艶やかな藤の華を添えて   作:ちょっと通ります

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上手く続けられるかはわかりませんが、頑張ってみます。

アンケート投票ありがとうございます。
蒼紫には呼吸無しの方向で行きたいと思います。


第2話 御頭は新天地で準備を進める

「…あの、蒼紫さん。大変でしたね…。憶測ですが血鬼術―なのかもしれないです。ああ、血鬼術っていうのは強い鬼が使ってくる特技のようなもので個体によって違ってくるんですよ。すみません、俺なりにあり得る可能性を考えるとこれぐらいしか思い浮かばないです。―もしよろしければ当面は鬼殺隊の方で過ごしてはみませんか?」

 

(…どうやら嘘では無い様だ。ほぼ間違いなく俺がいた世界とは違うだろう。鬼は古くから至る所にいるらしい。ならば俺たちの情報網に引っかからない事などあり得ない。至る所にいるというのも実際に迷い込んで一日とかからず目の当たりにした以上、確かな情報の可能性が高い)

 

 後藤は鎹鴉に頼んで帰る場所を探してもらう事も考えたが、行く当てがないとのことからこの案を飲み込むことにした。

彼自身の是非隊員になって欲しいという本音は置いといて、自分を助けてくれた恩人が着の身着のままいきなり離れた土地に放り出されたというのは何とかしたいのだ。

 

「色々とすまんな、少しの間お世話になる」

 

「はい!明日には返事が帰って来るでしょう。承認され次第出発しようと思います」

 

「ああ」

 

「―それにしても凄いですね…呼吸も無しにあれだけの強さを持っているだなんて」

 

 呼吸も日輪刀も無しに鬼を倒すのは並大抵の事ではない。

恐らく岩柱や風柱、霞柱といった例外に当たる存在なのだろう。

彼らが最高戦力たる柱まで上り詰めている事を考えると素質なんてものでは済まされないと後藤は推測する。

 

「あの!時間がある時でいいので俺を鍛えてはくれませんか!?仲間達の役に立ちたいんです!」

 

 そう言って正座して頭を下げる後藤、彼を助けたあの動きは呼吸を介したものでは無いらしい。

鬼殺隊に入る者の殆どは鬼によって身内を殺された者達だ。

剣の才能が無かった自分でも出来る事をしたいのだ。

 

(―仲間、か。)

 

「…庭へいくぞ。就寝するまでの時間を無駄には出来ん」

 

 直ぐに準備をし庭へと向かう蒼紫。

彼は口数が少なく表情は乏しいが本当に面倒見がいい。

蒼紫は己だけに要職が用意されているという事を良しとしなかった。

癋見、火男、式尉、般若。

次々と己の進む道を見つけ離れていく中、戦いにしか生きる場所を見つけることが出来ない彼らの為に、最期まで見捨てる事の無く世話を焼いていた御頭。

 

 

「本当にいいのか?今なら間に合う。やるからには訓練は相当に厳しくなるぞ」

 

「鬼殺隊の職に就く時に覚悟は決めています!よろしくお願いします!」

 

「―そうか、ならばもう止めん。まずは方針を決めるぞ」

 

「方針…?ですか?」

 

「ああ、鬼殺隊士として貢献したいのか。隠として貢献したいのか。恐らく求められるものは違うだろう。当然、鍛え方も違ってくる。後藤はどうしたい」

 

「俺は…、剣士としての才能はありません。隠として貢献したいです」

 

「わかった。それでは始めるぞ。事後処理をすると言っていたな。よって筋力や速さといった基礎を鍛えよう」

 

 蒼紫の訓練はとても激しいものであったがその知見は的確であった。

後藤も隠だ、人を背負って運んだりもする。

人を背負いながら長い時間運べるぐらいには鍛えている。

そんな彼をしても蒼紫の修行は知らないものも多かった。

 

 蒼紫は般若を一流の密偵へと鍛え上げた実績がある。

拳法家としても伝説の人斬りと呼ばれた剣心をしてお前ほどの強者と言わしめたのだから相当であろう。

 

「ハァ…ハァ…、も、もう限界…」

 

「―よく頑張った。これを渡しておく」

 

「ゲホッ、ゲホッ…蒼紫さん、これは?」

 

「―筋力を増強する秘薬だ。鍛錬の後に使うと効果的だ。組み合わせもある以上、他の薬との併用は避けるべきだろう。一宿一飯の礼として今渡せるのはこれぐらいだ」

 

 蒼紫が渡したのは御庭番衆内部に伝わる秘薬。

そう簡単に作れるような代物ではない。

ほぼ間違いなく流通や製造はされていないだろう。

後藤が渡された丸薬は3錠ある。

 

「…得体のしれない薬では安直に服用するのは難しいだろう。一粒選べ、俺が飲む」

 

 助けてくれた蒼紫でも知らない薬を渡されてすぐ服用するのは怖いだろう。

それが筋力増強の効果があると言われれば尚更と言える。

そう言う事ならと一粒渡すと何の躊躇いも無く服用する蒼紫。

信じがたい話ではあるが色々と問題のあるものでは無いらしい。

 

「明日はよろしく頼む」

 

「はい!蒼紫さん!ありがとうございました!」

 

「しっかり体を休めておくといい」

 

――

 

 翌日、蒼紫を鬼殺隊の本拠地へ連れて行く事を承認する内容の連絡が届いた。

それと共に出発する二人。

かなりの距離がある為、到着する頃には日が暮れていた。

移動する間にも視線だけ動かし色々と観察する蒼紫。

建物や品の種類から未来に来てしまったというのはほぼ間違いないと確認できた。

 

「お待たせしました。ここいら一帯が鬼殺隊の本拠地となっております」

 

 広い、第一印象はその一言で表せた。

政府非公認組織として存在している為、場所を確保するだけでも相当に骨が折れる筈だ。

鬼からの襲撃から逃れる必要性もある以上は秘匿性にもそれなりに気を遣ってきたのだろう。

規模が大きくなればなるほど難しくなるものだ。

 

「後藤殿。世話になっている間、俺は何をすればいいだろうか?」

 

「そうですね…とりあえずはあちらに見える鍛錬場で最終選別に向けて、鍛錬をして頂くのが無難かと思います。っていきなり敬語にならないでください。どうしたんですか!?」

 

「仮にもこちらで世話になるのなら、俺は新人だ。先輩に当たる者に敬意は必要と考えてな。最終選別とは、鬼殺隊士として必要な活動する為の試験のようなものでよろしいだろうか」

 

「鬼殺隊は実力が重視されるので問題ないですって。それに蒼紫さんぐらい年上に敬語を使われると周りも混乱するのでやめて貰えると助かります。選別についてはその認識で問題ないです。蒼紫さんは呼吸は使えませんが、そちらは問題ないぐらい強いので…」

 

 鬼殺隊に所属する者は総じて若い、その殆どが20にも満たない年齢だ。

25になる蒼紫よりも年上となるともう数えるほどしかいない。

後藤の目の前で倒した鬼は血鬼術こそ使えなかったが、異形化する程に強かった。

そんな相手を朝まで切り倒すとなれば、人を2、3人しか食べていない最終選別の鬼が相手なら尚更だろう。

 

「わかった。敬語は控えよう。それと言いよどんだのは刀の心配か」

 

「はい、いくら強いとは言っても通常の刀で1週間戦い続けるのは流石に無謀かと。鍛錬をしている間に日輪刀が届くのを待ちましょう」

 

「頼みがある。昼間はそれでいい、夜の間は隠として任務に当たらせて欲しい。鬼について俺は詳しくない」

 

 彼が最終選別に向かうまでに改善したい不安があるとすれば、鬼に対する経験の少なさである。

人が相手ならば経験は豊富であるが、その経験がすべて活かせるかと問われれば否であろう。

 

「鬼殺隊は人手不足ですし、出来なくはないですけど…。体力的には勿論ですし、精神的にも厳しいですよ?」

 

「構わん」

 

 

 場所を鍛錬場に移し、体を鍛える事にした蒼紫。

 

「あれ?見た事無い人がいる。この時期に珍しいなぁ」

 

 鍛錬場に入って来たのはサラサラとした髪が特徴ではあるが、どことなく地味な印象の青年であった。

最終選別の直後ならいざ知らず、直前に控えたこの時期に知らない大人が鍛錬をしていれば目に付く分気になったのだろう。

 

「俺は鬼殺隊士の村田というんだけど、名前を聞いても?」

 

「四乃森蒼紫という、諸事情によりここで世話になっている」

 

「そっか、蒼紫さん。良かったらだけど稽古相手になって貰ってもいいですか?呼吸は何か使っていますか?」

 

「呼吸法は修めていない。それでもよければ」

 

「わかりました。怪我はしない様に少しずつ確認しながら御相手します」

 

 お互い木刀を構え、対峙する。

蒼紫は使い慣れた短いものだ。

 

「あの…短いものでいいんですか?間合いの関係上厳しいですよ?」

 

「気にするな。俺にはこれが合っている」

 

「そうですか、それでは行きます!」

 




アンケートの締め切りは4月10日に0時にします。
そのほかのヒロインがいい場合はコメントなどで返していただけるとありがたいです。
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