デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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今回は脳内bgmで「ハイブリッドライズ!ゼロワン~Rising sun」を流しながら読み進めるのがオススメです!

それでは、どうぞ!


ある男の完全復活!!

Grab the victory!Grab the future!

ウイニングヘラクレス!

The strongest power Crush the sky.

It's Keep winning.

 

 体に走る黄緑のライン、下半身に装着された白いアーマー、頭部と上半身を覆うメタリックな緑の堅固なアーマー、鋭く伸びた角、自然と闘志と凶暴性を感じさせる赤い複眼。

 

「何だ、その姿は……?」

 

 仮面ライダーバルデル ウイニングヘラクレス。

 それが今アークの前に再び立ち塞がった天本太陽(バルデル)の新たな姿。アークの予測にはなかった力。

 

「さぁな。俺も…チュートリアルはやったんだが、実際にコイツに変身するのはこれが(はつ)でな」

 

 そう口にしたバルデルは自分の両手に目を下ろし、仮面の下で強気に笑う。

 

「でも、これっぽっちも負ける気はしねぇな」

「笑わせる、貴様に私を倒す事は不可能だ」

「だったら喋ってないでかかって来いよ。それとも…怖いのか?」

「……いいだろう」

 

 揶揄うように片手をアークに向けクイクイと動かすバルデルにアークはその拳に「スパイトネガ」の赤黒いエネルギーを纏わせ握り締める。

 

「もう一度その息の根を止めてやるッ!」

 

 本来のアークならば挑発に乗るなどそもそもあり得ない。だが、今のアークの人工知能は度重なる予測を超える事態に明確なエラーを起こしていた。まるでシンギュラリティに達したヒューマギアのように。

 

「………」

 

 そんな怒りを露わにするアークにバルデルはただ徐に歩き出す。

 

「隙だらけだ」

 

 そして、アークは加速し一瞬で歩くバルデルの目前に至ると右拳をその胴体に放つ。更に直撃した直後、「スパイトネガ」の赤黒いエネルギーがバルデルの超至近距離で爆ぜーー致命的な一撃になるのは必然の筈だった。

 

「そんなもんか?」

「?! 何っ……!?」

 

 しかし、拳を受けたバルデルは怯む事なく……それどころか一切の衝撃を受けた様子なく平然と口を開き、

 

「どらあッ!」

 

 お返しとばかりに動揺するアークの胴体に右拳を打つ。

 

「! ぐッッ、がああァ……!!」

 

 

 瞬間、アークの体は真っ直ぐに吹き飛び、壁に背を激突することで漸く止まりーー激突した壁には大きなヒビが走った。

 

(何だ、この力は……?!)

 

 その力は今までのバルデルの比ではなく、今の単純なパンチがアークには捉え切れず、全く反応できなかった……アークは動揺し、

 

「何故予測できない!?」

 

──予測できない。

 

 最も不可解な問題に驚愕する。

 確かに今までもアークはゼアと天本太陽(バルデル)の「結論」だけは予測できなかった。だが、戦闘での天本太陽(バルデル)の攻撃などに関しては全てとは言えないが十分に予測できていた。

 

 しかし今、それも不可能と化した。

 

「さっきの台詞そのまま返すぜーー隙だらけだ!」

「うぐっ!?」

 

 そんな風にアークが高速で思考する間、瞬時に距離を詰めてきていたバルデルの左の膝蹴りがアークの顔面に直撃し、

 

「おらあッ!」

 

 ーー続けて素早く右の横蹴りがその顔面を捉え、強烈な威力・衝撃にてアークを遥か後方に蹴り飛ばす。その二度目の攻撃でアークの体は先程激突した壁を貫通…アークが貫通したヒビの入った壁は遂に完全に崩壊し、広い範囲に粉塵が発生した。

 

「があ…ァ…くはッ…! あり、得ない」

 

 勢いよく地面を転がり、手をつき何とか立ち上がろうとするがすぐには立ち上がれずアークはガクッと地面に倒れ、絞り出す様に零す。

 

「そんな、筈がない」

 

 理解できない事態を前にアークは再度予測を試みる。

 

ーー前提を書き換え、結論を予測

 

 アークの片目が不気味に赤く輝く。バルデルの次の攻撃(動き)。その予測が開始されーー

 

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「ーーな、に……?」

 

 ーーようとした次の瞬間、アークの予測は何かに妨害され強制中断された。

 

「はあッ!」

「! ごはっっ……!!」

 

 続けて予測の中断により意識が現実に引き戻された直後、アークの顎部分にバルデルの左のアッパーが打ち込まれーーアークの体は宙に打ち上げられる。

 

(ッ、対処をーー!)

 

 アークは甚大なダメージの連続に思考を乱されながらも、空中で体勢を整え着地しようと瞬時に適切な判断を下し対処しようと試みるが、

 

「もういっちょッ!」

「ごがッ!?」

 

 ーー人間を遥かに超えた人工知能(アーク)の思考速度でさえ、今のバルデル相手には遅い。間に合わない。

 

 打ち上がったアークのその腹部にバルデルは容赦無く右のストレートを叩き込みアークを吹き飛ばす。

 

「っっ…グッ…こんな、馬鹿な事が……!」

 

 アークの予測を超え、許容範囲を遥かに超える威力を持つバルデルの一撃()は凄まじく、その攻撃を受けた部分からは激しく火花が散り始める。

 

 そのダメージにより、アークの思考には不具合が生じ始める。

 

「何故だ、何故こんな事が起こり得る! 以前は予測できた筈の貴様の動きが、予測できなくなった理由は何だ!?」

 

 アークは自身の状況()ーー手も足も出せず圧倒されている……理解し難く、受け入れ難い事実に怒り問う。

 

「これがゼアの力だとでも言うのか……? ならば、私の力がゼアに……及ばないとでも言うのか!?」

 

 アークはバルデルが変身前に使用したプログライズキーのアビリティ「ゼアズアビリティ」から「ウイニングヘラクレスプログライズキー」にゼアの力が内包されていると理解し、バルデルの動きが予測不可能になった理由をゼアの力によるものだと結論付けた。

 

「…………」

 

 地面に手をつき、立ち上がろうとするアークをバルデルは無言で見下ろし、

 

「何で予測できないのかって……お前、まだわかんねーのか?」

「何……?」

「教えてやるよ、簡単な話だ」

 

 ーーアークの怒りを前に平然と応え、告げる。

 

「人間の悪意をラーニングされ、人間の悪意だけをラーニングしてきたお前に、人間の善意も悪意も両方ラーニングし続けてきたゼアの結論()が…予測できる筈がないんだよ」

「! 善意、だと……? そんなもの、人間の心には存在しない。人間の心に存在するもの…それは悪意だ!」

 

 バルデルの言葉を即座に否定し、アークはその手に二丁のショットライザー。更に背後に数十本以上のショットライザーを生成・展開して射撃を開始する。

 

「させるかよ」

「っ! これは!?」

 

 だが、それに対してバルデルは右手を翳した瞬間ーー生成・展開した全ショットライザーが一瞬の内に消滅した。

 

「一体何をした!?」

「さぁ? 詳しい事は俺にもよくわかんねぇけど、簡単に言えば…アーク(お前)対策(メタ)の妨害能力ってとこだ……んじゃーー次はこっちから行かせてもらおうか」

 

 動揺したアークの問いかけにそう簡潔に答えたバルデルは右手を広げ、ショットライザーに装填した「ウイニングヘラクレスプログライズキー」からその手に水色のレーザーが放出され「01 10 01 10」という数字?のようなデータが出現。

 

オーソライズバスター!

 

 それはまるでアークの武器生成の様に何かを形取り、最終的にアックスモードの「オーソライズバスター」をバルデルの手に生成して見せた。

 

「何、だと……?」

「悪いなぁお株奪っちまって。でもゼアとお前は同型何だし…そう驚くこともないだろ?」

 

 右手の中で生成されたオーソライズバスターを掴み、試しに軽く振るったバルデルは一つ頷いて構える。

 

「いくぜーーどらあッ!!」

 

 アーク目掛けて前方に低く速く跳躍したバルデルは着地する前にオーソライズバスターを大振りに振り下ろす。

 

「はっ! ぐうっ!?」

 

 それを防ごうと攻撃に合わせ、完璧なタイミングで両腕を使い防御の態勢をとった。しかし、バルデルの攻撃は予測できない挙句に遥かに速く重くーーたったの一撃でアークの防御を崩し、

 

「そらあッ!」

「がはッ!!」

 

 続けて着地した直前に振り下ろしたオーソライズバスターを今度は豪快に振り上げ、アークの体を吹き飛ばす。

 

「ぐぅ…ァア……この威力…武器の性能を上げたか……!」

「あぁ、お前と同じようにな。まぁ俺の場合はお前と違って生成した武器の性能についてはゼアにお任せだけどなぁ」

 

 激しく火花を散らすアーマーを片手で抑え、立ち上がろうと地に手をつくアーク。それを静かに見下ろすバルデル。

 

 どちらが優勢かは語るまでもないだろう。

 

「派手にぶちかますとするか…!」

 

 だが一切手を緩めず、油断無く容赦無くバルデルは次の行動を取る。

 

 バルデルはショットライザーに装填されたプログライズキー……そのシンボルが丁度見えるショットライザーの小窓部分、そこに左手を触れずにまるで何かをスキャンする様な距離で近付ける。

 

ゼアズアビリティ!

 

 瞬間、武器生成時と同じく装填されたウイニングプログライズキーから水色のレーザーが放たれ何かを形取った。

 

01 10

01 00

10 00

00 10

00 01

 

 それはショットライザーに装填されたウイニングヘラクレスプログライズキーと全く同じ外観のプログライズキー。しかし、それは生成というよりかは模倣(コピー)のようで…プログライズキーからは水色の粒子のような物が溢れ消えかけている。

 

 ウイニングヘラクレスプログライズキー。

 それはゼアがアーク撃破・破壊の為に作ったプログライズキーであり、他のプログライズキーと比べて遥かに膨大なデータの塊……そんなプログライズキーの完全な生成はゼアの力を持ってしても困難だった。

 

(あーあ。こりゃあ、そう長くは保てないって事か?)

「ならとっとと使ってやらねぇとなぁ!」

グレイトストロング!

 

 バルデルはすぐに模倣(コピー)したプログライズキーを手に持ち、その状態を大雑把ながら理解してボタンを押し、右手に持ったオーソライズバスターに装填した。

 

Progrise key confirmed. Ready for buster.

 アックスモードのオーソライズバスターを肩に乗せ、バルデルは低く構え溜めーー。

 

バスターボンバー!

「はあああああっ!!」

 

高く高く跳躍。

 必殺技を発動させたオーソライズバスターからは赤と緑、二色の火花がバチバチと散り、オーソライズバスターを振り下ろしながらアーク目掛けて落下するバルデル。

 

「っ、調子に…乗るなァ……!」

 

 そんなバルデルを見上げたアークは体から火花を上げながら何とか右手持ち上げ、掌から「スパイトネガ」を放出させて生み出した赤黒い悪意の球を撃つ。

 

「! ぐ、ぐわああああ!!」

 

 

それは直撃する。

 

 

それは呆気なく。

 

 

「……は……?」

 

 それはアークも間抜けな声を出す程に。

 赤黒い悪意の球が爆発し、空中で大きな爆煙が上がる。

 

「…何だ? まさか、先程までの力は私のーー」

 

 ーー単なる思い違いだったのか?

 戸惑いながらそう零し掛けたアークだったが、

 

「……こっちだよ」

「ッ!?!? いつの間」

 

 背後からしたその声に勢いよく振り返り、

 

「おらあああッ!!」

 

 振り返った直後に豪快で強烈な、横一文字の一撃を目にする。

 

 回避不能。

 

 防御不能。

 

「ガアアアッ!?」

 

 必然的にアークには攻撃を受ける以外の選択肢はなく、容赦なく後方に切り飛ばされた。

 

「どうよ、迫真の演技だったろ?」

 

 ───────────────────────

 

「す、凄い……!」

 

 繰り広げられるアークとバルデルの一方的な戦闘に或人の口からは自然とそんな言葉が漏れる。アークの攻撃はその全てが今のバルデルには届き得ず、バルデルの攻撃はその全てが今のアークに届き得た。

 

 先程まで猛威を振るっていたのが嘘のようにアークは手も足も出ず吹き飛ばされ、地面を転がり、多大なダメージを負っていく。

 

「…………」

 

 そんな一見、天本太陽(バルデル)の大復活とも言える戦闘を不審な目で見つめる者が一人……天津垓だ。

 

(……やはり妙ですね。確かに今の太陽君の力は驚くべきものだ。しかし、進化したアークをあそこまで圧倒する戦闘力……)

 

 太陽の手にした新たな力について垓は考える。

 今まで天本太陽(バルデル)は幾度も窮地に立たされ、その度に相手の予想を超えた力を発揮してきた。

 

 だが、どれも何のリスクもなしに発揮できた訳ではない。

 

 プロトタイプのライジングホッパープログライズキーを使用しての変身・戦闘、フォースライザーを使用しての命懸けの変身・戦闘……どれも大なり小なりのリスクが存在したのだ。

 

(ならば当然、あのプログライズキーにも何らかのリスクがある筈………だとすればそのリスクは一体ッ)

 

 どれだけ危険性が高い?

 垓は自身の思考に思わず身震いし、アーク対バルデルの戦闘に再び集中した。

 

 

 ──────────────────────

 

 

「カハッ……!」

「そんじゃ、そろそろ決めるか?」

 

 何度目かのパンチを顔面に打ち込み、アークを地面に叩きつけたバルデルは自身の両手についた土埃を払う様に叩くと告げ……何かを思い出した様にハッとする。

 

「……そうだった。このまま倒すとアイツも破壊しちまうな。まぁ俺はそれでもいいんだが」

 

 それは或人に悪いしなぁ?と呟くと後ろにいた或人にチラッと視線を向けてから再度アークを見て、

 

「まずはその身体(ボディ)から出てって貰うか……」

「そんな事は不可ーー……ッ?!」

「オラっ!!」

 

 ーー次の瞬間、アークが喋っている事などお構いなしにバルデルはノーモーションで右手に持ち肩に乗せていたオーソライズバスターを投擲。

 

「グアアアアッ!!!」

 

 当然の如く命中したソレはバルデルから見てアークの右肩に深々と突き刺さり、今までで最も多量の火花を上げた。

 

「今だ、ゼア」

ゼアズアビリティ!

 

 次にバルデルはオーソライズバスターの投擲により空いた右手を前に伸ばしゼアに言う。それに応えるようにアビリティが発動。バルデルの空いた右手にデータが収束・構築。

 

01 01

01 00

10 00

00 10

01 01

 

プログライズホッパーブレード!

 

 その手に「プログライズホッパーブレード」を生成する。

 

 しかし、生成したプログライズホッパーブレードはウイニングヘラクレスプログライズキーと同様に完全な生成は不可能らしく…バルデルが持ったプログライズホッパーブレードからは水色の粒子が溢れ出していた。

 

「さっさとやるとするかーーらっ!」

 

 そんな武器を右手に、バルデルは肩に突き刺さったオーソライズバスターを引き抜こうと両手で柄を掴むアーク目掛けて跳び。

 

「おりゃあああッ!!」

「グガッ!?!?」

 

 ヒューマギアの善意のデータを集めて作られた剣でその鳩尾部分を貫き、更に剣で貫いた状態のままトリガーを五度引き、

 

フィニッシュライズ!

プログライジングストラッシュ!

「グワアアアアッ!!」

 

 ーープログライズホッパーブレードに銀色の刃を付加させ、必殺技を発動した状態でプログライズホッパーブレードを引き抜く……それと同時に肩に突き刺さったオーソライズバスターを左手で掴む。

 

 二つの武器を掴んだバルデルはソレをアークの体から引き抜き、アークを蹴り飛ばす。次の瞬間、

 

「! ッ、うぐっ……っ」

 

 アークから迅が引き剥がされ、バルデルは引き剥がされた迅を見た直後。両手に持っていた二つの武器は水色の光に包まれ消滅し、迅の手を掴み引き寄せーー多少雑ながら迅の体を後ろに放り救出に成功した。

 

「そんでこうっ!!」

 

 そして、ヒューマギアの身体(ボディ)喪失により崩壊を始めたアークの顎にアッパーを繰り出し、遥か真上に打ち上げ、

 

グレイトストロング!

これでトドメだ! 絶対なあ!

ウイニングブラストフィーバー!!

 

 ーー右手でプログライズキーのボタンを押し、ショットライザーのトリガーを引く。そのとっくに慣れ切ったであろう一連の動作を早業で済ませたバルデルは空に打ち上げたアークを見上げ、力を溜めてからアークを目掛け跳躍。

 

「はあッ!らあッ!やあッ!」

「ぐうッ!があッ!ぐあッ!」

 

 そこからまるでゼロワンの「ライジングインパクト」が如く空中でアークを横に蹴り飛ばし、次に斜め下に蹴り落とし、そこから宙返りキックでアークをまた上に蹴り上げ、

 

うおおおおおっっーー!!

「ぐうううううッ!?!?」

 

 空中でアークの首に右腕を引っ掛け、そのまま勢いよく高速で回転ーー最終的にアークを空中からラリアットの要領で地面に叩き付けるようにぶん投げた。

 

「グガアアアーーッ!!!」

 

 ヒューマギアの身体を失い、崩壊し始めているアークに抵抗手段は無く、なす術なく派手に地面に倒れーーあまりにもの威力にアークが叩きつけられた地面にクレーターの様な跡ができる。そして、

 

おおおおおっーーッ!!

 

ウイニングブラストフィーバー

 

 倒れたアークを追い空中でバルデルは加速、斜めに落下。

 右手でのライダーパンチの構えを取って猛々しく咆哮。途端、右手には緑と赤のエネルギーとエフェクトが収束し、必殺技の一撃が放たれた。

 

らああああああッ!!!

 

 高速で迫り、豪快な拳をその顔面に一発打ち、アークの仮面を木っ端微塵に破壊。

 

「ぐっ、こんなッ、結論はあり得な……ぐ、ぐわああああああーーッ!!」

 

 その一撃でアークの崩壊は急激に加速し、体から赤黒い悪意のエネルギーを放出しながら叫びーー爆発する。

 

 

 

 

──これでリベンジ(・・・・)は終わりだ。けど、忘れンなよ

 

 

──お前は俺が……いいや、俺達(・・)仮面ライダーが絶対に破壊する。精々首を洗って待ってろ

 

 そして、爆煙の中からその姿を現したバルデルは既にそこにはいないアークに告げるよう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「! 天本さんッ!!」

「おう或人、ちゃんと勝ったぞ。……おーい、生きてっか?」

 

 変身解除をせず、戻って来たバルデルに駆け寄る或人。それを見て軽く片手を上げたバルデルは肩を貸している人物ーー迅の体を小突き意識の確認をする。

 

「……生きてるよ。今、アークから解放されたばかりで体が痛いし重いんだ…小突くの止めてくれ」

「手加減しただろ?」

「変身したままなんだから手加減しても痛いよ!?」

「何だよ割と元気じゃん」

 

 迅はそんなバルデルに対し嫌そうな態度を示し、バルデルはその元気の良いリアクションに小さく笑う。

 

「迅! よかった……というか! アークを倒したって事はこれでーー」

「ーーめでたしめでたし……とはいかないだろうなぁ」

 

 或人の言葉を遮り、そう口にしたバルデルに迅もまた頷く。と首を傾げる或人……そんな三人の耳に別の人物の声が入る。

 

「ーーあぁ、その通りだ。衛星アーク本体を破壊しない限り…アークを完全に倒す事はできない」

「「! 滅っ!」」

 

 三人が声のした方を見れば、そこには滅が居た。

 

「……滅か」

「……まさか進化したアークを倒すとはな。貴様はやはり我々の脅威だ」

 

 バルデルは姿を現した滅と正面から対峙し、

 

「なぁ滅、一つ聞くぞ」

「………何だ」

「今のお前の結論は、まだアークと同じなのか? お前はまだアークの操り人形なのか? ……それで、お前は満足なのかよ?」

 

 ーー滅にそう問いかける。

 

「…………」

 

 その問いに答える事なく、滅は歩き去っていく。いつものバルデルならその背にショットライザーを向けただろうが……バルデルはそのまま暫く滅を見送ってからショットライザーからプログライズキーを引き抜き、変身を解除した。

 

 

 ──異常はその直後に起こった。

 

「太陽君、無事で何よりです。やはり……君は生きていたと思っていましたよ」

「はっ、信頼が厚くて嬉しいねぇ〜……まぁ、結構、今、キツいんだけどさあ……ッ」

「? 太陽君?」

 

 少し遅れて歩み寄って来た垓の一声に太陽は微笑し……手にプログライキーを持ったまま蹌踉めき、

 

「ゴフッ」

「!? 太陽君ッ!」

 

 ーー口から少なくない量の血を吐き出し、まるで物のように太陽は倒れる。

 

「! あ、天本さんッ!?」

「バルデルっ!?」

「おいどうしたっ!?」

「刃! 救急車だっ!」

「言われなくても分かってる!」

 

 ノーリスクハイリターン。

 そんな上手い話がある筈はなかった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!

※下にオリジナル設定についての解説のせておきます。

・ウイニングヘラクレスプログライズキー
ゼアに託されたブランクキーが完成した状態で、ゼアが「対アーク」の為に作製したプログライズキー。その為に保有能力の多くがアークの能力をメタっている。アーク絶対○すプログライズキー……
(↓保有アビリティについて)

・ハーキュリービートルズアビリティ
アビリティの音声自体は「アメイジングヘラクレスプログライズキー」の物と同一。効果はシンプルにヘラクレスのライダモデルが出現し、空を縦横無尽に飛び回り相手を威嚇・牽制する。40話にてアークのスパイトネガを弾き飛ばしたり、アークを怯ませたりする所から分かる様に多分純粋にライダモデル自体が荒い強い硬い。トリロバイトマギアぐらいだったら確実に瞬殺できる。

・ゼアズアビリティ
ウイニングヘラクレスプログライズキーの中にある二つ目のアビリティ。アークがやっていたようにその場で瞬時に武器を生成できる。普通に考えてめちゃくちゃ便利。勿論ショットライザー以外も生成可能。


〈変身ポーズ〉
(個人的に)分かりやすく例えるとディエンドみたいにショットライザーを上に向けて、ムテキゲーマー変身時っぽく左手を上げて、最後にグリスブリザードのように左腕を振り下ろす………逆に分かりにくいかも?笑

〈戦闘スタイル〉
クウガのタイタンフォームみたいに歩み寄ってきてキレた時の某「天の道」の人の様に殴りかかって来る……


仮面ライダーゼロワン

第24話 束の間の休息
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