艶やかな藤の華を添えて   作:ちょっと通ります

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UA10000越えありがとうございます!
お気に入りも150を超えるのは嬉しいものですね

アンケートへの投票もありがとうございました!
るろ剣の技を一部取り入れていきたいと思います。

アイテムに関しては現状既に登場しているものについては、使うかもしれません。
ご了承ください

ご期待に沿えるよう頑張ります


第7話 御頭は未知の衝撃に驚愕する

 クソ、クソクソォォオ!!!

身体が崩れるのを止められない…死ぬのか…俺は…

くそぉ鱗滝ィ…!こんなところで終わるのか…

 

 首を失った身体は崩れ落ちて消滅してゆく。

目の前の鬼から強い寂しさを感じさせる匂いがした。

 

 どこだよ兄ちゃん…どうしてこんな事に

いつものように手を握ってよぉ…

どうして兄ちゃんをかみ殺してしまったんだ

―あれ…?兄ちゃんって…誰…だっけ…?

 

 地面から襲いかかって来た手の1つにそっと手を添える。

少しだけ匂いが和らいだ気がした。

この鬼にどんな過去があったかはわからない、それでも異形の鬼となるまでの執着がそして悲しみがある。

そんな気がした。

 

 兄ちゃん!兄ちゃん!手を握っておくれよ!

 

 しょうがねえなぁ、いつまでも怖がりで

 ほら、ちゃんと握っててやるから

 

 

 藤襲山に日が差す。

 

 錆兎…真菰…そして…殺された他の子供達…勝ったよ、もう安心していいよ

きっと魂だけになっても帰るんだろう…狭霧山へ大好きな鱗滝さんの所へ

 

 どうやらしばらくは鬼の心配をしなくてもよさそうだ。

ああ疲れた…身体も痛い…今までの鬼とは明らかに格の違う強さをもつ相手だった。

沢山の仲間がいてくれたから、犠牲者を出さずに済んだのかもしれない。

 

「とりあえず傷の手当てをしよう、これで選別が終わった訳では無い。今のうちにできる事をやっておくぞ」

 

「あ、ありがとうございます。蒼紫さん」

 

 少年少女が殆どの最終選別の中でこの人だけは明らかに大人だった。

最初、笛を吹いて注目を集めた時は何事かと思ったけど、今思えばあの時渡された笛のおかげで助かったと言っていい。

 

 俺の鼻は強さまで嗅ぎ取れるけれどここに居る他の人とは明らかに違う、強い人の匂いだ。

それもただ強いだけじゃない、選別を乗り越えるための立案に入念な下調べと準備。

この人はいったい何者なのだろうか?

 

「おーい!炭治郎ー!無事だったかー!?」

 

 一緒に組んでいた仲間達だ、駆け寄ってくるところを見るに大事に至らなくて良かった。

 

「炭治郎、今のうちに仲間と話しておけ。皆お前を心配していただろう」

 

 たとえまだ短い付き合いだと言ってもな、そう加え乍ら話す彼の表情は変わらなかったけれど、複雑な匂いがした。

この人なりに思う事があるのだろう。

 

「はい!それでは少し失礼します!」

 

 思いっきり頭を下げた時、ちょっと傷が痛んだけど待っている仲間が心配してる行かないと。

 

 

 ◆

 

「藤の花…ホッ、切り抜けた…」

 

 炭治郎の呟きに組んでいた仲間達も安堵のため息を漏らす。

最終選別の期限である7日が過ぎ、藤の花が咲き乱れる入り口には少年少女達が集まっていた。

多少怪我のある者もいるが、命まで犠牲になったものはいないようだ。

 

「おめでとうございます」

 

「御無事で何よりです」

 

「で?俺はこれからどうすりゃいい?刀は?」

 

 顔に大きな傷のある少年が受付をしていた2人にどことなく不満げに尋ねかける。

直ぐにでも鬼狩りの任務に打ち込みたいのかもしれない。

 

「まずは、隊服を支給させて頂きます。身体の寸法を測りその後は階級を刻ませて頂きます」

 

 2人が交互に階級を挙げてゆく、少年の尋ねた内容への返答では無かった。

その事に僅かに苛立ちを募らせ口調を荒げながら改めて口を開いた。

 

「刀は?刀だよ。色変わりの日輪刀!」

 

「本日より玉鋼を選んでいただき、10日から15日ほどかかります」

 

「なんだよ」

 

「その前に皆様には鎹烏をつけさせて頂きます」

 

 鳴き声と共に一斉に、一人につき一羽鴉が飛んできた。

20羽近い数が飛び交う様は中々に壮観である。

 

「鎹鴉…?」

 

「鎹鴉は主に連絡用の鴉でございます」

 

「―これ、雀じゃね?」

 

 中には鴉では無いモノも混じっていたようだが

 

「カァー!コレカラヨロシク頼ムゾ!」

 

「―!?(鴉が喋った…?)」

 

 鴉が喋ったことに対し流石の蒼紫も驚きを隠せない。

連絡用という事は事前に何日もかけて刷り込まれた言葉ではなく、自分の意思を持ってその内容を伝えることが出来るという事だ。

こんな芸当は御庭番衆の連絡鳩でも出来はしない。

 

「ふざけんじゃねぇ!」

 

 欲しいものはまだまだ先にしか手に入らず、淡々と他の事ばかり進んでいく様に我慢できなかったのか鴉を振り払い、着物を着た白い髪の少女の方へと詰めかけようとした。

 

「そこまでにしておけって!一緒に生き抜いてここまで来たじゃないか!せっかく乗り越えたのに一緒に行けないなんて俺嫌だよ」

 

 彼と団体を組んでいた内の一人が彼を引き留める。

命を張って共に最終選別を乗り越えた分、仲間意識が出来たのかもしれない。

 

「そうだぞ、ここで問題を起こしたら刀そのものが貰えなくなるかもしれないんだ。それに自分達の命を預けるものだぞ、いい加減でも困るだろ?心配しなくてもちゃんと刀は貰えるんだから」

 

「う…す、すまん。ちょっと頭に血が上っちまった」

 

「刀が出来るまでの間、時間があるからさ、集まっておはぎでも食べに行こうぜ!なんでそこまで焦っているのかは、その時にでも話を聞かせてよ」

 

「―おはぎか、いいな。ワリィ、迷惑かけた」

 

 どうにかして騒動は収まり、各々が玉鋼を選んでゆく。

蒼紫が選んだのは割と大きめの玉鋼であった。

 

「鎹烏よ、早速だが頼まれてくれないか?」

 

「カァー!任セロ!ドンナ内容ダ?」

 

「担当する刀鍛冶に手甲と仕込み靴を作っては貰えないかと」

 

「はぁ!?刀作らないの!?嘘でしょ!!?何言ってんの?!」

 

 善逸が甲高い叫び声をあげ、他の皆も一体何を言っているんだと一斉に顔を向ける。

日輪刀の形状に要望を出すのならわかるが、刀ですらない。

これでは鬼と殴り合いをすると言っているのと同じである。

 

 特に蒼紫と共に戦った炭治郎や蒼紫と一緒に行動していた善逸達は彼の流麗な剣を見ているだけに驚愕の色が濃い。

 

 開始する時の笛の事もあり、受付をしていた2人は表情こそ変わっていないが冷汗を垂らしている。

彼らから見れば出来る人ではあるかもしれないが同時に奇行も目立つのだから仕方も無いだろう。

 

「刀だけで倒せるのならそれに越した事は無い。だが俺の場合は剣と拳法の組み合わせが必要不可欠だ、頼めるか」

 

「リョーカイ!リョーカイ!」

 

 そう言うと一足先に鎹鴉は飛んでいった。

しばらくは皆が茫然自失となっていたが、一人、また一人と我に返り各々が解散していった。

 

 ◆

 

 選別を終え、蒼紫は元いた鍛錬場へと帰る。

刀も打ち直してもらえるならよかったが、選別を乗り越えた人数が多い。

恐らく手甲と仕込み靴の作成辺りで任務に向かう事になるだろう。

 

「善逸もこっちなのか」

 

「えーっと、兄弟子がいましてね。選別を乗り越えた後、報告を兼ねて元気にしているか顔を見に行って欲しいって頼まれたんですよ」

 

「-そうか」

 

 あれだけ騒がしかった彼が借りてきた猫の様に大人しくなる様をみせる。

兄弟子とはあまり仲が良くないのかもしれない。

 

「おい、どうすりゃいいんだよ、やべえぞ…こんなの聞いてない…!」

 

 焦りと絶望を滲ませた震え声が空に響いた。

何事かと歩みよってみると鬼殺隊の定食屋前で顔を蒼白にした後藤と隠の一人が言いあっている。

 

「で、ですが柱とは言ってもお客様。2人増えた所で大して変わらないのでは…」

 

「それは他の柱の時だ!―よりにもよって炎柱様と恋柱様だと!?」

 

「何があった?」

 

「あ、蒼紫さん。最終選別を乗り越えて来たんですね、おめでとうございます。実はここの店は鬼殺隊で運営してるんですけど、炎柱様と恋柱様がご来店されまして…非常に申し上げにくいのですが作る人手が足りなくなりそうなのです」

 

「好きに作っていいのなら手を貸せる。これでも一応(表向き)は料理人だ」

 

「ハァ―!?何それ?!聞いてないんだけど!?アンタあんなに強いのに料理人なの!?嘘でしょ!?いや、嘘ついてないのはわかるけどさぁ!?」

 

 善逸が再び汚い高音を上げて叫び出す。

先程までの大人しさが嘘のよう。

 

「手伝ってもらえるんですか?!もう限界です!直ぐにでもお願いします!!!」

 

 店から出て来た店員と思われる隠に厨房へと連れていかれる、本当に余裕が無い様だ。

 

 

「この天丼美味しい!お代わりをお願います!」

 

「うむ!甘露寺、この鮭大根も美味しいぞ!こっちも御代わりだ!うまい!うまい!うまい!」

 

(どうなっている!?作り終わる度、追加の注文が山の様に飛んでくるだと…!?)

 

 翁から店主の座を引き継いだ今は料亭「葵屋」の看板を背負っている身でもある。

本業の隠密程ではないにしろ、こちらでもそれなりに修練を積んで来たつもりだ。

そうでなければ料亭のという形で周囲に溶け込むことなどまず不可能。

 

 この短時間で20人前ぐらいの量を作っている。

それでもせわしない程に注文が殺到し、回収された食器が山の様に積み上げられてゆく様はある意味で恐怖だ。

 

「この飾り切りも御洒落で素敵!食べるのがもったいないわ!」

 

 桜色をした髪の女性は残念そう言いながらも口に運ぶ速さが衰えない。

2人とも食べるのが大好きなようだ、こんな事になるのなら鉄穴森殿に包丁を預けない方が良かったかもしれない。

 

「そろそろ甘味にしませんか煉獄さん!」

 

「うむ!それもいいな甘露寺!では君の好きな桜餅を頼むとしよう!」

 

「はい!すみませーん!桜餅を100個お願いします!」

 

 彼を良く知る人が見たら驚くほど蒼紫の表情が驚愕に染まっていたという。

 




お待たせしました楽しんでいただけたら幸いです。

甘露寺蜜璃と煉獄杏寿郎が同時に定食屋に来たら、凄い事になりそうだと思いました。
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