それでは、どうぞ!
通信衛星アークにとって例外「イレギュラー」とは皆無と言っても過言ではないものだった。人間やヒューマギアがどう思考し、どう行動するのか……その全てを容易に予測できるのだからそれは当然のように思えるだろう。
ただ、そんなアークにも例外……完璧に予測できない「イレギュラー」は確かにあった。
アークにとっての例外「イレギュラー」は二つ。
──一つは通信衛星ゼアが導き出す結論。
自身と同等の人工知能が搭載されたゼアの結論は、アークをしても予測することは不可能だった。
最後の一つは──
その結論に至った時、アークは自分自身の知能を初めて疑った。そして、何十回、何百回、何千回と思考し予測を繰り返した。しかし、結果は何一つ変わらなかった。
────予測可能。
────予測可能。
────予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!予測不能!
馬鹿な。こんなことはありえない。
アレは──
十二年前から、アークに従う滅の人類滅亡という計画を阻み続け、恐怖に耐えながら何度も立ち塞がった天本太陽。仮面ライダーバルデル。
アークにとってソレは滅の認識と同じく人類滅亡──その最大の障害・脅威であり、人間の中でも
(バルデル、お前は何故その命を懸けて人間達を守る? その人間達に、お前が命を懸けて守るほどの価値があるとでもいうのか?)
───────────────────────
「ーーおっらあぁあっ!」
「そこだ」
「ぐっ!」
最初に攻撃を仕掛けたバルデルはアークに飛び掛かる勢いで跳躍し、右拳を振るう。それを首を動かすだけ、最小限の動きで避けたアークは鋭い前蹴りでバルデルを怯ませると素早く殴りかかり、
「やらせるか!」
「!」
次の瞬間、アークの拳を防ぐようにサウザンドジャッカーを構えたサウザーが横から二人の間に入り込む。拳はバルデルに届かず、アークとサウザーが対峙するその数瞬の隙にバルデルは動いた。
「食らえ!」
「くっ………」
バックルから引き抜いたショットライザーを超近距離でアークの腹部に連射。僅かに火花が散り、アークは僅かに退き、
「はあっ!」
「っ、ゼロワン……!」
【フィニッシュライズ!】
「せやああああーーっ!!」
【プログライジングストラッシュ!】
ーーそこですぐさま追撃に動いたゼロワンはプログライズホッパーブレードで斬りかかり、アークが片腕で攻撃を受け止めるとすぐにトリガーを五回引いて必殺技を叩き込もうとする。
「ふっーーはっ!」
対してアークは後ろに飛び退くと赤黒い泥のようなものーー「悪意」を右手に出現させるとそれを盾のように広げ、ゼロワンが放った銀色の刃を完璧に防ぎ切った。
「次はこちらの番だ」
【アタッシュショットガン】
そして、反撃のために動き出したアークは自身の背後に複数のアタッシュショットガンが製造され、くるりと宙で一回りして自動でアタッシュモードから展開される。その数なんと六丁。
【ショットライザー!】
更にアークの手には二丁のショットライザーまでもが製造された。六丁ものアタッシュショットガンに二丁のショットライザー。それを見たバルデルは内心で「武器作り過ぎィ!?」と驚愕した後、心底嫌そうに叫ぶ。
「マジでなんでもありだなぁテメェ!? ……でもーー」
バルデルは横目で二人の仲間を見て、
【ジャックライズ!】
「全力で迎え撃つとしましょう。太陽君。飛電或人」
【ファイナルライズ!】
「天津さん、天本さん、防御なら俺に任せてっ!」
【チャージライズ!】
「ーー仲間が頼もし過ぎてなぁ……負ける気がこれっぽっちもしねぇンだよッ!!」
ーー仮面の下で不敵に笑う。
バルデルは取り出したアタッシュショットガンをアタッシュモードに。サウザーはサウザンドジャッカーのグリップエンドを引き。ゼロワンはプログライズホッパーブレードのブレード部分をドライバーに装填したプログライズキーの矢印部分に合わせて当てる。
事前の打ち合わせなど当然ない。そんな急造メンバーではあったが実力は本物……だったからこそ、それぞれが何をすべきか瞬時に判断した結果ーー三人ともが手に持った武器の必殺技シークエンスをこなす。
「防げるものなら防いでみろ」
そして、遂にアークは三人に向けて容赦のない激しい銃撃を開始する直前、
「お言葉に甘えて、防御は任すぞ! 或人!」
「! はいっ!」
ーーバルデルは一切迷うことなく、ゼロワンの言葉を信じる。その信頼にゼロワンは力強く頷くと、バルデルとサウザーを庇う様に前に出て必殺技待機状態のプログライズホッパーブレードのトリガーを押した。
【ファイナルストラッシュ!】
「ーーハアアァァアーー!!」
一歩前に踏み出したゼロワンはプログライズホッパーブレードを地面に突き刺し、複数の巨大な銀色の刃を壁の如く展開する。
しかも、それだけでは終わらずゼロワンは己の装甲を分離させて銀色のバッターーークラスターセルを空中に放ち、すぐさま空中でクラスターセルを集合させて二つの巨大な盾を作り出す。
【フルチャージ!】
「無駄だ」
【カバンショット!】
アークはそんなゼロワン全力の守りに一切臆さない。
自身の背後に配置した六丁ものアタッシュショットガンのチャージを完了させ、六発もの必殺技を同時に放ち、両手に持った二丁のショットライザーのトリガーを押した。
「ぐうゥッ!?!? っ、ああああァァア!!」
アークにより強化された武器。その威力は凄まじく、ゼロワンの展開した守りを粉砕する為に次々と発射される。歯を食いしばりながらゼロワンはその威力に耐えーー尚も守りを崩さない。たとえ一度空中に展開されたクラスターセルの盾が砕かれても、再度瞬時に同じ位置にクラスターセルを飛ばして盾を形成し続けて後ろに一発たりとも到達させない。
「うおおおぉぉぉおっ!!」
ゼロワンは叫ぶ。
「………馬鹿な」
「はぁ、はぁ…ッ……がはっ…!」
銃撃の嵐が止む。ゼロワンは倒れそうになるが、地面に突き刺したプログライズホッパーブレードを支えに何とか立ち続ける。アークは全ての攻撃を防いだゼロワンを見て驚愕し、
「よく防ぎ切ったな。或人」
「飛電或人、君は少しそこで見ていなさい」
ーー今度は逆にゼロワンに今し方守られた二人、バルデルとサウザーがゼロワンを守るように前に出た。その際にバルデルはゼロワンの肩に左手をポンと手を置き「ナイス」と離した左手でサムズアップする。
「天本さん……天津さん……」
「必殺技、合わせてブチ噛ますぞ天津さん」
「えぇ、タイミングは私が君に合わせましょう」
ゼロワンには前に映る二人の背中が、酷く頼もしく思えてならなかった。
「よくもまぁ好き勝手やりやがったな」
『バースト!』
【Progrise key comfirmed. Ready to utilize.】
『ライオンズアビリティ!』
「コイツはお返しだ…!」
【フルチャージ!】
バルデルは右手に持ったアタッシュモードのアタッシュショットガンに、新たに取り出したライオンが描かれたマゼンタ色のプログライズキーを装填。アタッシュショットガンを展開して構える。そして、
【ジャックライズ!】
「右に同じく、次は私達が反撃させて貰いましょう」
隣に並び立つサウザーもまたサウザンドジャッカーのグリップエンドを引き、トリガーを押して構え──
「「──はああああーーッ!!」」
【ダイナマイティング カバンバスター!】
【ジャッキングブレイク!】
──二人の
「!? この、威力は……!」
アークはその
「グハッ……!?」
バルデルの放った弾丸は悪意のエネルギーに着弾した瞬間、勢いよく爆発しそのエネルギーを木っ端微塵に粉砕。そして、サウザーの放ったガトリングの連射は守りを失ったアークへと容赦なく直撃しーーあのアークを後ろに倒し地面につかせる。
(私が押されている…?)
「……そんな筈はない。そんな筈があるものか!」
「そんな筈があるんだよ、分からず屋」
瞬間的に導き出た自身の結論。
アークは咄嗟にソレを否定するが、バルデルをそう言ってアタッシュショットガンのトリガーを引く。
「ふっ! ──バルデル、貴様だけは必ず消さなければならない」
人類滅亡の最大の障害。
立ち上がりと同時にアタッシュショットガンの散弾を片腕で弾き、アークは巨大な悪意のエネルギーをバルデルに目掛けて撃つ。その攻撃を前にしたバルデルはーー回避はおろか防御もしない。
だが、アークの攻撃はバルデルに当たることはなく、
「ーーハアッ!」
「ーーフンッ!」
バルデルの前に飛び出したゼロワンとサウザー、二人の武器により完全に防ぎ切られる。
「ゼロワン、サウザー……!」
「最初に言ったろ? 仲間が頼もし過ぎて、負ける気がこれっぽっちもしねぇって」
二人を信じたバルデルは僅かに動揺を見せるアークを笑い、両隣に立つ二人の頼もしい仲間に告げた。
『ストロング!』
「天津さん! 或人っ! 決めちまおうぜッ!」
「えぇ、フィニッシュと行きましょうか」
「はいっ! 行きましょう!」
その言葉に二人は頷き、バルデルは自然な感じにゼロワンの横に移動する。
「? あ、あの天本さん…?」
「一応だけど…まぁ先輩らしくセンターは譲るわ」
「流石は太陽君! 100%、いや1000%お手本の様な配慮ですねぇ!」
「え、ちょっ天津さん!? 何かテンションおかしくないですかっ!?」
「気にすんな或人。俺の前じゃ大体こんな感じだ。それよりも…ほら。何か決め台詞の一つか面白いこと言っとけって。元お笑い芸人だろ?」
「いや何その無茶振り!?」
「ゼロワン。サウザー。そしてバルデル。お前達の息の根はここで止める」
【オールエクスティンクション!】
どこか呑気な会話をする三人を前にアークは右手で力強くドライバー上部のスイッチを押し込む。瞬間、赤黒い悪意のエネルギーが右手に次々と収束しーーアークはその右手を握り締めた。
「アーク! お前を止められるのはーー俺達だっ!」
【メタルライジング インパクト!】
【アメイジングブラストフィーバー!】
【サウザンド デストラクション!】
真ん中に立つゼロワンはそんなアークを指差し、自分に向けるとそう言い放ち装填したプログライズキーを押し込み。それに続きバルデルはショットライザーのトリガーを押し、サウザーもプログライズキーを押し込みーー三人は高く跳んだ。
「うおおおおーーッ!!!」
「おらあああーーッ!!!」
「はああああーーッ!!!」
「ハアッ!!」
ゼロワン。バルデル。サウザー。
三人はライダーキックの構えをとり、それぞれのエネルギーを纏った必殺技を発動した。それに対しアークは悪意を増幅・収束させた右拳を振るう。
オール
エクスティンクション
「ぐうぅッ!?」
しかし、アークの必殺技は三人による「トリプルライダーキック」には敵わない。
メタルライジングインパクト
アメイジングブラストフィーバー
THOUSAND DESTRUCTION
「ーーグワアアアアーーッ!!」
蹴り飛ばされたアークは何とか立ち上がるが、その体からは激しく火花が散っており限界なのは明らかだ。
「バルデル、やはり貴様はイレギュラーだ」
「? イレギュラー…?」
「人類滅亡ーー私が導き出した結論は決して変わらない」
自身の限界を瞬時に理解したアークは悪意を纏った右足で地面を力強く踏む。次の瞬間、赤黒い悪意のエネルギーを右足から煙のように四方にばら撒く。アークの判断は冷静な撤退だった。
「これはっ!?」
「逃げるつもりか! アーク!」
「! 待てッ!」
それによって三人の視界を撹乱したアークは、最後にその体は赤黒いノイズのようなものに包み、
「
──そんな不穏な台詞と共に三人の前から姿を消した。
あと少しの所でアークに逃げられた俺達は変身を解除し、暫く煙が晴れるまでその場に佇んでいた。俺達の心中にはアーク相手に互角以上に戦えたことに対する嬉しさ、アークに逃してしまった悔しさが渦巻いていたが、
「……まぁ、トドメをさせなかったのは悔しいが……勝ちは勝ちだよな?」
アークをあそこまで追い詰めたし…今回は俺達の勝ちだよな?
ーー場の空気を変えるべく先に沈黙を破った俺は二人に同意を求める。
「そう、ですね……次に戦う時こそは絶対に倒しましょう!」
「ヒューマギア同様にラーニングするアークを相手に、次回も今回のように上手くいくとは考え難いですがねぇ……」
悔しさを滲ませながら俯いていた或人は俺の言葉に顔を上げて頷き、それに続き現実的な意見を述べる天津さんもとい
ラーニング、か。滅なんかと戦っていればその厄介さは嫌でも分かる。戦えば戦うほど、あっちはラーニングでこっちの強さや動きに完璧に対応してくる……戦えば戦うほどこっちが不利になるって最悪だよなぁ。
「ーースゥー…とりあえず、帰るか」
スッキリしないけどここに立ち尽くしてたって仕方ない。あいつの不穏な台詞にビビっていても仕方ない。次は必ず勝つ、それだけだ。
……だが、まぁその前に一つ。
「……或人、この後時間あるか?」
「? ま、まぁ今日は業務ないですからあるにはありますけど……」
「よし。なら丁度いい。天津さん」
「はい?」
「とりあえず或人にはしっかり謝罪しような?」
「…………」
二人に駆け寄った俺はまず或人にこの後暇か聞く。次に天津さんに笑顔と共に振り返って告げた。何か無言で逃げようとしたから、とりま左手でその肩を掴んで右手にショットライザーを持つ。何処へ行くんだぁ?(ブロリー)
「それと他にも謝罪するべき人、いるよなぁ? な?」
これから或人以外の他のライダー達と協力するためにも天津さん、真摯な態度で謝罪しろよ?その翌日に天津さんは飛電インテリジェンスの社長を辞任。次期社長に或人を指名した。
ちなみに俺はこの話を昼頃に家で見ていたテレビに流れた速報で知った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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仮面ライダーゼロワン
第17話 飛電或人の結論