デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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ちなみに本作ではゼロワン本編と違い、現時点でまだアークにサウザンドジャッカーからライダモデルを奪われておらず、まだアークは迅の体を乗っ取っている設定です。

遅れてすいません……それでは、どうぞ!



飛電或人の結論

「──まさかあの三人が手を組むとは……予想外な展開になってきましたねぇー、アーク様」

 

 赤黒い悪意(文字)が浮かぶ一面暗黒の空間。デイブレイクタウンの湖の底に沈む通信衛星アーク、その仮想空間でアズは帰ってきたアークを迎えて言う。

 

「あぁ、だが問題はない。人類滅亡までの道筋は既に決定しているのだから」

「ふふふ、流石はアーク様♡」

 

 三人の仮面ライダーとの戦闘により撤退したアークだが、変わらぬ様子でアズに応えると仮想空間から意識を現実へと戻す。

 

(雷のメモリーは既にラーニングし、シンギュラリティを装い操っている……)

 

 現実では今も迅の体を乗っ取り行動していたアークは変身を解除し、滅亡迅雷.netのアジトにて次の作戦を既に開始していた。雷を飛電或人を誘き寄せる餌として利用し、ある目的を達成する為に。

 

「──滅、亡。命令だ。私に手を貸せ」

 

 ──アークは目的の達成を確実なものにするべく、その場にいた二人に命令を下す。

 

「ーー……それが、アークの意思ならば」

「ーー……了解しました」

 

 冷徹なその声に二人は従う。

 

 アークの目的。それは──

 

──飛電或人、ゼロワンのデータを全て奪う

 

 

 

 ───────────────────────

 

 現時刻12:45。

 太陽が雲で僅かに隠れたお陰で中々に涼しく過ごしやすい……そんな今日。俺は一人寂しく遊園地の入口前のベンチに腰掛けていた。

 

「……ホントにここであってんだよな?」

 

 違うからな? 別に一人遊園地を楽しみにきた訳じゃないから。というかそもそも俺は遊園地何て滅多に行かない人間だし。今日俺がここに来てるのはある人と待ち合わせをしているから……なのだが、何故か集合時間から十分経っても待ち合わせ相手は現れない。……あれれ〜?おかしいぞ〜?(半ギレ)

 

 最初に「遊園地で待ち合わせしましょう!」って誘って来たのアイツの方なんだが……何か前にもあったよなこんな事。確か飛電製作所の時に。

 

 ……もしかして自分が集合場所を間違えてるのでは?と一抹の不安を抱きながら遊園地中央に置かれた看板。そこに書かれた名前とスマホでのアイツとのやり取りを見直す。うん、ここであってるな集合場所(安堵)

 

(つうか遊園地なんて、来たの何年振りだろうなぁ……)

 

 俺の記憶が正しければ、遊園地に来たのは美月が小学生の時に一緒にヒーローショー観に行った……それが最後だったと思う。そういや、マジで偶然だがあの時行った遊園地ってココだよな?

 

「まだあったんだな、この遊園地」

 

 くすくすドリームランド。

 俺と美月が子供の頃からあった遊園地…つまりはもう何十年も経ってる筈だが、お客さんも多く訪れ賑わっている。

 

 

(歳月の流れっつうのは…楽しくもあるけど、寂しくもあるよなぁ………)

 

 滅との戦いで意識を失って、それから目を覚まして……意識を失う前にあった自分の知っている店や場所が無くなっているのを何度か見た時がある。

 

 十二年以上経ったんだから仕方がない事ではあるが、やっぱり自分が昔遊んでいた遊び場や、よく食べに行ってたお店何かが無くなったのを知るとちょいと寂しい気持ちになるよな。でもまぁこればっかりは仕方ない。

 

「……形あるものはいつか壊れる、か」

 

 そんな少しの寂しさを感じながらいれば、

 

「──天本さぁーーんっ! 遅れてすいませぇーーんっ!!」

 

 ──待ち合わせ相手が叫びながらチャリで驀進し、俺が座るベンチの前辺りでキキーッと勢いよく止まる。チラリとスマホで現在時刻を見てみると…集合時間から三十分遅刻、と。

 

へ〜……ほ〜ん?(#^ω^)

 

 前回の一時間遅刻の事を考えれば幾らかマシだが……また遅刻するか普通?

 

「或人……三十分遅刻とか何だ? 社長出勤か? お?」

「! す、すいませんっ! 今日は遅刻しない様に目覚まし時計をいつもの倍ーー」

 

 一度目は許そう。人間、誰にだって失敗はあるからな。だが、二度目は許せん。

 

「ーープライベートにまで『社長』気分を持ってくんじゃねェ! それと自分から誘っておいて、お前が遅刻してんじゃないよバカタレっーーオラァ! 社長就任おめでとおーッ!!

 

 問答無用でチャリから降りた或人に腹パンを噛ます。瞬間、痛みに腹を抑えて膝をついた或人は慌てて謝罪する。

 

ごふっ!? あ、ありがとうござ……いまっ……す……そ、それと遅刻の件はマジでごもっともです、ホントにすいませんッ!」

 

 ──仏の顔も三度までと言うが、俺は別に温厚な人間じゃないからな。まぁ自分で言うのも何だけど。「仏の顔も三度まで」に対して「俺の顔は二度まで」って事だ。

 

(……何かそれだと俺が短気みたいだな……)

 

 やっと或人が到着し、俺たちは二人で横並びに歩き出した。

 

『天本さん、明日って予定空いてますか?』

 

 唐突に送られてきた或人からのメール。何やら俺に話したい事があるらしいのだが………相談か何かか?

 

(──話す相手ホントに俺で大丈夫か…?)

 

 仮に相談とかだったら困ったな…俺、他人の相談とか受けた経験ほんの一、二回しかねぇから上手く聞いてやれる自信がない。微塵もない。

 

「……何か、イズが隣に居ない或人って珍しいな」

「? そうですか?」

「いや、何かいつも二人一緒に行動してるイメージがあったからさ」

 

 ま、流石に休日。プライベートまで一緒ってのはおかしいわな。……あれ? 或人と一緒に居ないなら、イズは今どこでどうしているのだろうか?(素朴な疑問)製作所にでも居るのか?

 

 ちなみにこの後、昼食を摂ってなかった俺は遊園地内にあった屋台で最初に目についたハンバーガーの屋台で昼食を済ませた。或人はというと隣で美味そうにチュロスにがっついていた。そんな急いで食うと喉に詰まるぞ〜?

 

「!? ごほごほっ…!」

 

 そして、案の定チュロスを喉に詰まらせ咳き込む或人。

 

「あーあ。ンな慌てて食うから……ほら、水飲め水」

「! ありがとうございます……!」

 

 その背中を左手で摩りながら、右手に持った水の入った紙コップを手渡す俺。こう見ると何つうか、まだまだ或人(こいつ)も子供だなぁ〜と思う。……子供の頃の美月を思い出すなぁ……(感慨)

 

 ───────────────────────

 

「ーー本当に申し訳なかった。この通りだ」

「「!?」」

 

 飛電インテリジェンスの社長室に「不破諌(バルカン)」と「刃唯阿(バルキリー)」の二人を呼んだ垓は率直にそう述べると躊躇う事なく土下座した。それを前にした諌と唯阿は驚愕を露わにし、

 

「……一体、どういう風の吹き回しだ?」

「……簡単な話だ。私は私自身の愚かさを、罪の重さを知った。だからこそ、こうして君達に頭を下げている」

 

 土下座した垓を厳しい目で見下ろして言う唯阿。対して垓は土下座をした状態から顔だけを上げて述べる。

 

「ーー勿論、私が今までしてきたことが謝って済む問題でない事は重々理解している」

「「…………」」

「だからこそ、無理に許してくれとは言わない」

 

 二人は垓の変わりように驚愕半分・困惑半分で沈黙する。そんな二人を見てから、再び床に頭をつけ土下座した垓は次のように続けた。

 

 

私はこれからの行動で君達に最大限の誠意を尽くそう。無論、協力も惜しまない。私の全てを……命を懸けてアークと戦うと誓おう。だから頼む──

 

 

 ーー垓は叫び、懇願した。

 

──どうか彼に力を貸してくれ…!!

 

 

 自分達が一度として見たことのない垓。その姿を見た諌と唯阿ーー二人の仮面ライダーは暫くの間、呆然とせざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

『なぁ或人──お前は人間の味方か? それともヒューマギアの味方か?』

 

 あの日、天本さんに言われた言葉について俺は今まで考え続けてきた。天本さんは「忘れてくれたっていい」何て言ってくれたけど……

 

『………まぁ遅かれ早かれお前が『答え』を出さなきゃいけない日は来るだろうけどな』

 

 天本さんが続けて言ったように…俺は『答え』を、結論を出さなきゃならない。人間とヒューマギアが笑い合える世界を作る、その夢を持つ限り…必ず……!

 

(──俺の結論(答え)は……)

 

 

 ───────────────────────

 

「そういや、或人。聞きたかったんだが……何でここを集合場所に選んだ? 何か思い入れのある特別な場所だったりするのか?」

 

 昼食を済ませ遊園地内をあてもなく歩いている最中、俺は隣を歩く或人に聞いた。待ち合わせに遊園地……深い理由はないの?と。

 

「……実は俺、昔ここでお笑い芸人やってたんです」

「あー、売れないお笑い芸人か」

「!? 何で売れなかったって知ってるんですかっ!?」

「いや驚き過ぎだろお前」

 

 お前が売れないお笑い芸人だったなんて、ネットで「飛電或人 経歴」とでも調べれば幾らでも出てくるわ。何なら動画まである。

 

 天津さんにゼロワンの話を聞いた時にどんな人物なのか興味本位で色々調べた時は参ったね。主にあのネタを何年も続けられるメンタルに(真顔)

 

 コメント欄に書いてあった「しょうもな」に完全同意だったわ……まぁ実際に会って話して見たら悪いヤツじゃないのはすぐ分かったけど。

 

「ここは或人にとっちゃ馴染み深い場所ってことか」

「はい! ……それと……」

「……ん?」

 

 俺の言葉に元気よく頷いた或人はふと足を止め、遊園地内を見渡してこう口にした。

 

「ーー俺が初めてゼロワンに変身して、戦った場所がココなんです」

 

 それを聞き、俺は目を見開き驚く。初変身・初戦闘がココ……? 遊園地……?天津さんからある程度ライダー達の戦闘は見せてもらったが…初めて変身した場所なんて当然俺は知らん。

 

(え、何それ凄い)

「何それ凄い」

「へっ?」

 

 内心に浮かんだ気持ちがそのまま口に出る。

 俺の初変身・初戦闘なんて公園から少し離れた場所にある夜中の路地裏ぞ? すげぇな遊園地って……お披露目式か何かかよ。

 

「初めてゼロワンに……それじゃあ、ココが飛電或人ーー仮面ライダーゼロワンの原点ってことか」

 

 俺は或人と同じように遊園地内を見渡した。そして、少しの間を置いてから或人は決心したように口を開く。

 

「──今日は、天本さんに……聞いて欲しい話があって呼びました。……聞いてくれますか?」

 

 それを聞いた俺は思わず破顔した。

 

「──俺なんかで良けりゃ、聞いてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、忘れてたんです。俺自身の最初の夢」

「最初の夢?」

「俺、笑いをとるのが夢でお笑い芸人を目指してたんです」

 

 飛電其雄、自分の父親だったヒューマギアを思い出して俺は語る。

 

「それで、ココで初めて『ゼロワン』になって……マギアと戦って、人を守って……こんな笑いのとり方もあるんだなって知って」

「ーーーー」

「人や、人の笑顔を守る為に戦おうって思って…それから、ヒューマギア達と関わっていく中でヒューマギアも守りたいって思って……」

 

 ゆっくり、俺は語りを続けた。

 

「人間とヒューマギアが笑い合える世界を作りたい……そんな、新しい夢を持ちました」

「……うん」

 

 天本さんはただ静かに俺の話を聞いてくれている。それがただただ有り難かった。

 

「……その夢を持つ中で俺、きっと心のどこかでヒューマギアを盲信してたんだと思います。ヒューマギアの純粋さにばかり目が行って、ヒューマギアの危険性から目を背けて……」

「…………」

「ヒューマギアは悪くない。悪いのは全部人間なんだって。無意識にヒューマギアに偏った考え方をしちゃってたんです」

 

 そこで一旦語りを止め、俺は天本さんに向き直りーー俺自身の結論を述べる。

 

──俺は一人でも多くの人の笑顔を守りたい

「────」

──それにヒューマギアだって、破壊せずに救えるのなら……救いたいし、守りたい

 

 飛電インテリジェンスの社長として、俺には責任がある。

 

でも、もしもヒューマギアが、自分の意思で悪意をラーニングして…何の罪もない人を傷付けるなら……俺が責任を持ってそのヒューマギアを破壊します

 

 今までのように、ヒューマギアの悪い部分から目を背けるような事はしない……しっかりと向き合わなきゃいけないんだ。

 

──そして、破壊したヒューマギアの事は二度と忘れない。もしかしたらエゴかもしれない……だけどっ、これが今の俺が出した結論です

 

 それを聞いた天本さんは肯定も否定もせず、嬉しそうにとも、悲しそうにとも……どちらにもとれる微笑みを浮かべてただこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──そうか」

 

 或人の出した結論。

 それが正しいのか、間違いなのか何て俺には分からない。だから、俺から或人に何か偉そうに言うことなんてできなかったし……そんな必要はなかったんだと思う。

 

 きっと飛電或人は前に進めてるだろうから。

 

 

 ───────────────────────

 

 その後、太陽と或人の二人が遊園地内をまたあてもなく歩いていた時だった。

 

(ヒーローショーか……懐かしいなぁ)

「? イズから電話? はい、もしもし?」

 

 遠くに見えるステージでやっているヒーローショーを見て、懐かしく思っていた或人のスマホが鳴り、スマホをポケットから出して或人はイズからの電話に出た。

 

『或人社長。飛電製作所に滅亡迅雷.netの雷が現れました』

「……ええぇぇぇぇえ!?!? ちょ、イズは大丈夫なの!?」

「うわっ! 急にどうした?」

「何が何だかわからないけどすぐにそっち行くから!」

 

 イズからの衝撃の第一声を受けて驚愕の声を上げた。或人はイズの言葉を冷静に聞く余裕もないのかすぐに電話を切る。

 

「天本さん、一緒に行きましょう!」

「えっ、いや待て或人。マジでどうしーー」

「ーー製作所に滅亡迅雷の雷が現れたんです!」

「……はあぁぁぁぁああ!?!?」

 

 先程の或人のように声を上げた太陽は或人以上のリアクションを見せ、

 

「おまっ、それ早く言えよ!? さっさと行くぞ!」

「はいっ!」

 

 そして、二人は急いで飛電製作所へと向かうのだった。

 




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仮面ライダーゼロワン


第18話 ある男の虫の知らせ
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