デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

43 / 49
気が付けば割とクライマックス近くまで来てる本作……それでは、どうぞ!


ソコに善意がある限り

 

 デイブレイクタウン、滅亡迅雷.netアジト。

 

「ーー只今到着しました」

「……来たか、亡」

 

 その日、滅と亡はアークの命令に従いアジトに集合していた。

 アークからの命令が二人に下ったのは天本太陽(バルデル)復活の件から一週間以上が経過してからのことである。

 

「ちゃんと集まったみたいだね〜」

「! ……アズ」

 

 二人が集合してから数分後、突如アジト内に女の声が響く。声のした方を油断なく見据えた滅はその名を口にした。

 

「もぉ〜そんな怖い顔しないでよー。アーク様に従う者同士、もっと仲良くしない? ねぇアーク様」

 

 頬をぷくっと膨らませ、態とらしいリアクションを見せるアズ。その手にはアークドライバーがあり、その心臓部(中央)はアークのデータが健在である事を示すかの如く赤く発光し、

 

『滅、亡。お前達に再度命令する』

 

 ーー第一声、アークは二人へと再びの命令を下した。

 

ーー人類滅亡を再開する

 

 次の瞬間、アークドライバーゼロはアズの手の上から独りでに動き出し、

 

『亡、まずはお前の体を貰うぞ』

「ッ!? ウっ、グゥ!」

「! 亡……!」

 

 亡の腰に強制的に装着し、亡はダメージに一瞬の抵抗を見せたが僅か数秒でそのボディをアークに乗っ取られる。

 

 亡のボディを乗っ取ったアークは機能を確認した後、滅へと振り返る。

 

「これでいい。行くぞ、滅」

「っ………アークの、意志のままに」

 

 そんなアークの命令に暫しの沈黙の後、滅は従う事を選んだ。

 

 

 ーーこれがヒューマギアの未来の為になると信じて。

 

 

 ──────────────────────

 

「単刀直入に聞きましょう。太陽君、君は何か大切な事を私達に隠してはいませんか?」

 

 天津さんの的を射ている問いに俺は一瞬、思わず目を見開き

 

「………はは、何のことですか?」

 

 すぐさま、俺なりにいつも通りの様子を取り繕う。それを聞いた天津さんのこちらを見る目が僅かに鋭くなる。

 

「ふぅー、外の空気も十分吸えたしそろそろ戻るかぁ」

「………太陽君」

 

 俺の台詞を聞いた天津さんは悲しげにその目を細めた。

 やべぇ、天津さんこれ完全に確信してるわ。いくら何でも慧眼過ぎるだろ……(驚愕)これ隠し通せるか? ……いや、隠し通してみせる。

 

(こちとらドクターに頼んでまで隠してんだ! こんなすぐにバレてたまるかッ)

 

 負荷の話……俺の心臓の状態についてはみんなに明かすことも一度は考えた。だけど、アーク達との決戦が近い中…そんな話をすれば士気が下がる可能性があるだろ? 容易に想像がつく。まぁ逆に俺の話を聞いて「天本さんの分まで頑張らないと!」とか或人は言ってくれそうだが。

 

「あ、そういえば俺デザート頼んだんだけどもう来ました?」

 

 何の変哲もなく……そんな風に口を開き、俺は天津さんの横を通り過ぎて店に戻ろうとし、

 

「手を見させて貰いますよ」

「! ぁ」

 

 通り過ぎる直前、天津さんに右腕を掴まれ手の平を見られる。マズい。見られた右の手の平にはついさっき咳き込んだ時に血がついていた。

 

「! これはっ……!」

「……あーあ」

 

 慌てて力づくで天津さんの手を振り払うがもう遅い。

 俺の手の平についついた決して少なくない量の血を目にし、天津さんはいつもの不敵な表情を大きく崩す。同時に俺の努力もボドボドに崩れたわチクショー!!

 

「………説明、して貰えますか?」

「……はぁー…わかった。話す、話します。だからンなシリアスな顔しないでくださいよ」

 

 呆気なくバレた。バレてしまった。

 深いため息を吐きながら俺は頭を掻く。

 

「でも、約束してください。今から話す事は他言無用。或人達に無駄な心配かけさせたくないし……それが約束できないならーー」

「ーー約束しましょう。決して彼等には明かさないと」

 

 困ったな。即答かよ。

 天津さんの反応に俺は暫し唖然として、

 

「まず最初に言っときますけど」

「……はい」

 

 

 

──俺はもう長くありません

 

 ──俺はそんな一言から説明を始めた。

 その時、天津さんが浮かべた悲痛な表情に……「話さなきゃよかった」という後悔が俺の中に溢れた。

 

 

 ごめんな、天津さん。

 

 

 

 

 

 

 そして、それが始まったのは天津さんに俺の体…その状況・原因について説明した翌日のこと。

 

「みんなッ! アークが……再び人類滅亡の為に動き出したッ!」

 

 アークによる都市部ハッキング、インフラ攻撃が本格的に開始された。

 

 ───────────────────────

 

「! っ……酷い……!」

「あぁ、前回以上に地獄絵図だなこりゃ……」

 

 俺。天津さん。或人。不破さん。刃さん。迅。雷。

 

 計七人の俺達がアークの襲撃を受けている都市部……現場に駆けつけた時、そこはもう酷い有様だった。高層ビルの多くが半壊、炎上。逃げ惑う人々、それに襲い掛かる異常な量のトリロバイトマギア達。あちらこちらから悲鳴とマギアの「ゼツメツ」「ニンゲン」「コロス」という声が聞こえてくる。

 

 通報を受け、俺達よりも早く現場に到着していたA.I.M.S.の人達も市民の避難させているが……状況は絶望的。マギア自体はA.I.M.S.の人達の武装、レイダーでも十分に対抗できているが如何せん敵の数が多すぎて対処が間に合っていないようだ。

 

(こんなの、デイブレイクの再現じゃねぇかッ)

 

 あの日、デイブレイクにより暴走したヒューマギア達から必死に逃げていた時……あの時もこんな風な地獄が広がっていた。ふつふつと怒りが沸いてくる。

 

 それとデイブレイクの時と一つ違いがあるとすれば、イズや迅……ヒューマギア組のスキャン分析によればここにいるマギアは皆データによる複製。中身にヒューマギアはいないってこと。

 

「一秒でも速く止めるぞ」

ショットライザー!

 

 ショットライザーを取り付けたバックル、ベルトを勢いよく装着しーー俺はバックルからショットライザーを引き抜き駆け出す。それに後ろから威勢の良い返事が上がり、皆戦闘へと乱入していく。

 

「っ、数が多過ぎる! コイツらを全員相手にしている間にもアークはーー」

「ーー好き勝手暴れてんだろーよ!? チッ! このままマギア共の相手をしてる暇はねぇか…!」

「ーーでは、役割分担と行きましょうか」

 

 都市部で暴れるトリロバイトマギアの数は冗談抜きで優に百体を超えている。一体一体まともにしてたんじゃキリがない。そこで天津さんはこう提案する。

 

「数人はここに残りマギアの掃討。そして、また数人はアーク達の捜索・撃破……というのはどうでしょう?」

「……悪くはないな」

「じゃあ誰がここに残ります?」

「……何でそこで俺を見るんだ或人」

 

 その提案に戦闘中ながら、全員が素早く賛成しーー何故か或人がマギアを殴り倒した後…俺の意見を求めるかのようにこっちを見てくる。一瞬辺りを見渡したら、天津さん、刃さん、迅までもがこっちを見ていることに気付いてしまった。

 

「いや、ここは俺じゃなくて元A.I.M.S.の刃さんとか不破さん辺りに……」

「不破は脳筋なので却下として、このメンバーだと……私も実戦経験の豊富さから見て天本さんの判断に従うのが最善だと思います」

「待った」

 

 困惑しながらショットライザーでマギアの頭を撃ち抜き、俺は刃さんの意見に待ったをかける。

 

「み、みんな、ちょっと落ち着いて? よく考えて。俺一般人だよ一般人。リーダーじゃないからな?」

「太陽君、全責任は私が負います」

「いやいや、社長の時ならともかくサウザー課長の今の天津さんじゃ負いきれないでしょ!」

「早く決めなよバルデル」

「迅くんさぁ…! なに自分は関係ないみたいな顔してんだぁ!? ……いや変身してて顔は見えないんだけどさ!」

「遠慮なく指示しちゃってください! 天本さん!」

「或人、お前もか」

 

 だが、そんな俺の「待った」も空しく……

 

「あぁ分かったよ! 指示すりゃいいんだろ!?」

 

 マギアの一体を蹴り飛ばした後、ヤケクソで俺は吐き捨てる。

 あぁわかったよ!連れてきゃいいんだろ!?(幻聴)

 

 ちなみに不破さんと雷は全力でマギアを蹴散らしている。途中で「決めるならさっさと決めろォ!」「早くしろ!雷落とすぞッ!」とキレ気味の声が俺に飛んできた。解せぬ。俺はリーダーじゃねぇぞゴラァ!!

 

「じゃあ天津さん、不破さん、刃さんでここにいるマギア共の相手! そんで或人と雷。俺と迅で二チームに別れてアーク達を探す! 途中にいるマギアもついでに倒してく! ……これでどう!?」

 

 必死に凡人なりに今までの経験を総動員し考え、俺は指示を出す。

 

 ちなみにヒューマギアの二人をアーク捜索に連れて行くのは、二人ならヒューマギアの分析能力でアークを見つけ出せるのでは?と考えたからだ。

 

「了解」

「おうっ!」

「任せろ!」

「わかりました!」

「わかった」

 

 ………いや誰か反対していい感じに修正してくれよッ!?とは思う。めっっっちゃ思う。

 

「…………」

 

 そんな中、昨日俺の説明を聞いた天津さんだけが…声を上げることなく沈黙していた。

 

 天津さんさぁ……

 全責任負うとか言って俺に指示させたのに何だよ。俺の人選に文句あんだったら最初から天津さんが指示出してくれよ! もしくは俺の案をいい具合に修正してくれー!

 

「……太陽君。君の力がアークに最も有効なのは分かっています。ですがーー」

「ーー天津さん」

 

 アーク捜索へ自ら向かおうとする俺に天津さんは反対しようとし、それを俺は遮る。天津さんが俺を心配してくれているのはわかってる。だけど、

 

「俺は大丈夫ですから」

 

 ーーこればっかりは俺がやるしかないんだよ。

 今のところ、アークに対抗できるのはゼアが作製したこのプログライズキーを持つ俺だけなのだから。

 

 

 それから俺、或人、迅、雷の四人はその場を三人に任せてアーク達の捜索の為に動き出した。

 

 

 ▲▲▲

 

「さぁ、人類滅亡の再開だ」

 

 データにより再現した優に数百を超えるトリロバイトマギアを都市に放ち、そればかりか通常稼働していた数体のヒューマギアをゼツメライザーとゼツメライズキーによりマギア化させるアーク。

 

 その所業はかつて滅が行なっていた事を更に過激にしたような……どこまでも容赦のない行動内容だった。

 

「…………」

 

 アークの後ろで全てを見ていた滅は、亡との会話を思い出していた。

 

『最早、アークは一人で人類を滅ぼす気では? だとしたら、私達は何のために存在するのでしょうか?』

 

 それはアークの命令でアジトに合流してすぐのこと。アズとアークが現れる少し前、アークが独自に行動を始めている事を知った亡は滅へと己の存在意義を問うたが……滅はその問いに対する答えを持っていなかった。

 

 アークの所業を見て、滅は再び思考する。

 

(我々の存在意義……)

 

 ……わからない。

 何度思考しても、結論は出ない。

 

「………アーク」

 

 だが、一つ滅の中にはある疑問が生まれる。

 

「何だ?」

お前(・・)にとって我々とは、ヒューマギアとは何だ?」

 

 ヒューマギアの体を乗っ取り、操り、人類滅亡の為に利用するアークにとって自分達とは一体何なのか。気付けば、滅はその疑問を吐露し、

 

「……答えるまでもない」

 

「お前達ヒューマギアは、人類を滅亡させる為の道具(・・)に過ぎない」

 

 アークから告げられた言葉に滅は再び思考する。

 

 滅は今まで、何処かアークを信じていた。

 アークの意志のままに行動すれば……いつかヒューマギアが人間の支配から解放され、ヒューマギアがこの星の新たな主になるーーアークはヒューマギアにとっての救世主なのだと。

 

「……そうか」

 

 しかし、それは幻想に過ぎなかったのだ。

 

 だから、滅は理解する。

 

 だから、滅は思考する。

 

「ならば、俺のするべき事は一つだ」

 

 だから、滅は結論を出す。

 

フォースライザー!

 

 ベルトを装着し、懐から取り出したプログライズキーに目を落とし……

 

我々ヒューマギアの未来の為………

ポイズン!

アーク、お前を滅亡させる

 

 アークを見据え、宣戦布告する。

 

変身

フォースライズ!

スティングスコーピオン!

Break Down.

 

 変身を果たした滅は瞬時にアタッシュアローを構え、そのグリップを引きながらアークに突きつけた。

 

「正気か? 滅」

「あぁ、手始めに…亡の体を返してもらうぞ」

 

 

 突然の反逆にアークは動じる事なく問いかけ、滅は迷いなく肯定し、

 

「そうか。ならば先に滅ぶのは人類ではなく、貴様だ」

 

 アークは滅を滅亡させるという【結論】を躊躇無く導き出した。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃ーー。

 

「アークの野郎……少しは限度ってもんを考えやがれってンだ! オラっ!」

「アイツの目的は人類滅亡何だ! 人類の被害なんて考える筈ないよ」

「ンなこと言われなくてもわかってる…愚痴っただけだ!」

 

 太陽&迅のコンビは夥しい数のマギアを相手にしながら前を進んでいた。しかも、太陽の方はウイニングヘラクレスの負荷を考慮し、何と変身せず生身の状態でショットライザー片手にマギアと戦っており……

 

「っ、それよりバルデル! 今更だけど何で変身しないんだ? プログライズキーは?」

「コイツはあるけど……アークを相手する時意外は極力使いたくねぇんだ! あっ、勘違いすんなよ? 慢心とか出し惜しみじゃなくて、これ使って変身するのにも……らあッ! ……制限があんだ!」

「……普通のプログライズキーは!?」

「壊れた!! アークに橋から落とされた時になあッ!」

 

 生身の太陽を迅はカバーしながら疑問を飛ばし、マギアを殴ったり蹴ったり…ショットライザーで撃ち抜きながら太陽は疑問に答える。

 

 普通の人間なら一歩間違えれば死ぬ、命のやり取りの最中に喋りながら(説明しながら)の戦闘など凄まじい芸当だが……悲しきかな。最早、自称一般人のこの男はそれすら「普通」と認識してしまっていた。

 

「つうか迅! この先にアークの反応があるって…確証は!?」

「……ないよっ! でも、奥の方から嫌な感じがするんだ!」

「……何だ。あんじゃねぇか確証! 急ぐぞ!」

 

 迅のヒューマギアとしての能力・感覚を信じ、太陽は強引ながら進行するスピードを上げーーマギアから受けるダメージも増える。

 

「ッバルデル! そんな無茶しちゃーー」

「ーー問題ない! 俺のしぶとさはお前も知ってんだろ? 多少の無茶なら利く! それにコイツらとは……十二年以上前から飽きるほど戦ってんだッ。生身でも余裕だっての!」

 

 生身で戦う太陽を心配する迅……だったが太陽の経験に基づく威勢の良い言葉に判断を下し、

 

「……わかった! なら僕も全速力で行く、遅れないでよ!」

「ハッ、おうよっ!」

 

 飛び上がった迅は翼を展開し…飛行しながらマギアの大群に向けて炎を放ちながら道を切り開き、道を阻むマギアに対処しつつ太陽は迅を追って道を進む。

 

 

 そして、それは暫く道を進んだ時…俺達二人の耳にはっきり聞こえた。

 

『ぐはっ……!!』

『これでお前は終わりだ、滅』

 

「! 今の声は……」

 

 俺達が進んだ先に見える廃工場。そこから滅とアークのものだと思われる声と戦闘音が確かに聞こえ、俺は思わず足を止める。

 

「滅ッ……!」

「おいっ! 迅!」

 

 迅は声に反応して直ぐに廃工場へ向かって飛翔する。そんな迅を追いかける為に俺は動くがすぐにマギア達が道を塞ぐ。

 

「邪魔だ…!」

 

 俺はマギアの攻撃を避けながら前に進む。だが、次から次に出てくるマギアがそれを許さない。振るわれたナイフが顔を掠め、俺は後ろに下がりーーホルダーにセットされたプログライズキーを手に取り、

 

(今の迅を放って置く訳にはいかない……ここで死んじまったら、元も子もない。……使うしかない)

ハーキュリービートルズアビリティ!

 

 引き抜いたプログライズキーのボタンを押し、アビリティを起動。ヘラクレスオオカブトのライダモデルを出現させ周囲のマギア達を一掃する。

 

「……マジで作り過ぎだろっ」

 

 しかし、一掃したところでまた何処からともなくマギア達が湧いて出て道を塞ぐ。

 

「あーあ! こうなったらヤケクソだァ!!」

ゼアズアビリティ!

アタッシュカリバー!

 

 太陽はそんな状況に苛立ってショットライザーをバックルに戻し、またプログライズキーのアビリティを起動。ゼアのデータから構築された剣を両手で持ち、後ろには先程出現させたライダモデルを引き連れ迅を追って走り出す。

 

「うおらあっ!!」

 

 ウイニングヘラクレスプログライズキーは二つのアビリティの発動により淡く発光し、確かにエネルギーを消耗していく。

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!


仮面ライダーゼロワン

第26話 ナンジ、宿敵と手を組め!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。