デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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いよいよ明日「仮面ライダーセイバー」はじまりますね……ゼロワンロスもありますがとにかく楽しんで見たいと思います! いやぁワクワクしますねぇ…!(ゼロワンの二次創作を書きながら)

それでは、どうぞ!


バルデルの選択

 

「あちっ……!」

「ほら、あったかい内に食べちゃいな」

「……うす」

 

 家族で……しかも男同士で暫く相合傘をしながら歩いた俺たちは今、どこにでもあるコンビニ前で雨宿りしている。すれ違う何人かの人から奇異の目で見られちまったよ……ちくせう!

 

 ふわっと投げ渡された肉まんを両手でキャッチした俺はゆっくりと食べ始める。俺が食べ始めるのを見て、父さんもまた俺と同じように買ってきた肉まんを食べた。

 

「……父さん、今日仕事だったの?」

「おう、まぁな」

「そう………」

 

 うん、無性に気まずい……!(冷や汗)

 何だ、何なんだこの展開はっ!?

 おい誰だよ、天津さん(友達?)と戦って負けて色々あって消沈してるところで家族とばったり会うなんてシナリオ書いたやつは!?

 ……えっ? 人生にシナリオなんざない? 正論すぎて何も言えねぇぜ……

 

「…あー……じゃあ父さんは帰り? 帰りの途中でたまたま?」

「おう。残業でくたくたになってた帰りにな。前見たら雨の中で、傘も持たずに歩いてる愛しの息子の後ろ姿が見えたから声を掛けたわけだ」

 

 おう。そこまでは理解できるわ。

 けどさ、背中を勢いよく叩く必要あった? あったか? ないよな? はっ? 愛情表現? ざけんなンな暴力でしか伝えられない愛情なんざいらねぇんだよボケがっ!(半ギレ暴言)

 

「『愛し』て……言ってて恥ずかしくない? 俺32のアラサーよ?」

 

 ………実のところ、俺はこの人が苦手だ。

 いっつもテンション高いし、声でかいし、ナチュラルにカッケェし、なんか距離感が「親子」というより「友達」だし。

 

「バーカ、愛するのに歳なんざ関係ねぇよ」

「……さいですか」

 

 特にこう色々とストレートな部分が、俺とは全然違う人種というか…いや親子なんだけどな? 父さんからそっぽを向き俺はまた肉まんにかぶりつく。

 

「どうした、照れたか?」

「照れてねぇよ」

 

 そっぽを向いた俺を見て笑いながら父さんは言う。いや父親の言葉に照れる息子なんざ希少すぎるわ。……というか前々から思っていたけども、

 

「父さん、今何歳だっけ…?」

「んー、今年で56歳だな!」

「いや、おかしいだろ」

「え、何が?」

「高過ぎるテンションと若過ぎるルックス」

 

 56歳……の筈なんだが、まずルックスがおかしい。何がおかしいって言動からもわかるだろうけど…この人めちゃくちゃ若々しいのよ。テンションもルックスもどう見てもアラフィフのそれじゃない。ぱっと見どんだけ年齢を高く見積もっても30代前半ぐらいなんだよ……これ普通に考えてホラーだろ? ………今更だけど、もしかして俺の見た目が若々しいのって……

 

「若過ぎるルックス…それお前が言うか?」

「………」

 

 父さん、冷静にツッコミ入れてくんのやめてくんない?

 

 

 

 

 

 

「じゃあ次はこっちが聞いていいか?」

 

 聞かないでくださいっ(切実)

 父さんの言葉に俺はそう言いたかったがまぁ言える筈もない。

 

「……どうぞ」

「太陽、お前昨日入院したばっかじゃなかったか? ……もしかしてもう退院したのか!?」

「ンなわけないでしょうがっ!? バカかあんた!?」

 

 一日で退院できるとかそれもう入院する必要ないだろぉ!? つうかもし仮に一日で退院したらソイツ化け物じゃん。

 

「ちょっと気分転換に……」

「病院抜け出してきたのか?」

「…これに関してはマジで申し訳なーー」

「ーーまぁそんな話はどうでもいい!」

(マジでなんなんこの人……?)

 

 そんな話はどうでもいいって聞いてきたのそっちじゃねーか!?と内心思うだけで口には出さない。口に出したら話長くなりそうだし、何より面倒くさくなりそうだからな。

 

「何か悩んでんだろ?」

「………別に、何も」

「んなわっかりやすい嘘ついてないで。ほらほら、遠慮なく父さんに悩み打ち明けてみな?」

「いや、本当に……余計なお世話だから」

 

 余計なお世話、そんな思ってもない言葉を口にした俺は食べ終わった肉まんの包紙をゴミ箱に放り捨てる。そして「ご馳走さん」とだけ告げて歩き去ろうとし、

 

「ーーなぁ太陽。父さん…お前に父親らしいこと全然してやれたことなかったよな」

「………急にどうしたの?」

 

 ーー父さんらしくない、弱々しく聞こえる声に俺は思わず足を止めて振り返った。

 

「前までは考えることもなかったんだけどな……お前が意識不明の重体で、何十年近くも眠ってる間に…つい考えるようになったんだ。『そういえば俺、コイツに父親らしいこと全くしてやれてねぇわ』ってな」

「…………」

 

 手すりに両腕を置いて話す父さんの横顔はどこか寂しげで……

 

「その時はめちゃくちゃ後悔したよ。こんなことになるなら、もっと……父親らしいことしてやるんだったってさ」

「父さん……」

「……だから、また後悔する前に、一度ぐらいは父親らしいことしとかなくちゃなと思ってな。……なぁ太陽ーー」

 

 ーーたまには父さんにも父親らしいことさせてくれないか?

 

 

 

 

 

「ーーここで話すのも何だし……場所、変えるよ」

 

 俺には父さんのその優しさを無碍にすることはできなかった。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 誰も居ない夜の公園。そこに置かれた二つのブランコを椅子替わりに、俺と父さんは顔を合わせることなく話す。雨はまだ降っていたから、傘を差したまま。

 

 天津さんの名前や仮面ライダーの存在については話に出さず、友達だと思っていた相手の「罪」……協力するか敵対か、はたまた中立か。俺は父さんに悩みを打ち明けた。

 

 

「ーーなるほどな。友達と喧嘩しちゃったわけか」

「……まぁ友達っていっても、そう思ってたのは俺だけだったかもしんないけどね」

 

 父さんのその台詞に俺は苦笑する。俺と天津さんは友達だったのだろうか? ………情けない話、自信はない。

 

「どうすればいいのかな? 俺は」

「お前はどうしたいんだ?」

 

 それが一番大事だろ?と言う父さん。

 俺は……どうしたいんだろうか?

 

 天津さんに罪を償わせたい?

 天津さんを倒したい?

 

 ーー否、違う。

 そんなことをしたいんじゃない。

 

「……我儘かもしれないけど」

「うん」

「俺はただ……今まで通りでいたかった」

 

 まぁ、それはもう無理な話だ。

 ーー恨んでもいない。

 ーー憎んでもいない。

 でも、天津さんの罪を知ってしまった今、今まで通りの関係で居られる筈もいない。形だけなら「今まで通り」を装うことはいくらでもできる……だけどそれは嘘だ。偽物だ。

 

(本当……情けないな、俺ってヤツは……)

 

 本当に俺はどうしようもない「小心者」だ。

 

「太陽」

「?」

「お前、ちょっと真面目過ぎないか?」

「……ま、真面目? え、何その冗談?」

 

 その言葉に隣のブランコに座る父さんの方を向き、困惑した俺は首を傾げる。何も面白くない冗談だな?と思いながら。

 

「冗談じゃねーよ」

 

 俺の反応を見て父さんは笑う。

 

「お前は自覚してないのかもしんないが、お前の性格はバカみたいに真面目だ。何で俺と母さんの間にこんな性格の子が生まれたんだ? ってマジで不思議に思うぐらいにはな」

「……例えば? 俺のどこが真面目なんだよ?」

「んー、どんな小さな事でも本気で悩んだりするとこ。今みたいにな」

「……他には?」

 

 あの、今悩んでんのは俺的には全く「小さな事」じゃないんですけど……と思いつつ俺は父さんに聞く。

 

「口では文句言いつつもやる事きちんとやったり、責任感強かったりするとこ」

「……んーー……」

 

 真面目……俺が? 確かに自分で言うのも何だけど「常識的」だとは思う。THE自由人の父さんと母さんに比べれば行動とか思考とかさ。まぁ一般人だから当然なんだが………何?お前仮面ライダーだろって? じょ、常識的な仮面ライダーだっていていいだろゥ!

 

 腕を組みながら暫し考える俺を見て「それだよそれ」と父さんは愉快そうに言う。おまっ、息子が割と真剣に悩んでんの見て何笑ってやがんの?!

 

「そんな難しく考えることないんだよ。友達と今まで通り仲良くしたい? だったらパパッと仲直りしちまえばいいだけだろ」

「い、いや……ンな単純にどうにかなる問題じゃないっていうか……」

「いいや単純だね! お前がもうちょい我儘に、積極的に行動しちまえばすぐに解決できる」

 

 なんてったって俺の息子だからな!

 父さんはそう自信満々に断言する。

 

「はぁ……俺が我儘に、積極的に動いて…それでホントにどうにかなると思う?」

「なるさ。お前が本気で望んで、お前が本気で気持ちを相手にぶつければ」

 

 ………何の根拠もない言葉だ。

 

「父さんってさ……」

「ん?」

「無責任に人に自信持たせるの上手いよね」

「……それは褒めてんのか?」

 

 でも、ほんの少しだけ楽になった気がする。

 まぁ気のせいかもしれないけども。

 

「ありがと。ちょっと、本気で我儘にやってみるわ」

「おう。その意気だ!」

 

 ブランコから立ち上がり空を見上げる。

 ーー雨はもう止んでいた。

 

 ───────────────────────

 

『──そして、彼はこの数ヶ月以上もの間、暴走したヒューマギアから人々を守る為。仮面ライダーとして戦う毎日を送っていました………そして、彼に仮面ライダーの力を与え、戦うよう促したのは間違いなく私です』

 

 ZAIAエンタープライズジャパン本社。その社長室にて垓は客人として連れてこられた「ある男」に全てを明かしていた。

 

『………そうか。なぁ天津社長。甚だ疑問なんだが……何でそれを俺にだけ話したんだ?』

『あの中では、あなたが最も私の話を冷静に聞いてくれると判断したからですよ。……太陽くんのお嬢さんには随分と嫌われましたし、お母さまの方は………その、あまりの自由奔放さに……』

『あー…皆まで言うな。あいつの自由奔放さじゃ、こういった真面目な話をするのはキツいと思う気持ちはよく分かる』

 

 垓の説明にある程度納得した男は、テーブルに置かれたカップに入った紅茶を一口飲んで口を開く。

 

『──で? これから、あいつの意識が回復して……目を覚ましたら、あんたはまた太陽を戦わせるのか?』

『…………』

『あー別に、バカ息子が戦うことに関してあんたにどうこう言うつもりはねぇよ。あいつが戦ってるのは、あいつの意思もあるだろうしな』

 

 自分の息子が目覚めない筈がない、そんな絶対の自信を持って男は語る。

 

 

『うちの教育方針は「好きにしろ」でな。いつだって、あいつらの自由な意思を大事にしたいと思ってる』

 

 なのにあのバカ息子といったら……と何かを思い出す男。その教育方針を聞いた垓は自身の「父親」の教えをふと思い出して零す。

 

『……それは、実に素晴らしい教育方針かと』

『あはは、んな下手くそな世辞はいらねぇよ。なぁ天津社長。いいや──天津垓』

 

 垓の心底からの本音を本気にせず、男は垓を見据えて告げた。

 

 

『お前の過去も、悪事も、思惑もどうだっていい』

 

 

『だけど、もしお前があいつの──太陽の意思を悪用するンなら話は別だ』

 

 

『──俺はお前を絶対に許さない。覚えておけ』

 

 

 

 

 

 

 

 

(お前はもっと、我儘になっていいんだよ)

 

 息子の「今まで」を思い出した男は心からそう思った。お前はもっと我儘になって、幸せになっていいんだと。まぁ本人がこれを聞けば呆れた顔をして「いやもう十分幸せだし」と言うのは明白だが。

 

 

「──頑張れよ、太陽」

 

 歩き去っていく息子の背中を見送りながら、ある男──父は優しく呟いた。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!
(↓にキャラ紹介のってます)


・天本始(56?)
天本太陽の実の父親。 とにかく明るくテンションが高く、更には自信満々。容姿があまりにも若々しいせいで息子の太陽からは「ば、化け物?」とほぼ人外認定されている。多分だが、太陽が頑丈なのは父親の遺伝の可能性が高い。天本家の教育方針は「好きにしろ」らしい。

………と以下の説明では「うるさく気さくで自信満々な人物」といった感じだが特定の人物相手には厳格な態度を見せることもある。また、謎の自信から太陽の意識が回復することを確信していた。

本作には一切無関係ですが名前を決める過程で「元冒険家」という設定があったりなかったりします。


仮面ライダーゼロワン


第14話 オレは1000%アンタの友達

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