ヒロインはしのぶさんで行きたいと思います。
蒼紫は人誅編を越えた後を想定しているのでかなり強くなってます。
動いたのは村田の方だった。
ヒュウウという独特な呼吸音と共に横薙ぎを繰り出す。
水の呼吸 壱ノ型 水面斬り
型の確認と呼吸を知らない相手への力量を気に掛けた単調な横薙ぎ、大して力も入っていないその技を蒼紫は小太刀で簡単に受け止めてしまう。
(なるほど、手を抜いた状態でこの威力。呼吸によって身体能力を上げているのは間違いなさそうだ)
僅かに見える水の流れ、ただしこちらは見えるだけで実際に発生している訳ではなさそうだ。
確認も込めた村田の剣筋を蒼紫はひたすら受け止めてゆく。
彼らの実力、特徴などを把握するためにしばらくはあまり攻撃はしない。
(冗談じゃない!なんで呼吸も無しにこれだけ防げるんだ!?)
思った以上に実力があったからだろう。
少しずつ力を引き出してゆき、今では村田も本気で打ち込んでいる。
にもかかわらず全く通用しないのだ、相手が鬼ならばいざ知らず人が相手で呼吸も無しにこれだけ簡単にあしらわれるとは…。
弐ノ型 水車による垂直に回り乍らの打ち込みを真正面から受け止め、参ノ型 流流舞いによる流し切りを独特の身体捌きで受け流してゆく。
そして肆ノ型 打ち潮の激流を想わせる激しい打ち込みも足を止めて小太刀で全て受け止めた。
「色々と勉強になった。ここまでにしよう」
そう言うのと同時に喉元へと木刀を突きつける。
呼吸法は喉を打ち込まれでもしたらそれで止められてしまうのだ。
「―!負けられるか!」
(何…?)
村田にも意地がある、目の前で止められた木刀に怯むことなく、一太刀浴びせようと肉薄してきた。
喉への被害などお構いなしの突撃。
水の呼吸 漆の型 雫波紋突き
数多くある水の呼吸の型の中で最短距離を貫く最速のこの技で一矢報いるべく決断する。
バシィ!
渾身を込めた一撃は彼の目の前で止められる。
残った片手で雫波紋突きを掴み取ったのだ。
信じがたい力と反射神経。
「見事な覚悟だ。弱点を突かれようと死中に活を求めるその意志と行動は称賛に値する」
(完敗だ…。呼吸も知らない相手に全部防がれるなんて…)
ただ防がれただけでは無い、態々こちらの攻撃の土俵に合わせられての防御と回避だ。
最後の止め方など未だに信じられない。
「呼吸というだけあって喉やその周りへの攻撃には気を付ける必要があるのだな。最終選別に向けて調べていかなくては」
「ぇ、ぇぇっ…?」
後輩、どころか最終選別すら抜けていない相手だった。
自分だって曲がりなりにも鬼殺隊士だ、痩せても枯れても誇りがある。
同期の冨岡と比べれば遠く及ばないだろうが標準的な実力は有しているつもりだ。
「喉の負傷はすまんな。治療したいのだが生憎来たばかりで場所がわかっていない。どこに行けば治療をして貰えるだろうか」
蒼紫の問いに、指先で示しながら案内をする村田。
これからの事を考えると知っておいて損は無いという理由もあるが、何より怪我人を放っておく訳にはいかない。
肩で担ぎながら場所を移す。
―
行きついた先は、花が咲き蝶の舞う大きなお屋敷だった。
「お邪魔する。こちらが治療の為の施設であっているだろうか」
喉を傷めている彼に代わり蒼紫の声が響く。
「どなたですか!!」
吊り目のどことなく勝気な雰囲気を持つ少女が力強く答える。
蝶を象った青色の髪留めで髪を結った姿がとても印象的だった。
「怪我人の方と、その付き添いの方ですね。こちらへどうぞ」
慣れたものなのか、すぐに治療室へと案内される。
鍛錬中の負傷なので詳細はすぐに説明が出来たし直ぐにちゃんとした治療が出来るのは大きい。
「アオイ、ご苦労様。初めまして、蝶屋敷の責任者の胡蝶しのぶと申します。今日はどうされましたか?」
「しのぶ様、喉へ木刀を受けたそうです」
通された先にはやや小柄な蝶を模した羽織と髪飾りを身に付けた女性―胡蝶しのぶが朗らかな笑顔で迎える。
予想外の担当医に村田の表情がみるみる青くなっていく。
「―成程―。鍛錬の時寸止めされた木刀に自分から突っ込んだんですかー。気を付けて下さいね?鍛錬で喉を傷めるなんてもっての外です」
すみませんと言おうとして掠れた声しか出せなくせき込んでしまう村田。
しのぶの言う通りだ、鬼殺隊士にとって喉は生命線である。
鍛錬という非常時ですらない時に、痛めるのは駄目であろう。
声が出せないなりに伝えたかったのだろう。
村田は蒼紫の掌を開かせる。
素手で木刀を掴みとった際に怪我をしていないか心配だったのだ。
幸いと言っていいのか簡単な消毒で済む軽い怪我すらなかったが。
「これは…そちらの方と手合わせしたのですか?」
「ああ、負傷させてしまいすまんな」
「いえいえ、止めていた以上、貴方に落ち度はありません。あなたのお名前を聞かせて貰ってもよろしいでしょうか?」
「諸事情により本日からお世話になる四乃森蒼紫という。最終選別にむけて、呼吸というものを知りたくて手合わせして貰ったのだ」
しのぶは眉をひそめる。
いくら鬼殺隊士の質が落ちているとは言われても、一般人と比べれば圧倒的に強い。
村田はあまり目立つ存在とは言えないがそれなりに強い部類に入る。
呼吸自体を知らない相手に後れを取るとは考えにくい。
「なるほど~、そういう事でしたらアオイに説明をして貰うとよろしいかと思います。本当は私が説明するのがいいのですが、生憎と任務が立て込んでおりまして…」
「しのぶ殿は相当上の階級なのだろう。忙しいなか治療を受け持っていただき感謝する」
「まあ、しのぶ殿だなんて、どうして私が相当の階級だと?」
「村田もアオイ殿とも制服のボタンが違っていた。金色という事は上の階級なのだろう」
「中々面白い推察ですね。正解です。私、胡蝶しのぶは鬼殺隊の柱という役職についております。あ、柱というのはですね鬼殺隊士の中で最上位に位置すると考えてもらえれば結構ですよ」
「手練れという事か。時間が押しているのだろう。これにて失礼する。アオイ殿、この後、教えて貰ってもよろしいだろうか」
「お心遣い感謝しますね。村田さんは今日一日は病室で安静にしていてください」
表情を変えずに、簡潔に返事をする蒼紫にどことなく冨岡と似ているかなと考えるしのぶ。
流石にあそこまで説明が苦手という訳では無いし、視点からの分析は中々正確ではあったが。
「それでは四乃森様、こちらへどうぞ」
アオイが別室へと案内する。
診察室を長い間空ける訳にはいかないからだ。
「それでは最終選別について説明させて頂きます。最終選別は藤襲山という鬼を閉じ込めた場所で7日間生き残っていただくことが求められます。あくまで生き残る事です。鬼を倒す事ではありません」
「鬼殺隊士の主な任務はどうなっているか教えて貰ってもいいか」
「そうですね、鬼殺隊の任務は鎹鴉によって指定された場所へ向かい、鬼を狩ります。1人での任務もありますが複数で向かう場合もあります。基本的には鬼を狩る事と、一般人を守る事です。しのぶ様が仰るには一番悪いのは、鬼に負けてしまう事だとのことです。被害が拡大するばかりか敵対する鬼に食料として力を与えてしまうから」
一番悪い事が聴けたのは非常に有意義であったといえる。
鬼は人を食べて強くなるのなら、隊士であろうと命を投げ捨てるのは、余程の事が無い限り下策だろう。
「貴重な情報、感謝する」
「他には気になることはありませんか」
「藤襲山での選別前に、正規の隊士が下見をしたりはするのだろうか。また、選別時は隊士が監視するようなことは」
「いえ、正規の隊士は鬼の討伐が優先されるので下見や待機する事はありません」
「―そうか」
「最終選別は狭き門でもあります。20人ほどで大抵の場合、残るのは2,3人程です」
「委細承知した。そろそろ隠の任務に同行するので失礼する」
「隠の任務もこなすのですか。最終選別は体力との勝負でもあります。絶対に無理をしないでください」
一礼をした後、蒼紫は部屋を後にしようとする足を止めた。
「…最終選別とは関係ないが、最後に一つ質問してもいいだろうか。―質問するべきでは無いかも知れんが」
「話して貰えないと判別出来ません」
「…しのぶ殿はいったい誰を模している」
ヒロインは誰?
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竈門禰豆子
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胡蝶しのぶ
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甘露寺蜜璃
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珠世
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蒼紫様!浮気は許さない!