けど一度書いてみたかったので軽い気持ちで始めてみました。
DIO様ファンとギル様ファンには御免なさいです。
どうやら俺は転生したらしい。
学校の帰り道、轢かれそうになっていた幼児を庇った瞬間、全身を襲った強い衝撃と共に視界が暗転した。
本来死ぬ筈の無かった俺が死んだのは神様のミスだったらしく、死なせてしまった詫びに所謂"特典"という奴を貰った。
良くあるお約束の展開だったが、そのおかげで俺は誰にも負けない究極の力を手に入れた。別にこれを狙って幼児を助けたわけでは無かったが、何の刺激もない退屈な日常から抜け出せたことに俺は歓喜した。そして転生し力を得た俺はーー
「はぁ、はぁ♡」
上半身を露出させた裸の女の前にいた。薄暗い部屋の一室に妖艶な女の声が響く。
荒い息を吐く女は、欲情を抑えられないのか自分の胸を揉みしだく。恍惚な表情を浮かべ、今にも俺に向かって飛びかかりそうな勢いの女は口から唾液を垂らしながら言葉を紡いだ。
「とても、とても美味しいそうな匂いぃ…ッ!!」
「……下品な女だ」
と言いながらも俺自身、その女を前にして興奮していた。
平然を装ってはいるがなにぶん初めての行為なので、若干身体は強張っているし、それは表情にもでてしまっているだろう。内なる自分をもう抑えられそうに無かった。
「はぁん♡」
突如、女の豊満な胸の先端から白い液が飛び出した。
勢いよく飛び出す色濃いそれは、俺の全身を染め上げんとばかりに向かってくる。かと言ってそのままだと、俺の服を汚しかねないのは火を見るよりも明らかだ。
「……『
だが、それが俺の全身を染め上げるよりも前に、自分の内から金色の巨像が飛び出した。
人型を保ったそれが拳を床を叩きつけると、轟音と共にその床は剔れ、盛り上がった床だったモノが女の飛翔物から身を守る壁となる。
その壁は液体を浴び、異臭を放ちながら見るも無残に溶けていった。
俺の身を守った巨像の正体、その名も『』ッ!
"パワーを持った像"とも称されるそれは、目に見えない超能力という異能の力が目に見える形になったモノで、これが俺が神様に貰った特典の1つだ。
そして、『』には精神エネルギーという存在が深く関わっていて、その能力の優劣も持ち主の精神力によって変わってくる。
つまり、『幽波紋』とは精神、すなわち内に秘めたもう1人の自分と言っても過言では無いのだ!!
上記の文を読んで卑猥な事を想像した人は心が汚れています。正直に手を挙げてごらんなさい。先生、怒らないから。
そもそも
と言っても、黒い毛に覆われて腹の人1人を丸呑み出来るサイズの大口、おまけに四足歩行の明らかに人間ではない怪物だ。
「だけど、それ以上に綺麗なお顔…気に入ったわぁ!貴方は手足をもいだ後壁に飾ってあげる♡」
そう言った異形の女は巨大な脚を振り下ろし、あろうことか俺を踏み潰そうとしてきたではないか。
「ハッ!俺を手足をもぐだと?大きく出たな雑種ッ!!」
「あ?何を言って…ッ!ぐぎゃぁぁああぁぁッ!?」
女目掛けて放った拳は振り下ろされたその足を破壊し、その痛みから女は悲鳴をあげる。
しかし、それを放ったのは俺の拳ではない。
女には何が起こったのか分からない様で、醜く歪ませた顔でこちらを睨みながらも困惑した様子を見せた。
「おっと、軽く払った程度の力だったのだが……貴様には些か強すぎか?」
「お前お前えぇぇッ!!この私に何をしたぁぁッ!?」
「ふむ、やはりと言うべきか貴様には
その言葉に続けてクハハハと笑い声をあげる俺。此処まで煽る気は無かったのだが、転生した代償なのか、何処ぞのAUOみたいな喋り方になってしまっている。が、カッコいいから気にしていない。
当然、此処までされて怒らない奴などおらず、案の定女は激昂し俺に向かってきた。
「もういい、お前は殺す…ッ!!殺してやるぅぅッ!!」
「いい加減、貴様のその声は耳に障る──『
俺の呼びかけと共に現れた金色の人型は、出て来ると共にその能力を発現させる。瞬間、"世界"のこの世に存在する全てのが動きを、呼吸を、心臓の鼓動を停止させた。それは耳障りな女同様で、辺りにはさっきまでと打って変わって辺りに静寂が訪れた。が、死んだ訳ではない。
「『世界ザ・ワールド』…時を止め、その止まった"世界"の中で動く事を可能にする幽波紋スタンド、世界さえ支配する能力"とはよく言ったモノだ。」
『ジョジョの奇妙な冒険』というアニメの第3部において、ラスボスのDIOが使っていた
その中でも、『世界』という幽波紋は時を止め、9秒と短い時間ではあるが、時の止まった中でそれだけの時間を動く事が出来る。まぁ──
「時の止まった"世界"で9秒と言うのも可笑しな話だがな…」
なんて軽口を零しながら、俺は時の止まった"世界"で目の前にいる異形の存在に向かって、ゆっくりと歩を進める。
今にも俺を喰い殺さんとする異形の女も、今では奇怪なオブジェに過ぎない。時の止まった世界ではその中で動く俺の事を、いや、時の止まった事すら認識できず、ソレがどんなに優れた存在であろうとも──
「時の止まった世界にはただ1人、この我だけだ……無駄ッ!!」
唯のサンドバッグに成り下がる。
一発の拳で異形の身体はひしゃげて、その鮮血が宙を舞うが、ソレも空中で動きを止める。
そして奴の胸を貫いた拳を引き抜くと、『世界ザ・ワールド』による時間停止を解除させた。
「……時は動き出す」
「──ッんな!?ぐごあああああッ!!」
時計が針を刻む様な低い音と共に"世界"に色が戻り、時が再び刻み始める、と同時に異形の女が悲鳴を上げながら吹き飛んだ。
血を撒き散らしながら家具にぶつかり女。そこから大量の埃が舞う中、俺は蹲る女に向かって歩き、距離にして5メートル位の位置でその足を止める。『世界ザ・ワールド』の射程距離、10メートル圏内だ。
「この我に手を出したのだ。この程度でくたばってくれるなよ── と、言いたい所だが…もはや立ち上がる力もないか」
未だ呻くだけの女にそう告げる。
『世界ザ・ワールド』の試運転という事もあり、もう少し技を試したかったのだが、相手に戦う力は残っておらず、満身創痍なのが見て取れた。
「ならば死ね」
「ぁ゛ぁ……た、たすけ──おぶッ!?」
『ザ・ワールド』の拳が女の脳天を叩き潰す。
物凄い衝撃音と共にその顔は地面に埋まり、痙攣していた身体は程なくして動きを止めた。
役目を終えた『ザ・ワールド』は透けるようにして消えていき、それを見届けた俺は小さく息を吐いた。
「はぁ…人の道を外した人外とはいえ、所詮はこの程度。半端な力を持った者程あっけなく死ぬモノだ」
本来であれば別で聞きたい事もあったのだが、あれは見たところ力に溺れた愚者の末路、生かした所でまともな情報など得られなかっただろう。
一戦を終えた俺は軽く息を吐き、目にかかった前髪をかきあげる。
転生した事により得た、常人を遥かに超越した力。死んだ後、神様にあった時はそれはもう歓喜したものだ。