ドラゴンボール超~あいつは摩訶不思議な転生者~ 作:ネコガミ
「…アンディか?」
驚き固まっていたラディッツが言葉を溢す。
「なんだ?兄ちゃん知り合いなんか?」
無垢な弟の問い掛けにラディッツは頭をワシワシ撫でる。
「あぁ、そうだ。カカロット、すまんが悟飯爺さんを呼んできてくれ。この時間なら畑仕事を終えて魚を取りに行ってる頃だろう。」
「うん!わかった!」
カカロットと呼ばれた少年が元気に走り去っていくと、ラディッツはアンディに撲り掛かる。
しかしその拳は決して本気のものではなく、友人同士のじゃれあいの一発だった。
アンディがその一撃を受け止めて笑みを浮かべると、ラディッツも同じ様に笑みを浮かべる。
「まったく…俺達がどれだけ怒り悲しんだと思ってる!」
「ごめん。」
「いや、いいさ。今となっちゃ数少ない同胞なんだ。生きていてくれただけで上等さ。」
ラディッツの言葉にアンディは首を傾げる。
「数少ない同胞?ラディッツ、どういうことなんだ?」
「…惑星ベジータは滅ぼされた。」
驚いたアンディが目を見開く。
「誰に?」
「フリーザだ。」
ラディッツは語る。
自身の父がとある戦いで未来を見た事を。
「それで親父はまだ養育器から出ていなかったカカロットを…弟を俺に託して宇宙ポッドを飛ばしたんだ。自分は未来に抗う為に残ったくせにな。」
悔しさ、やるせなさが垣間見えるラディッツの肩にアンディは手を置く。
「弟を託すに足ると認めて貰えた…そう考えよう。」
「…あぁ、そうだな。」
苦笑いをしたラディッツにアンディが問いかける。
「ところでラディッツ、ベジータ達はどうなったかわかるか?」
「任務で惑星ベジータにいなかったからまだ生きているとは思うが…。」
「任務?君は一緒じゃなかったのか?」
頷いてからラディッツは答えを返す。
「あぁ、あいつらが任務に行った時には、俺はメディカルポッドの中にいたからな。」
「メディカルポッドに?君がそんな大怪我を負う程の敵と戦ったのか?」
「あぁ、いや…。」
少し言い淀んだラディッツだが、頭を掻きながら話し出す。
「アンディの代わりとしてベジータの弟が俺達の班に入ったんだが、まだ未熟でな。ある任務の時に庇って怪我をしたら、あいつらにメディカルポッドの中に置いてかれちまったわけだ。」
ラディッツは知らないが、ベジータ達が任務に行ったのにはDr.プグレーが関わっている。
ある日、フリーザからサイヤ人を滅ぼすから惑星ベジータから退去するようにと命令を受けたDr.プグレーは、アンディと親しかったベジータ達を生き残らせる為に命令書を偽造して任務に行かせたのだ。
ラディッツも生き残らせようとギリギリまで粘って行動していたDr.プグレーだが、メディカルポッドの前でバーダックと出会うと彼と幾つか会話をした後に惑星ベジータを脱出している。
その後、任務から帰還したベジータ達はDr.プグレーの取り成しでフリーザ軍に拾われ、現在も生き続けているのである。
「ところでアンディ、そっちの爺さんは?」
「あぁ、紹介が遅れたね。俺の師匠の1人の武天老師様だ。」
師匠と聞いてラディッツが驚く。
「お前の師匠?」
「あぁ、2年近く手合わせを続けているけど、まだ一度も勝てていないんだ。凄い人だよ。」
「アンディが一度も勝てていない…!?」
驚愕したラディッツだが、拱手をすると亀仙人に一礼をする。
「ふむ、その様子だと悟飯の奴に師事を受けとるらしいのう?」
「はい、弟のカカロットと共に。」
「この老骨には底が見えぬ才を持っておるのう。楽しんで励むがよい。」
「はい!」
ラディッツが頭を下げたその時、遠くからカカロットの声が聞こえてきた。
「どうやら老師がカカロットと共に戻った様です。」
「あの様子だと、儂と同様に弟子の育成を楽しんでおるようじゃな。いや、あれは師というより家族としてかのう?まぁ、どちらにしろ元気な様でなによりじゃわい。」
本日は2話投稿します。
次の投稿は9:00の予定です。