「ようこそ、始まりの町の死霊術師」
「初めまして、ヤミです」
「皆様がお待ちです」
時間が来たので、一度鎮魂をやめてこちらの王城の第一南門に来た。
そこにいる衛兵に、こちらの手紙を渡せば奥に通される。
ここら辺は警備が厳しく、あまり人の目がない。
やはり重要地点はちゃんとしているな。
そして俺の目に見えるのは、強大な霊の力。
視界を埋め尽くすこの力は、龍脈やら他の霊以上の何かがこの場に多くとどめられていることが容易に判明する。
俺がこの鎮魂祭が得られることは結構多そうだ。
それに相手がAIだろうが、質疑応答に応えられる能力はあるだろう。
だからこちらの質問や知らないことを先輩死霊術師のやつらは、教えてくれるだろう。
「拝謁時間が間近です。王に無礼を働かないでください」
「わかりました」
そうして長い階段を上ってへとへとになって、ようやく最後の門番に導かれたその先。普通では入れない王城の謁見の間に入れた。
たぶんこの国の王に合うのは、始まりの町出身者では俺が最初だろうな。
このオープンワールドは、他にも町があるだろうしその町の出身者もいるだろう。だからこの始まりの町出身者という表現をしたんだ。
きっと死霊術師は、他にも存在しているだろう。
そうじゃないと需要なしとして、死霊術師の職業がなくなるだろうから。
時間になった。
「今年も鎮魂祭を行えることを、天日様に感謝せねばな。
さて、明日は諸君らも存じているだろう鎮魂祭がある。
この鎮魂祭は、この王都を含め国家の安寧のため地政学的優位の為、全力で執り行っていただきたい。死霊術師になるには、先天的で繊細な能力がなくてはならず、さらに頭脳明晰さや他社に信用される魅力がなくては成り立たん。
そのような稀有な能力をもった貴殿らを、50名も抱えることができて非常にうれしく思う。貴殿らに国境はなかろうが、どうか懐かしく思う故郷をこの王都もついでに思い出してほしい。では、よろしくお願いいたします」
俺は礼をした。他のやつらはしなかった。
一応もなにも、雇用の関係なのだからここは偉ぶらず会釈をする。
しかしこいつら会釈しないとは、教養が低いな。
それとも王の言うような希少性から、選ばれし者として天狗か傲慢になっているのだろうか。
俺はこの職業に誇りを持っている。だからと言ってその境遇に驕らず、毎日の出逢いを大切にして仕事にとりかかっている。
王が退室すると、大臣が口を開く。
「詳しい日程はこちらの封筒に封じてあります。
皆様、明日は宜しくお願い致します」
大臣の指示で動く配下は、俺たちに封筒を渡していく。
受け取った奴らは、そのまま帰っていく。
彼らは見えないのだろうが、俺ははっきりと見えてしまった。
その黒い笑みを。
俺は唖然としてしまい、受け取った後も放心してしまった。
「死霊術師殿?」
「っは、はい」
眼前には髭を蓄えた紳士風の方がいて、俺に確認を取ってきた。
危ない危ない。放心状態でここに居座るところだった。
「すみません、すぐに出ていきます」
「申し訳ございませんが、こちらにいらっしゃってください」
「へ?」
思わず動揺し、聲が震えた。
何か間違えたことをしてしまったのだろうか?
放心か?放心なのか!?
ゲーム開始早々、やっちまったのだろうか。
「勘違いさせてしまい申し訳ございません。王にあって頂きたく申し上げます」
「はいっ」
あまりの事件に声が上ずる。
俺の様相が面白かったのか、微笑んでご丁寧に案内していただいた。
やべー、王に目を付けられるとかぱねーわ。
指名手配ってなかったよな?まさかプレイヤーが、何かしたのか!?
だとしたら普通にまずい状況なのでは!?
といっても社会経験が十全じゃないから、どういう対策を立てればいいのか全く不明瞭だ。未知なる状況に、俺の心拍数は上がるばかりだ。
「樂にしなさい」
「はい」
がちがちに固まる。
先に着席してどうぞと譲られたので、失礼しますと一礼して座る。
あまりのガクブルだ。
どんな無理難題を押し付けられるかたまったもんじゃない。
周囲には上から数えた方が早そうな大臣がたくさんいらっしゃる~~~↑
「恐れる必要はない。ただ確認しておきたいことがある」
「ナンデショウ」
「君は始まりの町にて、たった一週間で100件も鎮魂・慰霊を行ったそうじゃないか。その腕を見込んで、不測の事態に備えてほしい」
「?」
「……今年は第一皇帝憲法公布の参千年記念だ。つまり、国として成立するために戦った多くの将兵が、いろいろ湧き出てくる。このいろんな意思を抑えてほしい」
「なぜ小生にそのようなことを?」
「最近は文化や化学・魔術の発展によって、自然崇拝を主幹とした宗教離れが深刻化している。おかげで、死霊術師の人手不足と高齢化が深刻なんだ」
大日本民主主義帝國と同じ状況に陥っているのか……。
さらに高齢化による能力の低下もあるのだろう、人手不足と共に高齢化の言葉もでた。つらい現実だな。
「なぁに気負う必要はない。最後列で先輩方の鎮魂術を見て、学んでくれればいいんだ」
王様は朗らかに笑う。
よかった。容姿とプレイヤー経験・職業経験が、完全な信用につながっている。プレイヤー経験も、運よりも信用に大目に振っている。
魅力もいいんだけど、必要以上に人の視線を集めてしまうので、これもある程度まででいいだろう。
「そうだな……。死霊術師に関する写本を君に授けよう」
俺は王様の隣にいる大臣より、死霊術師について書かれた本をもらった。
写本と云うのだから、きっと本物とは一部変更を加えられているだろう。
如何に未來の熟達した死霊術師になる人間であっても、そう簡単に秘術関連を見せるわけにはいかない。普通はそう考える。
「死霊術師の可能性の一部しか、そこに書かれていない。完全な答え合わせは、君がその眼で直接見るんだ」
「はい」
「では、さがっていいぞ」
背景無地で座標付きでも、カメラモーションあったら映像投稿していいんですかね。
てかAIきりたん、活舌悪すぎる。まあ、テンポ186で16分音符連続は無理か。