「では、行ってきますね。アルゴサン」
「おう、逝ってこい逝ってそのまま帰ってくるナ」
あの後、ブチ切れたアルゴを何とか話せる程度には宥めた後、半ギレ状態で俺に仕事を言い渡してきた。それは、
「アニール・ブレードのクエストに変化がないか実際に受けて確かめれば良いのですね?」
「おう、そうダ。わかったらサッサと逝ってこいウザピエロ」
うん、全然半ギレじゃないよこれ。マジギレもいいとこだよこれ。
心なしか『行ってこい』が『逝ってこい』に聞こえるし。やり過ぎたかなぁ。まぁ、面白い反応が見れたから反省してないんだけどね。
でも、これじゃ会話しにくいなぁ。・・・仕方ない、アレやってみるか。
「アルゴ」
「なんダ?オマエのせいで今相当気が立ってるから早く行ったほうが身の為「私は、アナタを愛している」ウニャャァァァァ!!!」
おー、顔真っ赤っかどうやら成功したか。ん?何したかって?それは、音も無く近づき耳元で愛を囁いたそれもマジトーンで。まぁ、前世も今世も童貞のボキャブラリーじゃあこれが限界だったけどね。まぁ、俺の声は本気出せばイケボだしね効果はあったみたいだ。それはさて置き、これで気も和らいだで・・しょ・・う。あれ?なんで涙目になってんの?なんで少し睨んでるの?可愛いけど。あれ?もしかしてこれ、
「選択間違えましたかネェ?」
「シネェェッッ!!クソピエロォォォ!!」
「はぁー・・・・なんたるミステイクペダンチック!!」
この後、圏内で死ぬ程攻撃された。死んでないけど。
「いやぁ、ホントすみません。アルゴサン」
「次、さっきと同じことしたら今のじゃすまないからナ」
「ハァイ、わっかりましたぁ!!」
「はぁ、不安ダ」
気持ちの切り替え早いなアルゴ。しかし、これ以上時間食うとあれだし反省しないとね。する気はないけど。と言う事で、
「今度こそ行ってきますね。アルゴサン」
「行ってらっしゃい。オレっちも別の情報を集めてくる、イイ情報を知れたらさっきのは無かったことにしてやるヨ」
「なんと寛容なのでしょう。これは期待に応えないといけませんねぇ」
そう言った後、俺とアルゴは別行動をとった。件のクエストがある≪ホルンカ≫という村に到達するまでに猪やら巨大蜂やらが酔いそうになる程いたが、≪索敵≫と≪隠蔽≫を発動させながら相手の背後に近づき≪アーマー・ピアース≫や≪ファッド・エッジ≫等のソードスキルで首や目などクリティカルが出やすい所をよく狙いスニークキルを繰り返していく。中には、逆にスニークキルされかけた時あったが≪索敵≫と諸事情で現実世界で会得していた危機察知能力で反撃したりして進んで行った。道中、空中にいる相手に向けて攻撃する為に空中でソードスキルを発動させ空中移動が出来る様になったりレベルが上がったりすれ違ったプレイヤー達にとある話をしたりしていると、
「おやおや、森がありますねぇ。という事は、≪ホルンカ≫まで後少しですか」
森に突入した。アルゴの前情報で≪リトルネペント≫と呼ばれる自走捕食植物には≪隠蔽≫が効きにくいと聞いていた。レベルは俺の方が高かったが数もかなりいるとの事だったので出来る限り戦闘は避けた。それでも何度か戦うことになったが見た目が毒々しい紫色のウツボカズラという想像以上にエグい姿にこのモンスターをはじまりの街付近まで誘導させたらどうなるのだろう、と考えられる程度には余裕があった。
そんなことを考えていると≪ホルンカ≫に到着した。民家と商店、合わせて十数練しかない小さな村を、入り口から素早く見回す。
お、カラーカーソルに全てNPCのタグがついてる。ってことは、
「あれだけ、ふざけておきながら一番乗りとは運がいいですねぇ。やはり日頃の行いが良いからでしょうか?」
そう言いながら俺は武器屋へ向かった。確か、この後はデスゲーム前に集めた素材アイテムと道中で集めた素材アイテムをいくつか売ってそこそこ防御力のあるが、高い茶革のハーフコートを買えばいいんだっけ?わ、ホントだ高い。でも、余裕で買える。一応アルゴの分も買っておくか。あれ程あったアイテムと金が大分減ったが今は命が大切だしね。本当は鎧とか着ようか迷ったけどアルゴ曰く「スピード特化のオマエは軽量の革装備でも必要充分な防御力を得られるからナ。それを選んで損は無いゾ」って言ってたしこれでいいんだよな?
実は、腹いせに俺をはめよう。とか、ないよな?
そんな事を思いながら武器屋を出て、歩きながら初期装備の一つである≪スモール・ダガー≫を装備する。攻撃力では今の主武装である≪ブロンズ・ダガー≫の方が上だけどこのクエストではこっちの方が長持ちするんだよな。腐食液に弱いんだっけ?≪ブロンズ・ソード≫。本当に壊れるか確かめて実際に一本壊れてるから間違いないんだろうけど。
色々と考えながら歩いていると、目的の村の奥にあった一軒の民家に着き入る。そこには、the村のおかみといった感じのNPCが鍋をかき回していた。俺に気づいたのか振り返り話しかけてきた。
「こんばんは、旅の剣士さん。お疲れでしょう、食事を差し上げたいけど、今は何もないの。出せるのは、一杯のお水くらいのもの」
「いえいえ、それでいいですよ」
改めて思うけどやっぱこのゲームすげぇは、NPCが普通の生きた人にしか見えないもん。おかみさんに感動しているときに奥の方から子供の咳き込む声がした。おかみさんが哀しそうに肩を落とすと、頭上に金色のクエスチョンマークが点灯した。
ん、やっとクエスト発生か。長いよスキップとか出来ねぇのかなぁ。
少し、融通の利かなさにイラッとしたが直ぐに声を掛ける。
「何かお困りで?」
そう言うと、頭上の≪?≫マークがピコピコと点滅した。そこから、話が長かった。
ババア曰く、
娘が病気にかかった。
治そうにも市販の薬じゃ治らない。
直すには西の森の捕食植物の胚珠がいるが危険で取りにいけない。
取ってきてくれたら先祖伝来の武器を渡す。
途中で何度かNPCの殺害方法を調べたくなったり、次茅場にあったら膝を入れる。と決心するくらいには殺意が湧いた。
でも、そんな事すればクエストが進行しないしまた一から聞き直さなければいけないとアルゴから聞いていたので必死に耐えた。
ようやくクソババアが口を閉じ、視界の左端に表示されたクエストログのタスクが更新された。それを見た瞬間全力で立ち上がり、「行ってきます!!」と言いながらクエストが終わったら攻撃することを心に誓い表に出ようとドアノブを握りドアを開けた直後、誰かとぶつかった。痛、痛くないけどつい言ってしまう、チクショウだれだよ。
聞きたくもない話を延々と聞かされてイライラしながら相手の顔を見る。そこには見慣れた顔があった。いや、正確には前世で見慣れた顔だったな。驚いた、マジでか。
「すまない、前見てなかった。大丈夫か?」
「いえいえ、こちらこそ大丈夫ですか?」
ドアの前にSAOの主人公キリトがいるんだけど。
はい、読んでいただきありがとうございました。
何で、一番乗りだったかと言うとメッフィーが敏捷極降りだからです。