終末告げる黒き翼とD×D   作:ゆきラテ

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其ノ壱 開幕

「またあなたはサボりですか?」

 

そんな声を聞き背中に感じるコンクリートの心地の良い冷たさにこのまま寝ていたいと思うのを振り払って体を起こすと、1人の女子生徒がいた。

 

黒髪のショートヘアで、赤い縁のメガネを掛けている。鼻は高く、少しキリッとした目は冷たくキツそうに感じるかもしれない。普段から真面目な彼女は仏頂面なので、怜悧かつ厳しそうな印象を与える。

 

彼女の名前は支取蒼那。また真の名前をソーナ・シトリーと言う。最も一般人には隠されているが。彼女は悪魔だからである。支取蒼那という名前は悪魔である彼女が人間社会に溶け込むための名前だ。

 

そんなことを知る俺は、所謂転生者だ。そしてこの世界は神やら悪魔やら天使、堕天使、更にはドラゴン、空想の存在が実在する超常の世界。俺の前世のアニメであるハイスクールDxDの世界だ。今俺をわざわざ起こしに来たソーナも原作キャラだ。一応俺は人間だ、色々隠してはいるが。

 

もちろん、ソーナは俺の事をただの人間だと思っている。

 

「なんだ生徒会長か、俺がサボって寝てるのはいつもの事だろう?もう少し寝させてくれ」

「はぁ、午前中ずっとここにいたのでしょう?」

 

確信を持って質問してくるのだからいい加減諦めて欲しいものだ。俺はこの世界に原作の遥か前にこの世界に来ている。この世界の始まりははるか昔の3大勢力戦争、すなわち天使、堕天使、悪魔の戦争であり、その戦争にて大喧嘩を起こした二天龍と呼ばれるドラゴンが封印された【神器】(セイクリッドギア)【赤龍帝の篭手】(ブーステッド・ギア)を宿す兵藤一誠が悪魔に転生することで始まる。

 

俺が来たのは戦争の少し前で、今は兵藤一誠が悪魔になる高校二年の時である。もう既に年齢は分からない。主人公達が見たくて高校に入っているが退屈なのだ。

 

まぁ、自身の正体を若くしているとはいえ、ことある事にらしい発言をしている。俺は原作に介入する気満々である。少し怪しくて強そうだけど味方にいる。そんな立ち位置を目指している。

 

「そうだ、会長」

「何ですか?…真面目に授業に参加でもする気になりましたか?」

「ココ最近、なんか嫌な予感がするんだよな、まるで何かよからぬ者がこの街に居るかのような」

 

暗に俺はこの街に堕天使が潜伏していることを示唆するかのように呟く。一瞬ではあるがソーナの表情が固まった。そして少しだけ眉間にシワを寄せた。

 

「…そんなことを言っても誤魔化せませんよ?」

「いや、誤魔化すつもりはなかったさただ会長は美人だからな、帰り道とか夜は特に気をつけた方がいい」

「っ!?……………ッ」

 

ヒントを交えるつもりで言った言葉だったが会長は顔を棗のように赤く染め、そっぽを向いてしまった。俺は別にどこぞの赤龍帝のように鈍感な訳では無いから彼女の好意に気づいている。だが、俺の正体をばらすのには早いためその好意にはまだ答えられない。

 

「せっかく美人な会長に注意されたんだ、午後くらいは参加するとしよう」

 

 

会長に微笑んでからドアを開けて階段を降りていく。キィィィーっと音を立てて閉まるドアの隙間から見えた会長の頬は緩み、普段の冷静な顔つきとは違う見惚れるような顔をしていた。

 

あー、あれがギャップもえかーなどと考えながら俺は教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁはわぁー、おはよう一誠何の用だ?俺は眠いんだが?」

 

久しぶりにまともに教室にいて爆睡していた俺を起こしてきたのはクラスの同級生である兵藤一誠。同じくクラスメイトの松田、元浜と並びこの駒王学園の変態3人組の1人だ。

 

俺だけが知ることだがハイスクールDxDの主人公であり、今代の赤龍帝だ。

 

「なんで起こしただけでそんな機嫌わりぃんだよ、翼?」

「そりゃ気持ちよく寝てたんだからそうだろ」

「…俺が悪いのか?」

 

あー、遅まきながら俺の人間として、表としての名前は黒瀬翼。前世の名前のままだ。ちなみに見た目はひとつなぎの大秘宝を求めるアニメの主人公の兄貴の姿をしてる。

 

俺が転生転移した時に得た能力は主に5つほど。そのうちの一つ【大罪の悪魔】という能力。それぞれの罪に対応する能力があり、《色欲の罪》の己の姿を好きなように変える能力、つまりは擬態のようなものでこの姿を取っている。

俺が転生者だと知るものは片手で足りるし、あんまり気にはしていない。

 

そんなことは今は置いておいて話はイッセーである。どうやら聞くと昨日彼に彼女が出来たという。名前は天野夕麻と言うらしい。

彼女とデートをするのだがそれを相談したいらしい。

 

…ついに原作がスタートしたか。

 

「そういう事か、なら任せろ」

「助かるぜ、翼!持つべきは友だな!」

「調子の良い奴だな、お前は」

 

俺は一誠のデート相談に最後まで付き合い、今は帰宅しようとしているとこだ。まぁ、デートを監視すると言いたいところだが…、とこの誰だか知らないが1日中、見られてるんだよなぁ。

 

 

 

「さっきから熱烈な視線をくれてるのはどこの誰かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

《視線の持ち主》side

 

私の名前はグレイフィア、現魔王サーゼクス・ルシファーのメイド兼義妹です。私はサーゼクス様の妹である、リアスが通っている駒王学園のある街に、近頃はぐれ悪魔を討伐しているものがいるから調査、接触しろとの命を受けた。

 

サーゼクス様にその人物の写真を見せられた為顔はわかっている、癖のある黒髪にそばかすのある好青年。彼がはぐれ悪魔を討伐する時、あたりは焼き焦げているという。恐らくは彼の神器または能力だと思われる。私は彼に対戦時のカレの面影を見てしまう。気になった私は直ぐにその任務を承諾した。

 

彼の一日は大抵が高校の屋上で寝ているから、とても観察しやすい。大戦の時に見かけた彼とはかけはなれた見た目をしているが彼が裏の世界に関わるときに使う炎はあの時に見たものと酷似している。そんな彼が

よからぬ者がいるといい、まぁ、十中八九はぐれ悪魔だか、何を企んでるかわからない堕天使の事だが、それに気づいている彼が放課後に行動を起こす可能性が高いと見込み、タイミングを伺っている…、

 

「さっきから熱烈な視線をくれてるのはどこの誰かな?」

 

伺っていたのだが、何故かバレている。グレイフィアとて実力は最上級悪魔の中でも上位に値する。そんな自身が隠密しているのにも関わらずまるでだから?と言うように声をかけてきた。グレイフィアは冷や汗を書きながらも冷静に自身の任務を遂行しなければと、考えた。彼が後にどのような影響を持つのか、そしてカレであるのか…。考えつつもグレイフィアは行動を起こす。

 

 

 

「不敬な視線で気分を害したこと、大変申し訳ございません。私は現魔王サーゼクス・ルシファー様のつかいです」

 

 

 


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