「これは?」
「王都で鎮魂祭をやるので、死霊術師の方々に招待状です。
といっても、あなたしかいないんですけどね」
「この町は、が付きますよ」
「そうですね。あ、そういえば、慰霊100件おめでとうございます」
「いえいえ、私も働けてうれしいですよ」
「あなたのおかげで、この町にたまる欝憤が晴らせて町長も嬉しがっていました」
「そうですか。あまりこういうのもなんですが、また慰霊等死霊術師の力が必要な依頼が
ありましたら私に斡旋してください」
「私情と個人的な支援格差はだめなんですが、現状あなたしかおりませんし
構いませんよ」
俺は感謝を述べて、その鎮魂祭へむかうことにした。
鎮魂祭っていう言葉は、あまりよろしくない感じがするが俺は別にいいと思う。依頼先でも、仕事前に依頼主の方と共に楽しくやると怒ったり興味本位や雰囲気に混ぜてほしそうに霊が出てきたりする。
そうすると除霊や慰霊が簡単に済むんだ。
そんなわけで、俺は祭りやら文化にして市井の心に刻む方法に関して全面的に肯定するよ。
「始まりの王都だ。入場料は――」
「紹介できました」
「おお、あなたが噂の始まりの町の死霊術師ですか。
どうぞ、ようこそおいで下さいました」
「ありがとうございます」
門をくぐると、そこは別世界というべきものだった。
始まりの町は、昭和日本家屋という感じでごったがえしていた。
しかしこの王都は、基本的に白い石ばかり。完全に欧州と化している。
世界観がごった煮しているんだよなぁ。面白いからいいんだけども。
行くのはこの王都にある職安だ。
普通は王城に向かうのだが、この鎮魂祭は戦争の慰霊なのでいろんな人が集まる。なので職安経由は職安に向かうのがいい。
向こうからもそのように指示でてたし。
「お、君が始まりの町の死霊術師か」
「はじめまして」
職安で紹介状を提出すると、受付の青年がそういう。
物珍しそうだけど、本当なんだよなぁ。
「知っているだろうけど、明日がそうさ。処理はこっちがしておくから、これをもって王城にいきな。同業者がいるから、リハーサルしてけ」
「わかりました」
俺は青年に封筒をもらって、出店や市場がでている広場に来る。
色んな人が行きかい、人を呼び込むための声が響き渡る。
そんな中俺は、広場にある噴水近くのベンチに座る。
涼しんでいるように見せかけて、慰霊と浄化・鎮魂の術を使う。
「っ!」
俺の体力や魂を削る重圧。
そして術をつかうとさらに鮮明にわかる、“死”と“殺”の意思。
遠巻きから見てもこの王都は、圧倒的な死の雰囲気を周囲に放っていた。
最初はそれに息をのんだが、今では俺の実力を測るのにちょうどよいものとなっている。
色濃いと実力にあっておらず、周囲に漏れ出すように見えると自分の実力が高くなった証拠だ。少しの残滓も逃さない。
<誰ダ 我が眠りを妨げるモノは 姿を 矚せろ>
<殺すコロスコロすコロ コ 戮す>
<此処は 王の御坐 何人たりとも 犯す事は 赦さぬ>
<無礼者 跪け>
座っているから跪けんよ。そこらで購入した焼き鳥を頬張りながら、俺の状態をごまかす。だがこの冷や汗と恐怖を誤魔化すことはできない。
あまりの恐ろしさに、貧乏ゆすりをしてしまう。
性悪や性善に操られるプレイヤーがいるであろう喧騒を睨みつけながら、
圧倒的な権威的象徴を相手する。
まあ、もうわかっているだろうが、この王都は戦場になっただけではなく王の上にいる法皇の墓所の上にも立っているのだ。
魔法やら魔術的見解で、龍脈効果があるとしてこの地にいろいろ集約しているのだという。
あまりの恐ろしさだ。その政策のおかげで、霊験もはるかにおどろおどろしいものに変貌している。この体験は他者にはわかるまい。
「……」
「よおそこの兄ちゃん」
「はい?」
「あんた、プレイヤーか?」
「そうですよ」
「そうか」
「何か御用で?」
「珍しい服着ているな、なんてなぁ」
「初心者の服なので、金になるものはありませんよ」
「どういう目したらそう疑うんだよ」
「貧弱な見た目で絡んでくる者は多いのですよ」
「前途多難だな」
「よくある話です」
見た目山賊っぽいごろつきだが、背中に見えるのは何とも大きな斧。
戦士っぽい。何か特殊技能か歴戦の証をもっているのかねぇ。
そのおかげで、そのいかつい顔がさらにいかつく見える。異様だ。
「そうだ。俺は戦士のラギナだ」
「? 死霊術師のヤミです」
「やっぱそうか……お前が唯一の被害者か」
「なんのことでしょう?」
なんのことか。別にウィキで自分がしたいことを検索して、そのままやれそうなものを選んだだけなんだけどなぁ。
で、案の定wikiでそういう嘘っぱち情報が流れたみたいだ。
しかしその情報は運よく運営に消され、ちゃんとした情報になった。しかし、この情報が嘘だとなったら、ゲーム運営に支障が出るということでなにかあったらすぐに対応するようにしたいと言っていたらしい。
「謝礼もらえるぜ」
「きっとリセットの無料実行なだけですよ。再生成に1000円かかりますからね」
「ケチだよな」
「人生にやり直しはありませんよ?」
「そだな。で、ヤミはなんでまた、そんなもん選んだんだ?」
「単純に偽善といわれる慈善事業をしたかったからですね」
「各々いろいろあるがよ。戦闘が売りなんだから、そっちもためしたらどうだ?」
「死霊術師だけでくっていけなくなったら考えて見ましょう」
「ここで会ったのも何かの縁だ。フレ登録しようぜ」
「わかりました」
俺はこの屈強ないかついごろつきっぽい戦士、ラギナと別れた。
といっても俺は、あの会話中でも絶賛鎮魂戦闘の最中だったんだがね。
やはり象徴の群衆だ。非常に厄介。だがこの急激に増えていく職業経験を尻目に、徐々に脅威を抑えられて行っていることに快楽を覚えているのも事実だ。
クッキーゲームが好きだから、このくらいの作業なんぞ造作もない。
<幾珀 幾億 之 時代を 超えて来た 兵共 を 鎮められるか>
お前たちには負けない。今敗北したとしても、必ず鎮めて見せる。