デイブレイク被害者が仮面ライダーになる話   作:平々凡々侍

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ゼロワン29話、個人的に神回でした。
やっぱり二号ライダーが主役級にカッコいいのは仮面ライダーあるある何ですかね?
それはそれと或人と腹筋崩壊太郎がお笑い勝負してるのって時系列的にはいつ頃なんでしょうか?(不破さんがランペイジ持ってたし、お仕事五番勝負が終わった後?)

あ、それではどうぞ!


ある男の決意《仮面ライダー》

 

『12:30』

 

「はぁー……」

 

 ZAIAエンタープライズジャパンを出て少し歩いた先にある噴水広場。そこにあるベンチに腰掛け俺はため息をついた。

 隣には今日返そうと思っていた物が入ったアタッシュケースが置いてある。あーくそっ! 天津さんの言葉に何も言い返せなかった。

 なんであの時、赤の他人を助けるような行動をとったのか。

 明確な理由なんて…わかんねーよ…。

 

(20年生きて、まだ自分の事全部理解できてないとは……なんかなぁー)

 

「悔しい」とは違うな。

 なんていうか、もやもやするというか……。

 ダメだ、今考えても「答え」出る気が全くしねぇ…。

 

「仮面ライダー……か」

(天津さん、適役はもっと別にいるでしょ…)

 

 天津さんには失礼だが、こればっかりは早計と言わざるを得ない。

 そもそも俺に正義感なんて……、

 

「ーーないよなぁ」

 

 ないに決まってるでしょ?

 もし仮に俺に正義感なんてもんがあったのなら、助けを求められて嫌な気分になるなんておかしいだろ? 迷わず助ける筈だろ?

 だけどあの時の俺は「見捨てて逃げる」一択だったんだ。

 ……なんであんな行動をとったのか意味不明だなマジで。

 

「……帰るか……」

 

 そう思い俺がアタッシュケースを持ち、ベンチを立ち上がったその時だった。

 

「ん?」

(あっちは駅の方か? なんかーー)

 

 ーー騒がしいなと首を傾げた俺はそれを目にしてギョッとした。

 駅の方から逃げてくる人々の姿。

 その顔は皆恐怖に染まっており、まるでパニック映画のワンシーンだった。

 

「……まさか」

 

 思い出すのは昨夜の出来事。

 この状況、駅の方で間違いなく何かあったのだろう……その「何か」はもしかしてあの化け物、天津さんの言っていた「マギア」がまた現れたのかもしれない。

 

(だからなんだっていうんだ?)

 

 もしも本当に「マギア」が現れていたとして…俺が行く理由にはならない。というか俺は昨日興味本位で動いて痛い目に遭ったばかりだ。また同じことをするのか? バカか俺?

 

(……逃げよう)

 

 改めてそう思った俺は逃げる人々と同じように走り出そうとし、ベンチに置いたアタッシュケースに目が止まる。

 

『ーー君にはこれからも仮面ライダーとして戦って貰いたい』

『君は確かな正義感を持っている人物だと理解したからですよ』

『赤の他人だから、死にたくないから。そんな思考をしていた君が何故にあの場面でいきなりマギアに向かうという自殺行為に等しい、自己犠牲的な行動をとれたのか……それは君の中には確かな正義感があったからではありませんか?』

 

 天津さん……仮面ライダーって何なんだ?

 正義感……俺にあんのかそんなもん?

 俺は何であんな行動をとったんだ……?

 

「…あぁあー! くそッ!」

 

 苦悩した末、誰でもない自分自身にそう叫んだ俺はアタッシュケースを持って逃げてきた人々とは逆方向ーー騒ぎが起こっている駅の方に駆け出した。どうやら俺はすぐに冷静さを失うらしい…これじゃ美月に「落ち着きというかお淑やかさが足りない」なんて言えねーな。

 

 

 

 ▲△▲

 

「う、うわぁッ!? く、来るなぁッ!!」

「きゃあああああ!!」

「ニンゲン、コロスッ!!」

 

 とある駅付近に警備員として配置されていたヒューマギアは一体を除き、五体全てがトリロバイトマギアに変貌。

 壊された道路に壁、炎上している車…駅前はまさに地獄絵図と化していた。

 

「皆さん! 早く逃げてくださいっ! 早くっ!!」

 

 一体だけ偶然……いや、その強固な意志によりマギア化を免れたヒューマギア「シュゴ」は必死に己の「人々を守る」という使命を果たそうとする。警備員として作られた彼は、既にシンギュラリティを超え確かな自我を獲得していた。

 

 彼の懸命の行動により多くの人が逃げ出す事に成功する中、シュゴは何度もトリロバイトマギアに時間稼ぎの為に立ち向かう。

 何度も何度も何度も……外装が剥がれヒューマギアとしての内部パーツが剥き出しになっても尚守ろうとし続ける。

 

「私は人々を、守るッ……この身に、かえても!」

 

 そんなシュゴの中にあった感情はあまりにも純粋な「喜び」。自分のダメージなどどうでもいい。ただ自分が誰かの役に立っている、誰かの命を守れている…そう実感できただただ嬉しかったのだ。

 どれだけ損傷が激しくても立ち上がり、何かを守る為に戦うその姿は正しくヒーローだった。だが、

 

「アークのマギア化を免れたヒューマギア、か……貴重な個体ではあるが……」

 

 シュゴには残酷な滅びが着実に近付きつつあったーー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(何だよこれ……)

 

 まるで地獄のような光景に俺は立ち尽くす。

 彼方此方から聞こえる悲鳴。

 マギア化したヒューマギアらしき複数の化け物。

 化け物は前見た時とはまた別の種類なんだろう。

 その姿は銀色で無骨、喋る言葉も同じで知性を感じない。

 化け物というよりかは「殺人マシン」だ。

 

「うっ、うわあぁぁぁあ…!」

 

 そんな事を考えていればすぐ近くから子供の泣き声が聞こえた。

 慌てて見れば子供は逃げ遅れたようで倒れており、目の前には殺人マシンが迫っている。

 

「やだッ、死にたくない死にたくないよぉ…!!」

「ニンゲン、ミナゴロシ!」

 

 ぼろぼろ涙を流す子供に殺人マシンは容赦なく拳を振りかざし、

 

「おっ、らあぁぁぁあ!!」

「!?!?」

 

 子供の顔面を殴りつける前に俺はまた後先考えずに馬鹿みたいに飛び込んだ。具体的には思い切り横から殺人マシンの肩を蹴った。

 結果? 言うまでもない。

 蹴った俺の方が痛いわ!

 何こいつ硬すぎるでしょ!?

 生身で立ち向かうとか無謀の極みだねこれ(今更後悔)

 

 まぁ体張ったおかげで殺人マシンは横にぶっ倒れて子供は守れたしよしっ! ……なんでまた赤の他人守ってんだ俺?

 

「お、おじちゃん誰ぇ…?」

「おじちゃんじゃねーわ! まだ二十歳(はたち)のお兄さんだっつーの…ってそんな事言ってる場合じゃない早く逃げろガキンチョ!」

 

 子供の手を掴み立ち上がらせ、安全な方向にすぐ行かせる。出来るだけ優しく背中を押してやった……やだ俺優しい!(自画自賛)…え、何? 言葉遣いが優しくない? い、いや、それは俺も必死だからさ!

 

 そんな余裕の無い俺の耳にあの声がすぐ届く。

 

「ニンゲン、ゼツメツ!」

「くっそッ…! 立ち上がんの、速すぎだろうがっ!」

 

 今さっき蹴り飛ばした殺人マシンはぎこちない動きで顔を動かすとすぐに立ち上がり、俺に接近してきた。ダウンが短すぎません!? 間違いなく十秒もなかったよなぁ!? 何々? 生身の蹴り程度じゃそんなもん? 十秒ダウンさせただけ十分? ……そっすね(納得)

 

 接近してきた殺人マシンのスピードは予想以上に早く、予想以上に不気味……いや気持ち悪いわ!

 というか回避間に合わなくないかこれ…?

 

(やば、俺これ耐えられーー)

 

 回避を諦め腕を前で組み下手くそな防御態勢をとる俺。

 赤の他人を守って死ぬとか……草も生えねぇな。というか個人的にダサ過ぎんだろ。あーだから人助けなんてやるもんじゃないんだよ。

 

「……ぇ?」

 

 来るであろう衝撃を歯を食いしばりながら待つ俺だったが、衝撃は来ず代わりにガキンッ!!というでかい金属音が聞こえた。

 

「ニンゲン、ニンゲンコロス! コロスッ!!」

「! 人々は傷付けさせませんッ!」

「!?」

(ヒューマギア…!?)

 

 目を開ければ俺の目の前には一体のヒューマギアが立っており、殺人マシンの攻撃を受け止めていた。そのヒューマギアの外部パーツは既に多くの箇所がボロボロで顔の左半分は機械部品が剥き出しに、右肩も同じく剥き出しになっている。

 

 どうして殺人マシンから多くの人が逃げれたのか、このヒューマギアを見ればその理由は容易に理解できた。

 

 こいつは……自分の身を顧みずに人間を守っていたんだ。

 

「ここは私が時間を稼ぎますからあなたは早く逃げてーーグッ!!」

「おわっ!?」

 

 攻撃を受け止めていたヒューマギアだが、殺人マシンの次の一発で大きく後ろに退く。俺もその背中に押され後ろに倒れる。

 

「っ、早く逃げてくださいッ!」

「なんで……」

 

 なんで赤の他人を、人間を守るんだ?

 そう俺が思ったのは可笑しいことなのかもしれない。ヒューマギアは命令に従い動く……嫌な言い方になるが道具である。

 だから「何故人間を守るのか」なんて聞けば「そうするよう作られたから」といった機械的な答えが返ってくるのは分かりきっていた。

 

 でも俺は思わずにはいられずに気が付けばヒューマギアに聞いていた。

 

「なんで、そんなボロボロになってまで守ろうとするんだ…?」

「……ーーそれが私の使命だからです!」

 

 少しの余裕もない危機的状況。

 俺の言葉に反応する時間さえ惜しい筈なのに、ヒューマギアは暫しヒューマギア特有の「ピーー」という思考中の音を出した後、ニコリと眩しいぐらいの笑顔を浮かべそう断言した。

 

 俺を分析して俺が不安で怯えてると判断したから、そんな俺を安心させるために笑顔を作ったのだろう。……まぁ顔半分ヒューマギアの素体の機械パーツ剥き出しで逆効果だけどな…。

 

 それにしても……ヒューマギアっていうのは本当に…

 

「……すげぇな」

「『すげぇ』ですか?」

 

 ーーどこまでも純粋だ。

 

 あーあ。俺もお前みたいに純粋だったら…こんな馬鹿みたいに苦悩することもないんだろうな。

 ……超羨ましいよ。

 

「あぁすげぇよ……あんた名前は?」

「名前、ですか? 私はシュゴです」

 

 思わず「すげぇ」と声を漏らしてしまう俺にヒューマギアは首を傾げ、続く俺の問いにもまた疑問を抱いたが素直に答える。

 きっとそれは質問に答えることが俺の安心に繋がる、そうシュゴが考えた結果だ。

 

 シュゴはその後、すぐにこちらに迫る殺人マシンを見据える。ーーその時だった。

 

「アーク化を免れたという点は評価するが『人類』を守るという点は厄介でしかない」

「!? シュゴ後ろだっ!!」

「!? あなたはーー」

 

 いつからそこにいたのか。

 いつの間にかシュゴと俺の間には黒いターバンに黒い服を着た男が、手に銀色の機械を持ち立っていて、

 

「ーーガァアアッ!?!?」

「シュゴっ!? お前こいつに一体何をーーぐはっ!」

 

 銀色の機械をシュゴの腰に当てると、銀色の機械の側面から夥しい程の棘がついたベルトのようなものが伸びシュゴの腰に食い込む。

 その途端シュゴは甲高い叫び声を上げる。

 

 俺は立ち上がり銀色の機械をシュゴに取り付けた男に問おうとして、男は俺の方を振り返ることなく後ろ足で俺を蹴り飛ばす。

 

「人間に答える道理は無い」

「グワァア…! ガァッ!!」

「さぁ我々の使命を理解しろ。我々が人類を滅亡させる」

「で、できませんッ! 私の使命は人々を守ることだからッッ!! ぐッ」

「違う。我々の使命は人類滅亡だ」

「ガァアアアアアアアア!!」

 

 男は必死に何かに抵抗するシュゴに告げる。

 我々が人類を絶滅させる、と。

 シュゴは男に対して叫ぶように言う。

 私の使命は人々を守ること、と。

 

 しかし、シュゴの抵抗は虚しく、

 

「…………」

「しゅ、シュゴ……?」

「ーー滅亡迅雷.netに接続……」

 

 シュゴは青かった目を赤く光らせて呟いた。

 その目はデイブレイクの時のヒューマギア達と同じ…。

 

「やれ」

「…滅亡迅雷.netの意思のままに」

 

 突然の出来事に驚愕する俺の前で男はシュゴにプログライズキーによく似た形状のものを手渡す。それを手にとったシュゴはボタンを押し、

 

アルシノ!

ゼツメライズ!

「ウアアアアアアアア!!!」

 

 腰に巻いたベルトにそれを装填した。

 瞬間、ベルトから出た複数の赤いワームがプログライズキー?に突き刺さり外装を破壊し、絶叫するシュゴの口から長いワームが伸びシュゴの体を包み込み弾ける。

 

「嘘…だろっ……?」

「ーー人間を殺す。それが私の使命」

 

 そして、シュゴはマギア化してしまった。

 目前で起こった事実に俺は呆然と呟く。

 

 青い装甲にV字形の二本角。

 ゆっくりとこちらに歩み寄ってくるアルシノマギア。

 俺はそんな変わり果てたシュゴに駆け寄り肩を掴んだ。

 

「お前っ! 目ぇ覚ませッ!」

「人間は死ね!」

「ぐッーーがはッ!!」

 

 今のシュゴには俺の言葉なんてきっとこれっぽっちも届いちゃいなかった。シュゴは俺に接近するとがっと襟を掴み、勢いよく俺を投げ飛ばした。着地もまともに出来ず俺はコンクリの床を転がる。体は当たり前だが傷だらけ、頰に触れれば僅かに血が流れていた。

 

「お前は一体なんなんだよッ!?」

 

 思わずそう叫んだ俺に男は機械のように抑揚のない声でーー。

 

 

 

 

 

「…冥土の土産に覚えておけ。俺の名は滅。そして、我々は『この星の生物の中で最も滅ぶべき種は人類』だと判断したアークの意思のままに…人類を滅亡させる。この星の主となる存在だ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 男は冷たく恐ろしい宣告をした。

 人類を絶滅させる?

 アークの意思?

 この星の主?

 なんだそれっ!?

 SF映画か何かかよ…!?

 

「……なんであいつを、ヒューマギアを化け物に変えた?」

「人類を滅すのに『人類を守ろう』とするヒューマギアなど不要だからだ。それに我々はヒューマギアを化け物に変えた訳ではない。ヒューマギアを、人類から解放しただけだ」

「……は……」

 

 最高に訳がわかんねぇよターバン野郎。

 解放? 違うだろ。

 お前がやってんのはヒューマギアの解放じゃない。

 ヒューマギアの暴走だ。

 

 

『それが私の使命だからです!』

 

 

 お前はヒューマギアの…シュゴの純粋な思いを、使命を全部塗り替えて、穢したんだ…!

 

 

 胸の奥から力が込み上げてくるのを感じる。

 

 

 痛みなんか忘れるぐらいの「怒り」が俺の中に湧き上がった。

 

 

 気が付けば俺は足の怪我なんて気にせず、ふらつく足で立ち上がり、

 

 

 

「ふざけたこと、抜かしてんじゃねーよッ!」

 

 ーー滅を見据えながら叫んでいた。

 

「滅、俺はお前を絶対に認めない。俺がいる限りお前の人類絶滅だとかいうSFチックな使命は一生叶わせねぇよバーカ!」

「何…?」

 

 子供のように幼稚な、それでいて俺の本心からの罵倒に滅はやはり表情一つ動かさない。ただ少し不快そうに声を出した。

 

 たかがヒューマギア一体がマギア化されたのを見て何を俺は怒っているんだろうな? …いや違うな。

 あいつは……シュゴはただのヒューマギアじゃない。人を守る為に最後まで戦ったヒーローだ。

 そして、まぁ人じゃあないがーー俺の命の恩人だ。

 命の恩人を目の前で化け物に変えられてキレるのは当たり前だよなぁ?

 

 溢れ出す憤怒の理由に自分なりに納得した俺は、倒れる俺自身の横に転がっているアタッシュケースに手を伸ばしカチャッと急いで開ける。

 

ショットライザー!

 

 既にショットライザーが取り付けられたバックルにベルトを腰に巻き、黄緑色のプログライズキーを手に取る。

 

「悪いなシュゴ……。俺もただ殺されるなんて御免だし…何より、これ以上お前の思いが穢されるのを…黙って見てられない。

 それにーー最ッ高に頭にキタしなあっ!」

ストロング!

【オーソライズ!】

 

 前に立っているマギア化したシュゴに向かって口を開く俺。

 

 仮面ライダーが何かはわかんねぇ。

 戦うのは今でも怖い。

 コレを使うべき適役は俺の他にきっと居ると未だに思う。強い正義感を持ち、赤の他人の為に戦えるような…まさにシュゴのような性格をした純粋な人間がコレを使うに相応しい。だけど、

 

【Kamen Rider. Kamen Rider.】

 

 今は、今だけは違う。

 これ以上あいつの思いを穢させない。

 目の前の男を、滅を必ず倒したい。

 ーー他の誰かに譲るつもりは毛頭ない!

 俺がやるんだよッ!

 

「ーー変身…!」

ショットライズ!

 

 バックルから引き抜いたショットライザーを高く上げ、おもむろにマギアへと向けた後に俺は躊躇うことなくトリガーを引く。射出された弾丸はマギアの体を後ろに弾き飛ばし、俺目掛けて返ってくる。その間にショットライザーをバックルに戻し、

 

「はぁッ!」

アメイジングヘラクレス!

【With mighty horn like pincers that flip the opponent helpless.】

 

 俺は返ってきた弾丸に右手でのアッパーをぶつける。そうすれば最初に着弾した右手から右腕、左手から左腕、次に胴体、右脚と左脚と順にアーマーが展開・装着されていく。最後に頭にアーマーが装着されーー変身が完了した。

 

「バルデル…」

 

 滅は俺の姿を見てそう口にした。

 

 

 

 ▲△▲

 

 

 バックルからショットライザーを引き抜く。

 それを真っ直ぐ一体のマギアに銃口を向け走りながら連射した。ーーさぁ反撃開始だ。

 

「ニンゲン、コロスゥ!」

「邪魔だっ! おらあぁ!」

 

 そんな俺に向かって一番最初に向かってくるのは五体ほどいる銀色のマギア達。俺はまず最初にその内の一体を殴り飛ばす。

 

「コロスコロスコロス!!」

「メツボウ、ミナゴロシッ!」

「ーーンな攻撃痛くも痒くもねぇなぁッ!」

 

 接近してくる二体のマギアは勢いよく拳を叩きつけてくるが、俺の体はビクともしない。どうやらこのーーアメイジングヘラクレスプログライズキーのーー黄緑色のアーマーはパワーだけじゃなく防御力、堅さも凄まじいらしい。二体のマギアの攻撃を同時に受けた俺だが、一切怯まずに逆にマギア達の胸に同時に右と左でのパンチを打ち込んだ。

 

「ッッ!?!?」

「悪いが、飛んで来なっ!!」

「ニンゲーーガッッ?!」

 

 その一撃により片方は沈黙。

 もう片方はまだ機能しているが倒れ伏したマギアの一体を無理矢理持ち上げた俺は、それを向こうにいるマギアに向けて思い切り投げた。結果は見事直撃。……何? 戦い方が荒っぽい? うるせーこちとらこんな風に戦うのまだ二回目なんだぞっ!? むしろ善戦してるだけ凄い方だろ多分!

 

「ニンゲンハゼツメツ!!」

「おっと!」

 

 背後にいた五体目のマギアの蹴りを躱し、逆に背中を思い切りキックを噛ます。それにマギアはバランスを崩すが倒れはしなかった。うん、どうやらこのアーマー…というか状態はキックよりもパンチを多用した方が良いらしい。なら早速ーー。

 

「おらあぁあ!」

「グギッ?!」

 

 素早く距離を詰めアッパーを顎部分に打ち込む。

 瞬間、マギアの体は宙に打ち上がり、

 

「トドメ!」

「!?!?」

 

 打ち上がったマギアの頭を掴み、力付くで地面に叩きつけた。

 それを受けたマギアは何が起こったか理解できないまま、僅かに機械音を上げた後に沈黙する。

 

 またさっき投げたマギアと、それを当てたマギアの計二体。

 やっぱ半端ねぇな変身って…(畏怖の念)

 でもこの全能感半端ねぇ!(熱い手のひら返し)

 

「「ニンゲンメツボウ!!」」

「それはお断りだなぁ…おらっ!」

 

 こちらに気持ち悪いが中々の速度で向かってくる二体のマギア。やはり口走るのはバグったように同じ言葉…どうやらこの銀色のマギアは知性がカケラもない、というか本当にバグった機械のような状態なんだろう。バックルからショットライザーを抜いた俺はトリガーを引き、マギアを迎え撃つ。発射した二発の弾丸は見事にマギア二体に直撃……まぁ完全に紛れ当たりだけどな。

 

 しかも一発はマギア一体の頭を撃ち抜いたらしく、一体は沈黙。そして、

 

「ニンゲンニンゲン!」

「おっりゃあああ!!」

 

 残って接近してくるマギアに自ら駆けていき、俺は右拳での一撃でマギアを倒した。…早くも残るはただ一体…。

 

「…人間は、私が殺す……」

「シュゴ、お前には誰一人殺させない」

「オオオオオオオオ!」

 

 V字の角が特徴的な青いマギア。

 腰に巻き付いてあるベルトのようなもの…あれは昨夜見た化け物と全く同じものだ。なるほどな、あれを巻き付けプログライズキー?を使わせ化け物を作ってるって訳だ。

 

 シュゴはその角を俺に向け、闘牛の如く駆け出してくる。あれをまともに受けるのはやばそうだ。

 

「ほっ、と!」

「!? 何ッ!」

 

 ショットライザーをバックルに戻した俺は軽くジャンプし、シュゴの攻撃を回避すると同時に肩を足場にして地面に着地する。後ろに向き直ればシュゴは足を止め、驚いたようにこちらを振り向いていた。アーマー着てんのに、変身前より何十倍もスピードが速く、更にジャンプ力も上がってるとか頭おかしいよな…なんだこのハイテクノロジー!?(今更)

 

「行くぞシュゴっ! はあっ!」

「ガガガガガ!?!? ゴガァッッ!」

 

 俺はシュゴが驚き動きを止めた一瞬を見逃さず、接近して怒涛の連続攻撃ーー右手と左手の打撃連打を胴体に打ち込む。それを受けたシュゴは攻撃する暇さえ無く、そのまま吹き飛ぶ。

 

「ッッ……まだだ! 私は、人間を…人間を殺すッ! それが私の使命だァ!!」

「……悪いなシュゴ。お前にそんな台詞吐かせちまって」

 

 必死に立ち上がりそう叫ぶシュゴ。

 マギア化する前のシュゴとは全く真逆の台詞に俺は……一秒でも早くシュゴを止めようと改めて決意する。これ以上あいつの意思を穢させては駄目だ。何より、今のシュゴを見てると…不思議とこっちの心が()たくなるから。

 

 自然と俺はシュゴに謝罪の言葉を告げ、続けてこう言っていた。

 

お前を止められるのはただ一人……俺だ!

ストロング!

 

 俺はプログライズキーのボタンを押し、バックルからショットライザーを引き抜かずそのままトリガーを引き、

 

【アメイジング ブラスト フィーバー!】

 

「はっ!」

「ッ!?」

 

 素早くバックルから銃口に小さなエネルギーが集束されているショットライザーを引き抜き連射する。その一発一発は通常の弾丸とは違い鋭く、シュゴの装甲を容易く貫通していく。

 

「グゥウッ! ガァア!?」

 

 その連射によりシュゴは手足の装甲にダメージを受け身動きがとれなくなった。ーー俺は高く跳んだ。

 

 右足にはいつの間にかショットライザーの銃口に集束していたエネルギーによく似た黄緑色のエネルギーが宿っていた。

 

「おおおおッ!」

 

 ジャンプからのキック。

 つまりは飛び蹴り。

 だが、その速度と威力はそこらの飛び蹴りとは訳が違う。

 

 気合いの込もった叫びを上げて、俺は空中で蹴りの構えをとる。

 

「ーーらあぁぁぁあッッーー!!」

 

ア メ イ ジ ン グ ブラストフィーバー

 

「ガァッ!? ワタシノ、シメイハ…! グワアアアアーー!!」

 

 俺の蹴りはシュゴの青い装甲を突き破る。

 シュゴは大きな叫びと共に爆ぜた。

 背後で爆発が起こった後、ゆっくり後ろを振り返ればそこには既にシュゴの存在を示すものは何一つなかった。

 

 

(…………ごめんな)

 

 何に対しての謝罪なのか…説明するのは何とも難しいが俺は心の中でそっと呟く。その時、マギアが破壊され爆発したことにより爆煙に包まれる一帯にあの男の声が響く。

 

「まさか、こうもあっさり破壊されるとは……。アークのマギア化を免れた貴重な個体だったが……」

「…滅、お前は俺がぶっ倒す」

 

 滅は爆煙の中からその姿を見せると少ししゃがむと、シュゴがベルトに装填していたプログライズキー?を拾い上げ口を開いた。そんな奴に俺はバックルから引き抜いたショットライザーを向ける。

 銃を向けられているにも関わらず、滅は一切動揺した様子を露わにしない。その様子はまるで機械のようだ…。

 

「バルデル。貴様の存在は我々の『人類滅亡』という目的の障害だ。遠くない未来ーー必ず滅す」

「っ! 待てッ!」

 

 ふっと爆煙の中に姿を消す滅。

 それを追い爆煙の中に入った俺だったが、煙が晴れた時にはもう滅の姿をどこにもなく…駅周辺には複数の戦闘跡が残る謎の事故現場だけが残った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

【本日のニュースです。昨日、○○駅前で起こった謎の事件についてですがーー】

 

 実際に事件に巻き込まれたという人々の証言曰く、突然駅に赤い目をした化け物が現れたらしい。

 ーーその証拠を示すものは何一つ無い。

 不思議な事に駅前にあった監視カメラは全て破壊され、動画を撮ったものも誰も居なかったのだ。しかも、この事件はいつの間にか解決されていたという。

 

 事件発生から二十分後。

 現場に急行した警察と消防だったが、そこには通報で伝えられた「暴走する化け物」らしきものの姿は無く、黒く焦げた道路や瓦礫などだけが残っていた。この事件を警察は昨夜【市街地の道にできた焼け跡】と何か関係があるかを調べている。

 

「ーー太陽君、もう聞くまでもないでしょうが…」

『はい…俺やってみます。まだ仮面ライダーが何なのかとか、よくわかりませんけど。やりたいこともできましたし…それに天津さんの提案に乗れば、俺の夢も叶うでしょうし』

「ふふ…そうですか。それでは、また改めて私の方からご連絡させていただきましょう。我が社の研究開発への協力やこちらが君にお支払いする金額、マギアの出現情報についてはまた後日詳しく…ZAIAエンタープライズジャパンで説明させていただきましょう」

『分かりました。それじゃあ失礼します』

 

 

「私の見立て通り、やはり君にはあるじゃないか。ーー確かな正義感が」

 

 電話を切った垓は自分一人しか居ない社長室にあるモニター、そこに映る「仮面ライダーバルデル」の姿を見てそう満足気に零す。

 

 序章…そのストーリーは着実に進んでいく。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想や批評などありましたら遠慮なくお願いします。
(↓補足?説明やスペックです。興味ある方はどうぞ〜)

・補足?説明
今回の話はゼロワン二話をかなり意識した回でした。
ご都合主義な展開多くてすいません…!

仮面ライダーバルデル
アメイジングヘラクレス

SPEC
◾️身長:197.0cm
◾️体重:97.6kg
◾️パンチ力:40.8t
◾️キック力:26.9t
◾️ジャンプ力:15.2m(ひと跳び)
◾️走力:4.1秒(100m)
★必殺技:アメイジングブラスト、アメイジングブラストフィーバー

デイブレイク被害者である天本太陽が「ショットライザー」(後のエイムズショットライザー)と「アメイジングヘラクレスプログライズキー」を使って変身した姿。

〈戦闘スタイル〉
素人の為とにかく荒削りな戦い方が目立つ(現在成長中)
分かりやすく戦い方を他の仮面ライダーで言うと、たっくん(ファイズ)やカシラ(グリス)をイメージしてもらうと分かりやすいかも?

序章のストーリーについて

  • エンディングまでダイジェストで突っ走る
  • 出来る限り丁寧にエンディングまで歩く
  • 作者の好きなようにどうぞー
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