メッフィー(偽)in SAO   作:アーロニーロ

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16話です。


16話

 

 

 

 

 

 「ま、まあ、話を始めようかアルゴ」 

 

俺とアルゴの追いかけっこがひと段落した時、三つよミルク入りのグラスを俺とアルゴそして自分の前に置き、話を始めるよう促す。

 

「キー坊にしては気が利くナ。ひょっとして、眠り毒入りカ?」

 

「今更カッコつけた所で先程の攻防を見られた段階で手遅れですよ、アルゴ。それに、圏内で眠らせたところで何もできないじゃあありませんか」

 

迷わずミルクを飲んだ俺の指摘に、アルゴはジトっとした目でこっちを見た後、一拍置いてから「まあ、そうだナ」と頷いた。グラスを持ち上げて、一息に飲み干す。

 

「ごちそうサマ。飲み放題の割には上等な味設定だナ」

 

「確かに、そうですねぇ。牛乳好きに瓶詰めにして売ったら高く売れそうですねぇ」

 

「残念ながら、宿から持ち出すと五分で耐久値が全損するんだよな、これが。しかも消えるんじゃなくてゲキマズな液体になるっていう……」

 

「ほー、そりゃ知らなかっタ。タダより怖いものはないナー」

 

「いやぁ、全くですねぇ。ヒヒ、本当に世知辛い」

 

アスナが今風呂場にいる事がバレるのがそんなに嫌なのか、何食わぬ顔で、テーブルに置いてあった攻略本を持ち上げて、ぽんと叩く。

 

「タダといえば、これだよこれ。毎度お世話になっておいて何だけど、俺この本買うのに五百コル出して買ったたんだけど……昨日の会議で、エギルって言う斧使いが、タダで配布してるって言ってたよな」

 

キリトが少し恨みがましい口調でそう言うと、アルゴはニシシと笑った

 

「そりゃあ、キリトや他のフロントランナーが初版で買った売り上げや、メッフィーが集めてきた素材とか売り捌いて産まれた売り上げで、無料の二刷を増刷してるわけだからナ。安心シロ、初版はアルゴ様の直筆サイン入りダ」

 

「おやおや、なるほど。ワタクシが集めたアイテムと売値とで差があったのはそういうことですかぁ。納得がいきました」

 

つまり、無料配布版はアルゴなりの元βテスターとしての責任の取り方って訳だ。生真面目だなぁ、アルゴは。まあ、だからこそ、ついて行ってるんだけどね。

にしても、重いなぁ、この空気。仕方ない、俺が一肌脱ぎますか。

 

「素材の件がわかって何よりです。いやぁ、よかった、よかった。これで、ワタクシはまたアナタの口の中に麻婆を叩き込まずに済みましたよぉ」

 

「フザケンナァァァァ!オレっちのことをどんだけ弄べば気が済むんダァァ!!」

 

「なぁ、メフィスト。やめてやれよ、あの麻婆食べさせるの。前、食ったけど辛いなんてもんじゃなかったぞ、あれ」

 

「そーダ!そーダ!言ってやれキー坊。オレっち達は玩具じゃねぇんダゾ!メッフィー!」

 

オイオイ、こいつらとんだ勘違いしてないか?

 

「おやおや、お二人共。ワタクシがアナタ達の事を玩具だと思っているとでも?」

 

「実際にそうだろうガ」

 

「それはとんだ勘違いですよぉ〜。ワタクシは人のことを玩具と思ったことはありません」

 

「なら、何て思ってるんだ?」

 

「自身の意志で物事を考え、叫んだり喚いたりする実に滑稽な見世物だと思っていますよ」

 

「「うわぁ、倒錯的な変態だぁ」」

 

俺関連になるとみんな息ピッタリだな。アインクラッドの中で何人かがが俺みたいな奴だったら、さぞかし平和だったんだろうな。

 

さて、空気も軽くなったし。

 

「では、お二人共。本題に移ろうじゃあありませんか。因みに、これはワタクシも居ていい話ですか?」

 

「オマエに指摘されんのは納得いかネェけど、時間は有限だしナ。後、それに関してはキー坊に聞ケ」

 

「俺は、別に構わない。聞かれても特に問題ないしな」

 

キリトから一緒に聞く許可を得るたことを確認するとアルゴが話を切り出す。

 

「まあ、依頼人がいるって時点で察しが付いてると思うけどナー。例の、キー坊の剣を買いたいって話……今日中なら、三万九千八百コル出すそーダ」

 

「何と!」

 

「……さ………」

 

は?嘘でしょ?サンキュッパ?いや、あんま考え難いけど、

 

「アナタの腕を疑うわけではありませんが、相手側の冗談か詐欺ではないのですか?」

 

「メフィストの言う通りだ。どう考えても四万コルは間尺に合わないよ。だって、素体の≪アニールブレード≫の相場が、確か今一万五千コルくらいだろ?それに二万足せば、ほぼ完全に+6まで強化できるだけの素材アイテムが買えるはずだ。ちょっと、時間がかかるかもしれないけど、三万五千コルで俺のと同じのが作れる計算だぞ」

 

「オレっちも、依頼人には三回そう言ったんだけどナ!」

 

両手を広げるアルゴの顔にも、≪意味不明≫という表情が浮かんでいた。いや、待てよ。一つだけあるかもだぞ。そいつが得するところ。

まあ、この考えが当たってたら頼んだプレイヤーは相当稚拙だと思うけどな。

 

「アルゴサァン」

 

「ん?なんダ?」

 

「キリトサンの剣を買い取ろうとした人、もしかして、キバオウサンという方では?」

 

そう言うと、表情が変わらないまま、訊ね返してきた。

 

「なんで、そう思ったんダ?」

 

「アナタとワタクシの付き合いからこそわかった、と言いたいところなのですが。キバオウサンがやたらキリトサンの剣に目を向けてたのでなんとなくですよぉ。ああ、目的の面では嫌がらせかもしれないんですよねぇ。ワタクシ、彼に恨みを買ってるので」

 

「んー、二十点」

 

「ああ、やっぱりですか。言っといて何ですが、ワタクシ、主観的すぎる自分の推理に腹抱えて笑ってしまいそうなのですよぉ」

 

まあ、自分で言うのも何だけど。自分の観察するという面には自信があるつもりだけどね。

 

「アルゴ、千五百コルだすからあんたのクライアントの名前を教えてくれ。ついでにそれ以上積み返すか、先方に確認してくれ」

 

「……わかっタ」

 

アルゴは頷き、ウインドウを開くと、見慣れた高速タイピングでインスタントメッセージを飛ばした。

一分後、戻って来た返事を見て片方の眉をピクリと動かし、次いで大きく肩を竦める。

 

「教えて構わないそーダ」

 

「おやおや」

 

「………」

 

何がしたいんだ?そいつ。キリトも同じ心境なのか少し怪訝そうにウインドウを開くと、千五百コルをオブジェクト化して、アルゴの前に積み上げる。

それをひょいっと指先で摘み、一枚ずつ丁寧にストレージ格納した後、頷いてから言ったら、

 

「キー坊は、ソイツの顔と名前を知ってるヨ。昨日の会議で大暴れしたからナ」

 

「おやおや、という事はやはり」

 

「まさか、キバオウ、か?」

 

キリトの囁きに、アルゴははっきりとした動作で頷いた。

 

やっぱり当たりか。となると、何で狙う?……有り得ないと思うけど聞いてみるか。

 

「アルゴサァン、有り得ないと思いますが。まさか、キリトサンの情報を「ないナ」……まあ、でしょうね」

 

即答かよ。ないと思ってたけどさ。じゃあ、

 

「キリトサァン、今までやってきたMMOの中でキバオウサンらしき人物と知り合ったことありますか?もしくは恨みを買った覚えは?」

 

「…………いや、ないはずだ」

 

少し、考え込んだ後、無いと答えた。んー、どうしたもんかねぇ。完全に手詰まりだな。口を閉じて頭を悩ませていると、

 

「今回も、剣の取引は不成立ってことでいいんだナ?」

 

「………ああ」

 

話が進んでいた。まあ、そりゃあそうだよな。こんな、訳のわからん交渉受けようとは思い難いもの。すると、アルゴが音もなく立ち上がる。

 

「それじゃ、オレっちはこれで失礼するヨ。攻略本、役立ててくれヨ。因みにメッフィーはこの後どうするんダ?オレっちと一緒に帰るカ?」

 

「いえ、この後攻略の話し合いがありますので、今日は戻りません。ああ、後攻略本のことに関しては、役立たせてもらいますよぉ、アルゴサン」

 

「ああ…………」

 

「そっか。っと、帰る前に、悪いけど隣の部屋借りるヨ。夜装備に着替えたいカラ」

 

「ああ…………」

 

「ええ、気をつけてくださいねアルゴサン」

 

「おいおい、着替える時に何を気をつければいいんだヨ」

 

俺の言葉を冗談と受け取ったのか、そう言いながらアルゴは隣の部屋に向かっていく。キリトはさっきのことを考えてるのか上の空だ。

仕方ない、指摘してやるか。

 

「キリトサァン、アルゴサンが隣の部屋に向かってしまいましたが、大丈夫ですかぁ?」

 

「ああ…………って、ああ!!」

 

先程とは打って変わってソファから飛び跳ねてアルゴが向かった方向へ目を向ける。その数秒後。

 

「わあァ!?」

 

という驚声と、

 

「きゃあああああああ!!」

 

という凄まじい悲鳴が、屋敷全体を振動させた。直後、ドアから飛び出したアスナがキリトの顔に鋭い一撃を加える光景が広がった。

その光景にゲラゲラと爆笑していると、直ぐに腹に強い衝撃を受けた。

 

その後の記憶はない。

 

 

 




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