※かなり長めに仕上がってます。
或人と共に宇宙野郎雷電ーー雷に着いてきていた俺達。
「ーーなぁ、あんたはアークが次に何をしようとしてるか分かるか?」
「……ただの一般人な俺如きに、人間の悪意を学習した衛星
(まぁ、人類に害のある事するんだろうなってことは分かってるが……)
先頭を歩く雷電のその質問に俺は当然の如く首を横に振る。アークの事を「衛星様」と嫌味で俺が言ったのを聞いて雷電は「ハッハッハッ!」と愉快そうに笑い、
「一般人……?」
「……或人、何か文句でも?」
「いえっ! 何もっ!!」
或人は何故か「一般人」というその単語に引っかかりを覚えたように首を傾げ、俺の僅かながらの怒りが篭った声にその場でピシッと気をつけをする。
(どうしてあの人もこの人も、揃いも揃って俺を一般人じゃないと思ってんだよ。俺を逸脱人か何かと勘違いしてませんかねー……?)
断じて言おう、俺はただの…人間だあ!!と。
「それもそうかぁ……アークの野郎の今の狙いは衛星ゼア、野郎はゼアを乗っ取ろうとしてんだよ」
「衛星ゼアをか? は、いやどうやって?」
衛星が衛星を乗っ取るのか……(困惑)
雷電の言葉に俺は目を丸くし、自然と首を傾げた。衛星ゼアをアークが狙う理由は分かる。アークにとっちゃ自分と同格の存在かつ、驚異になり得る存在だ。ゼアをどうにか潰せればアークは最終目的……人類滅亡にまた一歩ぐんと近付いてしまうに違いない。
しかし、衛星ゼアを乗っ取るってのはどういうことだ? まさかアークが自ら衛星ゼアのいる宇宙まで行って直接ハッキングするとかって話じゃないだろ? ……じゃ、じゃないよな?
「何でも、プログライズキーに保管されたライダモデルを媒介にすりゃあゼアに強制接続できるんだとよ」
「はぁ…? ンなことできんのかよ……」
腐っても衛星って訳か。アークの衛星ゼアを乗っ取る手段を知り、俺は思わず溜息をつく。ライダモデルを使って衛星を遠隔から乗っ取る……それは間違いなく人じゃない機械だからこそ取れる手段なんだろうなあ。くそったれがぁ
「ーーなぁ兄貴、聞いていいか? ゼアを乗っ取るのにライダモデルを媒介にするって言ったけど…その正確な必要数とかってあるのか?」
俺がアークに心中で罵倒を吐く中、或人は雷電から聞いた情報を呑み込み、気になった箇所について質問した。
(あと二、三個プログライズキーが手に入ればもう充分とかだったら絶望過ぎるんだが……)
或人の質問を聞いて俺は思考を巡らす。
衛星ゼアへの強制接続、乗っ取りに必要なライダモデル…それが保管されたプログライズキー。もしそれの必要数が二、三個とかだったら防ぎようがない。だってそうだろ? 強い上に神出鬼没のアークなら、プログライズキーの強奪なんて容易だ。プログライズキーを所持したライダーが一人でいるところを容赦無く襲えばいい。それだけなんだから。
(仮にアークが衛星ゼアを乗っ取った場合……)
今すぐに思いつくだけでも幾つかの問題が生まれる。まず、これは天津さんから聞いた話だが「ゼロワン」の変身時に使用したプログライズキーの
(最悪、稼働中の全ヒューマギアが一斉にマギア化したり……いや、自分で想像しておいて絶望過ぎるなそれは)
全ヒューマギアがマギア化…そうなったら人類がどうなるかなど、想像に難くない。その先に待ってるのは紛れもない人類にとってのディストピアだろう。
「うーん……さぁな!」
「「………はっ?」」
そんな風に絶望的未来を脳内で想像してしまった俺は雷電の「知らね」と同義の返答に現実に引き戻され、思わず或人とシンクロして声を重ねて呆気にとられる。
今何つったこいつ?と瞬きを二、三度してから俺は何とか口を開いた。
「いや、おまっ『さぁな』って……分かんねぇのかよ?」
「あんたはあの野郎が自分の情報を好き好んでペラペラ話すようなヤツに見えんのか?」
「……あー、成る程」
「OK、そういうことか」
「おう、そういうこった」
続いての問いに言わんとしてることを理解して俺達は納得する。あのアークが一応仲間とはいっても、自分の情報を他者に語るとは思えない……語ってもそれは知られても
「もし、野郎が必要なライダモデルが残り僅かならとっくに動き出してる筈だ……ならーー」
「ーーまだ動き出してない今、必要なライダモデルの数は…割と足りてないって考えていい……そういうことか?」
「楽観視はできねぇがな」
俺は続くであろう雷電の語を継ぐように口を開く。現時点では、まだアークは目立った行動を起こしちゃいない……その事実から誰でも導き出せる簡単な答えだ。
「問題は山積みってことですね」
「はあ〜、だな」
額を片手で抑え、俺は溜息を吐いて或人の言葉に同意する。最近はアークのせいでか疲労がすげぇんだよなぁ〜……心做しか溜息も増えた気がするし。
昨日はアークにボコられる夢見て魘されたし(災難)
「ーー……ふっ」
「………なんだよ?」
そんな俺を見て、何が楽しいのか雷電の野郎は面白気な様子で笑っている。同時にその笑みは好戦的なものにも見えた。
「いや、あんたも弱気になんだなって思ってな? いきなりテロリスト相手に銃向けてきたり、俺の睨みにも動じねぇ……てっきりあんたは弱気になんてならねぇ人間だと思ってたぜ」
「……ひでぇ勘違いしてんなお前? 俺は何度も言うが一般人。どこにでもいる『ただの人間』だ。そりゃ弱気にもなる。……おい
どうやら雷電のイメージの中の俺は随分と強キャラらしかった(それと或人の中でも)。一切弱気にならない……あぁ、もしも俺がそんな強い人間だったならどれだけよかったことか。
ーー残念だが、俺は強くない。
ーー自分より遥かに強い相手を前にすりゃあ人並みに恐怖を感じる。
ーー痛いの嫌だし、逃げたいと心中で幾度となく思う。やはり俺は紛れもないただの《一般人》だ。
「ーーでも、ただの人間の癖にアークとは戦うんだなぁ?」
「…………」
そして、可笑しそうに言う雷電を見て、
「まあ俺も、腐っても『仮面ライダー』だからな」
ーー俺は最も頼りにしてきた黄緑色のプログライズキーを取り出し、片手に持ったそれを見つめながら呟き、ゆっくりと顔を上げる。
────【仮面ライダー】────
その名に恥じぬ為にも、何より俺自身の為に。
俺は俺の守りたいものの為に戦うと決めたんだ。
「誰が相手だろうが、未来は奪わせない。俺は、俺が守りたい
それが──仮面ライダーバルデルだ」
───────────────────────
『了解しました、では私からはこれをーー』
製作所でイズはそう言って俺にある物を手渡した。
『……えっと……』
………………(ぇ?)
それを受け取った俺は暫しの沈黙の後、困惑してポロリと呟く。外観・形状だけ見ればとても見覚えのあるソレは……
『ーーな、何これ……?』
カラーリングがシルバー1色?の
『……無反応じゃん』
試しに通常のプログライズキー同様に付いていたボタンを押してみる。が、光らないし音は鳴らない。完全なる無反応。つうかこうなったらコレもうただの金属の塊じゃね? 使い道あるか?と素直に思う。
『それは通常のプログライズキーとは異なり、生物種の
『ブランク、キー……』
その単語を聞いて一瞬、俺の頭の中には車の
『それでこの一見、無用の長物キーは何なんだ? ライダモデルが保管されてないとか、空だとか、今の説明からして聞く前から察しつつあるんだが……こいつには何か固有の能力だとか機能はーー』
下らない考えを脳内からささっと放棄して、俺は手元にあるブランクキーとやらについてイズに尋ねた。
『ーー勿論、何のデータもない、空のプログライズキーですので固有の能力・機能はありません』
『……わかった、つまりはただの金属の塊だってことか』
『はい、
『そこは否定して欲しかったぁ』
(このプログライズキー)ダメみたいですね……。
イズの嘘偽りのない正直な返答に、俺は思わず手元にあるブランクキーに目を下ろして片合掌する。
『ちなみに聞くけど、何でこれを俺に?』
『それを貴方に託すべき、というのが衛星ゼアが導き出した結論の
『ゼアが…?』
ゼアさん……これを一体どう使えと?
何だ、これがもしかして重要なアイテムだったりするわけか?
(使い道がさっぱりわかんねぇ……ポケットにでも入れとくか)
もしかしたら、未来にバックトゥザする某映画みたいにこれが防弾チョッキ代わりになって戦闘で役立つ可能性が微レ存?(小声)……つうかこのネタ通じる人居るか?
こうして、俺はイズから受け取った使い道が行方不明な【ブランクキー】を左の胸ポケットに仕舞う。当然この時点でーー現時点でもだがーー俺にはゼアの意図・結論が全く理解できていなかった。
───────────────────────
(コイツは、役に立つかねぇ……?)
そんなイズとのやり取りをふと回想し、左胸ポケットに納まるブランクキーに目を向けた俺は思う。
(……今は、ゼアの予測とやらが絶望的なこの現状を…好転させてくれることを信じるしかないか)
もし好転しなかったら? そん時は……俺達が全身全霊、死に物狂いでアーク達と戦うしかないだろう。アイツの目的は人類滅亡だ。なら、諦めるなんざ論外だ。
そんなことを考えた後、前を向いた俺は前方を歩く雷電と或人の後をついていこうと再び歩き出し、
「ーーッ! っぶねッ…!?」
ーー突然背後に気配を感じて咄嗟に後ろを振り返り、目前に迫っていた鋭利な白い爪?をギリギリで躱す。一秒でも反応が遅れていれば間違いなく今のでお陀仏だった。
「! ハッ!」
「! ぐ、このッ!」
相手が続いて振るった攻撃を掠りつつも何とか捌き、また背後に回り込んだ相手の方を見ずに俺は後ろ蹴りを噛ます。
「ーーやはり、そう簡単には仕留められませんか」
後ろ蹴りを受け、素早く飛び退き距離をとった相手ーー青い複眼に白いアーマーに身を包んだ野郎は冷静に呟きやがる。
急襲に苛立ちつつ、俺は敵を睨み据えて口を開く。
「はぁ……っ、テメェとんだ挨拶だなオイ?」
「! 天本さんっ……!? お前はーー」
「ーー亡っ!?」
そして、振り返って事態に気付いた二人は驚きを露わにしつつも素早く臨戦態勢に入る。
「亡……成る程な。お前あの時、滅と一緒にいたヒューマギアか?」
滅の夢を叶えるのが夢、そう言ってやがったヒューマギア「亡」。仮面ライダーになれるとは天津さんから聞いていたが…実物を見たのはこれが初だな。そう思いつつ取り出したショットライザーを構え、
「ーー待っていたぞ雷、
「ーー…………」
ーーそのタイミングで飛び退いた亡の後方から二つの人影が現れた。
「! アーク! 滅!」
人影の正体は既に変身完了済みのアークと滅……何だ、愉快に全員集合って訳か? いや、こっちは全然愉快じゃねぇーぞバカ!
「お前らッ! 何でここにいやがる…!?」
「雷電! その台詞がマジならコイツはお前の仕掛けた罠じゃない、そう思っていいんだな?」
「ったりめぇだッ!!」
「だったら何で……いや、今は考えてる場合じゃない! 天本さん! 兄貴! 一先ずはーー」
雷電の台詞がマジなら、ここにいる亡は……雷電の行動が全部アークに予測されてたってことか? ……いや! 今は或人の言う通り考えてる場合じゃないよなぁ? 今はーー
「あぁ、変身だッ! 行くぞ或人! それと雷電! お前は正直信用できねぇが……その台詞がホントなら、行動で示せっ!」
『ストロング!』
ーー戦うしかねえ……!!
装着済みだったバックルにショットライザーを取り付け、俺はプログライズキーを手に取りボタンを押す。
「ハイっ!」
「言われなくてもそのつもりだァ!」
『Everybodyジャンプ!』
『ドードー!』
それに力強く応えた或人と雷電もまたそれぞれのドライバーを装着し、自身のプログライズキーを取り出し、
【【オーソライズ!】】
【プログライズ!】
「「「──変身ッ!」」」
【ショットライズ!】
【メタルライズ!】
【フォースライズ!】
プログライズキーを装填しーー変身する。
『アメイジングヘラクレス!』
【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】
ショットライザーから放たれた弾丸に俺は右のアッパーを打ち込み、いつもの様にーー黄緑と白、二色のアーマーが次々に装着される。
【Secret material 飛電メタル!】
『メタルクラスタホッパー!』
【It's High Quality.】
現れた銀色の飛蝗、その一体が分離し群れとなって或人の全身を覆い尽くす様に集まりーー飛電メタル製のアーマーと化す。
【Break Down.】
赤いスーツを身に纏い、ゴムの様に伸縮したアーマーを勢いよく装着した雷の体にーー紅い稲妻が轟き走った。
変身した俺達の相手はアーク、滅、亡の計三人……
「ーーいいだろう、かかって来い」
「うおおおおーーッ!」
「はああああーーッ!」
「おらあああーーッ!」
デイブレイクタウンの橋の上、アークの一言を皮切りに俺達の戦いは始まった。
───────────────────────
【ゼツメツ ディストピア!】
「元は味方でも、邪魔するなら容赦しねえッ!」
ゼ
ツ
メ
ツ
デ ィ ス ト ピ ア
雷は両手に一本ずつ持ったサーベルを地面に突き刺し、レバー操作を行い必殺技を起動。腕部から強烈な紅き雷を放ち、更にそこから地面に突き刺したサーベルを引き抜き赤い斬撃波を飛ばす。
「ッ! かはっ……!」
「ぐっ……! 滅っ!」
「オイオイ、どうした? ンなもんかよ滅! 亡!」
「威勢がすげぇなコイツ……」
「ハッ! そりゃお互い様だぜバルデル」
ーー状況を言えば、太陽、或人、雷の三人は案外…かどうかは不明だが何とか互角にまで渡り合っていた。その要因としてはゼロワンが戦闘を有利に運ぶ為、アークと単騎で戦っているからに他ならない。
「はあッ!」
「ふっ!」
ゼロワンは一対一でアークと。バルデル&雷は二対二で滅&亡と。それが現在の対戦カードだった。
「せやああっ!」
【チャージライズ!】
「グッ…! コイツは、さっきのお返しだ!」
【フルチャージ!】
迅速にバルデルに肉迫した亡はその腕部についた白き爪を振り下ろし、それを取り出したアタッシュショットガンで受け止めたバルデルは反動に僅かに歯を食いしばり、
【カバンショット!】
「ーーオラァ!!」
「ぐうっ…!?」
ーーチャージが完了したアタッシュショットガン、その必殺技を超至近距離で放ち直撃させた。それをもろに食らった亡の体は当然の如く大きく吹っ飛ばされる。
「どらっ!」
「! っ、そこだ!」
「うおっ!?」
その横では雷が必殺技を受けて倒れた滅に追撃し、滅が的確に雷の動きを読んで攻撃を往なし反撃にアタッシュアローで背中を斬りつける。
「くっ……滅、あなたの言った通りでした。バルデルはやはり一筋縄ではいかない。手強い相手の様だ」
「あぁ……あの男はいとも容易く過去のデータ以上の力を発揮する。今のバルデルを相手にデータのラーニングは無意味だと考えるべきだろう」
バルデルと亡の戦闘は前者が有利に立ち、雷と滅の戦闘は後者が有利に立っていた。
滅はバルデルによって吹っ飛ばされた亡を庇う様に後方に下がると、亡の前に立ち武器を構える。
「雷電! お前なんかその剣以外に使える武器は?」
「あぁ、あるぜ! こいつがな!」
【アタッシュショットガン!】
「いやお前もそれ持ってんのかよっ!?」
そんな滅と亡を前にバルデルと雷は、
「ンならーー同時攻撃だッ!」
「賛成だァ、派手にブチ噛ますぜ!」
【【チャージライズ!】】
【【フルチャージ!】】
ーー手早くアタッシュショットガンを変形させて「同時必殺技」、その発動準備を完了させる。偶然にも二人の武器は同じだった。
【チャージライズ!】
「させるかっ!」
【フルチャージ!】
「滅一人では…! 私も!」
バルデルと雷の同時必殺技を前に滅はアタッシュアローを変形させ、此方もまた必殺技を発動しようとした。それを見た亡は片手でアタッシュショットガンを受けた箇所を抑えながらも立ち上がり、もう片方の手でフォースライザーのレバーを操作する。
【【カバンショット!】】
「「おらあああッ!!」」
「はあッ…!」
【カバンシュート!】
「やあああーーッ!!」
【ゼツメツ ディストピア!】
瞬間、バルデルと雷はアタッシュショットガンに収束した激烈な青のエネルギーを同時に発射し、それに対抗するべく滅はアタッシュアローから紫のエネルギーを放つ。亡はそんな滅をカバーするべき必殺技を発動し、白き嵐を巻き起こす。
「チッ…!」
「へっ、やるじゃねぇか!」
「亡、よくやった」
「この程度お安い御用です」
ーー結果、必殺技は完全に相殺する。
「バルデル、あんたメチャクチャできるじゃねぇーか!」
「そいつはどうも……この調子で倒すぞ」
「おうよっ!」
互いに一旦距離を取り、横並びに立ったバルデルと雷は敵を見据えながらも少しの会話を交わす。二人は性格が所々で近い部分があるのか、中々息が合いコンビとしての相性は良かった。
そして、戦闘は一瞬の間を置き再開し、
「アークがゼロワンを倒すのは時間の問題だ。そうなればこちらの勝利は決まる……バルデル、お前達では我々には勝てない」
「……はは、そいつはどうだろうなぁ?」
「? 何ーー」
滅の冷静な判断による言葉にバルデルは仮面の下で不敵な笑みを浮かべ、その意味はその場に居たものは直ぐに知る事になった。
【サウザンド デストラクション!】
「「「!?」」」
ーー突如、滅と亡の後方からそんな音声が鳴り、
「ーーハアアアアッ!!」
「「! グハッ!?」」
後方を振り返った滅と亡は目前に至っていた黄金のエネルギーを纏う飛び蹴りに反応し切れず、その威力に地面を転がる。
「フンッ!」
「ガハッ…!?」
更に身を起こした二人の内、亡に接近したソレは正拳突きを打ち込み大きく怯ませた。そこで顔を上げた滅と亡が見たのは、
「ふっ! どうやら無事に間に合ったようですね?」
「ッ! サウザー……!?」
ーー仮面ライダーサウザー、天津垓の姿だった。
「ナイスだ天津さん! マジで来てくれたのか……ってか不意打ちで必殺技って殺意
「ははは、私が君の呼び掛けに応じるのは当然でしょう? それと私怨についてはノーコメントとだけ答えましょうか」
(あっ、絶対私怨あるわコレ)
そのサウザーの登場にバルデルだけが驚愕する事なく、バルデルはサウザーにサムズアップをする。
「何故貴様がここに……!?」
「悪いなぁ、俺はこう見えて用心深いんだ」
サウザーが何故ここに居るか……それは事前にバルデルが「もしも雷電の行動が罠だったらor全部アークの予測通りだったら」という最悪の事態に備えて連絡し、協力を仰いでいたからだ。
ちなみにだが、垓は太陽に「亡にパンツ一丁にされた」件を隠していた。理由? あなたは親友に対し「過去に道具扱いしてた奴に大恥を晒かされた」という話を好き好んで話すだろうか? つまりはそういうことである。
閑話休題。
「ーーそれに一緒にいた二人も連れてきましたよ」
「! まさかっ……!」
「マジでナイス過ぎる……!」
サウザーはそう告げると体を起こした滅と亡の遥か後ろを指差した。それに滅は急いで振り返り、バルデルは小さくガッツポーズをする。
サウザーが指差した方向に居るのはゼロワンとアーク。そしてーー。
【【カバンショット!】】
【【カバンシュート!】】
「ーー終わりだ、ゼロワン」
「クッ……!!」
バルデル達の元にサウザーが合流する数分前、アークが瞬時に作製した大量のアタッシュ武器に四方八方を包囲されたゼロワンはピンチに直面していた。
(一か八か、アークに直接必殺技を叩き込むしかない…!)
「うおおおおおーーッ!!」
ゼロワンはすぐに自分一人ではこの攻撃を全て捌くのは不可能と判断し、ダメージ覚悟での行動を決行しようと駆け出し、
『パワーランペイジ!』
『サンダー!』
『スピードランペイジ!』
「ーーそいつは無茶が過ぎるぞ? 社長!」
「ーーあぁ、相も変わらずな」
ーーそんな二つの声がゼロワンの耳に届く。
【ライトニング ブラスト!】
【ランペイジスピード ブラスト!】
「せやあああーーッ!」
「らああああーーッ!」
瞬間、ゼロワンの四方八方を包囲していた大量の武器へ向けて二つの必殺技が撃ち込まれる。一つ目の必殺技は空を飛び、雷を纏った蜂の針の様な形をした複数の弾丸を空中分散させ、武器の機能を停止。二つ目の必殺技はファルコンのライダモデルのピンク色の両翼を使用、縦横無尽に飛行して振るった翼で武器を豪快に破壊した。
「不破さん! 刃さん! ど、どうして……!?」
ゼロワンの前には翼を消して、勢いよく地面に着地したバルカンと翅を使いゆっくりと着地したバルキリー。二人の仮面ライダーが立っていた。そんな予期していなかった二人の参戦にゼロワンは衝撃を受ける。
(バルカン、バルキリー……何故ここに?)
またアークも同様にその登場に驚きを見せた。それはアークの予測ではこの戦闘で二人が登場することなど予測できていなかったからだ。
「どうして? そいつはこっちの台詞だ! 俺達に一声も掛けずに勝手にアーク破壊のために動きやがって」
「私達に気を遣っての行動何だろうが……余計なお世話だ!」
バルカンとバルキリーはゼロワンに駆け寄り、二人共が佇むアークへとショットライザーを向けながら文句を吐く。二人はゼロワンが自分達にこの件について知らせなかった理由を粗方察していた。
「確かにアイツの強さは半端ねぇ……実際あの時、その強さにビビっちまった俺がいる。だけどな! だからってそのままビビりっぱなしじゃ格好がつかねぇだろうがッ!」
「!……不破さん……」
「全くだな……或人、お前の懸念通り私もアークの力に恐怖した。二度と戦いたくないとも思った。だが、ここで戦う事から逃げる訳にはいかない。私には……アークを復活させた責任があるからな」
「! ……刃さん……」
ゼロワンーー或人はアークとの戦闘で入院した唯阿の見舞い、アークとの戦闘直後の怯える不破の様子、そして実際に自分がアークと戦う中で或人自身もアークの力に恐怖心を抱いた。
だからこそ、アークを恐れる二人の気持ちが痛い程理解できた或人は……これ以上二人を巻き込まない様にと意図的に行動していた。
「それに、本当にデイブレイクの被害者だった
「その通りだ。元は一般人だった
しかし、どうやら二人は或人の知らぬ所で何やら良いショックを受けたらしい。
「行くぞ社長! 俺達でーーアークをぶっ潰す!」
「立てゼロワン! 私達でーー
「ッ!! あぁ!」
或人の配慮を理解しながらも、諌と唯阿は己の意志で再び戦うことを決意し……その覚悟を聞いた或人は力強く応えーー
「アーク! お前を止められるのは【俺達】だ!」
ーー立ち上がり、アークを指差して最後にその指を自分へと向けた。
(ーーバルデル、やはり貴様は
全くの予測外の展開ーーバルカン・バルキリーの登場に後方で滅と亡を吹き飛ばして現れたサウザー……それにアークは改めて
(純粋な力だけではない。あの男は無意識にか周りに大きな
ゼアと同様に予測できないバルデルの存在が関われば、途端にアークの予測外の事態が発生する。
(貴様は一体何なのだ!?)
アークの本音はこれに尽きた。
「ーー馬鹿な……私が押されている、だと?」
そんな思考をしながらゼロワン・バルカン・バルキリーの三人を相手取っていたアークだが、バルデルの影響が大きいのか…三人の動きはアークのメモリーにあるどの戦闘データよりも数段上のレベルに到達していた。
「一気に決めようッ! 不破さん! 刃さん!」
【メタルライジング インパクト!】
「おう! 全力でぶっ潰してやるッ……!」
『パワーランペイジ!』
『スピードランペイジ!』
『エレメントランペイジ!』
『オールランペイジ!』
【ランペイジオールブラストフィーバー!!!】
「不破! 或人! 息を合わせる事を忘れるなよっ!」
『サンダー!』
【ライトニング ブラストフィーバー!】
アークを圧倒する三人は、更に素早く各々が必殺シークエンスを完了させ、
「「「ーーハアアアアアッ!!!」」」
「ーーぐうううううーーッ!!」
ーー三人同時のライダーキックを放つ。
それを防ごうと両腕をクロスさせ、瞬時に防御態勢を取ったアークだが必殺技の威力は凄まじくアークは吹き飛び地面に倒れる。
(っ、こんな結論はありえないッ……!)
必殺技を食らったアークの損傷は激しく、多くの箇所から火花が散り出る。そして、アークはこのままでは乗っ取った迅のボディーがダメージに耐え切れず変身が強制解除される事を悟った。
(ーー迅が自我を取り戻したとしても対処自体は可能だ……だが、目的を達成せぬまま一時的にボディーを失うのは極めて痛手だ)
「ーーよし! この調子なら……勝てるっ!」
そんな中、ゼロワンはこのまま三人の力を合わせればアークを倒せると判断して追撃の為に動き出す。しかし、
「ーーいいや、お前達が私に勝利する事はありえない」
「! かはっ…!?」
「社長!? テメェ…!」
ーー次の瞬間、機械らしく一切の痛みを感じさせない動きでスッと起きたアークはゼロワンの振り下ろしたプログライズホッパーブレードを掴み、素早く奪い取ると逆にゼロワンに振り下ろした。
「一つ、教えてやろう。私の今の目的はお前達仮面ライダーの殲滅などではない。私の今の目的は……
「何だと!?」
「ふんっ!」
「ぐはッ!?」
そして、目の前に立つ三人の仮面ライダーと対峙したままそう告げーー重い拳をゼロワンの顔面に打ち込む。怯んだゼロワンは後退し、
「ゼロワンのデータを奪って何する気か知らねぇが、テメェの相手は社長だけじゃねーぞッ! はあっ!」
「邪魔だ!」
【【カバンスラッシュ!】】
「! ぐわあッ!!」
「! 不破さん…!」
ーーアークは引き続きゼロワンを狙う。そのアークのゼロワン集中攻撃を阻む為に間に飛び込み殴り掛かったバルカンだったが、アークが両手に作製したアタッシュアロー…その二刀流の必殺技により吹き飛ぶ。
「不破ァ! ッ、これでも食らえっ!」
「同じことを二度言わせるな……ーー邪魔だッ!」
【【カバンショット!】】
「何っ!? うああッ!!」
「! 刃さん…!」
更に妨害しようとショットライザーを連射するバルキリーに対し、アークはバルキリーの真後ろに既にチャージが完了したアタッシュショットガンを二丁作製。即座に必殺の散弾をゼロ距離で容赦無く撃ち込み、バルキリーはダメージに倒れる。
これで邪魔者は消えた。
「アークッ…! お前えぇぇーー!!」
「貴様のデータを奪えば、その時点で私の勝利は確定する」
【オールエクスティンクション!】
声を上げ、力一杯に拳を振るうゼロワン。アークは怒りにより単調になったその攻撃を容易く躱しながら両手に持っていた二本のアタッシュアローを横に放り捨てーードライバーの上部スイッチを押し込む。そして、
「これで終わりだーーフンッ!!」
「! しまっーーガハッ……!!」
オールエクスティンクション
ーー悪意のエネルギーが収束した右拳をゼロワンの腹部へと、一切の慈悲なく叩き込む。
「ううッ……まだだ! ーーぐふっ!?」
「ーーいいや、正真正銘お前は……ゼロワンはここで終わる」
その一撃で変身が強制解除され倒れる或人だが…まだその目には闘志があり、すぐに再度変身しようと別のプログライズキーを取り出すがアークはそれを許さない。倒れた或人の胸倉を左手で掴み、無理矢理立ち上がらせるとアークは右手でその腰に装着された「飛電ゼロワンドライバー」を強奪すると左手を離し、生身の或人を蹴り飛ばす。
「とうとう……ーーこの時が来た!」
そして、アークの目的はいよいよ達成間近に迫る。
▲▲▲
一方、その遥か後方ではーー。
「おらあッ!」
「はあッ!」
バルデル・雷・サウザーと滅・亡の戦闘が行われていた。サウザーの参戦により三対二になった結果、戦いはバルデル達が圧倒的に優勢になる。
【ジャックライズ!】
「ふっ、貰ったァ!」
【ジャッキングブレイク!】
「ぐはッ!?」
「おいおい! テメェの相手は一人じゃねーぞ滅ィ!」
「ッ! 雷っ……!」
滅をバルデルと雷が急造コンビとは思えないコンビネーションで翻弄し、亡をサウザーが全力で攻め立てーー流れは順当にバルデル側に傾いていく。
「そろそろ決めるか…!」
最初にそう言ったバルデルはショットライザーに装填したプログライズキー…そのボタンに手を伸ばし、
「とうとう……ーーこの時が来た!」
「……あぁ?」
ーー後方から聞こえた不可解な台詞に思わず振り返る。その声に反応したのはバルデルだけじゃなく全員だった。
「! 或人ッ…! あれは!?」
(目離した隙に大ピンチじゃねーかっ!?)
そして、変身解除された或人が倒れーーアークの右手に或人のドライバーが持たれているのを視認してバルデルは或人の元に駆けた。また状況の深刻さに雷とサウザーも気付き、滅・亡との戦闘を一旦止めバルデルの後を追うように走り出す。しかし、
「ーーもう遅い」
アークが告げるように既に手遅れだったのだ。
アークは右手に持った「飛電ゼロワンドライバー」を赤黒いエネルギーで包み込むとセキュリティーを破壊しハッキング。内部に保管・記録された今迄のゼロワンのデータを全て奪う。
「ーーラーニング完了」
そう呟いたアークは手に持ったドライバーを片手で砕き、
「! 何だよ、ソレ……!?」
ーー何処からともなく赤黒い泥の様なモノに包まれたプログライズキーを取り出し、アークはその中に何かを流し込む。それによりプログライズキーを包んでいた赤黒い泥は落ち、ソレは完成してしまう。
『アークワン!』
そのプログライズキーは起動した瞬間、自動展開され………
「──変身」
静かに確認するかの如く口にしたアークは禍々しいプログライズキーをドライバーへと装填した。瞬間、
【シンギュライズ】
【破壊 破滅 絶望 滅亡せよ】
【コンクルージョン ワン】
ーー絶望は生まれ落ちた。
今回の話を書いててよく分かったんですが、乱戦って書くの凄い難しいですね……!(沢山ライダー出せて楽しいのもありましたが笑)
情報量が渋滞してて、下手な自分じゃ満足に全キャラを生かし切れてない感が否めない(苦笑)
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仮面ライダーゼロワン
第20話 アークワンは止まらない