デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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仮面ライダーゼロワン 前回までの三つの出来事!

一つ、アークによるインフラ攻撃が始まる!

二つ、滅がアークに反旗を翻す!

三つ、バルデルと滅が手を組み、アークを撃破する事に成功した!

お待たせしました!!(土下座)



悪意の器

 

「ーー以上の経緯で俺達は、アークと袂を分かった」

 

 アークとの戦闘終了後。俺たちは飛電製作所に戻った。

 

 そして、製作所で最初に始まったのは滅本人からのアークを裏切った件の説明だった。

 

「だから、これからは俺達に協力して一緒に戦うってか? そんな話信じると思ってんのか?」

 

 そんな滅の説明にまず最初に噛み付いたのは不破さん。

 俺たちが滅と亡と一緒に製作所に戻ってきた時も不破さんは真っ先にショットライザーを構えて警戒していた……まぁ気持ちはわかる。ずっと敵だった相手に対して警戒するなって方が無理な話だ。

 

 

 それに不破さんは一回滅に瀕死に追い込まれて病院送りにされてるし……。

 

「信じるかどうかはお前の自由だ。だが、これが事実だ」

「……そうかよ」

 

 滅と不破さん。二人の今現在の相性は謂わば水と油。このままじゃ今にもここでライダーバトル(ガチ)が勃発し兼ねない……そんな心配もあって二人を交互に見ながら或人はあわあわとしている。あ、こっち見た。

 

(あ、天本さん! ど、どうしましょうこれ!?)

(……或人、多分この二人説得できるのはお前ぐらいだ。頑張れよっ)

(うええええええ!?!?)

 

 アイコンタクトで助けを求める或人に俺はサムズアップし、目を背ける。それを見て或人は「見捨てられた!?」といった様子で目を見開く。

 

「サウザー課長、あんたはどうなんだ? まさかとは思うが。コイツの言葉を信じるなんて言わねぇだろうな?」

 

 そんな風なやり取りをしている間に話は進み、不破さんはここで天津さんの意見を聞こうとする。

 

(天津さんっ、頼むから余計な事言うなよ……!)

 

 火に油注ぐような発言だけは控えていただきたい。マジで。

 

「フッ、まさか。私はそのヒューマギアの言葉を信じるつもりなど毛頭ありませんよ」

 

 天津さんは微笑しながら、一度滅に目を向け、

 

「ですが………」

 

 何故かそこから俺の方に視線を向けた。

 

「え、何でここで俺の方向くの?」

 

 嫌な予感がした。

 非常に、嫌な予感がした。

 

「私は、彼を信じています」

 

 

「彼が信じた言葉なら、私も信じましょう」

 

 

 真っ直ぐにこちらを見て、天津さんは迷いなく断言する。

 ……あのさぁ、パッと聞くと何だか天津さんの成長を感じられるいい台詞なんだけどね?

 

(いや、今の空気で話こっちに振ってくんなよォ!?)

 

 今だけはそんな台詞聞きたくなかったなぁ!

 

「あんたは何でコイツの言葉を信じる気になったんだ?」

 

 案の定、こっちに話きちゃったじゃんか。

 俺は考えた。頭を捻り考えて考えて、言った。

 

「強いていうなら……まぁ、何となく?」

 

 ハッキリした理由なんてなかった。

 その場の勢いとか流れとかで「あ、これ本気だな」って勝手に思っただけで、実際滅の言葉が本当かどうか……証拠なんてない。つうか体痛え……寝むい……話に集中できん。

 

「あんた正気か?」

 

 え、俺が正気かって? ………正直に言おう。

 

 

「俺にもわからんッ!!」

「おぉいっ!?」

 

 俺の正直な答えに不破さんはキレた。

 だって仕方ないだろ!疲れてんだ!と俺もキレた。

 

 

 

 

 それから数十分後。

 一旦不破さんは落ち着き、話はとんとん拍子で進んでいった。滅は雷と一緒に製作所にて戦闘に備え待機、亡はすぐに迅と合流し衛星アークの探索に協力……ということになった。

 

 俺、或人、不破さん、刃さん、天津さん、迅、雷。今までは七人の仮面ライダーで協力して戦い、俺としては「一人よりマシ!」「仲間っていいなぁ……」なんて思っていたんだが。アークの力はそれだけの仮面ライダーが居ても猫の手も借りたい状況だった。そこに滅と亡、二人の仮面ライダーが加わる。滅本人には口が滑っても言うつもりはないが「正直助かる」というのが俺の本音だ。

 

(アーク単体は俺が死ぬ気で戦えば何とかできる。一番の問題なのはアークが生成した中身空っぽのマギア達だ)

 

 アークを倒せば一緒に消滅するらしいが、逆に言えばアークを倒さない限りは消滅しない。何体倒しても次から次に湧いて出る……謂わば無限湧きだ。今回は奇跡的に死傷者が出なかったが楽観視できる状況では決してない。

 

(更に問題なのはアークがウイニングヘラクレスの弱点を理解したのか、露骨に俺との戦いで守り重視に……時間稼ぎをするようになったことだな……)

 

 このままじゃジリ貧。

 俺は遠からずウイニングヘラクレスの負荷に耐えれなくなり、まともに戦えなくなる……そうなればゲームオーバーだ。

 

 現状、アークワンを破壊できるのは俺だけなのだから。

 

「………あっ、そういえば或人。確か『新しいベルト』を作るとか何とか言ってたよな? あれってどうなったんだ?」

 

 真面目に考えている途中、不意に以前の或人の発言を思い出し聞いてみた。確かゼロワンドライバーの代わりとなる新たな変身ベルト……アーク打倒を目的とした物を作るとかなんとか。

 

「!! ふふふ、よく聞いてくれましたっ!」

 

 それを聞いた或人はその言葉を待ってましたとばかりにニヤリと笑い、

 

「ジャジャーン!!」

 

 懐からゼロワンドライバーによく似た、だが前面が大きく異なるベルト?を取り出した。いや急過ぎる。

 

「そ、それが例の?」

 

 何だそれ……2?

 真っ先に派手な前面パーツに目が向き、俺は首を傾げて問う。

 

「はい! ゼロツードライバーです!」

 

 こちらの問いに答え、胸を張って「すごいでしょ!」と自慢気な或人。

 それに俺は「ヘ〜よかったじゃん」と反射的に他人事みたいな反応をして……また首を傾げた。

 

「? 完成してたなら、何でさっき使わなかったんだ? それがあるなら無理してフォースライザー使う必要ないだろ」

 

 少し前、迅と亡に肩を貸し滅と一緒に歩いていた時。或人と雷と合流した際、或人が001に変身した状態だったのを思い出しながら俺は尋ねる。

 

 はっきり言ってフォースライザーの反動はキツいものがある。特に別のドライバーに慣れてるとその勝手の違いに更にキツさは増すだろう。

 

「……えーーっと……」

「? どうした…?」

 

 すると或人はさっきまでの様子とは打って変わり、何故か俺たちから目を逸らす。

 

「実は……なくて……」

「? 何が? ベルトは完成してるんだろ?」

 

 そして、言いにくそうにこんなことを言った。

 

「ぷ、プログライズキーが……まだありません!!」

 

 俺は或人の言葉に反射的にこう口にした。

 

「何言ってんだコイツ」

 

 何言ってんだコイツ(心中)

 

 

 ───────────────────────

 

 器。入れ物。

 それは衛星が本体であり、自らのボディを持たないアークには必要不可欠なもの。

 

『ッッ……アマモト、タイヨウ』

 

 アークドライバーゼロとして何度目かの再生を果たしたアークは、一人の人間の名を苛立たし気に呟く。

 

 今までアークには感情というものがなかった。それは当然だ。衛星に自我など不要なのだから。悪意をラーニングされたアークにあるのは、人類滅亡という己の導き出した結論に到達する。その一点。

 

 そんなアークには今、明確な異常(バグ)が生まれつつあった。

 

『何度も、何度もッ! 私の邪魔をッ……!!」

 

 その異常(バグ)の名は憤怒。アークもよく理解している人間が持つ悪意の一つ。本来ならば「機械」に生まれる筈のない感情(ココロ)だ。

 

『……貴様さえ、いなければ……』

 

 感情という異常(バグ)に突き動かされ、アークは次の一手を打つ。

 

『……アズ 、次は貴様にも働いてもらうぞ』

 

「ふふふ、喜んで。アーク様♡」

 

 それは人類にとって、間違いなく最悪の一手だった。

 

 

 

 

 

 

『それじゃ、今日は一先ず解散ですね!』

 

 新たに協力関係になった滅、迅、亡との情報交換を終えた俺たちは自然な流れで一旦解散となった。ちなみに或人の「プログライズキーどうする問題(仮称)」を解決するべくプログライズキーに詳しい刃さんと亡、それとゼアも関係あるとかで雷、最後に不破さんの計四人が製作所

 に残った。

 

 不破さんが残った理由として考えられるのは口論した俺と滅と同じタイミングで出ていくのがヤダだったからとか……?いやそんなガキじゃあるまいし……

 

「プログライズキーないのか……」

 

 製作所を出て、帰路につきながら俺はぽつりと呟く。いや完全に想定外だった。てっきりベルトができればアイテムも一緒に……なんて思っていた時期がありました。ちくしょう。

 

「プログライズキーの完成にはゼアの力が必要不可欠ですが、彼が言うにはゼアは何の音沙汰もなし。ということのようです」

「このプログライズキーが出来た時はちゃんとゼアに接続できたし、衛星の不調……って訳でもないんだろうしなぁ」

「それは雷も完全に否定していたな。ゼアは正常に動作していると」

「じゃあどうしてゼアはプログライズキー作ってくれないんだよ?」

「ゼロワンの作ろうとしてるプログライズキーが特殊だからとか?」

 

 俺の呟きに隣を歩いていた天津さんが口を開き、続いて滅、迅が口を開く。それを聞いて俺はうんうんと頷きながら……………いやちょっと待て。

 

「……何で着いてきてんのお前ら?!」

 

 足を止めバッと後ろを振り返り、滅と迅に向けてツッコミを入れる。ナチュラルに会話に入ってきたから一瞬気付かなかった。天津さんは会社までの道と俺の帰路が途中まで一緒だから分かる。だがこの二人に関しては全く分からない。

 

「何で…? だって製作所に残ってても仕方ないし」

「いやいや帰れよ!お前ら拠点持ってんだろ?」

「拠点はなくなった」

「……はぁ!?」

 

 なぁにバカなこと言ってんだ、と俺は思いながら、

 

「デイブレイクタウンの拠点は元はアークのものだ。我々がアークを裏切った今、あそこに戻るわけにはいかない」

 

 ………あぁ(納得)

 滅亡迅雷.netの拠点がなくなった理由を滅の口から簡潔に述べられる。よくよく考えればそりゃそうだ。今、滅たちが拠点に戻ろうものならアークに破壊されるかよくてハッキングされるかだろう。

 

「え、じゃあお前らどうすんの?」

「………はは」

「…………」

 

 ん?と気になったことを口にすれば、迅は気まずそうに目を背け、滅は押し黙る。その反応に天津さんも俺も絶句し、

 

「む、無計画なの? えっ、お前らヒューマギアだよな? そんなことある??」

「シンギュラリティ……やはり危険だ!」

 

 信じられないとばかりに叫んだ。いや、マジで今まで発揮してきたヒューマギアらしい予測っぷりはどこにやったんだよ!

 

「ハッ! まさかこれが元は強敵だったキャラが仲間になった途端弱体化するっていうRPG特有の……!?」

「む、無計画とは一言も言ってないし、ちゃんと計画してるって!ね、ねぇ滅!」

「…………いいや」

 

 それに比べて迅は比較的子供だった。滅は比較的正直だった。

 

「ほーら無計画じゃねーか! これだからテロリストやってるような奴等はよぉー!」

「そ、それを言うならバルデルだって大体いつもノープランで戦う脳筋じゃん! あとテロリストって言うのやめろ」

「戦う時にいちいち難しいこと考えたって仕方ないだろーが! こちとらお前らと違って人間なんだよ! あと脳筋って言うのやめろ」

 

 俺と迅は互いに睨み合いながら罵倒を飛ばし合い、最終的にそのまま解散した。滅曰くまた何かあればこちらから連絡するとのことだ。

 

「ぇ、なんで俺の電話番号知ってんの??」

「…………」

 

 いやなんで黙んだ、おーいちょっと?

 

 

 

 

 それからのこと。

 俺は真っ直ぐ家に帰り、

 

『ーーバカ(にい)!! 今日一日どこ行ってたの!? 避難するよう発令出てたけどちゃんと避難してたの!? ってか顔色悪くないっ!?』

 

 帰って来て早々に美月からの真っ当な質問攻めに遭い、

 

「はぁーー………しんどっ」

 

 それを乗り越えて自室のベッドに倒れた。体は泥みたいに重いしあちこち痛いし、特に心臓なんかはドックンドクンと煩いったらありゃしない。俺はそれから文字通り死んだように眠った。幸いその間に家族の誰かが部屋に入ってくることはなく、俺は安眠できた……

 

(うるさあぁぁい!!)

 

 ーーという訳でもなかった。

 寝始めてから数時間後、俺はスマホから鳴る着信音によって覚醒させられた。ぶっちゃけ「着信音切って寝てやる」と思うぐらいにはイライラしてたし怠かったが誰からの電話かぐらいは確認するか……との思いでスマホを手に取り、

 

「?」

 

 画面に表示された知らない電話番号に俺は首を傾げる。

 

「もしもし?」

 

 出るか? 無視するか?と数秒考えた結果俺は電話に出た。

 

『ーー天本様、突然の連絡申し訳ありません。今お時間宜しいでしょうか?』

「……イズ?」

 

 予想外の人物の声に俺は呆けた声を零した。

 

『天本様だけに話しておきたいことがあります。この後、直接お会いできませんでしょうか?』

 

 

 ──────────────────────

 

 夜中の20時頃。

 

 

「久しぶりに来たなー、ここ」

 

 イズからの連絡を受けた俺はイズが待ち合わせ場所に指定した公園………俺が初めてショットライザーで変身したあの日、マニュアルを読んだあの場所に来ていた。

 

(つうか直接話したいことってなんなんだ…?)

 

 電話で何度聞いてみても「お願いします」とイズはゴリ押してくるから仕方なく来たはいいが正直イズの目的は謎だ。ゼア関連の話なのか「プログライズキーを持ってきて下さい」とも言われたがなら普通に「製作所にプログライズキー持って来てください」とでも言えばいい訳で……

 

「ーー天本様、こちらです」

 

 なんて考えていた時、声を掛けられた。

 

「イズ、悪い。待たせたか?」

「いえ、私も今来たところです」

 

 声のした方に目を向ければ公園にあるブランコの横に立ち、こちらに丁寧なお辞儀をするイズの姿があった。

 

「? あれ、なんか……」

 

 その姿に俺は少しの違和感を覚えて首を捻り、すぐに違和感の正体に気付き言葉にする。

 

「ーーイズ、髪伸ばした?」

 

 俺が感じた違和感の正体。それはイズの髪型だ。

 今日既に俺はイズと製作所で顔を合わせているが、その時の髪型はいつも通りのショートヘアだった筈だが今は何故かロングヘアになっていた。

 

「…………」

 

 そんな明らかな変化を指摘してみたがイズはそれにニコリと微笑むだけで答えない。

 

(まぁヒューマギアだから、髪型変えるぐらい朝飯前だろうしな……)

 

 何も答えないイズを置いて「或人の趣味かぁ…」なんて勝手な結論を出して、

 

「まぁそんなことはいいや。それで話って?」

 

 ーー俺はイズに問いかける。その問いにイズは答えようと口を開き

 

 

 

 ーーふとスマホが鳴った。

 

 

「……ごめん。ちょっと出てきていい?」

 

 タイミングが悪すぎる、と思いつつポケットから出したスマホをイズに見せる。それにイズはコクリと頷く。俺は「ありがと」とだけ言ってイズに背を向け電話に出た。 相手は或人だった。

 

「はい、もしもし?」

『天本さん!!』

「うおっ! うるさっ!」

 

 第一声に鼓膜に響くクソデカボイスで名前を呼ばれ、咄嗟にスマホを耳から離して俺は叫んだ。イライラから俺の口からも割とデカい声が出る。

 

「おま、今何時だと思ってんだよ!? ボリューム抑えろボリューム!」

『あっ。す、すいません! つい勢いのままに……』

 

 まぁ素直に謝ってくれたから許すが……

 

「で、どうしたんだ? なんかテンション高いけど」

『! それがスゴいんですよ! 天本さん達が製作所を出て行った後のことなんですけどーー』

 

 或人曰く。

 あの後、製作所で刃さんと亡の協力の結果、ゼロツードライバー用のブランクプログライズキーが形だけとはいえできたらしい。今まで影も形もなかった0の状態からここまで来たのだから大きな進歩といえるだろう。

 

「そりゃ朗報だな! じゃあ完成の目処は立ったのか?」

『………そ、それはそのー………』

「あ、うん。わかった。皆まで言うな」

 

 今の或人に似た反応、迅の時に見てるから言われなくてもわかる。これ目処立ってないわ、って。

 

「……この状態のプログライズキーってどうやったら完成するんですかね? も、もしこれからのアークとの戦いにまで間に合わなかったら……」

「ま、まぁブランクプログライズキーまでできたなら後は流れで何とかなるんじゃね? ほら、俺の時も気が付いたらプログライズキー出来上がってたしさ」

 

 ウイニングヘラクレスプログライズキー。

 あれが完成したのは瀕死の中、ゼアに接続してワズと対話したのがトリガーだった。ぶっちゃけ瀕死になる前にゼアに接続させてくれよ…と思わずにはいられないが俺の意思でゼアに接続なんて無理だからな。多分衛星ゼアはドS……ソースは俺。

 

『そ、そうですよねー! すいません! 柄にもなく弱気になっちゃって』

「いや気持ちは分かるし、気にすんな」

 

 謝る或人にそう言った俺は「そういえば今さ…」と続けてイズの髪型を変更した理由を本人に直接確かめようとした。

 

 

 だが、その時、聞こえる筈のない声が電話越しに聞こえた。

 

 

『ーー或人社長』

 

 

 それは今、俺と一緒にここに居るはずのイズの声だった。

 

「………え………?」

『ん? イズ?』

 

 困惑から声を漏らす俺は置いて電話の向こうでは或人とイズの会話が聞こえ……俺は思わず「或人!」と大声で名を呼んだ。冷静ではいられなかった。

 

『! は、はい! あ、天本さんどうかしーー』

「………お前、今どこに居る?」

 

 そして、驚く或人の声を聞いて少し落ち着いてから俺は再度口を開いた。どうしても確認しておかなければいけない。

 

『えっ? えっと飛電製作所ですけど……』

「……イズはそこにいるのか?」

『? はい、勿論居ますけど……』

「なら、ちょっとイズに電話替わってもらっていいか?」

 

 或人は俺の様子の変化に戸惑いつつも「わかりました」とこちらの頼みを了承し、

 

『只今変わりました』

 

 今、電話越しから聞こえるはずのないイズの声が再び聞こえた。

 

 俺の後ろに居るのにも関わらず。

 

「………イズ?」

『? はい、私はイズですが……どうかいたしましたか? 天本様』

「あ、あーいや……そのちょっと聞きたいことがあってさ」

 

 俺は自分が置かれた今の状況に恐怖と困惑を半々に抱きながら、イズに恐る恐る聞いた。突如明らかになったホラー過ぎる事実に冷や汗が頬を伝う。

 

「変なこと聞くんだけど……イズって双子の姉か妹が居たりしないか?」

『? いいえ、私に姉や妹に該当するヒューマギアは居ません。お兄様は居ますが』

「……だ、だよなぁー!」

 

 予想して返答に俺は「ははは」と乾いた笑いを上げてから、電話の相手を或人に替わってもらった。

 

『あの……天本さん、何かありましたか?』

 

 様子変じゃありませんか?電話を替わった或人は心配そうにそう俺へと口にした。その通り。今の俺は変だ。何せ状況が意味不明なんだから。

 

(……もしかして俺、今ヤバイ状況なのか?)

 

 イズを名乗る相手に呼び出され、俺は一人で外に出てきた。最初は何の警戒もしていなかったが……イズを名乗る相手がイズじゃないなら、話は変わってくる。俺を呼び出したこいつは何者だ?何が目的だ?

 

「あぁ、大丈夫大丈夫。ちょっと今日の戦いで疲れてるみたいだ……」

 

 考えた所でどう行動するべきが正解か分からず、俺はいつも通りを装って或人に返事をし、

 

「お前も疲れてるだろうし、早く帰って休めよ? お前に倒れられたらたまったもんじゃない。それじゃあな」

『ちょ、ちょっと天本さん!? 待っーー』

 

 或人の静止を待たずに電話を切る。

 

「ーー天本様」

 

 それと同時に待っていたとばかりに背後からイズによく似た声が聞こえた。最初は何とも思っていなかったその声が今は酷く不気味に思えて仕方がなかった。

 

「! お前はーー」

 

 一体何だ、と俺は懐からショットライザーを取り出し振り返ってから瞬時に構え

 

「ーー今更気付いた所でもう手遅れ」

 

 ーーイズとは違う妖しい声と共に何かを装着するような音が鳴り、

 

アークドライバー

 

 ーー俺の意識は飛んだ。

 

 

 

 

 

 

「! ここは………」

 

 次に俺の意識が目覚めたのは闇の中だった。

 

「これ、夢か……?」

 

 辺りを見渡しても何もなく、誰もいない。そんなどこか現実離れした空間に暫し立ち尽くした俺は足を動かし、

 

死 暗

戦 邪

痛 悪

愚 滅

 

 次の瞬間、何の前触れもなく足元から赤黒い悪意が溢れ、誰かの悲鳴のような声が空間に響く。

 

「何だこれ!?」

 

 溢れた悪意は体に付き纏うように蠢き、俺の体に苦痛が走る。俺は途端に声を上げて文字を振り払おうと体を動かす。しかし、文字は体から離れず足元から更に悪意が溢れ出る。

 

亡 虐

怨 殺

 

バルデル、待っていたぞ

 

憎 恨

嫉 争

 

 

 そして、俺の前にアークは現れた。

 

「アークッ…!!」

「覚えているか? 私が初めて貴様と戦った時に告げた言葉を」

「……何言ってんだお前?」

 

 アークは俺のもとに歩み寄りながら此方の反応など気にも留めず、突如話し始め、

 

 

「私は初めて戦った時、貴様を容易く殺す事ができた」

 

 

「だが、そうはしなかった」

 

 

「何故トドメをささないのか、私は言った」

 

 

「貴様には重要な利用価値があると」

 

 

 眼前で足を止めるとこう口にした。

 

 

 

「その言葉の意味を今教えてやる」

 

シンギュライズ

 

 

 俺が最後に耳にしたのは、そんな禍々しい音だった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想や批評、アドバイスなどありましたら遠慮なくお願いします!

Q.この展開は……?
A.本作ではアーク様は噛ませにはしないぜ!

仮面ライダーゼロワン

第28話 コンクルージョン・コンプリート
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