剣と念の悪鬼夜行   作:狂戦士

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おちゃらけタイトルはいつしか無くなる予定。今は束の間のコメディタイムです。
SAN値直葬心尖贖罪!!(意味不明)




3話 ここが無限城かぁ……………えっ?

「…ここは?」

 

長い間気を失っていた気がする。俺はガバッと勢いよく起き上がった。

 

(というか俺は何してたんだっけ)

 

初めての江戸時代の町を観光して、迷って、気づいたら森の中で、それで…

 

(そうだ!俺は迷子してたら黒死牟に遭遇しちゃったんだ!)

 

将来の上弦の壱の鬼に邂逅して戦ってボロ負けしたんだ。

まだ目に上弦の壱の文字はなかったから十二鬼月でこそなかったけど、案の定かなりの強敵だった…。

折角12年も剣技鍛えていたけどよくよく考えたら100年も弟に追いつくために鍛えてる鬼が相手じゃ武が悪すぎる。最後は土手っ腹ぶっ刺されて負けたんだっけ。俺ってばかなりクソ雑魚。

 

「…ってあれ?」

 

だとしたら今生きてるのは何故だ。俺の腹には血の滲んだ痕こそ残っているが、血の方はというと止まっていた。

普通なら失血死してもおかしくないレベルの負傷だった筈。

 

(というか、今気づいたけどこの場所のこの感じ、なーんか見覚えがあるような…)

 

ようやく意識を向けた現在俺のいる場所に関して。そこには上下左右の概念がもはや存在しない畳と襖だらけの暗く薄気味悪い空間が広がっている。この異質な光景といえば()()しかない。

 

…無限城じゃん。

 

「目が覚めたか…」

「!?」

 

何処かからか、さっき俺の土手っ腹に大穴開けた黒死牟の声が聞こえる。

何処にいるんだとその場で急いで立ち上がったら、まさかの真横にいた。

 

(おい、黒死牟がここにいて周囲のこの感じの光景間違いなく無惨とご対面じゃん! ってかなんで俺ここにいんの!?)

 

と心の中で叫びつつも結局のところビビり倒してるのでその言葉は一言も口には出来ない。あんなに剣術励んでても急に無限城連れてこられて死の予兆がしたら小心者になるとか俺もダメな奴だなぁ…。

というか既に頭クルクルパニックである。

 

(いや、待てよ。もしかしたら無惨来ないで黒死牟だけパターンかも?)

 

その可能性はある。そもそも無限城があったのって結構昔かららしいしこの無限城を統括してる鳴女はいつ鬼になったとか設定なかったからワンチャン黒死牟の独断でとかまだこの時代はそこそこガバガバで何となくで連れてこられたとかで…

 

 

「………無惨様が……お見えになる」

 

 

はい、やっぱり来るそうです。避けられぬ無惨との邂逅。

もう食われなかっただけマシと思いましょうどうにでもなれ。

 

「……久方振りだな黒死牟」

「はい、1年振りでございます」

 

ワオ、俺死んだわ。マジでリアル無惨様だよ。生きる厄災こと始祖の鬼の無惨様が目の前におるよ。

…例によって女装はしてないけど。

 

(一応原作キャラに会えたわけだし、ここは素直に喜んでおくかなぁ…?)

 

と言っても俺もう死ぬんだけどね。最後に原作キャラの顔見れて良かったなって程度でしかないな。この作品、前世では結構見入るように読んでたし、無惨様は結構お気に入りキャラだったから殺されるなら無惨様で良かったのかもしれない。そう自分に言い聞かせでもしないと2度目の人生に納得が行きそうにない。

 

「…黒死牟、その少年が例の奴か?」

「はい、この少年が……」

「…ほう」

 

無惨が興味ありげな表情でこちらを見据える。その蛇のような視線に、俺はただ睨まれた蛙の如く立ちすくむしかない。

 

(えっ何、例の奴ってなんだよ。俺食べても美味しくないよ?え?俺稀血だったりするパターン?)

 

この状況、一言で表すならヤバいとしか言えない。何か言葉にしようとしてもまず恐怖で声が出ない。そのぐらい無惨には威圧感がある。

…ってか稀血って鬼にしか分からないんだっけ。そしたら俺が知る由もないな。

 

「…お前が…そうか」

「…………」

 

俺の運命はもはや無惨に握られてんだなと思うと、ただジッとしてるしか出来ない。というか、怖すぎて逆にそれ以外なんも出来ねえ。

おい、俺が12年培ってきた剣士としてのプライドや精神力はどこいったんだよ!

そう言われましても1000年…いやこの時点では700年くらい…どっちでも誤差レベルか。とまあそれぐらい生きるバケモン相手には無理です。

 

(あぁ…死んだ…)

 

俺は死ぬ運命を受け入れる他ないとしてその場で目を瞑った。無惨に、一思いに殺して貰おう。

 

 

 

「____お前には私の血をふんだんにやろう」

 

無惨の手から伸びてきた原作通りの悍ましい触手のようなものが俺の首元に真横から突き刺さった。

 

「グボっっっっっっ…………」

 

声にならぬ声が出た。

マジかよ、一気に首グシャッと潰されて殺されるのかと思ったら無惨の血注入されて殺されるのかよ…。

 

「……一思いに……楽に…殺せよ」

 

ふと生死の瀬戸際で、掠れた声ではあるものの本音がうっかり漏れる。

当然ながら俺は一瞬で後悔の念に駆られる。

 

(やっべ、地雷踏んだわこれ)

 

その後は無惨の表情がみるみるうちに不敵な笑みへと変化し、怒りの頂点に達した様子。

 

「…そうか、もっと血が欲しいのか」

「がっ……あ゙あ゙……」

 

奴のその声と同時に、先程を超える物凄い勢いで俺の体内に奴の血が入ってくる。

俺はその声を最後に、全身を駆け巡る痛みに耐えきれず意識を手放した。

 

 

________________

 

 

久方より、黒死牟直々に面白い話をきいた。()()黒死牟のことだ、決して退屈なものでは無いだろう。

私は今日、実に機嫌が良い。それに免じて特別に黒死牟とその有象無象とやらを無限城に迎え入れてやった。

 

 

「…久方振りだな黒死牟」

「はい、1年振りでございます」

 

1年振りに脳内干渉以外で黒死牟と顔を合わせた。そして黒死牟の横には黒死牟推薦の例の少年。

 

「黒死牟、その少年が例の奴か?」

「はい、この少年が……」

「…ほう」

 

…なるほど、どうやら黒死牟が一目置くのも一理ある。

 

__こいつは、この期に及んでも私から目を背けていない。

 

この歳にして、私を目の前に一切の動揺を見せず、私から目を背けぬ不撓不屈の精神を持っているようだ。

 

「…お前がそうか」

「………」

 

私の言葉に対し、何一つ言葉を発さずにその少年は私のことを睨むが如く力強い視線で見据える。

なるほど…この期に及んで私に臆さぬその姿、黒死牟の推薦も肯ける。

 

(想定より遥かに歳も若いが…まあいい)

 

…これ程の金の卵、鬼狩り共に目を付けられる前にこちら側()に引き込んでおくのが吉と見た。

 

「____お前には私の血をふんだんにやろう」

 

そうして私は奴の首に血を送り込んだ。

 

「グボっっっっっ…………」

 

その少年からは声にならぬ声が出た。

まあ、流石にここで無言は貫けぬか。私の血に耐えて鬼になるかならぬかは体質の都合もあるから別として、私がこうすることで声を出さずに痛みに耐えられた者は今までおらぬからな。そこは私の寛大な心で目を瞑ってやるとしよう。

 

「……一思いに……楽に…殺せよ」

 

(ほう?)

 

この状況でその口から私に文句を叩けるか。加えて私に強く訴えかける目をしている。

私は久方振りに心の底から期待や興味という感情を抱いた。ましてや、相手は10年ほどしか生きていない童だ。

…ならば少々賭けに出てみるとしよう。

 

「…そうか、もっと血が欲しいのか」

「がっ……あ゙あ゙……」

 

1人の人間にここまで大量に血を与えたのは何時以来か…、もう覚えていない。が、この童なら血に順応して見せるだろう。

 

 

「…気絶したか」

 

奴はその場に倒れ伏した。しかし、呼吸の音や心臓の鼓動は絶えることなくしっかりと私の耳に届いている。

 

___ようは、私の血に屈しなかったということだ。

 

「青い彼岸花と太陽の克服、それがお前に与えられた使命だ。せいぜい私の役に立て」

 

失神中の童にそう告げ、私は無限城を後にした。

 

 

 

 

 

(…強い鬼を12体ほど作る予定だが、コヤツなら将来的にくい込んで来るだろう)

 

この童の将来が今から楽しみで仕方なくなった。

 

 

 

____

 

 

 

__

 

 

 

_

 

 

 

 




無惨様視点の異様な難しさよ。
原作がブラック無惨様なら今作はカフェオレ無惨様です。



ー追記ー

霸くんさん、高評価9をありがとうございます。
尚、ついでに次話投稿を28日の18時に設定しました。ストックがヤバい…。
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