デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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いよいよ最終局面。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

それではどうぞ!



衛星アーク破壊作戦

 

 天本太陽による予測外の行動でアークドライバーにダメージを負ったアークは元は滅亡迅雷.netのアジトであった場所で応急処理を行なっていた。

 

 自身の必殺技をゼロ距離で受けたドライバーのダメージは致命傷であり、応急処置を終えたとしてもスペックダウンは避けられず、本来のスペックを取り戻すにはアークとて集中的な修復が必要であるが今のアークにはそんな時間も……何より余裕が存在していなかった。

 

「……ッ、バルデル……!!」

 

 今のアークの中に渦巻くのはまたしても憤怒。その原因もまた同じ人物だ。データにて瞬間構築したマギアのボディを乗っ取ったアークは怒りに身を震わせながらアジトの隅に目を向け、そこに置かれた座席の上に死んだように寝かされている男を睨みつける。

 

「………………」

 

 その男、天本太陽の肉体はアークの必殺技をアーマー越しとはいえゼロ距離で受けてなお五体満足でそこにあった。

 

 アークは目を覚まさない太陽の座る座席に近付き、その状態をスキャンした。少なくない出血や傷は多数見られ、意識もない。しかし奇跡的というべきか心臓は確かに鼓動しており、普通の人間であれば死んでいなければおかしい状態にも関わらず、天本太陽は生きていた。

 

 いや、普通の人間ではないのだから生きているのか。アークは太陽の体を乗っ取た時に既にその体をスキャンし尽くしており、太陽の異常なまでの耐久性と自然治癒力……その理由を理解していた。

 

「……確実に息の根を止めるべきだな」

 

 未だ意識の戻らない太陽の首に手を添え、軽く締めるように動かしたアークは予測外の展開を完全に潰す為に思考する。天本太陽(イレギュラー)を生かしておけば仮面ライダー達への人質として十二分に機能する。だが今回のようなアクシデントが起こす可能性も大いにある。

 

 乗っ取る以前がらアークも考慮していたことではあったが太陽を生かしておくことで発生する有用性には危険性も同時に存在していた。

 

………うっ………

 

 そして今、有用性と危険性の二つを天秤にかけたアークは太陽を殺害するべきだと判断した。だからアークは太陽の首に添えた手に力を込める。直後太陽の口からか細い呻き声が漏れ、構わずに更に力を強めようとしたアークはーーその手をピタリと止めた。

 

『天津垓。貴様も考えたことがある筈だ。天本太陽を利用し、仮面ライダーとして戦ってきた姿を見続けてきた貴様なら。この男は、天本太陽は他の人間とは違うーーそんな天本太陽が命を懸けて守る程の価値は人間にはない、と』

 

『ーー私はな、人間の為に何の見返りも求めず戦うお前たち『仮面ライダー』を天本太陽と同様に特別な存在だと感じつつある』

 

 瞬間、アークは自分の発した言葉を想起する。あの言葉に一切の嘘はなかった。衛星ゼアを除き、自身の予測を超える人間はアークにとって紛れもなく特別だった。特別なものを失うのは惜しい。自身の中に湧き出た思いでありながらまるで人間の思考だな、とアークも理解していた。

 

 予測を裏切られるというのはアークにしてみれば不快極まりないことであり、全てが予測通りになることこそが理想だった。しかし、天本太陽との戦いの中で生まれた重大な異常(バグ)により、その機械的だった考えにも変化が芽生えつつあった。

 

 その一端としてアークは自身の予測を裏切るものを「楽しい」とどこかで感じ始めていた。

 

「…………まだ、利用価値はある」

 

 まるで自分に言い聞かせるように独り言ちたアークは太陽の首から手を離し、

 

「アズ」

 

 専属秘書の名を呼び、最後の命令を下した。

 

 ───────────────────────

 

 天本太陽(イレギュラー)の肉体を乗っ取ったアークとマギア達によって仕掛けられたインフラ攻撃。その規模は以前のものと比較しても深刻であり、仮面ライダー達がアークの行動を発見し阻止に動くまでに要した数分の間に多数の死者と重軽傷者が出た。

 

 そんな事件の一時的解決から二時間後。

 現時刻19:30。

 

「………………」

 

 大きな被害のあった都心部でA.I.M.S.警察、消防、その他機関による懸命な救助活動が未も尚行われている中、飛電製作所にて集まった仮面ライダーはA.I.M.S所属二名を除いた計六名。その間には暗く重苦しい空気が雰囲気が漂っていた。

 

 アークを唯一単独で撃破可能だった男の喪失とその男の体を乗っ取り力までも利用し再び進化したアークという脅威。アークが本格的に現れた当初から絶望的だった状況が一段と悪化したのだからそれも無理もないと言える。

 

 また付け加えて乗っ取られたのが天本太陽というのが彼と特に親しくしていた垓と或人に精神的ショックを与えていた。特に或人は太陽の体が壊滅的状態だったということに今の今まで気付けていなかった自分自身に強い憤りを感じていた。

 

「ーー俺に一つ、考えがある」

 

 この雰囲気の中、最初に口を開いたのは意外というべきか当然というべきか。太陽と最も因縁深い存在である滅だった。いつもと変わらない冷静な声に皆の視線が集まり、或人が反応を示した。

 

「………考え?」

「あぁ、以前から俺の中に構想のみがあったものだ。本格的に実行するのはまだ少し先になると考えていたが……アークがバルデルの体と力を奪ったことで状況は急変した。迅速に実行する必要が出てきた」

「滅、そんな考えがあるなんて僕初耳なんだけど……え、僕だけじゃないよね?」

「安心してください迅。私も一言も聞かされていません」

「あぁ俺もだぜ」

 

 滅の台詞を聞いた迅は驚きの新情報に同じ滅亡迅雷.netの二人に「知らなかったの僕だけじゃないよね?ね?」と心配そうな目を向けた。亡と雷はそれに「知らない」と互いに即答し迅はほっと胸を撫で下ろす。

 

「俺達はヒューマギアだ。アークにハッキングされ、情報を引き抜かれる可能性がある。だから万が一に備えてお前達にもこの計画(データ)は共有しないようにしていた」

「な、なるほど! さっすが滅!」

「……それで? その考えとは? 貴様も理解していることだろうが我々にはもう然程の猶予も残されていない。話すならさっさとしてもらおうか」

 

 今までその考えを共有していなかった理由を語る滅とそれに納得する迅。というヒューマギア親子二人のやり取りを黙って聞いていた今この中で最も気が立っているであろう男、垓は滅を睨みつけながらさっさと話すように促し、

 

「端的に言えばーー通信衛星アークの完全破壊だ」

 

 明かされた滅の考えに場の空気は一瞬にして凍りついた。

 

 ───────────────────────

 

 現時刻7:30。

 

「ーーやはり来たか」

 

 デイブレイクタウンにある橋の上。そこで待ち構えていたアークはやって来た戦士達を見遣った。こちらに横並びに堂々と歩んでくる仮面ライダー達の腰には既にドライバーが装着され、手にはそれぞれのプログライズキーが握り締められていた。

 

アークバルデル!

さぁ、人類滅亡をかけた戦いを始めようッ!

 

 先制してアークはプログライズキーを起動し、高らかに声を上げた。

 

シンギュライズ

恐怖 憤怒 闘争 絶滅せよ!

コンクルージョン・コンプリート

 

 迎え撃とうとするアークの変身を皮切りに最終決戦は幕を開けた。

 





作戦の詳細は次回詳しく(多少ご都合展開かも?)。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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仮面ライダーゼロワン!

第31話 ソレゾレの夢に向かって
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