ジャングル地方は実に興味深かった。
多種多様なフレンズに動植物。鬱蒼としているが不快感はない。
実に豊かな森だ。蛇ばかりの禁域とは違う。
「もうすぐ、橋があるはずだ」
「はし?!はしとは何なのだ?」
「川に木や鉄などで板をかけて道を作るものだよ……
それがあれば安全に川を渡れる」
「なかったらー?」
「船を自作するしかないないだろう。はるか昔、余技程度に作ったが……」
「ふねー?」
「とにかく、行ってみるのだ!楽しそうなのだ!」
アライさんが走り出し、そして足を滑らせて転落した。
「あーっ!」
「やっちゃったねえ、アライさーん」
ぼちゃんと川に落ち、流されていく。
まずい、私は泳げない。何か……何かないか!
「アライさん、もがかずできるだけ空気を多く吸って体を浮かべるのだ」
「そ、そんなこと言われても無理なのだーっ!がぼぼ」
川を見る。先には浮橋があった。これだ!
私は一跳びに「加速」し、浮橋の上に飛び乗った。
攻撃用以外での用途は初めて使うが……うまく行ってくれ!
私は「葬送の刃」を刃をつけずに棒だけ使ってアライさんを引き寄せた。
「えふっえふっえふっ!ゲールマンのおかげで助かったのだ……命の恩人なのだ」
「いや、ここに運よく浮橋があったおかげだ。私では何もできなかった」
「そんなことないのだ!そのぶき?で助けてくれたのはゲールマンなのだ!」
「あらーいさーん、気を付けてよー」
「しかし……地図にある橋とはだいぶ趣が違うようだが……」
対岸にいたフレンズがこちらに気づいた。
猫系のフレンズと……あの水着はなんだろう。尾もあるようだが。
少々目に毒だ。
「おおっ」
「だれ?」
我々は当初の目的の通り橋を渡りフレンズたちと出会った。
自己紹介をした後、ふと気になったので尋ねてみた。
「ひとつ、聞きたいのだが……この橋は誰が作ったのかね?
真新しいようだし、正規の橋ではないようだが」
「これはかばんちゃんが作ったんだー」
「なるほど、かばんというフレンズもまた命の恩人と言えるだろう」
「かばん……さん?もまたすごいのだ!命の恩人なのだ!」
しかしかばん、か……
この橋は明らかに人の手によるものだが、まるでフレンズのような呼び名だ。
一つ、啓蒙がひらめいた。
「そのかばんさんだが……帽子を被っていなかったかね?
アライさんが被っているような帽子で、もっと白いものだ」
「あー、被ってたねえ。その子に用事?」
「まーねー。ちょくせつは関係ないんだけどねー」
「ええっ!?かばんさんが帽子ドロボウ……?どういう事なのだ!?」
私は咳払いするといくつかの仮説を提示した。
「つまりは、ドロボウではなかったのだろう。
かばんさんがもともと持っていた帽子を置いて、君が見つけた。
だがそれにお互いに気づかず……かばんさんはまた帽子を持ってどこかへ行った。
そんなところではないかね?」
「そーじゃないかなー。たぶん、その子がもともと持ってたんだよー」
アライさんは表情豊かに驚いた。
「えーっ!そんなはずないのだ!
黒い影がぬっとあらわれて帽子を被っていったのだ!
そんなやついなかったのだ!」
「気づいてなかっただけかもよー」
「仮に君が先に見つけたとしても、もとより誰の物かわからなかったのだろう?
ならば、帽子を持つ権利は等しくあるわけだ」
「ええーっ!なんだかずるい気がするのだ……」
いずれ説得しなければならなかったことだが、かなりの困難だ。
慎重に話をもって行かねばならない。
「ならば、何も奪う必要はない。必要な時だけ借りればいい。違うかね?」
「そうかも、そうかもしれないのだが……!」
しばらく様子を見ていたジャガーが見かねて口をはさんできた。
「かばんはすごくいい子だったよ。そういうことする子には見えないな。
それに、話もわかるやつだったから、きっと貸してくれるよ」
コツメカワウソは橋で遊んでいた。
あのすべてを楽しむ姿勢こそヒトが本当に獲得すべき知恵だったのかもしれないな……
「それに、私のあげた帽子ではやはり足りないかね?」
「そういうわけではないのだが……」
「その子はやっぱりとしょかんに向かったのかなー?」
フェネックがうまく助け船をだしてくれた。こういう時は話題をそらすに限る。
「うん、さばくちほーを通ってとしょかんに行くって言ってたね。バスに乗って行ったよ」
バス……乗り物か。やはりヒトのフレンズか、パークガイドなのだろう。
「やっぱりとしょかん……!そこがうんめいの地なのだ!としょかんに急ぐのだーっ!」
よし、うまく気をそらせたようだ。やはり少し早まった情報だったかもしれない。
しかしヒトのフレンズ……か。ヒトという種族を代表する存在。
それが善性であるものだろうか?