第13話 バルデルの選択
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