それでは、どうぞ!
「──友達など必要無い」
ふざけたことを抜かすAIに垓は我慢できずにそう言った。
途端、ふと頭に彼の姿が思い浮かんだ。私は彼をどう思っていたのだろうか? ………まさか「友達」?
『垓さんに、友達は居なかったの? 本当はすぐ近くに居たんじゃないの?』
「二度も同じことを言わせるな。私に友達など居ない、友達など必要無い」
(馬鹿らしい……私に、彼の友達になる資格などあるはずも無い)
「天本太陽」と私は友達ではない。なれる筈もない。それは垓自身が最もよく分かっていることだった。
「甘えず、頼らず、己自身の力だけでやり遂げる……子供の頃に教わった父の教えに従って私は今日まで生きてきた」
どんな敵を前にしても誰にも甘えず、誰にも頼らず、己の力で
(そうだ。だからこそ私は、彼に心の底から憧れた)
「私は、あの時から自分以外のものにーー」
ーー頼ったことはない、そう続けようとしたのに…垓にはそう言い切ることができなかった。垓はいつの間にか太陽を心から信頼していたのだから。
(自分以外のものに頼らず生きていく、あの日にそう誓ったはずなのに………私は……いつからか、自分以外のものに頼ってしまっていた……)
『──衛星ゼアからの命令を受信』
「!」
その時、飛電インテリジェンスの社長室にあるラボ。そこに設置されていた多次元プリンターが突如起動する。「ありえない」と思った。垓が飛電インテリジェンスを買収したあの日から、何をしても一度として起動しなかった筈なのに……。
『──構築を完了しました』
「なんだ……?」
垓は引き寄せられるように多次元プリンターへと近付きーー目を見開いて驚愕した。
「……さうざー……?」
開いた扉の先にはもう二度と見る事はないと思っていたロボット…「さうざー」によく似たAI犬がいた。何故ゼアがこんなものを……?と疑問を抱きながら垓がゆっくりと手を出せば、AI犬は嬉しそうにその手に頭をこすりつける。
それを見て垓は確信した。このAI犬は子供の頃、孤独だった自分の心に寄り添ってくれた「家族」に等しい存在だったあの「さうざー」なのだと。
「…っ……変わってないなぁ……」
優しくさうざーを抱えた垓は、あの時と変わらぬ態度で自分に接するさうざーの姿に声を僅かに震わせながら呟く。垓は子供だったあの頃から随分と変わってしまった自分自身の今までを回想し、
「こんな私なのに、側にいてくれて……ありがとな……」
心からの感謝を胸に抱いたさうざーに告げる。零れた涙が頬を伝い流れ……垓は目を閉じる。
『全部、お返しします!』
『天津さん…その笑い方、全っ然似合いませんね……!』
そして、垓が最後に回想したのは「天本太陽」友達……だったかもしれないある男と交わした何の変哲もない会話。
(ーーありがとう、太陽君)
「ごめんな……さうざー──」
『? 垓さん……?』
目を開いた垓は腕で涙を拭い、さうざーをそっと床に置くとラボの階段を上がっていき、
「──もう、私は止まれないんだ」
ーー飛電インテリジェンスの社長室を立ち去った。
ーー彼の人生を狂わせた。
ーー彼の力を利用した。
ーー彼の心を傷つけた。
その時点で垓の中に「止まる」などという選択肢はどこにもなかった。
もしも、彼を止められるものがいるとするならば……それはきっと──
「──変身」
───────────────────────
(………よし、行くかっ)
飛電インテリジェンスに着いた俺は高い高いそのビルを見上げ、改めて気合を入れて歩き出す。天津さんに直接「今どこに居ますか?」と電話で聞くのは昨日の一件の後では気まずい……。
だから、ZAIAエンタープライズジャパンに電話して聞いてみた所、今は飛電インテリジェンスに居るらしい。……つうか一応ちょくちょくZAIAには天津さんに呼ばれて行ってるとはいえ理由も聞かずに一般人の俺からの質問に答えてくれる受付さん……まぁ正直もう顔馴染み感はあるけども。
「ようこそ、飛電インテリジェンスへ。天本様、今日はどういったご用件でこちらに?」
「あぁ、えっと…こっちに来てるはずの天津さんに会いに来たんですけど……今どこに居るかってわかりますかね?」
天津さんが買収し、社長になった飛電インテリジェンスにも何度か来てるから勿論こっちの受付さんとも既に知り合いだ。そのおかげもあって通常よりもスムーズに話が通る。
「天津社長でしたら、先ほど社長室へと向かわれましたよ」
「社長室……わかりました、教えてくれてありがとうございます受付さん」
「仕事ですから。気にしないでください」
感謝して俺が軽く会釈すれば、受付さんは満点の営業スマイルを見せる。
「天本様、こちらを」
(あ、忘れてた)
「あざっす」
最後に受付さんが手渡してくれたストラップ付きの入館証を受け取り、手早く首に下げた俺は二階への階段を上がっていく。
ーーその道中だった。
「いや、本当にとんでもない男でしたね」
「全くだ……よく今まで隠し通せてきたものだ」
(福添さんに山下さん…? 何の話してんだ?)
社長室がある方の通路から出てきた二人と副社長秘書ヒューマギアのシェスタ。副社長の福添さんと専務取締役の山下さんの会話が気になり、つい足を止めればあちらも俺に気付く。
「おぉ、これは天本くんじゃないか。今日は何で……あー、予想するに天津『元』社長に会いにきたんだろう?」
「あ、はい。その通りで……って『元』?」
元社長……?
……天津さん、飛電インテリジェンスの社長を辞任するのか?とふと考えたが飛電インテリジェンスに謎の執着を持っていた天津さんが自分から飛電の社長という立場を自ら手放すとは思えない。…さては内容はわからないが悪事の一つや二つバレたのか? まぁこればっかりは因果応報だわな。
「それについては私の口からじゃなく、本人の口から直接聞くといい」
「……わかりました」
俺は「それじゃ」と言って福添さん達の横を通って社長室へと向かった。
「ーー失礼します………って、え?」
社長室に入った俺は唖然とした。
社長室には誰もいなかった。
「天津さん……一体どこにーー」
『ーーワン! ワンワン!』
「え、い、犬っ……?」
『! 太陽さんっ!』
「! え、何だ? 今誰か呼んだか…?」
社長室の下に作られているラボを見下ろせば、そこには犬…のような作りのロボットがいた。あとラボの方から名前を呼ばれた。いやどうなってんだ? 天津さんに会いに来たのに天津さんは居ないし犬型ロボットは居るし、謎の声に名前は呼ばれるし…!(混乱)
『こっちです!』
「待て待て、とりあえずそっち下りるから」
声の発生源は不明だがラボから聞こえてるのはわかる。それに犬型ロボが気になり過ぎるのでとりま社長室から階段を使いラボに下りる。
(声の発生源って、もしかしてコレか……?)
「……あのー……俺、天津さんに会いに来たんだけど……」
『太陽さん、突然ですがお願いがあります!』
『ワンワンワン!』
ラボには先程見た通りワンワンと鳴く犬型ロボット。それと黒い作業台の上に……あ、コレ完全にルンバじゃん!?
「ーールンバが喋ったァ!?!?」
シャァベッタァァァァァァァ!!(幻聴)
え、このフォルム完全にルンバじゃん。小型化したルンバじゃん。え、何でこんなもんがラボに放置されてんの? こんなミニマムなルンバじゃ全然ゴミ吸い取ってくれなさそうだな。つうかこの犬ロボかわいいなオイ。
『私はルンバじゃなくてアイです! それよりお願いします! 私のお願いを聞いてください』
(……何でこいつ俺の名前知ってんだ…?)
いきなり情報量の暴力を受けて混乱する俺に喋るルンバことアイちゃんはツッコミを入れる。そのおかげで少しだけ俺も冷静さを取り戻す。ありがとう、助かったぜルンbーーじゃなくてアイちゃん!
「そのお願いっつうのは……」
十中八九…いや1000%天津さん関連だろうな。
「……わかった、聞くよ。でも手短に頼む」
『ワンワン!』
そう言い俺はアイのお願いを聞いた。……聞いてる途中にこの犬ロボめっちゃ俺の足に擦り寄ってくるんだが何だよ可愛すぎかよ!?
───────────────────────
(ーー早くアークを止めないとッ!)
或人はアークを止める為にライズホッパーを全速力で飛ばす。アークから受けたダメージはまだ完全には回復していないが、見過ごす訳にはいかない。そんな先を急いでいた時だった。
【サウザンドジャッカー!】
「ーー止まっていただきましょうか、
「! 天津さんっ!?」
目の前に一本の金色の槍が突き刺さり、或人はライズホッパーのブレーキを素早く踏み急停車する。反動に耐え、顔を上げた或人の前には天津垓ーー既に変身しているサウザーが立っていた。
「そこをどいてくださいっ! 早くアークを止めないと!」
「君がアークを止めたいと思うのは勝手ですが、私にも私の目的がある。ですから、私はそれを果たさせて貰いましょう」
或人の叫びに垓はそれだけ言うと、地面に突き刺さったサウザンドジャッカーを抜きライズホッパーに乗る或人に真っ直ぐ向ける。彼は今、個人的な決着をつける為に或人の前に立ち塞がっていた。
「ーー私は心の底から許せなかった。青臭い夢ばかり掲げる君を。ヒューマギアを」
「……俺は絶対にアークを止める」
「そこまでアークを止めたいと言うなら、私を倒していくといい」
サウザンドジャッカーを構えるサウザーを前に或人はライズホッパーから降り、
【ゼロワンドライバー!】
「言われなくたってーー」
『Everybodyジャンプ!』
【オーソライズ!】
「ーーやってやるよっ!」
ーー取り出したドライバーを腰に当て装着、更に右手に持ったプログライズキーのボタンを押し認証装置に当て、
【プログライズ!】
「──変身っ!」
『メタルライズ!』
左手を前に出し、素早い動きで装填したプログライズキーを右手で折りーー或人はゼロワン メタルクラスタホッパーへと変身する。
【Secret material 飛電メタル!】
『メタルクラスタホッパー!』
【It's High Quality.】
「ーー天津垓…! あんたを止められるのはただ一人、俺だっ!」
「ーー君では今の私は1000%止められない」
ーー先に動いたのはサウザーだった。
それでは決着を着けましょう、と言い駆け出したサウザーはサウザンドジャッカーを躊躇いなく全力で振り下ろし、
【プログライズホッパーブレード!】
「くッーーはあああっ!!」
【フィニッシュライズ!】
ーーその攻撃をプログライズホッパーブレードで防いだゼロワンは、その状態のままトリガーを五度引き刀身に形成された銀色の刃ーー必殺技を近距離でサウザーに当てようとする。
「はっーー!」
「うぐっ!?」
しかし、サウザーは冷静に蹴りでゼロワンを怯ませ、その隙に高く跳びくるりとバク宙。ゼロワンの背後に着地して必殺技を回避した。
「ーー遅いっ!」
「!ーーくぅ……!?」
(今までよりも速いっ…!?)
次にサウザーは以前以上の速い動きでサウザンドジャッカーを振り上げ、それを受けたゼロワンのアーマーから火花が散った。今まで何度も戦ってきたからこそ、ゼロワンはサウザーの強さ……その進化に驚愕する。
「せやあああッ!!」
「っ、そらっ!」
「ぐがッ…!」
ゼロワンはサウザーの気迫に押されそうになるが、何とか攻撃を往なしてカウンターに背後を全力で斬りつける。更に振り返ったサウザーを右の横蹴りを噛ます。
「っっ……流石に、中々やりますねぇ…!」
【ジャックライズ!】
「ですがーー負けるつもりは毛頭ないっ!」
【ジャッキングブレイク!】
蹴りを腕で防ぎ、後ろに僅かに退いたサウザーはサウザンドジャッカーのグリップエンドを引き、トリガーを押しコピーしたデータの一つを放つ。
【ザイアエンタープライズ】
「! くっ……はあっ!」
サウザーが「スティングスコーピオン」のデータから出現した刺々しい複数の支管はゼロワンを拘束しようと動き、ゼロワンはそれを武器で捌こうとするが、
「隙だらけだ!」
「ぐはっ!? 」
その隙を狙ったサウザーがゼロワンの前に低く速く跳躍し、着地直前にサウザンドジャッカーで突き飛ばす。
「こっちだって本気で行くっ!」
【ドッキングライズ!】
必殺技を囮に攻撃してきたサウザーに動揺しながらも、立ち上がったゼロワンは取り出したアタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードを合体させ構える。
「ーーはあああッ!」
「ーーうおおおッ!」
ゼロワンとサウザーは同時に駆けた。
次の瞬間、真っ向から激突し鍔迫り合いになる。そして、
───────────────────────
アイのお願いを聞き、飛電インテリジェンスを出た俺は絶賛走っていた。とにかく走っていた。息を切らしながら走っていた。それもこれも俺の遥か先を駆けるあの犬ロボが悪い!(断言)
「はぁ…はぁ…! おま、ちょっとスピード落とせよワンコ! 速過ぎて追いつけねぇって!」
『ワンワン! ワンワン!』
「何だよそのもっと速く走れみてぇなリアクションは!?」
こちとら全力でお前の後追ってるわ!
というかテメェ途中から地面をザザーッて感じで火花散らして滑ってたよなぁ!? それ超速いし超危ないからヤメロッテ!
「アイが言ってたが、お前ホントに天津さんの居場所わかって道案内してんだよな? 今はお前だけが頼りだからな? マジで信じてるからな!?」
『ワンワンワン!』
「そっちだなっ!?」
休憩する暇もなくまた駆け出したワンコの後を追い、俺もまた走り出す。一刻も早く天津さんに会わないと……アイの話では天津さんは変身して或人を追って会社を飛び出して行ったらしいしな。
(まずいことになる前に行かねぇとな…!)
ワンコのスピードに遅れないよう、俺は前を向いて全力で腕を振るった。こんなに走ったの高校の運動会以来だぜ……!
「はぁ、はぁ……このっ…!」
「くッ……そろそろ、終わりにしましょう」
【ジャックライズ!】
【ジャッキングブレイク!】
戦いは進みーー倒れるゼロワンにサウザーはそう告げて、容赦なくサウザンドジャッカーのグリップエンドを引きトリガーを押す。
発動させた必殺技は「シャイニングアサルトホッパー」のデータからコピーしたシャインシステムーー宙に浮く紫色のクリスタルのような形をしたエネルギー体を展開し、ビームによるオールレンジ攻撃でゼロワンを襲う。
「それならっ!」
そして、ゼロワンは銀色の装甲を分離させ、盾のようにしてその攻撃を防ぎ切ろうとするが、
「これでーー終わりだッ!」
【サウザンド デストラクション!】
サウザーは一時的に装甲が減った状態のゼロワンに向けーー更に必殺技を使う。サウザンドジャッカーを地面に突き刺し、プログライズキーを押し込んだサウザーは跳ぶ。
【メタルライジング インパクト!】
それに対してゼロワンは手に持っていたプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを分離させ、両手に持ったそれぞれの武器を地面に突き刺しーーこちらもまたプログライズキーを押し込んだ。
「ーーうおおおぉぉお!!」
メ タ ル
ラ
イ
ジ
ン
グ インパクト
シャインシステムを防いでいた今のゼロワンにジャンプする時間はなく、サウザーを迎え撃つ為に銀色の刃が追加された拳を突き出すゼロワン。
「ーーハアアアアッ!!」
「ーー!!」
THOUSAND
DESTRUCTION
その抵抗も虚しくサウザーのライダーキックが炸裂。最初の一撃を右足でーーそこから連続でキックを叩き込みゼロワンを吹き飛ばし
「ーーぐわああァアーー!!」
蓄積されたダメージによりゼロワンのアーマーは爆発した。変身は強制解除され、或人は地面を転がる。
「勝負、ありましたね」
勝利宣言した垓は倒れる或人へとサウザンドジャッカーを向け、倒れた或人は必死に立ち上がり声を上げる。
「天津、垓……! 俺は…あんたを絶対に許さないッ!」
「それはこちらのセリフだ」
そして、垓はサウザンドジャッカーを振り上げ、勢いよく変身解除された或人に躊躇いなく振り下ろそうとしーー次の瞬間。
『ワンワンワン!!』
「! えっ、犬っ…!?」
「! ……さうざー……」
横から二人の間に入ってくるように一匹の犬型ロボ「さうざー」がザァー!っと滑り込んでくる。動揺する或人と垓だが、先に冷静さを取り戻した垓はサウザンドジャッカーを持ったまま言う。
「そこを退け、さうざー」
『ワンワン! ワンワン!』
しかし、さうざーは「退かない!」と言うように鳴き、垓の前に立ち塞がる。倒れる或人はその状況を困惑しながら見上げ、
「……退かないというなら……」
【ジャックライズ!】
「ーーさうざー……お前ごとっ!」
「っ!? やめろっ!」
垓はさうざーを見下ろしながらサウザンドジャッカーのグリップエンドを引く。それを見て或人は叫ぶ。「さうざー」が一体「天津垓」とどんな関係かは分からないが、きっと大切な関係なのだと思ったからだ。
【ジャッキングブレイク!】
『…………』
「ーーはああぁぁあ!!」
トリガーを引いた垓はサウザンドジャッカーを構え振り上げ、サウザンドジャッカーには炎が纏われる。さうざーは鳴かずに黙って垓を見つめ、垓は叫びながらサウザンドジャッカーを振り下ろし、
「──うおおお!間に合えぇぇええ!!」
──直撃する直前。
さうざーが現れた方向と同じ方からある男ーー天本太陽が飛び出し、素早くさうざーを抱えるとサウザンドジャッカーの炎を避けるため誰の目から見ても「物凄いスピード」からの「絶対痛い」であろうヘッドスライディングをした。ちなみに太陽の頭には血がついた包帯が巻かれている。
「
『ワン! ワンワン! ワンワンワン!!』
「ちょ、今近距離だから鳴くなぁ! 体だけじゃなくて耳も痛くなるからぁ!」
「! 天本さんっ!」
「おぉ! よう或人…って大丈夫かお前っ!?」
奇跡的にギリギリでさうざーを助けることに成功した太陽は、腕の中で嬉しそうにしきりに鳴くさうざーに苦しめられながらもゆっくりと地面にさうざーを下ろす。更に或人の声に振り向き、太陽は驚愕しながら声を上げた。
「太陽君………」
「……昨日振りですね、天津さん」
立ち上がって垓を見据えた太陽は口を開く。
「あんたの過去とか、詳しいことはよくわかんねぇけど……これだけはわかる。天津さん、あんただけはソレをしちゃいけない」
飛電インテリジェンスでアイから「お願い」をされた太陽は垓とさうざーの関係を「友達」や「家族」のようなものだと理解していた。だからこそ、垓にそう告げる。
「太陽君…どうやら、覚悟は決まったようですね……私を倒しにーー」
「ーー違いますよバーカ」
「………何?」
垓の言葉に太陽は遠慮なく口を挟みついでにシンプルな罵倒を飛ばす。それを聞いた垓は心底から困惑する。
「──俺はあんたと喧嘩しに来たんだ」
【ショットライザー!】
「──喧嘩……?」
ショットライザーが取り付けられたバックルを取り出し、勢いよく腰に装着。更に頭に巻いた血のついた包帯を、片手で強引に引き千切り地面に叩き捨てる。
「天津さん、あんたは俺のこと『友達』だなんて思ってもないかもしれない。けど、俺はあんたを『友達』だと思ってる!」
「っ……とも、だち………」
「人としてどうするべきかとか、常識的に考えてとか……ンなこと知るかッ! もう、難しく考えるのはやめた! 俺は俺のやりたいように…我儘にやらせてもらう!」
『ストロング!』
【オーソライズ!】
太陽は自身の思いを隠すことなく垓に向けて叫び、右手に持ったプログライズキーをショットライザーに装填し右手で展開して続ける。
【Kamen Rider. Kamen Rider.】
「天津さんっ! あんたの過去とか、悪事とか、思惑だとか……そんなもんどうだっていいッ!」
『お前の過去も、悪事も、思惑もどうだっていい』
「──っ!!」
その言葉を聞き垓は太陽の父である始からの言葉を思い出す。だが、言葉に込められた意味と思いは全く違う。
「俺はあんたの友達だ、友達で居たいんだッ!」
「ーーーー」
「──俺と喧嘩しようぜ天津さん! 負けた方は勝った方の言うこと一つ聞くってルールでなァ!」
バックルからショットライザーを引き抜き、銃口を高く上げてゆっくりとサウザーに変身した垓へと向け下ろし──
「──変身ッ…!」
【ショットライズ!】
──力強く迷わずにトリガーを引いた。
発射された弾丸をサウザーは受け僅かに後退りし、その弾丸は方向を変えて真っ直ぐ太陽へと向かいーー太陽は素早く慣れた手つきでショットライザーをバックルにセットし、
「──おらあッ!」
『アメイジングヘラクレス!』
【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】
──弾丸に右の豪快なアッパーを打ち込み、アーマーが次々に装着され変身が完了する。そして、
「いいでしょう。その勝負、受けて立ちましょう」
「ノリが良くて助かるよ」
バルデルとサウザー──二度目の戦いが幕を開けた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!
メタルクラスタを倒す……今回の天津社長には何らかの補正がかかってますね間違いないっ!(確信)そして今回「我儘」になった太陽は変身前から荒々しいです。
仮面ライダーゼロワン!
第15話 予測不能コンビネーション!