デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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久しぶりの投稿だぁ……!(申し訳ない!!)

それでは、どうぞ!


ナンジ、宿敵と手を組め!

 

 人気のない廃工場。

 

「ーーぐはっ……!!」

 

 そこで殴り飛ばされた滅は勢いよく地を転がる。

 

「滅亡せよ」

悪意 恐怖 憤怒 憎悪

 

 何とか立ち上がろうとする滅を見下ろしながら、アークはドライバーのボタンを四度押し込む。そして、容赦なく、慈悲なく、無情に悪意を溜め込んだ右手を構え滅に歩み寄り、

 

パーフェクトコンクルージョン

ラーニング4

 

 プログライズキーを押し込み、その手から強大なエネルギー弾を放とうとした、

 

「ーー滅ぃいーーッ!!」

 

 その直前、高速で飛翔し進入してきた迅が横から倒れる滅を掴み上げ、そのまま離脱を試みる。

 

「逃がさん」

 

 しかし、それを許すアークではない。

 アークは正確に照準を定め、滅を掴む迅に向けて赤黒いエネルギー弾を放つ。

 

「ぐ、グワアァっ!!」

 

 結果は当然命中。

 翼を完全に破壊され勢いよく落下し、致命的なダメージを負った迅の変身は強制解除。あちこちが破損し、顔の一部は素体パーツが剥き出しになり、ヒューマギア特有の血のような青い液体が流れる。

 

「っ、迅ッ……!!」

 

 そして、迅と同じく落下した滅もまた至近距離でアークのエネルギー弾の衝撃を受け変身が強制解除。迅ほどのダメージではないとはいえ、滅もまた危険な状態だった。

 

「ぅ、ぐ……ほ、滅…! 早く、早く、逃げてッ……!」

 

 倒れた迅は自分の下に近付く滅へ必死に告げる。

 

「迅……! 何故だ……!?」

「何故って……『お父さん』を助けるのは、当然でしょ?」

 

 滅に迅はそう笑顔を浮かべて答え、

 

「ヒューマギアとは思えない、愚かな思考だな」

悪意 恐怖 憤怒 憎悪 絶望

 

 いとも容易く追い詰めた迅に歩み寄りながら、アークは悪意を溜めーー無慈悲にプログライズキーを押し込みトドメをさす。

 

「迅、まずはお前からだ」

パーフェクトコンクルージョン

ラーニング5

 

 赤黒い悪意を纏い、幽鬼のようにゆらりと跳躍したアークは複眼を赤く輝かせーーライダーキックの構えをとる。

 

「迅ッ…!!」

 

 今の二人にその必殺の一撃を避ける術はなく、迅を庇うべく駆け寄ろうとした滅はダメージの蓄積によって倒れてしまう。

 

「ーーはあああああっ!!」

 

 そして、アークの悪意の前にまず最初に迅が破壊される……アークの予測通りの結論に至る、

 

ウイニングブラストフィーバー!!

「ーーおらああああっ!!」

 

 ーー筈だった。

 しかし、アークの結論はまたも「あの男」により直前で狂わされる。

 

「ーー何っ…!? ぐっ!!」

 

 アークのライダーキックが迅を直撃する寸前、必殺技音と共に廃工場に飛び込んできたバルデルは瞬時に迅を守るようにアークの前に立ち、アーク同様に必殺の蹴りを打ち込む。

 

 瞬間、赤黒いエネルギーと緑のエネルギーが衝突し、強烈な衝撃波が発生。

 

「っ、馬鹿なーー」

「ーーらあッ!」

 

 二つの必殺技は相殺し、地面に着地したアークへ太陽は距離を詰め殴り掛かり、それをギリギリのタイミングで躱したアークは距離を取るためにバックステップする。

 

「ぅ……バル、デル……!」

「ったく……一人で突っ走んじゃねーよ、迅」

 

 ちらりと損傷した迅の方を振り返り、そう口にしたバルデルは続けて言う。

 

「猫の手も借りたい今の状況でお前に死なれちゃ困んだよ……暫く、大人しくそこで寝てろ」

オーソライズバスター!

 

 ゼアズアビリティにより生成した武器を片手に、バルデルはアークを見据える。

 

「……バルデル……」

 

 そんな男を滅は呆然と見上げーー振り返る事なく、バルデルは武器を構えて告げた。

 

「この状況について、今すぐ色々と聞きたい所だが……話は後だ。お前はそこで息子(・・)の面倒でも見てな」

 

 そして、その言葉を最後にアークとバルデルはほぼ同時に駆け出す。

 

 ──────────────────────

 

「貴様という人間は、何度も何度もッ……私の結論の邪魔をするな!!」

「そいつは無理な相談だなー!? テメェが人類滅亡を目指す限り、何度でも俺が台無しにしてやるよォ!!」

 

 二人の戦いは前回と同様にバルデルが攻めアークが守る。一見、防戦一方なものだった。だが、今回は些か状況が違った。

 

「っ、テメェ! さっきから……!」

 

 アークは防御を最優先しつつ、少しの隙があればバルデルの後方に居る滅と迅に向けて攻撃を撃っていた。

 生成されたショットライザーやアタッシュショットガン、赤黒いエネルギー弾による攻撃に対し、バルデルは攻撃の手を止め二人を守るためにそれを弾き飛ばす。

 

ガンライズ!

 

 バルデルは苛立ち気味にオーソライズバスターをガンモードにし、二人を庇う位置をキープしたままアークを攻撃する。

 

「私を倒したいのなら、滅と迅を見捨てればいい。貴様からすれば奴等は憎むべき敵……簡単なことだろう」

「…………」

 

 アークの言葉の通り、二人を見捨てればバルデルは前回同様にアークを圧倒し破壊することは十分可能だろう。だけど、バルデルにはそんな選択をとる気など微塵もない。

 

(こいつ、まさか解って(・・・)やってやがるのか……? っ、このままじゃ……)

 

 内心バルデルは焦っていた。

 今回のまるで「時間を稼ぐ」かのようなアークの戦い方に、ウイニングヘラクレスの負荷を理解されたのではないかと。

 

(ッ、まだだ、まだ保ってくれよ!)

バスターオーソライズ!

 

 ショットライザーから引き抜いたプログライズキーをオーソライズバスターにスキャンさせ、素早く構えトリガーを引く。

 

「はあああッ!!」

プログライズダスト!

 

 牽制のために放たれた巨大な鋭い弾丸は緑のエネルギーを纏い、高速でアークに迫り、

 

「ふんッ!!」

 

 アークは足元から赤黒い悪意のエネルギーを噴出させ、エネルギーを盾かのように展開してその一撃を防ぐ。

 

(一か八か……! 俺が負荷で終わるより早くにアークを破壊する!)

 

 そして、バルデルは一か八かの猛攻に打って出る。迅と滅から離れ、バルデルはアーク目掛けて跳躍して切り掛かった。

 

「うおおおっ!!」

 

 しかし、その動きは焦りからか僅かに単調になり

 

「終わりだ」

パーフェクトコンクルージョン

 

 アークはその隙を見逃さない。

 単調になったバルデルの攻撃を往なし、プログライズキーを押し込み、赤黒い悪意の球体を生成。

 

「はああっ!!」

 

 守るものがいなくなった二体のヒューマギアに向けて、その球体を蹴り飛ばす。

 

「くッ……!」

 

 そして、自分の終わりを悟り、迅は歯を食いしばり、

 

「っ……迅!!」

 

 ーー滅は「息子」を守るべく必死に立ち上がり、今度こそ迅の下に庇うように飛び出す。

 

「! 滅ッッ……!!」

 

 そんな「父親」の姿を前に迅は叫びーー

 

 

 

 ーー次の瞬間、赤黒いエネルギーが弾け飛び、強烈な爆音が辺りに響き渡った。

 

 

 

 

 

 アークの必殺技は直撃した。

 

「ーー…………何故だ」

 

 しかし、直撃したのは迅を守ろうとした滅ではなく……

 

「ぐッ……ゥ……かはっ」

 

 ーー二人を守ろうとした太陽だった。

 変身者の負荷により、変身はアークの必殺技を受け止めた直後解除され、太陽はアークに背を向け滅と向き合う形で両手を広げ立っていた。

 

「……何故、俺を守った……?」

 

 変身解除と同時に吐血し、地面に両膝をつく太陽。そんな好敵手の姿を前に滅はただただ困惑した。理解ができなかった。その行動の理由が知りたかった。

 

「知る、かよ、ンなことッ」

 

 体が勝手に動いただけだ。

 そう零して太陽は血だらけの両手で立ち上がろうとする。体は震え、出血量は間違いなく致命的なレベルに達している筈にも関わらず。

 

『っ……滅! 亡! 早く逃げろっ!』

 

 そんな自分を守った太陽の姿に……滅は一瞬かつて自分を守った或人の姿を想起する。

 

「ーー理解不能だな」

 

 そして、徐々に晴れていく爆煙の中……アークの声が聞こえた。

 

「自分の身を挺して、他者を守る……あぁ、貴様は最初からそうだったな」

 

 アークは滅を庇った太陽を見下ろし、話し始める。

 

「十二年前、貴様が初めて変身したあの日から……私は貴様の戦いを見続けてきた」

 

 だからこそ私には理解できなかった。

 ボロボロながら尚立ち上がろうとする太陽に向けてアークは問う。

 

「醜い悪意を持った愚かな人間共を何故守ろうとする? 貴様が命を懸ける程の価値が、人間にあると本気で思っているのか?」

「…………ハッ」

 

 その問いに太陽はアークの方を振り返り、鼻で笑い……

 

「確かに、人間は愚かだよ……ッ、同じ過ちだって何度も繰り返すし、簡単に人を傷付ける」

「……………」

「それに助けても、お礼一つ言わなかったりする奴とかいるし。……はあッ、何だったら『何でもっと早く助けに来なかったんだ!』なんて自分勝手に文句言ってくる奴だって……いる」

 

 太陽はアークの言葉を肯定し、

 

ーーでもな、人間なら誰しも、きっと、悪意を持ってて当然なんだ

 

ーーどんな些細なものでも、みんな、心の内に悪意を秘めてる………勿論、俺の心にだって悪意はある。ぐッ……悪意が微塵もない人間なんて、きっと居やしない

 

ーーでも、俺達の中にあるのは悪意だけじゃないッ!

 

 十二年の事を思い出しながら、語る。

 

「何だそれは……?」

「ーー善意だよ」

 

 そして、アークに太陽はそう答えた。

 

「お前には分からないだろうがなァ……くっ、俺達の中には…確かな善意がある……俺は知ってるんだ」

 

「仮面ライダーとして誰かを助けても、礼を言われないのなんてしょっちゅうだったし、化け物呼ばわりされる事もあったけど……ハァ……」

 

「それでも、中には『助けてくれてありがとう』って、泣きながら感謝してくる人だって居た………そんな人達が居たお陰もあって……俺は今も戦えてるッ」

 

「『命を懸ける程の価値が、人間にあると本気で思っているのか?』って聞いたな? ……あぁ、思ってるさ……!」

 

 落としたプログライズキーを掴み、満身創痍で太陽はアークに対峙する。

 

 

「ーーお前は何故そうまでして戦う? 何がお前をそうさせる? 命を懸けて戦う理由は何だ?」

「……ハハッ、今更だなぁ」

 

 最後のアークの問いに苦しそうに息を吐いた後、太陽は真っ直ぐアークを見据えーー何の迷いもなく言った。

 

『仮面ライダー』として、守りたいものの未来を守る為に戦う…!!

 

お前がラーニングした人間の悪意を信じて、人類を滅ぼそうってンなら…… 俺は俺の知る、人間の善意を信じて! 未来を守るッ!

 

 それを前にアークは「ふっ」と笑い、手を太陽に向け、

 

「ーー……そうか。ならば、ここで消えろッ!!」

 

 赤黒い悪意の波動、スパイトネガを生身の太陽に向けて放ち、

 

「う、おおおおおッ!!」

(ッ、まだ、保ってくれ……!!)

 

 太陽はプログライズキーのボタンを押し、ショットライザーに装填しようとしーーぐらりと倒れかけて膝を地につく。

 

 そして、変身が間に合わず、アークの攻撃が太陽に直撃する瞬間、

 

 

 

スコーピオンズアビリティ!

 

 

 ーー太陽の目の前に突如、蠍のライダモデルが現れ、アークの攻撃を受け止めた。

 

 

 

 

(善意とは? 善良な心とは?)

 

 人類滅亡の為にアークに従い、戦い続けてきた滅にはそれが理解できなかった。人間の本性は悪意だ。そうアークからラーニングされた滅は信じていた。実際、身勝手な悪意でヒューマギアを傷付ける人間は存在した。

 

『っ……滅! 亡! 早く逃げろっ!』

 

『知る、かよ、ンなことッ』

 

 だが、そんな滅の思考を乱す人間もまた存在した。

 飛電或人。天本太陽。二人の人間はあろう事か敵である筈の滅を庇い、守った………これが善意というものなのか? 否か?滅には解らない。

 

『ーーでもな、人間なら誰しも、きっと、悪意を持ってて当然なんだ』

 

『ーーどんな些細なものでも、みんな、心の内に悪意を秘めてる………勿論、俺の心にだって悪意はある。ぐッ……悪意が微塵もない人間なんて、きっと居やしない』

 

『ーーでも、俺達の中にあるのは悪意だけじゃないッ!』

 

 だが、そんな中「あの男」の言葉を滅は聞いた。

 十二年前から、自分の身を挺して他者を守り続けてきた……そんな男だからこそ、その言葉には重みがあった。

 

飛電或人(ゼロワン)……そして、天本太陽(バルデル)……)

 

 滅には、まだ善意というものが解らない。

 ただ、少なくとも自らを助けたこの二人が悪意を翳しヒューマギアを傷付ける……そんな人間たちと違う事は十分理解していた。

 

 ………だからだろうか。

 

(……人間も捨てたものじゃない、か……)

 

 不意にこんな思考が頭を過ったのはーー。

 

 ───────────────────────

 

「死に損ないが……」

「! お前っ………!」

 

 太陽が後ろを振り返れば、そこにはプログライズキーを片手に、損傷しながらも立ち上がった滅の姿があった。

 

「……どういう風の吹き回しだ?」

 

 何故、ライダモデルで自分を守ったのか心底理解できず、太陽は滅を見上げて口にし、

 

「わからない」

「……はっ?」

 

 思わぬ返答に太陽は間の抜けた声が出た。だが、滅は至極真面目にこう続ける。

 

「ただ、人間も捨てたものじゃないと思った」

 

「気付けば、体が勝手に動いていた」

 

 そう述べた滅は太陽の隣に並び立ち、アークを見据えたまま太陽へと手を差し伸べた。

 

「ーー手を貸せ、バルデル。奴を倒すにはお前の力が必要だ」

 

「ーーだが、勘違いするな。人類が滅亡すべき存在かどうか……俺はまだ、結論を出せていない」

 

 だから、これは利害の一致なのだと言う滅。それを暫し訝しげに見つめた太陽は、

 

「……俺はお前が大嫌いだ」

 

 滅を睨みながら、正直な胸の内を明かす。

 

「十二年前から、お前がシュゴをマギアにしたあの日から……俺はお前を憎んでる。今すぐ、お前を破壊したいって思うぐらいにはなァ」

「……あぁ、そうだろうな」

「だから、きっと俺はお前を許せない」

 

 滅はそれを静かに聞く。太陽は俯きながら歯を食い縛り、怒りで拳を震わせ……

 

「……だけどッ……」

 

 その拳を勢いよく地面に叩きつけ、

 

許す努力ぐらいは、してやるよッ……!

 

 ーー血のついた右手で差し伸べられた腕を力強く、怒りに任せて掴む。

 

「……あぁ、それで十分だ」

 

 そんな太陽の手をしっかりと握り返し、勢いよく引き上げた滅の顔は信じられない程に穏やかなものだった。

 

足引っ張んじゃねーぞ

グレイトストロング!

エースライズ!

 

任せろ

ポイズン!

 

「……ありえないッ……」

 

 二人が手を組む。

 そんな予測になかった展開に困惑するアークの前で、太陽と滅は起動したプログライズキーを自らのベルトに装填し、太陽はトリガーを、滅はレバーを引き

 

ーー変身ッ!!

ーー変身……!

ショットライズ!

フォースライズ!

 

 ーー同時変身する。

 

Grab the victory!Grab the future!

ウイニングヘラクレス!

The strongest power Crush the sky.

It's Keep winning.

 

スティングスコーピオン!

Break Down.

 

 ーー仮面ライダーバルデル。

 ーー仮面ライダー滅。

 

 決して交わる事のない筈だった二人の仮面ライダー。

 

 

「! 滅とバルデルがっ……!!」

 

 それが今、手を組み、アークの前に立ち塞がった。

 

 

 

 

 

「ーーおらあっ!!」

 

 まず最初に飛び出したのはバルデル。満身創痍とは思えぬ動きでアークに接近し、一心不乱に拳を振るう。

 

「ぐうッ…! そんな状態で一体、どこにこんな力が……」

 

 そのバルデルの強さにアークは驚愕する。

 今のバルデルの力は、先程戦った時に比べて明らかに増していた。

 

「そこだ」

「っ! くッ……私の道具の分際で、邪魔をーー」

「おりゃあああ!!」

 

 そんなバルデルに押され気味のアークに対し、滅は後方からアタッシュアローを放ち、アークは直後に標的を滅へと移そうとしーーその顔面にバルデルの拳が突き刺さるように鋭く打ち込まれる。

 

 バルデルが前衛。滅が後衛。

 今まで敵同士だった二人だが、その相性は驚くほどに噛み合っていた。

 

「人間とヒューマギア風情が……調子に、乗るな!」

 

 吹き飛んで地面を転がったアークは怒りに叫び、立ち上がると同時に自身の周りに大量の射撃武器を生成する。ショットライザー、アタッシュショットガン、アタッシュアローと種類は少ないがその数は十個を軽く超えており、

 

「消えろッ!!」

 

 アークが腕を振り下ろした瞬間、エネルギーをチャージし始め……射撃が開始される。

 

「滅っ!」

「解っている」

 

 そんな中、二人は冷静に対処した。

 

スティングディストピア!

「はあっ!!」

 

 滅は腕に付いた伸縮自在の針を伸ばし、空中に生成された武器を連続で破壊し、

 

ウイニングブラスト!

「らあああああ!!」

 

 太陽はプログライズキーのボタンを押し、バックルから引き抜いたショットライザーのトリガーを引き、武器が破壊されたことにより再び武器生成を始めようとしたアークに強力な一発を撃つ。

 

「がはッ……!!」

 

 その一撃は見事にアークの胴体を撃ち抜き、地に両膝をつかせる。

 

「まだだ」

 

 更には武器破壊に使用した針を滅はそのまま怯んだアークへと伸ばし、アークの体を縛りつけ、その身を拘束する。

 

「っ、この程度の拘束で私を止められるとでも思っているのか? こんなものーー」

 

 そんな拘束をアークは直ぐに破ろうとした。

 確かにアークの言う通り、この程度では満足にアークを拘束し続ける事はできない。できたとしても二、三秒といった所だろう。

 

 だが、二人にはそれだけで十分だった。

 

これでトドメだ! 絶対なあ!

ウイニングブラストフィーバー!

アークよ……滅亡せよ!

スティングユートピア!

 

 二人は並び立ち、示し合わせる事もなく必殺技を発動。ほぼ同時に跳躍し、奇しくもダブルライダーキックの形となり、

 

「らあああああッ!!!」

「はあああああッ!!!」

 

 回避する術も防御する術もないアークへとライダーキックを放ち、その体を大きく吹き飛ばす。

 

ウイニングブラストフィーバー

 

 

スティングユートピア

 

「ぐうううっ……! こんな、結論は、ありえないッ!」

 

 吹き飛ばされたアークは体から激しく火花を上げながらも立ち上がる。だが、その体は既に崩れ始め、中からはボディに使用された亡の姿が現れ、

 

「亡は返してもらうぞ」

 

 そんな亡の体に針を伸ばし巻き付け、爆発に巻き込まれるより早く滅は自分の下に亡を引き寄せる。

 

「ぐ、ぐわああああああ!!」

 

 そして、アークは叫びながら爆散した。

 

「……はぁ、終わったか」

「……あぁ、一先ずはな」

 

 こうして、無事にアークを打倒した二人は無事を確認した後にプログライズキーをベルトから引き抜き、変身を解除した。

 

 滅はアークに体を乗っ取られた影響で一時的にスリープ状態になっている亡をそっと床に寝かせ安堵した様な顔をする。

 

「………んっ」

「? なんだ?」

 

 そんな滅を見て、変身解除した太陽は何とも言えない嬉しそうな顔にも嫌そうな顔にも見える……そんな複雑な表情を浮かべながら滅へと拳を向ける。滅はその太陽の行動の意図が分からず首を傾げた。

 

「……これ」

「……あぁ、そういう事か」

「お前、察し悪いな」

「……すまない」

「いや真面目か」

 

 そして、太陽が自らの手で拳と拳を合わせるのを見て、やっと太陽の行動の意図を理解した滅。二人は漫才のようなやり取りをした後、グータッチを交わした。

 

 

 

 

 

 

「迅、体は大丈夫か?」

「……うん、二人のおかげでねっ」

 

 滅は亡に、太陽は迅に肩を貸して二人は共に廃工場を出て歩いていた。

 外に山ほどいたマギア達はアークを一時的に倒した影響か、影も形もないく消滅していた。

 

「………ッ、ハァ、ハァ」

 

 そんな中、太陽の体は既に限界を迎えつつあった。

 

「バルデル、お前はどうだ?」

「……どうだって? 見りゃわかんだろッ……ヨユーだヨユー」

「そうは見えないが」

 

 滅の言葉に太陽はそう気丈に答える。

 しかし、その額からは脂汗が流れ、頭と胸からは出血、俯いて必死に隠してはいるものの顔色は酷かった。

 

「これから、天津さん達と合流するが、説明はお前が自分でしろよな」

「あぁ、無論だ。納得はされないだろうがな」

「ハッ、当たり前だ。俺だって納得してねぇよ」

 

 そんな会話をしながら、二人は暫し歩き、

 

「! 天本さん! 迅! それと………ほ、滅ぃ!?」

「おいおい社長! 何寝惚けたこと言って……マジか!? 亡もいるじゃねーか!」

 

 マギアを消滅したことで太陽と迅に合流しようとこちらに向かっていた或人と雷電の二人と合流する。

 

「そりゃ驚くわな……」

 

 二人の元気な声を聞き、太陽は少しホッとしたようにそう呟き……少しだけ目を閉じ、

 

(まだ、戦えるよな……?)

 

 胸に手を当て、激しく鳴る自らの心臓を聞きながら……

 

(アークを倒すまでは、死ねないんだ……頼むから、それまでは保ってくれッ……!)

 

 まだ、死ぬ訳にはいかない。

 

 そう心の底から思った。

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!

・ウイニングヘラクレスについて
耐久力オバケの太陽が瀕死になるレベルの負荷がかかるフォーム。しかも今回アークが「先程戦ったよりも力が増している」と反応していたようにこのフォームというかプログライズキーの機能として、使用すればするほど「スペック」が上昇する。

……と、これだけ聞いたらただのチートだがスペックだけじゃなく「負荷」も上昇する。つまりは使用するだけ強くなると同時に変身者にかかるリスクも増す。多分使用し続ければ、最終的には変身したと同時に負荷に耐え切れず強制変身解除・変身者瀕死、みたいな事になりかねない。

ちなみにこの機能から察せる通り、ゼアは変身者(太陽)に対し、多分一切考慮していないと思われる。


仮面ライダーゼロワン

第27話 悪意の器
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