剣と念の悪鬼夜行   作:狂戦士

27 / 85
夜中に書くと丁度見てる動画の影響をモロに受けるなぁ…


26話 鬼人族の郷 終劇

朱雨に待機を言い渡されてから遂に3日目の夕方になろうとしている。鍛錬をするなりして、約束の時間まで暇を潰していたが、ここに至るまで一向に朱雨の姿は見えなかった。

 

「…仕方ない」

 

朱雨からは、3日経ってまだ朱雨が京都から戻って来なくても、鬼人族の郷に突入しろと言い渡されている。

朱雨の安否が非常に気になるところではあるが、朱雨は親友でありながら鬼としての上司にあたる存在。故に、俺は彼の言うことには従わなくてはならない立場。

 

「…行くか」

 

俺も血鬼術を身にまとい、いざ郷へと突入しようと足に力を込める。

 

 

 

 

「…猗窩座ぁ!待ってくれ!」

「うぉぉ!?」

 

突如、何もなかった目の前にパッと朱雨が姿を現す。

 

「…間に合った………」

「…朱雨、普通に現れるのって無理なのか?」

「急いでる時は無理かな………」

 

毎度恒例の瞬間移動だが、不意打ちで前触れなく来るから本当に心臓に悪いことこの上ない。

 

…とはいえ、その件は今最優先する事項ではない。俺たちにはまずやることがあるからな。

 

「…それで、作戦はどうなったんだ?」

 

朱雨が京都の街にて起こした今作戦の第1段階。その結果が第2段階に移る上での重要な事柄となる。

 

「…派遣されてきたであろう鬼狩り共を10人中6人ほど葬ってきた。その中にはやはりというか、郷に配置されていたであろう鬼人族の輩もいたな。上弦の弐の存在は鎹烏を通して産屋敷には伝わるはずだ」

 

全て仕組んでいたのではないかというほど、朱雨の作戦通りに事は運んでいた。

 

「…しかし、ここから京都は結構近いぞ? 即鎮圧されて俺らの郷の襲撃中に、鬼狩り共が間に合ってしまうのではないか?」

「その点は安心してくれ。無惨様の血で新しく生み出した鬼には、俺が大量の人間を提供し食わせておいたから、まあそれなりには時間稼ぎにはなってくれるはずだろう」

「…そうか、なら下準備(・・・)は万端に整ったってことだな」

「あぁ」

 

この度朱雨の思いついた作戦。

それは、朱雨が無惨様より直々に頂いた血で、適当な人間を数人ほど鬼に変貌させ、その鬼を率いて3日間夜の街を襲わせる。

それもただ普通に襲うだけでなく、昼間に休息を挟みながら行うことで、町民の不安感を緩急つけて適度に煽りつつ、3日というそこそこの期間街への襲撃を繰り返すことで、鬼狩り共を京都の街へ誘き寄せる。

 

ここまでが第1作戦にあたる。

では、第2作戦は何をするのかと言えば…。

 

「今頃、郷の警備はもぬけの殻だろうな」

 

郷に配置されていた鬼人族の鬼狩りを、近場である京都を混乱に陥れることで誘き寄せ、その間護りが手薄になったであろう郷を襲撃し、短時間で鬼人族共を駆逐し制圧する。これが全てだ。

 

「さぁ、行こう」

 

俺と朱雨は、日没と共に郷へと降り立った。俺たちに与えられた時間は限りなく短い。早いところ仕事を終わらせて無惨様にご報告したいところだ。

 

 

________________

 

 

俺と猗窩座は、瞬間移動の血鬼術で人目につかない建物の影に転移すると、怪しまれない程度にコソコソと鬼人族がある程度行き交う表通りに出た。

 

 

(…何故か、懐かしいような、俺と似ているような、そんな匂いを感じるけど……まあ気のせいか)

 

第1に、俺はこんな集落来たこともないし、本当によく似ているだけなんだろう。

こんなしょうもない感覚味わうぐらいなら、さっさと潰すもの全て潰して鬼狩りが集団で来る前にズラかった方が良さげだ。

 

「にしても、随分とのんびりしてるじゃないか」

「本当だな。嵐の前の静けさってやつか」

 

既に護衛についていた鬼狩りは出払っている。そんな丸腰状態とは裏腹に、郷は普段と変わらないであろうのびのびとした様子だった。

人は基本昼間しか行動しないのだが、奴らは鬼と人の血を継ぐ鬼人族であるが故か、半端者の癖して生意気にも昼間も夜もある程度の賑わいがあり、郷の寝静まる時間は存在しないらしい。そのことはまあ癪だが、許容範囲内ではある。

 

「それじゃ、景気付けに1発やるか」

「あぁ、やるぞ」

 

俺は腰に差してた刀を抜き、呼吸を整える。猗窩座はいつも血鬼術を使う際にとる素流道場時代と全く同じ構えをとった。

 

【星の呼吸 参ノ型 流星群】

【破壊殺 空式】

 

星の呼吸の参ノ型である流星群は、念力で俺の体を上空へ持ち上げて、そこから四方八方に硬く燃える斬撃を繰り出す。響きや特徴的に伍ノ型と同じく炎の呼吸に近いと思われそうだが、本質的には炎よりも岩の呼吸に近い、圧倒的な力業による型だ。

 

一方猗窩座の破壊殺の空式は、拳による絶大かつ強大な衝撃波を生み出し、中距離程度の相手ならまず一撃粉砕してしまう。

 

そして、俺と猗窩座のこの2つの技が組み合わさったらどうなる事か。

 

「逃げろぉ!」

「なんだなんだ!!?」

「誰だこんなのしたの!」

「助けてください……」

 

鬼人族の郷はあっという間に京都襲撃の時以上の阿鼻叫喚の大混乱に陥る。爆風に衝撃波と、強力な斬撃が辺りを襲う。

 

あちこちの家屋は参ノ型による斬撃で完全に崩壊し、既に老若男女問わず亡き者になっている者が周囲に多数。その他、潰れた家屋から何とか這い出して逃げようとする鬼人族共もいるが、俺たちは決してそういった輩を1人も残さない。

護衛も、守ってくれる鬼狩りなんてのもいるわけなく、ただ丸腰の鬼人族たちは俺らに背を向けて必死に逃げおうせる。

 

「逃がさん!」

 

そんな中、俺は1人ずつ鬼人族共の心臓を刺すなり急所を狙うなりすることで、次々と鬼人族の息の根を刈り取っていった。鬼人族とあれど、長らく続いた人との混血か、もしくは200年の時による鬼の血の劣化が原因か、体質は人間に近づいてる模様。故に高潔なる鬼の血を継いでるという割には、随分と儚く息絶えていった。人間より遥かに優れた回復機能に、人間より遥かに長い寿命という、鬼の不老に近い何かは恐らく奴らも持っているんだろうが、急所を刺せばあっという間に即死する辺り、外傷による不死とは限りなく遠い存在であったのだな。

 

奴らは、無惨様より頂いた前情報(・・・)よりも、圧倒的に劣っていた存在だった。

 

(思ったより脆い。これなら全体攻撃の型を使って一掃した方が早いかもな…)

 

この襲撃案を立てた当初は、1人1人入念に始末していく予定で、それ故京都襲撃と郷への奇襲という第1第2の入念に入念な段階を立てていたというのが、どうも良い意味で予定が狂ったらしい。

 

「猗窩座、一旦避けてくれ」

「おう、()の型使うんだな」

 

地面に降り立った俺は、参ノ型で仕留め損ねた連中にトドメを刺すべく、次の少々無差別技の型を出すべく場を整えた。

 

【星の呼吸 陸ノ型 星の律動】

 

乱れるように辺り一面円状に飛ぶ無差別の斬撃が、残った鬼人族の命をかすめとる。

 

「ギィヤァァァア!!」

「家が…」

「アァァァァ!!」

 

先程参ノ型の攻撃を逃れた家屋や鬼人族共も、この陸ノ型で1つ残らず壊れ殺され、やがて集落全体が渦を巻くかのごとく地獄と化していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づけば、郷はあっという間に瓦礫と血肉だけになり、日没から僅か半刻という短時間で、鬼人族の郷は完全に壊れきった廃墟と化した。

 

「……生存者及び残存家屋の気配なし。任務完了だ。戻るぞ」

「あぁ」

「ついでに鬼人族の死体を10体ほど持ち帰るから手伝ってくれ」

「…それは多すぎないか?」

「食う用、無惨様への献上用、予備用とか……あって困ることは無いからな」

「…あとで俺も食っていいか?」

「いいぞ」

 

こうして俺たちは大量の荷物を抱えて帰路についた。

 

尚後日、無惨様へこの度のことを報告へ上がった際、ちょうど旧上弦の肆が鬼狩りに討伐されたことを受け、実力的にも相応とのことで、この度の活躍も然と認められる形で猗窩座が新しく上弦の肆の座につくのだが、それはまた別の機会に。

 

 

 

 

 

 

 

___ただ、今回持ち帰れたのは、そんな成功だけの朗報だけじゃなかった。

 

この時俺は気づくことが出来なかった。気付かぬうちにとある失態(・・・・・)を犯しており、この事がやがて俺だけじゃなく、やがて十二鬼月全体を苦しめていくようになることを……。

 

 

 

 




ー江戸コソコソ噂話ー



朱雨のプロフィール


生まれ 1675年~1685年頃 日時不明

血液型 不明

経歴

1690年前頃 無自覚無意識に全集中の呼吸を習得

1690年前後 鬼になる

169?年 前半 十二鬼月結成 下弦の陸となる。血鬼術及び呼吸法開花。

169?年 当道座襲撃 原作における半天狗を殺害

1698年 江戸の大火に乗じて鬼狩りの目を盗んで稀血狩りを決行。無事に成功し、鬼狩りに目をつけられることなく稀血を大量確保。功績が認められて下弦の肆になる。 ※隠し設定

1707年 宝永地震及び富士山宝永噴火に乗じて再度稀血狩りを行う。今度は、被災者の保護を名目に、江戸の1箇所に敢えて稀血たちを集め、その後丸ごと無惨様に献上。 ※隠し設定
この功績により、朱雨は下弦の壱へ昇格。

1730年前後 猗窩座(狛治)と出会い、親友関係に。
同時期、十二鬼月において入れ替わりの血戦を導入し、年功序列式を排除。上弦の陸から伍、更には参へ一気に昇格。

1730年代前半 猗窩座鬼化。剣術道場壊滅。

1740年代後半 猗窩座十二鬼月加入 下弦の陸となる。 ※隠し設定

1780年代前半 童磨鬼化からの1年で下弦の鬼入り。この頃に猗窩座も下弦の参まで昇格。 ※隠し設定

1780年代中盤 童磨が上弦の陸になる。猗窩座も下弦の壱へ昇格。朱雨が上弦の弐へ上がる。
また、例の兄妹鬼が鬼化。実は、玉壺も影薄いながら下弦の弐にいる。
※隠し設定

1780年代後半 鬼人族の郷を朱雨と猗窩座が壊滅させる。その功績で、猗窩座が上弦の肆まで一気に昇格。


178?年 朱雨が何やら某鬼の育成をしていた模様。その辺は27話にて公開。

次回投稿は少しおやすみを頂いて5/24日(日)に投稿致します。
27話は、遂にあの鬼が登場!ちゃっかり恋愛要素含むかも!? お楽しみに!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。