デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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ちなみに今回もかなり詰め込んでます笑
展開が異様に早いかも……?

今年最後の投稿……それでは、どうぞ!


それでもオレは諦めない

──遂に、天本太陽(バルデル)は死んだ!

 

 太陽に必殺の蹴りを打ち込み、その体を高所から川へと叩き落としたアークは太陽が落ちた川を橋から見下ろして確認するように呟く。

 

 太陽は再変身に成功した時点で既に瀕死の重傷を負い、その体は限界を迎えていた。そんな死に体にアークは容赦無く…完全に息の根を止める一撃を与えたのだ。

 

そして、お前を消せば私の予測を超える存在はゼアのみとなり……最後にゼアを破壊すれば人類滅亡の未来は確定する

 

 アークは川を見下ろしていた視線をイズの方へ向け、徐に歩き出す。

 

「あっ、あああああーーッ!!」

 

 或人は太陽が死んだという現実……その喪失感に慟哭し、戦える状態ではなかった。

 

「グッ……動け! 動けよッ…!!」

「っ、く、このッ……!」

「アークッ、この野郎……!」

 

 諌や唯阿、雷もまたアークワンの悪意の波動を受けた影響で体力的にも精神的にも一時弱っていた所に太陽の死という事態に直面し、今すぐの戦闘は不可能と言っても過言ではなかった。

 

 そんな中、例外が一人いたーー。

 

ーーアーク! 貴様アァァァァア!!

 

 目の前で友をーー太陽を失った天津垓だ。

 垓は湧き上がる激情のままに憤怒し、落ちたプログライズキーとゼツメライズキーを拾い傷だらけの姿で立ち上がる。

 

 いつかの太陽の如く、今の垓の中ではアークが放出した「スパイトネガ」の影響でアークへの恐怖や絶望の感情が増大していたが、それよりもアークへの「憤怒」の感情の方が圧倒的に上回っていた。

 

ゼツメツ! Evolution!

ブレイクホーン!

 

 怒りから乱暴にゼツメライズキーをねじ込むように左側スロットに装填し、プログライズキーのボタンを押し自動展開させ、

 

パーフェクトライズ!

お前だけは絶対に許さんッ!

 

 ーー右側スロットに装填すると同時にアークに向かって走り出し、変身しながら地面に突き刺さったサウザンドジャッカーを通り過ぎる直前に引き抜き振り下ろす。

 

ーーハアアアアアッ!!

『When the five horns cross, the golden soldier THOUSER is born.』

Presented by ZAIA.

 

 その一振りの重さと速さは今までの攻撃の比ではなかった。しかし、

 

何を言うかと思えば。許さないも何も、全ての元凶は私に人間の悪意を……愚かな歴史をラーニングさせた天津垓(貴様)とそれを容認したZAIAだろう?

 

 それをアークはひらりと躱して見せ、サウザーに変身した垓へと回し蹴りを噛ます。

 

「グハッ!? っ…この命を犠牲にしてでも! お前だけは、私が破壊するッ!」

「やれるものならやってみろ」

 

 強烈な回し蹴りを受けたサウザーは後ろに勢いよく転がる。が、すぐに身を起こし再びアークに立ち向かう。

 

 今の自分ではアークワンと戦っても、勝機は無いに等しい……それは垓自身も理解している。それを理解して尚、垓は自分の思い()を抑えることができなかったーーそれだけは決して譲れなかった。

 

アメイジングホーン!

Progrise key confirmed. Ready to break.

サウザンドライズ!

はあぁーー………

 

 ドライバーからプログライズキーを引き抜き、ボタンを押してプログライズキーを閉じ、サウザンドジャッカーへと装填しグリップを引く。この一連の動作を一切の無駄なく迅速にこなしたサウザーは深く息を吸って吐き、

 

サウザンドブレイク!

ーーフウウウゥゥンッ!!

ZAIAエンタープライズ

 

 ーー構えたサウザンドジャッカーのトリガーを押し込む。次の瞬間、サウザーの周囲にファルコン、シャーク、タイガー、ベアー、マンモス、ウルフ、ホーネットーー大量のライダモデルが展開され全てのライダモデルがアークへと一斉に殺到し、襲いかかる。

 

 それはサウザーが放てる必殺技の中でも最大威力を誇るーー正に切り札。

 

ーー天津垓、貴様に私を破壊する事は不可能だ

悪意

はあっ!

 

 だが、その切り札さえ今のアークには届き得ない。

 

「ば、馬鹿なッ……!?」

 

 アークは先程全員を変身解除に追い込んだ時の様に、ドライバー上部のボタンを押し込んで悪意の波動「スパイトネガ」を発生・増幅させて手の平から放出。

 

消えろ

パーフェクト コンクルージョン

ラーニング1

 

 その波動を受け、アーク目掛けて飛び出したライダモデル達は一瞬の内に塵のように掻き消えーー動揺するサウザーに向かってアークは無慈悲にドライバーに装填したアークワンプログライズキーを押し込み、

 

「はああーー!」

「! ()ッーー」

「フン」

 

 ーー斥力・引力を操作することで空中浮遊し、高速でサウザーの目前に到達。必殺の一撃()をその腹部に叩き込んだ。

 

グワアアアアアアアーーッ!!!

 

 声を上げながら地面を転がり、サウザーは当然の如く強制変身解除。

 

「っ…‥まだ、だ…‥! ぐっ…! こはッ」

 

 倒れた垓はそれでも尚戦おうとするが彼の体はアークワンの一撃を食らって限界を迎えており、口から大量に吐血する。

 

 

 

 

 

「ッ、このままじゃ不味いぞ……! 刃ァ!」

「っ…! 言われなくても、わかってるッ…‥!」

 

 恐怖に足を震わせながら、何とか立った諌は自分と同じくアークの恐怖と戦う隣の唯阿へ叫ぶ。それを聞いて唯阿は精一杯に体を起こす。

 

パワー!

ダッシュ!

オーソライズ!

「変、身っ……!」

「っ、変身……!」

ショットライズ!

 

 ーープログライズキーのボタンを押し、ショットライザーに装填。恐怖を押し殺して二人はショットライザーのトリガーを引く。そして、

 

パンチングコング!

Enough power to annihilate a mountain.

 

ラッシングチーター!

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

 バルカンはパンチングコングへ。

 バルキリーはラッシングチーターへ。

 それぞれ再変身を果たす。

 

「無駄だ。お前達の力は、私には遠く及ばない」

 

 変身を果たした二人に気付いたアークは吐血して地に伏する垓から視線を外し、徐に振り返る。

 

「……悔しいが、確かに今はそうなんだろうよ……だがな!」

「ッ、ここで諦める訳にはいかないからな!」

パワー!

ダッシュ!

パンチングブラスト!

ラッシングブラスト!

 

 アークの台詞に二人はそう返して素早くショットライザーに装填したボタンを押す。バルカンはパンチングコングの巨拳を、バルキリーはショットライザーを構え、

 

「はああああっ!!」

「やああああっ!!」

 

 同時必殺技を放つ。

 バルカンはそのパンチングコングの巨拳をロケットの如く発射し、バルキリーはアークの周囲を迅速に周りながらショットライザーを連射する。

 

「無意味だ」

 

 それを防御する必要もないと判断したアークは右手をドライバーの上部に置き、ボタンを押そうとして気付く。バルカンとバルキリー、両者の必殺技はどれも自身の打倒を狙ったものではないと。

 

 ロケットの如き爆発力で発射されたパンチングコングの巨拳はアークの足元で着弾して炸裂。そこに追加でラッシングチーターの速力を生かした四方八方からの射撃により撹乱。アークの視界はほんの数秒程度とはいえ、確かに一時爆煙に包まれる。

 

「刃っ! イズとサウザーを頼む!」

「あぁ、お前も雷と或人を頼んだ! イズ、逃げるぞ!」

「おう! オラっ立て雷、社長もだ!」

 

 二人の狙いは鼻から──再変身した時から──一つ、この場から全員で撤退、離脱する事。アークがアークワンに進化し、更には天本太陽(バルデル)の死亡。この二つの事実だけでも絶望的だが、ここで人類側の「仮面ライダー」が更に欠ければ……それはどうしようもなく致命的だった。

 

 そんな致命的な展開を回避する為に二人は行動しーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………逃げた、か」

 

 爆煙が晴れ、アークの視界がクリアになった頃には……もうそこに人類側の仮面ライダー達の姿はなかった。

 

「だが、お前達に私を止める事は不可能。どれだけ逃げようとも……それは延命に過ぎん」

 

 しかし、アークは一切焦る事なく淡々と事実を述べる。

 

「バルデルは死んだ。これで、人類滅亡の未来はより盤石なものとなる……」

 

 最後に太陽が落下した川を見下ろし、アークは滅と亡を引き連れて歩き出す。

 

──貴様は、本当に愚かな男だった

 

 悪意に満ちた、愚かな人類の為に最期の時迄戦った男。天本太陽。仮面ライダーバルデル。

 

 

 アークにとって天本太陽(バルデル)は最後まで理解不能な存在だった。

 

 

 

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(ーー………? どこだ、ここ)

 

 俺の視界には今、白一色の異世界染みた光景が広がっている。気が付いた時には俺は既にそこに立っていた。

 

「ーー俺は何でこんな所に居るんだ………?」

 

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 ここに至るまでの出来事を思い出そうとした俺は頭を捻る。

 

(確か、或人と雷と一緒にアーク達と戦って……それで……それで?)

 

 記憶を想起しようとした俺だったが、どうにも断片的にしか思い出せない。肝心な部分については思い出せなかった(わからなかった)

 

(俺と或人は雷の提案に乗って、デイブレイクタウンに向かって……アーク、滅、亡と戦った。うん、戦った……筈だよな?)

 

 自分の記憶がどうにも正確か分からず不安になっちまう。

 

(それから……天津さんが…来たよな? それで……うん全く思い出せねぇ!)

 

 こっから先は記憶が欠落しているらしい。ただこれだけは何とはなしに理解できる。きっと俺はアークに負けたのだろう。

 

(或人や天津さん、みんなは無事なのか?)

 

 生きててくれてればいいんだが……仮に全滅してたら人類はマジで終わりだ。そこんところは誰かがファインプレーでどうにかしてくれてる事を祈ろう、そうしよう。

 

 

「──俺……死んだのか?」

 

 白一色の世界・空間に在るのは自分と宙空に浮かび上がっている複数の水色の数字?のように見えるものだけ。それ以外は本当に何もない。そんな光景を前に「もしかして、ここがあの世なのでは……?」と思いながら俺は辺りを見渡す。本当に何もない、どこまでも()が続いている。

 

 もしここがあの世なら、俺は死ぬ前にちょっとはアークに一矢報えたんだろうか? だったら格好も付くんだが……む、無駄死にだけはやめろよ俺ェ!? 死ぬのは勿論嫌だけど、戦いの中で死ぬならせめて価値のある逝き方をしたい。

 

 あぁー……父さんと母さん、美月にはマジでごめんとしか言えねぇな。振り返ってみると……本当に親不孝かつ(ひで)え兄だったな俺?

 

(……つうか死んだなら死んだで、そう一言伝えてくれよ神様ぁ……()るか知らんけど)

「はぁ……もう死んでるのかどうかすらわかんねーけど、死にたくねぇーつうかマジで何処だよここ? 説明を寄越せ説明を」

 

 真っ白な世界で地面?に仰向けで寝転んだ俺はそう弱音をぼそりと零し、溜息を吐いた。

 

 

 

 それからどれだけの時間が経ったか。一分程度だった気もするし、十分ぐらいだった感じもあるし、一時間以上は経過していたようにも思える。ここにいると時間感覚が狂う。

 

 

 

 当然、この真っ白な世界には俺以外の人影はなく……俺の言葉に応える者は誰もいないーー

 

 

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──ここは通信衛星ゼア、その思考回路内ですよ天本様

 

 ーー筈だった。

 

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……まさか、またお前に会えるなんてな

 

 

 後ろを振り返り、俺は思わず微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

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 ーーアークの戦闘から三日。

 

「っ、ならこれは……! 何でだよ!?」

 

 飛電製作所のオフィスで或人は声を荒げる。デスクの上には幾つかのプログライズキーコネクタが置かれており、或人の手にはそこから引き抜いたプログライズキーが握られていた。

 

「クソっ反応してくれ! 頼む!」

 

 或人は手に取ったプログライズキーのボタンを押すがプログライズキーは機能しない。そんな無反応なプログライズキーを苛立ちからか手荒にデスクの上に投げ、或人はまた別のプログライズキーを引き抜きボタンを押す……しかし、これもまた機能しない。

 

 先程から或人は幾つものプログライズキーを起動しようと試みているが、全てが機能しない。全く無反応だった。

 

「或人社長……」

「何でッ……! イズ! 何でプログライズキーが全部反応しないんだ!?」

「どうやらゼロワンドライバーからゼロワンのデータを奪取された際、無線の様に……間接的に今までゼロワンが使用してきた全プログライズキーの機能が停止状態にされているようです」

 

 或人の問いに傍に立つイズは冷静に答える。それを聞いた或人は驚愕し、

 

「!? そんな……はっ! そうだ、イズ! ゼロツードライバーはーー」

「ーー残念ですが、現在の作製進行度から予測してゼロツードライバーの構築には少なくとも一週間以上……ゼロワンドライバーの再構築にはそれ以上の時間が必要です」

 

 ーー咄嗟に打開案を思いつくがその案にイズは首を横に振る。

 

「……っ、じゃあ俺は……! 俺は……!」

 

 イズの言葉に或人は俯く。

 その手に黒く汚れ、亀裂(ヒビ)が走り、深く損傷したアメイジングヘラクレスプログライズキーを持つ或人の手は震えていた。

 

 アメイジングヘラクレスプログライズキーの機能はアークのスパイトネガの一撃を受け、完全に機能停止。システム自体が死んでいた。

 

(天本さんは最後まで、諦めずに戦ったのに……!)

「俺はッ……変身できなきゃ……ゼロワンにならなきゃ、戦う事すらできないのかよッ!?」

 

 涙が溢れ、プログライズキーを濡らす。或人は太陽の形見を震える手で握り締めた。

 

ストロング!

オーソライズ!

あああああああああ!!!

ショットライズ!

アメイジングヘラクレス!

ぐ、ッ…おおおおおーー!

 

(全身傷だらけで、血を流して…痛くて苦しい筈なのに……それでも天本さんは最期まで戦った。イズを、守る為に……! 本当は俺が守らなきゃいけなかったなのに……俺が弱かったせいで…!)

 

 あの瞬間を或人は今でも鮮明に思い出せる。

 

「……………」

 

 俯きながら歯を食いしばる或人にイズは掛ける言葉が見つからず、沈黙した。

 

 

 

 

 

『だから或人さん、これからも頑張ってください。俺まだ、ヒューマギアを好きでいたいですから』

 

 

『なぁ或人──お前は人間の味方か? それともヒューマギアの味方か?』

 

 

『おぉ! よう或人…って大丈夫かお前っ!?』

 

 

『お言葉に甘えて、防御は任すぞ! 或人!』

 

 

『──俺なんかで良けりゃ、聞いてやるよ』

 

 

(天本さん……俺は、俺はどうすればいいんですか?)

 

 目を閉じ、俺は今は亡き天本さんへと問いかける。それに答えが返ってこないのはわかってる。だけど、

 

 

──それはお前が決めろ。

──それに…もう決まってんだろ?

 

 そんな声が聞こえたような気がした。

 

はい、俺も最後まで諦めません!

 

──俺は、戦う! たとえ変身できなくても…ゼロワンになれなくても……! 俺は絶対に逃げないッ!

 

 俺は顔を上げ、立ち上がる。

 

「イズ、だから俺は行くよ」

「! 或人社長………」

 

 イズはそんな俺を見て何を思っただろう? 不安に思った? 無謀だって思ったかな? うん、そうかもしれない。それでも俺は天本さんの勇気を、行動を無駄にしたくないんだ。

 

 そして、俺はそのままオフィスを出ようとしてーー

 

ーー或人社長、一つだけ……変身する手段があります

 

 ーー俺はイズのその台詞に足を止めた。

 

『もし或人に何かあった時、これを或人に渡してくれ。念の為の『秘密兵器』……って言える程のものじゃあないけど。きっとコイツは或人の……アイツの役に立つ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──さぁ、人類滅亡を始めよう

 

 一方その頃。

 アークはいよいよ人類滅亡の為に本格的に動き出した。手始めにアークが行った都市部のハッキング……それを止める為に不破諌(バルカン)刃唯阿(バルキリー)天津垓(サウザー)の三人の仮面ライダーが立ち塞がる。だが、

 

「無駄な抵抗だ」

「ッ、アっガ……!!」

悪意

 

 ーーアークワンは止められない。

 アークは殴り掛かってきたランペイジバルカンをひらりと躱し、スパイトネガを発生させた右手で首を掴んで地面に叩き伏せる。

 

 

恐怖

「人類滅亡という結論は既に確定している」

「! グハッ!?」

 

 次にバルカンの援護をするバルキリーが連射するショットライザーの弾丸、それをアークは片手で掴み取りスパイトネガを宿してバルキリーへ投げ返す。赤黒く染まった弾丸は寸分違わずにバルキリーの顔面に直撃。その仮面を砕く。

 

「ぐ、まだだッーー」

憤怒

「いいや、終わりだ」

 

 最後にサウザンドジャッカーのグリップエンドを引こうとしたサウザーの左手を右手で掴んで止め、

 

パーフェクトコンクルージョン

ラーニング3

「フンッ!」

 

 ーー空いた左手に悪意を集めてストレートを鳩尾に突き刺した。

 

「ぐあああああーッ!!」

 

コ ン ク ル ー ジ ョ ン

 

 それを受けたサウザーの体は即座に赤黒い悪意に包まれ、全身を蝕まれていき変身は強制解除される。

 

宣言しようーー今日がお前達の命日だ

 

 倒れる三人を見下ろしアークは徐に右手を広げて向ける。その手にはスパイトネガが収束し、一つの球を作り出す。そして、

 

滅びろ

 

 その球を生身の三人へ向けてアークは放ち、滅びを与える……

 

 

 

 

 

 

 

「ーーやめろおおッ!」

 

 ーーその直前にアークの後方から制止の叫びが響いた。

 

 

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「………飛電或人か」

 

 ゆっくりと後ろに振り返ったアークは呆れたように呟く。

 

「言った筈だ、貴様はもうゼロワンには変身できないと……何故現れた? 今の貴様には私と戦う力さえないというのに」

「……俺は絶対に諦めないッ!」

 

 アークと対峙した或人は心を恐怖に襲われながらも、それでも立ってアークを見据える。その決意が籠った強い眼を前にアークは「そうか」とだけ言い、

 

「ならば、貴様から葬り去ってやろう」

 

 ーー倒れる三人に向けていた手を或人へと向ける。

 

「逃げろッ社長!!」

「ッ、馬鹿な真似はよせっ!」

「飛電、或人……!」

 

 そのアークの行動に対して諌、唯阿、垓はそれぞれ必死に声を上げ……

 

「大丈夫! みんなは絶対に守るから!」

 

 或人は動じることなく笑顔でサムズアップした。それを見たアークは或人の態度に疑問を吐く。

 

「何故だ? 何故逃げない? 何故諦めない? ベルトも無く、今までのプログライズキーも使用できない。変身できない貴様は最早『仮面ライダー』ですらーー」

「ーーそれは違う」

「……何っ?」

 

 アークの言葉を或人はハッキリと否定する。

 

変身できるかどうかは関係ない。変身できるから『仮面ライダー』なんじゃない! 天本さんが……身を以て教えてくれた。守りたい……大切な物の為に、自分の命を懸けて戦う。その強い思いが、 心こそが仮面ライダーなんだッ!!

 

 再度強く、強く宣言した或人はある物を懐から取り出し、

 

「!……何故貴様がそれを持っている?」

だから、その心を胸に……俺は絶対に逃げない! 絶対に諦めない!

フォースライザー!

 

 それをーーフォースライザーを腰に装着する。そのフォースライザーが誰のものか…それは語るまでもないだろう。

 

「があッ…!? く、あああああッ!!」

 

 瞬間、赤黒い火花がバチバチと散り、或人の全身に激痛を走らせる。それでも或人は決して倒れない。何故なら、彼は大切な物を守る為に命を懸けて戦う……その心を持つ『仮面ライダー』だから。

 

そうか、天本太陽(バルデル)。貴様は死んで尚、私の前に立ち塞がるというのか……だが飛電或人。ベルトがあろうと貴様にはーー」

 

使用可能なプログライズキーはない、そう口にしようとしたアークだったが……その予測は次の瞬間に覆った。

 

ジャンプ!

「! 何だと?」

「ぐウッ…! うあああッ!」

 

 或人の手にはライジングホッパープログライズキーが握られており、しかも確かに作動していたのだ。

 

天本さん! ワズ! 俺に力を貸してくれッ!

ーー変身ッ!!

フォースライズ!

 

 プログライズキーをフォースライザーに装填し、激痛に歯を食いしばる或人は二人の姿を思い浮かべ……決して消えない強い心を胸に、勢いよく黄色のレバーを引く。

 

ライジングホッパー!

A jump to the sky turns to a rider kick.

Break Down.

 

 プログライズキー装填時に黒いバッタのライダモデルが或人の目前に出現し、レバーを引きプログライズキーを強制展開した途端にそのバッタのライダモデルの形は崩れ、蝗の大群のような形状に変化して或人の体に蝕む様に纏わりつき黒いスーツと化す。

 

 最後に或人の上に浮遊していた黄色のアーマー、バッタのライダモデルから分解された一部のパーツが黒いコード?に引っ張られる様に或人に装着され、

 

アーク!

 

 ーーその複眼は赤く光る。

 

お前を止められるのはただ一人! 俺だッ!!

 

 そうして、仮面ライダーゼロゼロワン(001)が誕生した。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!

仮面ライダーゼロワン!

第22話 Rising sun


皆さん、来年も宜しくお願いしますっ!
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