ドラゴンボール超~あいつは摩訶不思議な転生者~ 作:ネコガミ
「くっ…紙一重か…。だが…今日は腹が痛かったからな。体調が万全ならば私が勝っていた…!」
マークくんが大の字になりながら見事な負け惜しみ(?)を言うと、予選会場にいる一同が苦笑いしてますねぇ。
まぁ、そりゃそうでしょう。
なにせアンディくんがノーダメで勝ったのに、紙一重もなにもあったもんじゃありませんから。
さて、これで無事に決勝トーナメント進出を決めたのですが、トーナメントは翌日のようなので一度亀仙人のところに戻ってから散歩でもしましょうかね。
おやぁ?
亀仙人のところに戻ろうとしたらイベントムービーが入りました。
うん、またマークくん関連のムービーのようですね。
なにやら美少女と、マークくんとその娘の両親らしき人達にめっちゃ心配されています。
家族ぐるみの付き合いなのか。
うん、すまんね。
その子をボコしたのはアンディくんなんだ。
仙豆を渡す←
無視して通りすぎる
おっと、選択肢ですね。
ふむ、RTA的には下一択なんでしょうが、ここは仙豆を渡しておきましょうかね。
アンディくんが近寄って仙豆を差し出すと、マークくん一行が首を傾げていますね。
そらそうよ。
いきなり豆を差し出されても困惑しますわ。
アンディくんに促されて、マークくんが疑問を浮かべながらも仙豆を食べました。
そうするとあら不思議。
ボコボコだった彼の身体が試合前の健全な状態に回復しました。
流石は仙豆ですね。
うん、マークくん達が揃って驚くのも無理はありませんが、アンディくんは微笑むとクールに去って行きましたとさ。
さて、改めて亀仙人に報告に行かんとね。
◆
先程まで喋るのも痛かったマークは、全快した顔を擦りながら呆然としている。
しかし傷が全快した事を喜ぶ幼馴染みの少女に抱きつかれると、彼は正気を取り戻す。
「…なんだったんだ、一体?」
不思議な体験をしたマークはもう一度自分の顔を擦る。
「マーク、大丈夫?」
「あ、あぁ…大丈夫だ、ミゲル。」
心配する幼馴染みに笑顔で返事をすると、彼はアンディとの試合を思い返す。
「…手も足も出なかった。」
「あの人は年上なんでしょ?なら仕方ないわ。」
幼馴染みの言葉にマークは首を横に振る。
「いや、そういう次元じゃなかったんだ。大人に力でゴリ押しをされた時とは全く違う。なんというか…そう、プロスポーツマンの技術を見せられたアマチュア選手の様な気分なんだ。」
プロの選手が持つ一流の技を見たアマチュア選手がどう思うかは、大きく分けて2つに分かれるだろう。
挫折するか、憧れるかだ。
そしてマークは後者だった。
格闘家として世界チャンピオンとなる事を夢見て、12歳の若さで天下一武道会に参加する程の熱意を持つ少年なのが彼だ。
そんな彼に一流の技を体感させ、尚且つ仙豆で怪我が一瞬で治るという不思議を体験させたのだ。
彼がアンディに憧れてしまうのも無理は無いだろう。
マークはアンディが立ち去った方向に目を向ける。
そして…。
「ちょっと弟子入りしてくる!」
幼馴染みに一言告げると彼は走り去ってしまった。
マークが走り去った事でその場に残された幼馴染みの少女は、眉をつり上げながら頬を膨らませる。
「もう!いつも突然なんだから!」
マークの幼馴染の少女であるミゲルは自身の父親に目を向ける。
「パパ、なにか手土産になるような物はないかしら?」
「マークくんが戦ったのは確かアンディくんだったかな?彼の事は知らないが、彼が着ていた道着には少々見覚えがある。それを考えると、生半可な手土産では逆に失礼にあたるだろう…。」
ミゲルの父親は頭を抱えながらため息を吐く。
すると彼女は首を傾げる。
「あの人の流派ってそんなに有名なの?」
「有名どころではないよ。それこそ武道の世界では神様と呼ばれる人の流派なのだからね。」
「…えぇー!?」
驚いたミゲルはマークが失礼な事をしていないか心配になる。
「近くの宿泊施設に泊まっていないか問い合わせてみよう。そうしたらマークくん共々、見つけやすくなるだろうからね。」
「うん、お願いパパ。」
その後、アンディ達の宿泊先を突き止めたミゲル達がそこに足を運ぶと、そこには土下座して頼み込むマークと困惑するアンディ、そしてそんな2人を面白そうに見ている亀仙人の姿があったのだった。
本日は2話投稿します。
次の投稿は9:00の予定です。