「この依頼を受けるのね?」
「はい。この土地浄化をお願いします」
「はいどうぞ、いってらっしゃい」
今俺は最初の町で、ネクロマンサーの職業依頼をこなしているんだ。
これをこなすたびに善性によって行くのがわかる。
心中は除外されるが、表に出せば即効でカルマが変動するんだ。
さらなる慈善事業のために、カルマは100を超えさせたい。
また職業クエストをクリアすると、敵を撃破するときと同じように経験値が入るのがいいね。このゲームは少々特殊で、職業とキャラ自身の経験値が違うんだ。
ネクロマンサーが、魔物を倒しても職業経験は上がらないがプレイヤー経験が溜まる。逆に戦闘職が魔物を倒すと、プレイヤー経験よりも入ってくる。
つまりは実績みたいなものかな。
ちなみに自分の実力に合わない行動をした場合、プレイヤー経験は上がるが職業経験は上がりにくいらしい。下克上はやらないほうが、いいぞっていうこった。
「あんちゃん、またこの依頼を受けてくれたんだってな!」
「はい! 皆様の健康健やかな生活の為、頑張りますよ」
「ありがてえ。ヤミ、こっちだ!」
「わかりました!」
依頼のある村に来て、鎮魂・慰霊・浄化を行う。
この村は魔物の森が近いせいか、たまに襲撃されてその際に人が殺されることがある。惨殺されることがあるので、鎮魂・慰霊・浄化は大切なんだ。
でクエストクリア100件目なんだけど、この彷徨える魂とか無念の魂・刹那の侍魂とか134個くらいある。何に使うのかわからないし、非売品扱いで売れない。さらに捨てることすらできないというもの。
幸いアイテムカバンの重量現界に引っかからないので助かっている。
こんな肥やしどうするんだろう?
そういえば、この儀礼剣も白銀で作られただけのおもちゃなのに、無駄にするどいんだよな。何をするためなんだ?筋力補正-10とかなっているが。
「じゃ、頼むぜ」
「はい。お任せを!」
というわけで、除霊バトルです。
訳わかめだと思うけど、ほんとうにあるんだよ!
別に相手が人生を語ってそれを口説き落とすわけじゃない。
無念や苦しみ悲しみ辛さ痛さを、俺に向かって念を向けてくる。
それに耐えてこちらの術で抑えてまとめ、この地から引きはがすのが役目なんだ。
<イタイ 苦シイ 怖いヨオ 死にたクなイよお>
<オ前も 纏めテ あノ世へ 連レて>
「残魂よ 世に呪縛されし者共 我 救済する者 今 解放する」
ぐおおおお!?
身体全体に執念が押しつぶしてくる!
負けてられっかよ。仮想とはいえ、この世界で生きていた者たちだ。
ならば、この俺の手で、完全に救済してやる……!
お前たちに拒否権はないのだ!
くらえ、偽善の志。
「救魂 解放 呪縛 散解!」
“ジャスティスソウル”
< 嗚呼 此処が ヴァルハラ か >
< 天獄 に やっと 行ける のね >
餓鬼と化した大和魂と救われぬ魂を入手した。
今日も又、魂か。何個集めればいいのやら。
「終わりましたよ」
「ありがとう……有難う……!」
握手と共に涙を流して感謝された。
よかった。この人も苦しみから解放できたんだ。
たまに怒りを買うからなぁこの仕事。
というわけで、依頼主の個人的な報酬を固辞して、正式な報酬を職安よりもらい受けた。魔法も剣も銃もあるけれど、ギルドとかそんなものはないぞ。
基本的に日本語が多い。
それはともかく、今日も俺はとある場所へ来た。
そこはネクロマンサーにとって大事な訓練場だ。
つまり墓場だ。
さらにこの町の北にある王都に行けば、そこら中に霊がいるので好きに職業経験を積める。そう、人生が修行となるんだ。
「さて……俺の力をみせてやる!」
今日のお相手は、不倫した元夫が再婚相手に美人局されカツアゲの後臓器売買で消毒不十分のメスによって内蔵へ感染症が発生し、間もなく死んだ自業自得な男の墓だ。この墓は、元妻が作ったもの。
不倫された理由が不明瞭のまま、夫が臓器を抜かれて帰ってきた。
そのあと高熱と吐血を繰り返し、最後は絶叫を上げて死んだのだ。
彼女は無念と後悔と失われた希望ある未来を夢現に夢想しながら、
この墓を作ったのだ。簡素な木の板。そこに墨汁で書かれた彼の名。
同情全くなしで、全力サンドバッグアタックを行う。
ヒャッハー!無念を抱いて地縛霊になった奴をフルボッコにすんの、楽しいぜ!
ふーっ、職業経験が上がりまくるわー。
まあ、こんな娑婆でやらずとも、王都の広場で日向ぼっこをする真似をしながら、除霊・鎮魂・慰霊・浄化をした方が簡単に上がるんだけどな。
ただ、あそこの城下町に入るのに、許可証や資金が必要だからあまりいけないんだよ。