それでは、どうぞ!
「案外、早く着いたな……」
飛電製作所に辿り着き、一見「平然」といった感じで呟く俺だったが、
「はぁはぁ……」
「あ、天本さん! 大丈夫ですか?」
「はぁ……どうだ? 今の俺大丈夫に見えるか?」
今さっきまで或人が立ち漕ぎするチャリ相手にダッシュで並走していたのだ……息切れがヤバイ、酸素が足りない。いやぁ歳かな?(確認)…歳だったわ(実年齢32歳・人生経験20年ちょっと)
「ぜんっぜん見えません!」
「じゃあ大丈夫じゃないなぁ!」
或人の即答にヤケクソ気味にいい笑顔を返す俺。
チャリ相手に、走りで追いかけるのは…ハァ、流石にキツいっ……! でも、仮面ライダーとして戦ってきた影響で体力や足の速さはかなりレベルアップしてると実感したわ。まぁ?十二年以上前までマギアやら滅やら……マジのモンスター共と戦ってきたんだ。身体的に何かしら適応、レベルアップしてないと逆におかしいって話だろう。
……実際のところ身体の「
【ショットライザー!】
「はぁ…っし。或人。言う必要もないだろうが、すぐに戦闘になってもいいように準備しとけよ」
「はいっ!」
【ゼロワンドライバー!】
裏口から飛電製作所の中に入る前に確認の為、ショットライザーが取り付けられたバックル&ベルトを装着した俺は或人にそう伝える。或人は力強く頷くと懐から取り出したゼロワンドライバーを腰に当て装着。
戦闘になった場合に相手がこっちの変身前に攻撃してくるなんて割りとしょっちゅうあったからな。こうやって事前にベルトを巻いとくのはかなり重要なのよコレが(経験者は語る)
「………」
そして、先行してドアを開けた俺はバックルから引き抜いたショットライザーを構えて製作所内に入っていき或人もその後に続く。……ヨシっ、行くぞ。
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「! 或人社長っ! 天本様!」
「イズ!」
オフィスの扉を豪快に蹴り開け、銃を構えながら中に入っていく太陽。後ろについていた或人はイズの姿を見て一瞬ホッとした表情を浮かべ、
「ーーよお、お邪魔してるぜ」
「! 雷! 一体何しにきたっ!?」
ーー製作所のオフィスの一番奥、そこにある自分のデスクにどしりと腰掛けた雷を見た或人はイズを守る為に自分の後ろに移動させる。それを見た雷はニカッと笑うとデスクから下り、
「ーー動くな。動いたら躊躇なく撃つぞ?」
「あぁ…? 誰だお前?」
或人に一歩近付こうとし、横からの声と向けられた銃口に雷は足を止めて苛立ちながら問うた。それに答えることなく太陽は油断なく雷を見据え……その鋭い目が彼の言動が脅しでも何でもないことを雄弁に語っている。
「答えろよっ、雷! お前はここに何をしにーー」
そんな雷に或人は再びそう聞き「早く言え」と告げるかの如く、太陽もまた雷の頭へとショットライザーの照準を合わせた。
「はぁ…ったく、面倒くせぇなあ……社長! 俺は雷じゃねぇ、宇宙野郎雷電だ!」
「………えっ?」
そして、雷の予想外な発言に或人は困惑気味に声を零し、太陽は内心首を傾げる。
「宇宙野郎雷電…? 或人、何だそりゃ?」
「え、えっと…宇宙野郎雷電っていうのは雷が雷になる前の……宇宙飛行士型のヒューマギアの名前で……」
「……随分な名前してんな、一瞬新手の罵倒かと思ったぞ」
或人の説明を受けて「飛電さんのネーミングセンスよ……」と今更ながらに驚いた様子を見せる太陽。だが、その間も銃口は宇宙野郎雷電?を捉えていた。
「ったく、おいテメェ! さっきからこっちに銃向けてんじゃねぇ! カミナリ落とすぞ!?」
「ハッ、人類滅亡を謳うテロリスト集団……その構成員の一人に銃向けんのは当然だろうが。人としてギリ正当防衛だ」
宇宙野郎雷電?は未だ銃を向ける太陽にキレて怒鳴るが、それに一切怯まずにむしろ鼻で笑う太陽。
「雷……いや、お前は本当に…兄貴なのか?」
「はぁ? 何度も言わせんな、俺は宇宙野郎雷電! 宇宙を股にかけた仕事をする宇宙飛行士だっ! テロリストなんかじゃねぇ!」
「……こう言ってるがどうする? 俺は雷なら情報として知ってるが、宇宙野郎雷電は知らない。判断はコイツを知ってるお前に任せる」
まだ確証を持てない或人だが、太陽の言葉に暫し考えてから……正直な答えを出す。
「雷……俺はまだお前を兄貴とは、信じられない」
「…………」
「でもっお前が兄貴だって……俺は信じたい。だから、頼む。俺にお前が兄貴だってこれからの行動で信じさせてくれ」
「はっ! お安い御用だ!」
それを聞いて宇宙野郎雷電?は或人の知るあの兄貴のように笑う。これだけのことで或人は少しだけ彼の言葉を信じれそうになった……自分でもそれに「甘いなぁ……」と思いながら苦笑する。
「……いいんだな?」
「はい、ありがとうございます。太陽さん」
「別に大したことじゃない。認めたかないけど……こういう役回りは慣れてるからな」
或人の答えを聞いて、宇宙野郎雷電に向けていたショットライザーを下げてバックルに取り付けた太陽は、
「或人の判断を信じて、俺もお前を
バックルに取り付けたショットライザーをトントンと軽く叩き、宇宙野郎雷電へと謝罪した。太陽の謝罪を聞いた宇宙野郎雷電は呆気にとられた人間のように目をぱちくりとさせ「怖いなアンタぁ…!?」と吐く。先程まで本気で銃を向けられていた相手からの割と優しい謝罪……宇宙野郎雷電のリアクションは当然のものだったと言える。
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「衛星アークの破壊?」
「あぁそうだ、あのアークをぶっ倒す為にな」
「衛星アークは確か、デイブレイクタウンの湖の底に沈んでんだろ? しかも場所もハッキリとは判明してない。一体どうするつもりなんだ?」
宇宙野郎雷電のヤツの目的は「衛星アークの破壊」だった。そのために或人に協力を求めにきたというが……一体どうやって湖底にあるアークをぶっ壊すつもりなんだ? それを俺が聞けば、
「はっ、そりゃまだ内緒だ。だけど上手く行けば100パーアークを破壊できる筈だぜ!」
……宇宙野郎雷電はニヤリとしながらそんなことを言いやがる。いやお前さぁ…そこは包み隠さず全部言えや!? お前さっきの或人の答え聞いてたか? 俺の撃ち抜く発言聞いてたか? もしかして、宇宙野郎雷電って元からこんなキャラなの?(呆然)
「……よし、分かった! じゃあ兄貴っ案内を頼ーー」
「ーーストップ或人」
ちょ待てよ!(キムタク)お前は疑うことを知らんのか!? いや知ってる筈だよなぁさっきの「信じさせてくれ」って発言から見て。多分、或人の知ってる宇宙野郎雷電ってヤツに今のこいつはまじで行動・言動……全部がそっくりなんだろう。だから、深く考えずに即座に信じちまいそうになってんだ。
「ちょっと作戦タイムだ、一旦雷電のやつを外に出させてくれ」
「! わかりました……悪い兄貴! 少しこっちも準備が必要だから先に外で待っててくれないか?」
仮に俺も「宇宙野郎雷電」を知っていれば信じたのかもしれないが……今回に限っては知らなくて幸運だったかもしれない。全員が冷静に判断できなくなるのはヤバイ以外の何物でもねぇし。
「あぁ? ったくしゃねぇな。分かった分かった。あんま時間かけんなよ?」
宇宙野郎雷電は僅かに不満を表情に出しながら、理解を示して先に製作所の外に出ていった。そして、
「少しは人を……いやヒューマギアを疑え、或人」
「! す、すいません天本さんっ! 自分でも甘過ぎるとは思ってるんですけど、つい……」
「あーいや、別に責めてるわけじゃねぇんだ。相手が誰であれ疑わずに信じられるのはお前の美徳だと思うしな……でもーー」
俺は或人に大切なことを告げる。どれだけ人を、ヒューマギアを信じてくれても構わない。だけど、
「ーーこれだけは覚えておいてくれ。確かにヒューマギアは純粋だ。だけど、一度悪意をラーニングしたヒューマギアが尚も純粋とは限らない」
「っ! ……はい、天本さん。ありがとうございます」
「……はっ、何感謝してんだよ」
宇宙野郎雷電の提案衛星アークの破壊……それがもしアークの罠だとしたら、俺達は一溜りもないだろう。まぁそうなったらなったで、俺はとことん粘ってやるつもりだが。
「作戦タイムっつたが、或人。悪いけど外で雷電と一緒に待っててくれ。くれぐれも油断すんなよ?」
「分かりました! ……って、天本さんは何を?」
俺がそうお願いすれば或人は元気よく返事し、不思議そうに俺を見た。
「……まぁ、ちょっとな。打てる手は全部打っておきたいんだよ」
流石に俺と或人、二人じゃ不安があるからな。……なければいいけど、滅や亡までアークとセットで来られた場合一方的にボコられる未来が見える見える(そうなったら絶望)
最悪の可能性を考えて手を打ち、行動する。これもまた大事なことだ。
「それと、悪いけどイズ。お前に頼みたいことがある」
「! ……奇遇ですね。私も天本様に用件があります」
──最後に俺はイズにある頼みをする。
「もし或人に何かあった時、これを或人に渡してくれ。念の為の『秘密兵器』……って言える程のものじゃあないけど。きっとコイツは或人の……アイツの役に立つ」
「了解しました、では私からはこれをーー」
ーーそして、俺はイズからある物を受け取った。
『
アークのあの言葉がずっと頭から離れない。
恐怖のせい? うん、それもあるだろうな。俺はいつだってビビってる……格好悪い話だけど。
(たとえ何年戦って……どれだけ上手く立ち回れるようになっても、自分の力に自信がついても、どんな強敵を倒しても……俺の中にある恐怖が綺麗さっぱり消えることはない。恐さに慣れることだってきっとない)
心のどこかで確信してるんだ。
この恐さを忘れてはいけない、と。
(今回……またあの時みたいに、嫌な予感がする)
十二年以上前のあの時、滅との決戦以前に感じていたものと同じものを嫌なことに俺はまた感じてしまっていた。
──自分の最後、その予感。出来ることなら勘違いであって欲しい。そう心から願っちゃいるが……
(嫌な予感ほど、よく当たっちまうんだよなぁ……)
打てる手を全て打ち、俺は改めて覚悟を決める。
「──絶対に生き残る」
そして、絶望が始まる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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仮面ライダーゼロワン!
第19話 パーフェクトコンクルージョン