ドラゴンボール超~あいつは摩訶不思議な転生者~ 作:ネコガミ
筋斗雲に乗り亀ハウスに向かっていた途上で、ふとブルマがアンディに問い掛ける。
「ねぇ、アンディ。恋人はいるの?」
既に亀仙人からの情報でアンディに恋人はいない事は判明している。
それでもこう問い掛けるのは話の切っ掛けを掴む為だ。
これまでもブルマは告白の機会を窺っていたのだが、なんだかんだでカカロットがいたので歯痒い思いをしていたのだ。
もちろんいざとなればカカロットがいようが告白していたが、彼女もやはり乙女なのである。
告白をするのならば、可能な限り2人きりでロマンチックな場面を望むのだ。
そしてその機会と場面が訪れた。
2人きりで空の旅、更にお姫様抱っこされているとくれば、もう行動するしかない。
ブルマ16歳、一世一代の勝負の時である。
「いないよ。」
「そう…欲しいとは思わないの?」
「思うよ。」
アンディのその言葉で半ば勝利を確信したブルマであったが、次の一言で首を傾げる事になる。
「でも、修行も続けたいんだ。」
それまで柔らかく微笑んでいたアンディが真剣な顔になっていた。
それで何かあるのを察したブルマは思考を巡らせる。
(アンディに何か秘密があるのはなんとなくわかっていたけど…それと関係あるのかしら?これは聞いてもいいこと?)
僅かに逡巡するブルマだが、意を決すると問い掛ける。
「何でか聞いてもいい?」
「強くなりたいって思いはもちろんあるけど…それ以上に後悔したくないんだ。」
「後悔?」
何に対してと思うブルマだが、それを問う前に逆に問い掛けられる。
「ねぇ、ブルマ。地球の外には多くの種族がいるって言ったら信じるかい?」
「えっ?学会でもそういう説は何度も議論されてるけど…。」
ブルマはアンディの言葉の真意を探る。
すると…1つの推論が浮かび上がった。
(まさかとは思うけど…そういうこと?)
思い返せば思い当たる出来事がある。
その思い当たる出来事とは…アンディやカカロットが強すぎることだ。
亀仙人の様に積み重ねた年月があるのならばまだ理解出来る。
しかしアンディは自身と歳が変わらない。
カカロットに到っては年下だ。
だというのに彼等は自分より体格がいい山賊を圧倒したり、先日襲ってきた追い剥ぎをデコピン1発で気絶させたりしている。
常識的に考えればありえない光景だ。
だからこそブルマは思い至った。
アンディの発言に隠された意味を…。
「アンディ…あなた、地球人じゃないの?」
「うん、俺はサイヤ人っていう種族だよ。」
答えを予想していたブルマだが、それでも驚いて目を見開いた。
「ビックリした?」
「うん、ビックリしたわ。」
「幻滅した?」
「それはないわね。」
「そっか、よかった。」
アンディに柔らかな笑みが戻るとブルマも微笑む。
「今言った通りに俺はサイヤ人っていう種族なんだけど、宇宙には他にもたくさんの種族がいるんだ。それこそ、星1つを簡単に破壊出来てしまう種族とかね。」
「…とんでもない種族がいるのね。」
「うん、だから俺は、そういう奴等と戦う事になった時に、大切な人達を守れる様になりたいんだ。」
「なんか、アンディらしいわね。」
そう言ってブルマが微笑むと、アンディは照れたのか顔を赤くする。
そんなアンディを見たブルマはクスクスと笑いながら問い掛けた。
「ねぇ、アンディ。あなた、地球人と子供は作れるの?」
「問題ないんじゃないかな。Dr.プグレーに聞いた話ではね。」
「Dr.プグレー?」
「俺に科学を始めとした色々な事を教えてくれた先生だよ。」
「へぇ、別の星の科学ねぇ…興味あるわ。」
「後で教えてあげるよ。俺の知っている事ならね。」
そこで一度話が途切れ妙な間が生まれる。
その間でもう一度覚悟を決めたブルマは口を開こうとする。
しかし…。
「ねぇ、アンディ。」
「ブルマ、俺からいいかい?」
「えっ?えっと…なに?」
「ブルマ、俺の恋人になって欲しい。」
その一言でブルマは驚きながら顔を真っ赤に染める。
「ず、ずるいわよ!乙女が一大決心をして告白しようとしていたのに!」
「ごめん。」
「もう!…いいわ、これで許してあげる。」
そう言うとブルマはアンディの顔を引き寄せ唇を重ねたのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
プレイヤー視点は空気読めてないかなと思い自重しました。
お知らせですが、拙作の投稿を8月一杯までお休みさせていただきます。
暑いのは苦手なんや…。
また9月にお会いしましょう。