ところで、アスナとキリトのコンビの解散とかそういう情報はどこで知れますか?できれば教えてください。それとも、オリジナルで通すべきですか?SAOの物語はどの順番で進んでいきますか?
更に四匹のトーラス族(時間湧きのmobなので、数を狩りたくてもなかなか難しい)を倒し、そのドロップと各所の宝箱から得たアイテムでストレージをいっぱいにした俺とキリトとアスナは、運良く他の前線プレイヤーと鉢合わせることなく迷宮区から出た。
入り口の近くの安全地帯でメニューのマップタブを開くと、タワー一階二階の空白部分はほぼ完全に埋められている。このマップデータを後で渡す為、アルゴに体術クエの行われる場所でマップデータを渡すむねのインスタントメッセージを飛ばす。窓を閉じた後、ふと空を仰いだ。
うっそうとした密林の上には、実際には空ではなく第三層の底が覆い被さっている。しかし、今は外周から差し込む夕日がその蓋をオレンジ色に染め上げ、想像以上に美しい眺めになった。
「今日は、十二月九日……金曜日。向こう側は、きっともう冬ね」
隣でアスナがそう呟くと、キリトが少し考える素振りを見せた後答えた。
「前にネットの記事か何かで、アインクラッドも層によって現実の季節を再現するって読んだよ。だから、もう少し登ればここも冬になるかもしれない」
「その記事はワタクシも見ましたが、いざ実際にSAOをこの目で見て体験してみると。いやはや、凄まじい技術ですねぇ」
「……嬉しいような、嬉しくないような話ね。あ、でも………」
そこで言葉が途切れるので、少し疑問に思っていると俺たちの前を歩くアスナが振り返る。その表情は何故か怒ったような照れたような顔で唇を尖らせていた。すると、ぽそっと言った。
「別に、ちょっと思っただけよ。もしクリスマスまでに季節がある層に行けたら、雪が積もるかもって」
「ええ、確かに、もう十二月ですものねぇ。もし、次の層が夏場だとしたら。ヒヒ、ゲームクリアした頃には季節感が狂ってしまいそうですねぇ。性なる夜まであと十五日。せめて、それまでには第二層はクリアしておきたいですねぇ」
「何よ、志が低いわね。あと一週間……いえ、五日で抜けて欲しいわ。牛はもううんざり」
「牛だけに?」「牛だけにですかあ?」
我慢出来ずに言った俺たちの顔をアスナはぽかんと見たが、数秒後に頰を真っ赤に染めると、器用にダメージが発生するギリギリ手前の強さで俺とキリトの鳩尾を殴った。そのまま村の方向へ去っていくアスナの背中を慌てて追いかけるキリトを俺は見送った。
「では、キリトサン。ワタクシはこれにて」
「え?どうしたんだメフィスト?ついてこないのか?」
「ええ、ワタクシはこの後アルゴサンにマップデータを渡さなければならないので」
「ああ、そうか。じゃあ、気をつけろよ!」
そう言うとキリトは俺に背を向けて再度アスナを追いかけた。
◇
「よー、メッフィー。迷宮区の一階二階をマッピングしたんだってナ。相変わらず仕事が早くてオレっちは嬉しいヨ」
会って直ぐにアルゴはそう言うと。何やら勝手に嬉し泣きするような素振りを見せた。いや、なんだこれ?テンション高いなぁ。
「アルゴサン?何か良いことでもありましたか?」
「いやぁ、だって、こんな早く迷宮区のマップデータが手に入るんダゼ?嬉しいに決まってるダロ!」
俺の疑問にアルゴはニコニコと笑いながらそう答える。ああ、なるほどね。確かに早いうちに高値で売り捌ける情報を手に入れたら誰だってはしゃぐか。抱いた疑問に対して納得した後、約束通りマップデータを渡した。
「ハァイ、これが迷宮区のマップデータですよぉ、アルゴサン」
「確かに受け取ったゾ、メッフィー。しかし、β時代とあんま変わってないナ。安心したヨ。ああ、それとマッピングが早かったナ。オレっち本気でびっくりしたゾ。誰か協力してくれたのカ?」
アルゴが首を傾げながらそう尋ねてくる。なんていうか、アルゴの奴、勘が鋭いな。
「ええ、キリトサンにはお世話になりましたとも」
「あー、キー坊が手伝ったのカ。なら納得ダ。まあ、それはさて置きダ。メッフィー」
「ハァイ、なんでしょう?」
「その……なんて言うかサ……」
俺がそう答えるとアルゴは首を傾げるのをやめたと同時に顔を少しだけ赤くしながらもじもじと体を動かしながら言う。あー、ハイハイ、これなんて言うか予想できるぞ。「服、変えない?」だろ?
「服、変えないカ?」
少し、恥ずかしいそうにそう言った。やっぱり予想通りだ。そりゃそうだろな。変なところでウブなアルゴのことだからそう言うと思ってたよ。まあ、答えは当然だけど。
「いやですねぇ」
「そ、そこをなんとか出来ないカ?なんつーか、今のメッフィーの布面積が少ないから見てるこっちとしてはすごい恥ずかしいんダ!」
「そうですかぁ?でも、似合ってるでしょう?」
「無駄にナ!」
「この装備はワタクシのような敏捷特化のプレイヤーからしてみたら軽い上に防御力や筋力ボーナスがうまいといういいとこ尽なのですよぉ?街に入れないワタクシにとっても流石に見た目などは気にしていられないのです。まぁ、どうしても変えて欲しいのであれば変えますよぉ?」
「う、それを言われると言い返し難いナ。まぁ、いいヨ。確かに現状、街に入れないメッフィーの言い分には納得できるしナ」
俺が持論を展開するとアルゴは渋々納得してくれた。相変わらずアルゴは聞き分けが良すぎるだろ。素直か。さてと、それじゃあ。
「アルゴサン、ワタクシの短剣の整備が終わった頃だと思うのですが?終わったのであれば返してもらえませんかねぇ?」
「おう、そうだったナ。オレっちとしたことが忘れるところだっタ。ほら、約束通り鍛冶屋に整備してもらってきたゾ」
「確かに受けとりましたよ、アルゴサン。おやぁ?強化もされていますねぇ」
「しばらくは情報をまとめたり自分のレベル上げをしたりしなくちゃいけないからメッフィーとは会えないしナ。ついでに強化してもらったんダ。感謝しろヨ」
「ええ、ありがとうアルゴサン。ああ、後、これは情報になるかどうか分かりませんがキリトサン曰く強化詐欺が流行ってるらしいですよ」
「強化詐欺?」
「おやぁ?知りませんか?実は…」
そこから、アルゴにネズハというプレイヤーが方法は分からないが強化詐欺をしていることを話した。他にも《レジェンドブレイブス》というチームにネズハが所属していて主犯はそいつらではないかという話もした。
「なるほどナ……。実はこの後キー坊に呼び出されていてナ。多分って言うかほぼ間違いなく」
「今、話した話題について質問してくるでしょうねぇ。いやはや、しかし、ラッキーですねぇ。ワタクシも《イビルダガー》が強化詐欺で奪われたと知ったらアルゴサンの穴という穴に麻婆を突っ込んでいましたよぉ」
「よ、よかっタ。オレっち、流石にそんなことされたら女というか人として生きていける気がしねぇヨ」
俺の言葉に少し引きつった様にアルゴは笑った。それにしても、
「では誰が武器の整備と強化をしてくれたのですかぁ?今のところ鍛冶屋は少ない筈なのですが」
「ああ、リズベットって言うそばかすの似合う可愛いプレイヤーに鍛えて貰ったんダ。意外と安く済んだ上に中々腕も良かったゾ」
ん?リズベット?どっかで聞いた名前だ。誰だっけ?ああ、思い出した。確かキリトのヒロイン枠だけど出番が少ない子だっけ?確か髪の毛の色がピンク色なんだったか?まぁ、何にせよ今の俺じゃあ確認できないな。
俺が色々と考えていると、
「なぁ、メッフィー」
「ん?何ですか?アルゴサン」
「今のメッフィーのレベルはさ現段階で間違いなく全プレイヤーの中でも最大だと思うんダ」
「いやいや、大袈裟でしょう」
「そんなことねぇヨ。第五層か第六層のクリア可能レベルが大体19か20くらいだからナ」
え?嘘でしょ?確かにここに来て五日間一切眠ってないっていうかそもそも眠れてないからひたすらレベルを上げて20まで辿り着いたけどそんなに高いもんなの?今の俺のレベルは?
「はあ、自覚してなかったぽいナ」
「ええ、おかげでワタクシ今大混乱」
「まぁ、なんて言うか仮に今のメッフィーのことを殺せるmobやプレイヤーはまずいないだろうナ。それでもよぉ、メッフィー。あんま無理しないでくれヨ。オレっち、メッフィーに死んで欲しくねぇんダヨ」
アルゴは懇願する様な目で俺にそう告げた。その言葉に俺は揶揄う訳でも無く只々困惑した。なんて言うか初めてだった。今世に置いてこんなに心配されるのは。だからなのか違和感やら恥ずかしいやらで頭がごちゃごちゃだ。少し、気分を落ち着けた後口を開いた。
「ヒヒ、甘いですねぇアルゴサン。甘ったるくて口の中に砂糖をぶち込まれた気分ですよぉ」
「メッフィー、ふざけてるわけじゃねぇんダ」
「ええ、知ってますとも。ですが、ワタクシ、頼まれたって死ぬ気はありませんとも。なんせまだまだこの世界を楽しみきれていませんからねぇ」
その通りだ。まだ死ねない。楽しんでやるんだ。今まで自分を殺してきた分SAOで好き勝手に暴れて馬鹿みたいに大口開けてゲラゲラと笑い飛ばしてやるって誓ったんだ。だから、このゲームを楽しみきるまでは
「絶対に生き続けてやりますよ、アルゴサン」
「それは、良かった。オレっち、安心したヨ。ああ、後、この話は誰にも話すなヨ。流石にバレたら小っ恥ずかしいからナ」
先程よりも顔を赤く染めながら言うアルゴを見ながら笑った。
「ヒヒ、ええ出来れば検討しますとも」
「おい!それほとんどバラすって言ってる様なもんだろうガ!」
顔を真っ赤にしながら怒るアルゴを見て俺はまた笑った。
「では、アルゴサン。また会いましょうねぇ」
「ああ、メッフィー。またナ」
そう言うと俺はアルゴに背を向けてで走った。少しだけ胸の内が軽くなるのを感じながら俺はさらに加速する為に足に力を込めた。
今回は戦闘描写は無しでした。