ドラゴンボール超~あいつは摩訶不思議な転生者~ 作:ネコガミ
「あたた…。」
「いちちちほぉ~…。」
亀仙流に入門したクリリンとマークは、その洗礼とでも言うべきものを味わっている。
朝には10kgを超える重量の甲羅を背負っての牛乳配達。
そして先程終えた素手で畑を耕す行為だ。
「こ、これには何の意味があるんだ?」
「多分だけど、部位鍛練じゃないかなぁ?」
マークの疑問にクリリンがそう答える。
「部位鍛練?」
「前の流派でもあったんだけど、拳とかを固くして怪我をしにくい様にする鍛練の事。」
「なるほど…だからアンディさんの攻撃はあんなに効いたのか。」
2人が畑を耕して汚れ傷付いた手を洗い終えた頃、アンディが粗塩を持ってやって来る。
「げっ!?ア、アンディさん…それって、粗塩ですか?」
「うん、そうだよ。」
「うわぁ…亀仙流でも同じなんだなぁ…。」
どこか嫌そうに肩を落とすクリリンの姿にマークが首を傾げる。
「なぁクリリン、もしかして運動後の塩分補給じゃないのか?」
「…残念ながらね。」
なにやら諦めた様子のクリリンが、畑を耕してボロボロになった手に粗塩を擦り込む。
「いっ…!?」
涙目になりながらも粗塩を擦り込むクリリンを目にしたマークが目を見開く。
「へぁっ!?もしかして…それで消毒してるのか!?消毒液は?!」
「…普通に消毒したら皮膚が強くなりにくいらしいよ。だからこうやって粗塩で消毒するんだ。」
クリリンは粗塩で消毒を終えると、今度はマークの番だとばかりにニッと笑う。
一歩後退り尻込むマークだが、アンディが粗塩を差し出すと意を決して傷に擦り込んでいく。
「ウッホーホホホ…!」
百面相とでも言わんばかりに表情を変えていくマークを見て、クリリンは楽しそうに笑い声を上げる。
「流石に粗塩での消毒は経験ないときついよな?まぁ、経験があってもきついことには変わりないけど。」
「ぐぐぐ、確かにきつい…が!強くなる為なら我慢出来る!」
「おう!」
原作において初登場時のクリリンは悟空に多少の嫌がらせ染みた事をしているが、この世界線のクリリンは特にそういう事をしていない。
これは元の流派の先輩による虐めで、彼の心がすれてしまう前に亀仙流に入門したからだ。
こんな感じで午前中の修行は、元から武道の修行経験があるクリリンがリードしていたが、午後から勉強が始まるとその立場は逆転する。
「う~ん…。」
「アンディさん、出来ました!」
マークがあっという間に問題を解いてみせると、隣で唸っていたクリリンは驚いて目を見開く。
「ウソだろ!?もう出来たのか?!」
「流石に飛び級をする様な天才の幼馴染み程とは言わないが、俺もそれなりに勉強は出来るほうだからな。」
マークが言う幼馴染みとは、ホイポイカプセルを開発した天才の愛娘の事である。
彼女は3つ歳上であるがマークとミゲルの幼馴染みであり、現在15歳にして大学に通っている才女なのだ。
隔絶した学力の差にクリリンは項垂れる。
そんなクリリンの肩を優しく叩いたマークは、可能な限り丁寧に勉強を教えていく。
こんな感じで2人は友好を深めながら共に切磋琢磨し、楽しみながら修行に励んでいくのであった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。